※本記事は、クリエイト株式会社 の有価証券報告書(第77期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クリエイトってどんな会社?
管工機材の専門商社として、パイプやバルブ等の販売から、子会社を通じた製造・施工・物流まで手掛ける企業グループです。
■(1) 会社概要
1948年に大阪で株式会社福井一夫商店として設立され、1952年には製造部門として大阪ドレネーヂ工業(現・ダイドレ)を設立しました。2006年にジャスダック証券取引所へ上場し、2016年には施工機能を強化するためクリテックを設立しています。2022年の市場区分見直しにより、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
連結従業員数は600名、単体では438名です。筆頭株主は取引先持株会、第2位は創業家一族の福井道夫氏、第3位は従業員持株会となっており、取引先や従業員との関係を重視した安定的な株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| クリエイト取引先持株会 | 20.43% |
| 福井道夫 | 11.62% |
| クリエイト従業員持株会 | 9.33% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長は吉成隆則氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉成隆則 | 代表取締役社長 | 1977年同社入社。人事総務部長、管理本部長などを経て、2017年代表取締役社長に就任。2024年会長を経て、2025年3月より現職。 |
| 柴田勝 | 取締役 | 1987年同社入社。名古屋営業部長、西日本支社長などを歴任。2022年取締役就任。現在は営業本部を管掌し、ダイドレ代表取締役社長も兼務。 |
| 五十嵐昭彦 | 取締役管理本部長 | 1996年同社入社。営業企画部長、経理部長などを経て、2022年管理本部長兼総務部長。同年6月より取締役。 |
| 宇山泰宏 | 取締役 | 1992年同社入社。事業開発部長、クリテック社長などを経て、2020年取締役営業本部長。2024年代表取締役社長を経て、2025年3月より現職。 |
社外取締役は、山田一彦(税理士)、大西由紀(元KSCソリューションズ社長)、隈元暢昭(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「管工機材」「施工関連」「物流関連」の3つの報告セグメントを展開しています。
■(1) 管工機材
パイプ、継手、バルブなどの管工機材商品の販売を主たる業務としており、顧客は建設業者や設備業者などが中心です。また、連結子会社のダイドレ株式会社が製造する排水継手、排水器具、マンホールなどの「トーロー印」商品の総販売代理店としての機能も有しています。
収益は、これらの商品を顧客へ販売することによる代金収入が柱となります。商品の仕入・販売は主にクリエイトが行い、特定製品の製造・供給はダイドレ株式会社が担う体制となっています。グループの中核をなす事業であり、売上高の大部分を占めています。
■(2) 施工関連
主に建設工事の請負を行っており、電気工事、土木工事、管工事など多岐にわたる工事種類の施工を手掛けています。建設業者や施主からの工事受注により事業を展開しています。
収益は、工事請負契約に基づく請負代金です。この事業の運営は、主に連結子会社のクリテック株式会社が担っており、設計から施工、監理までを一貫して行う体制を構築しています。
■(3) 物流関連
管工機材等の一般運送事業を行っています。グループ内の物流ニーズに対応するほか、メーカー等の運送ニーズにも対応し、物流拠点の拡充や流通網の充実を図っています。
収益は、運送サービスの提供による対価です。この事業の運営は、主に連結子会社の株式会社ハネイシが担っており、同社は首都圏における物流ノウハウを持ち、「クリエイト東京配送センター」の運営も行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。利益面では、2023年3月期に高い利益率を記録した後、翌期は低下しましたが、直近の2025年3月期には経常利益が大きく回復し、増収増益基調に戻っています。当期利益も回復傾向を示しており、安定した収益基盤を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 296億円 | 315億円 | 349億円 | 359億円 | 366億円 |
| 経常利益 | 0.3億円 | 3億円 | 7億円 | 4億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 0.1% | 1.0% | 1.9% | 1.1% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0億円 | 1億円 | 3億円 | 1億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は改善傾向にあり、営業利益率も前期の1.2%から2.1%へと上昇しました。これにより営業利益は大幅な増益となっており、本業の収益性が向上していることがうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 359億円 | 366億円 |
| 売上総利益 | 59億円 | 64億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.4% | 17.4% |
| 営業利益 | 4億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 1.2% | 2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が21億円(構成比37%)、賃借料が6億円(同10%)を占めています。売上原価については、商品仕入高などが主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
