SRSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SRSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するSRSホールディングスは、「和食さと」や「にぎり長次郎」などの和食を中心とする飲食店経営を主力としています。直近の業績は、店舗網の拡大や高付加価値商品の販売好調により売上高764億円、経常利益30億円と、前期に引き続き増収増益を達成し成長を続けています。


※本記事は、SRSホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

記事タイトル:SRSホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. SRSホールディングスってどんな会社?


和食を中心とした飲食店経営を全国展開し、多様な外食ブランドを擁する企業です。

(1) 会社概要


同社は1968年に尼崎すし半本店として設立されました。1998年にサトレストランシステムズへ商号変更し、2013年にはフーズネットを完全子会社化しました。2017年に持株会社体制へ移行し、現在のSRSホールディングスへ社名を変更しました。2025年にはすし弁慶を完全子会社化し事業を拡大しています。

現在の従業員数は連結で1927名、単体で98名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位には資本業務提携先であるエイチ・ツー・オーリテイリングが名を連ねています。また、第3位には同社の取締役会長である重里欣孝氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.00%
エイチ・ツー・オー リテイリング 6.17%
重里 欣孝 3.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役執行役員社長は重里政彦氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
重里 政彦 代表取締役執行役員社長 アリスタライフサイエンス退職後、2008年に同社入社。社長室長、執行役員郊外和食営業本部長、取締役執行役員事業統括本部長などを歴任し、2017年4月より現職。
重里 欣孝 取締役会長 1987年に同社入社。取締役企画室長、常務取締役商品本部長、代表取締役社長、代表取締役兼執行役員社長などを歴任し、2017年4月より現職。
田中 正裕 取締役監査等委員 三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)退職後、2014年に同社入社。執行役員経営企画本部長、取締役執行役員管理本部長などを歴任し、2023年6月より現職。


社外取締役は、片山幹雄(元シャープ社長)、宮本圭子(第一法律事務所代表社員弁護士)、川井一男(川井一男公認会計士・税理士事務所代表)、佐藤ゆかり(元総務副大臣兼内閣府副大臣)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外食事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

同社グループは、和食を中心とする多様な飲食店を全国および海外で展開しています。「和食さと」をはじめ、「にぎり長次郎」「うまい鮨勘」などのグルメ寿司業態、「家族亭」「得得」などのそば・うどん業態、さらには定食やテイクアウト専門店まで、幅広い顧客層に向けた食事の機会を提供しています。

主な収益源は、一般消費者からの飲食代金およびテイクアウト商品の販売代金です。また、水産物の加工・販売なども手掛けています。運営は、サトフードサービス、フーズネット、家族亭、アミノ、M&Sフードサービスなどの各事業子会社がそれぞれのブランドを分担して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、一時期マイナス成長となったものの、その後は順調に回復し、増収傾向が続いています。利益面でも黒字転換以降は安定的に推移しており、着実な成長軌道を描いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 429億円 545億円 602億円 675億円 764億円
経常利益 27億円 -7億円 22億円 25億円 30億円
利益率(%) 6.2% -1.2% 3.6% 3.8% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 -7億円 8億円 2億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期を上回る結果となりました。利益率の面では、原価率の上昇による影響を販売管理費のコントロール等で吸収し、営業利益率は同水準を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 675億円 764億円
売上総利益 446億円 501億円
売上総利益率(%) 66.0% 65.6%
営業利益 27億円 31億円
営業利益率(%) 4.0% 4.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が220億円(構成比47%)、賃借料が64億円(同13%)を占めています。売上原価の多くは店舗での飲食原材料の仕入れに関連する費用が占めています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で創出した資金で事業投資を行い、同時に有利子負債の返済も進める「健全型」の傾向を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 37億円 49億円
投資CF -105億円 -28億円
財務CF 70億円 -14億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.9%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も37.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは、食を通じて社会に貢献します。」をフィロソフィー(企業哲学)として掲げています。人々が生きていく上で最も大切な「食」を事業の柱とし、潤いのある、楽しい食事の機会を提供することにより豊かな暮らしを実現することをめざしています。

(2) 企業文化


同社は、「最も顧客に信頼されるレストランの実現」を基本方針とし、地域になくてはならない企業となることを重視しています。ステークホルダーと共に成長し、持続可能な社会の実現に向けて社会課題の解決と価値の創造に取り組む姿勢をサステナビリティ基本方針として明記しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2030年3月期までを対象とする中期経営計画「SRS VISION 2030」において、「既存事業の飛躍的な発展と新たな収益基盤の確立による和食チェーングループ圧倒的No.1の実現」を基本方針として掲げています。最終年度の数値目標は以下の通りです。

・売上高:1150億円
・経常利益:60億円
・店舗数:1180店舗
・ROE:12%超
・ROIC:5%超

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、基本方針の実現に向け、4つの重点戦略を設定しています。「和食さと」のナショナルブランド化、「にぎり長次郎」「うまい鮨勘」によるグルメ寿司チェーン圧倒的No.1の実現、第3・第4の収益の柱となる事業の確立、そして売上高1000億円超を支えるグループ機能の強化とサステナブル経営の推進に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「多様性の推進」と「安心して働ける職場環境の整備」を人的資本の重点施策としています。短時間正社員制度の導入や外国人人材の積極的な採用を通じた多様な人材の活用・促進、階層別の研修制度やeラーニングによる経営幹部人材の育成を進めています。また、休日日数の拡大や長期休暇制度の導入などにより、ワークエンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 49.0歳 15.2年 7,302,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.9%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 51.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 61.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 34.3%


同社は常時雇用する労働者の数が300人以下のため、男性労働者の育児休業取得率の公表義務の対象外であり、有報には具体的な数値の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(10.7%)、年次有給休暇取得率(49.8%)、キャリア採用者の女性比率(48.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 仕入価格の変動と安定確保
異常気象や国際紛争、為替変動、物流ドライバー不足などにより、原材料価格や物流費が高騰するリスクがあります。産地の分散や配送効率の見直し等の対策を講じていますが、供給体制に問題が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 店舗の収益性低下による減損・閉店損失
外部環境の著しい変化等により店舗の収益性が著しく低下した場合、減損損失を計上する可能性があります。また、不採算店舗の閉店に際して固定資産除却損や違約金などの損失が発生し、経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 労働環境の変化と人材確保
飲食店の円滑な運営には多様な人材の確保が不可欠であり、労働人口の減少下での人材確保と育成が課題となっています。社会的な賃上げ機運の高まりや制度変更による人件費の高騰が想定以上となった場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。