管工機材セグメントは増収となりましたが、施工関連セグメントは受注基準の見直し等の影響により大幅な減収となりました。物流関連セグメントは微増収で推移しています。全体としては管工機材事業が業績を牽引し、連結売上高の増加に寄与しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 管工機材 | 352億円 | 361億円 |
| 施工関連 | 3億円 | 1億円 |
| 物流関連 | 3億円 | 3億円 |
| その他 | - | - |
| 調整額 | -4億円 | -4億円 |
| 連結(合計) | 359億円 | 366億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
クリエイトは、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に増加し、事業の好調さを示しています。投資活動では、固定資産の取得と売却が行われましたが、全体としては資金の流出が抑制されました。財務活動では、長期借入金の返済や配当金の支払いにより資金が流出しましたが、これは安定した経営基盤の維持に向けた動きと言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.0億円 | 9億円 |
| 投資CF | 0.5億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | -4億円 | -8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同グループは、創業以来の社是である「和を以て尊しと為す」を大切にし、グループ理念として『安全安心で快適な「環境」と「信頼」をお届けする』を掲げています。暮らしや産業、公共の社会基盤を支えることを使命とし、事業を通じて安全かつ快適な暮らしができる社会づくりに貢献することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は「和」を重視する社是のもと、ステークホルダーからの信頼と期待に応える企業活動を実践する文化を持っています。また、法令・コンプライアンスの遵守を基本理念とする行動指針を定めたハンドブックを全役職員に配布し、公正かつ誠実な行動の徹底を図るなど、倫理観と責任感を重視する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
2026年度を最終年度とする中期経営計画「Vision 110」に取り組んでいます。創業110周年を迎える2026年度に、グループ初の営業利益10億円達成を目指しています。財務目標として、資本コストを意識したROE重視の経営を掲げています。
* 2027年3月期 売上高:440億円
* 2027年3月期 営業利益:10億円
* 2027年3月期 ROE:10%水準
* 2027年3月期 自己資本比率:30%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「Vision 110」に基づき、サステナブル商材の拡販や建設業許可を活かした工事付与受注の促進に取り組みます。物流面では、東海配送センターの開設や物流子会社の活用により「管材業界No.1物流」を目指します。また、製造部門では3Dプリンターの導入によるモノづくり機能の進化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を「資本」と捉え、グループ全体で統一した教育プログラムや人事評価制度の整備に注力しています。階層別研修に加え、リスキリングや次世代リーダー育成を推進し、自律的なキャリア形成を支援しています。また、タレントマネジメントシステムを活用して「人財ポートフォリオ」を可視化し、経営戦略と連動させることを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.9歳 | 15.3年 | 5,068,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.5% |
| 男性育児休業取得率 | 54.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 66.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 56.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、次期経営マネジメント層の社外研修会への参加人数(42名)、次世代リーダーの資格・スキル取得人数(171名)、1on1ミーティング実施率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 安全労働管理に関するリスク
倉庫・配送作業や運送業務において、重大な労働災害や交通事故が発生した場合、人的損失や補償費用、社会的信頼の失墜などにより、同グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 建設市場動向による影響
主力である管工機材商品は、住宅着工数や公共事業などの建設投資動向に需要が左右されます。建設コスト上昇や人手不足による工期の遅れ、計画の中止・縮小などが発生した場合、同グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) サプライチェーンの安定性
自然災害や感染症、政情不安などにより、仕入先からの供給が停止・遅延した場合、代替品の調達が困難となり、顧客への供給に支障をきたす可能性があります。また、物流業界の「2024年問題」による輸送能力低下も懸念されています。



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