SRSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SRSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のSRSホールディングスは、「和食さと」や「にぎり長次郎」などの和食レストランチェーンを展開する企業です。直近の決算では、インバウンド需要の増加や既存店の収益性向上により増収となり、営業利益・経常利益ともに増益を達成しましたが、減損損失の計上などにより当期純利益は減益となりました。


#記事タイトル:SRSホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社SRSホールディングスの有価証券報告書(第57期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SRSホールディングスってどんな会社?


和食ファミリーレストラン「和食さと」や回転寿司「にぎり長次郎」などを運営する外食チェーン企業です。

(1) 会社概要


1958年に創業者が飲食店「すし半」を開店し、1968年に尼崎すし半本店を設立しました。1984年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、1998年にサトレストランシステムズへ商号を変更しました。2013年には東京証券取引所市場第一部へ上場し、2017年に持株会社体制へ移行して現商号となりました。

同グループは連結従業員1,742名、単体95名の体制です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は資本業務提携先であるエイチ・ツー・オー リテイリング、第3位は創業家出身で会長を務める重里欣孝氏です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 7.60%
エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 6.17%
重里 欣孝 4.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役執行役員社長は重里政彦氏です。取締役(監査等委員を除く)の25.0%、監査等委員である取締役の75.0%が社外取締役で構成されています。

氏名 役職 主な経歴
重里 政彦 代表取締役執行役員社長 アリスタライフサイエンスを経て2008年に入社。取締役執行役員副社長等を経て2017年より現職。
重里 欣孝 取締役会長 1987年入社。1993年に代表取締役社長に就任。代表取締役執行役員社長を経て2017年より現職。
池田 訓 取締役執行役員経営戦略本部長 1995年入社。サト・アークランドフードサービス代表取締役社長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、片山幹雄(元シャープ社長・会長)、田中正裕(元三菱東京UFJ銀行)、宮本圭子(弁護士法人第一法律事務所社員弁護士)、川井一男(川井一男公認会計士・税理士事務所代表)、佐藤ゆかり(元環境副大臣・フューチャーアナリティクス社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外食事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 飲食店の経営


和食を中心とするレストランチェーンを展開しています。主なブランドには、和食ファミリーレストラン「和食さと」、回転寿司「にぎり長次郎」、うどん・そばの「家族亭」、天丼・天ぷら専門店「さん天」などがあります。一般消費者を対象に、店舗での飲食サービスを提供しています。

収益は、来店客からの飲食代金等が主な源泉です。運営は、サトフードサービス、フーズネット、家族亭、アミノ、M&Sフードサービス、NIS、シンガ、サト・アークランドフードサービスなどの連結子会社が行っています。

(2) その他


主力である飲食店の経営以外に、水産物の加工・販売事業を行っています。

収益は、水産物の販売代金等が源泉となります。運営は主に株式会社鮨勘フーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は回復傾向にあり、特に直近2期は増収が続いています。利益面では、経常利益が黒字化し安定しつつありますが、当期利益は特別損失の影響等により変動が見られます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 437億円 429億円 545億円 602億円 675億円
経常利益 -21億円 27億円 -7億円 22億円 25億円
利益率(%) -4.7% 6.2% -1.2% 3.6% 3.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -41億円 16億円 -15億円 18億円 9億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。営業利益および営業利益率も前期を上回っており、本業の収益性が向上していることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 602億円 675億円
売上総利益 394億円 446億円
売上総利益率(%) 65.5% 66.0%
営業利益 22億円 27億円
営業利益率(%) 3.6% 4.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が192億円(構成比46%)、賃借料が59億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は外食事業の単一セグメントですが、直近ではインバウンド需要の増加やM&Aによる子会社化などが寄与し、売上高が増加しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
外食事業 602億円 675億円 22億円 27億円 4.0%
連結(合計) 602億円 675億円 22億円 27億円 4.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、社債や長期借入金の増加により固定負債が増加しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動を通じて資金を生み出しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得や有形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債発行や長期借入れにより資金を得ました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 37億円 37億円
投資CF -23億円 -105億円
財務CF -12億円 70億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは、食を通じて社会に貢献します。」をフィロソフィー(企業哲学)として掲げています。「食」を事業の柱とし、潤いのある楽しい食事の機会を提供することで豊かな暮らしを実現し、地域になくてはならない企業として「最も顧客に信頼されるレストランの実現」を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、フィロソフィーの下、「DREAM(パートナーと共に、夢の実現をめざします。)」「ENJOY(カスタマーと共に楽しさを分かち合います。)」「LOVE(コミュニティーを愛し、人びとと共に生きます。)」という3つの経営理念を重視しています。パートナー(従業員)、カスタマー(顧客)、コミュニティー(地域社会)と共に成長し、喜びを共有する文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けた新中期経営計画「SRS VISION 2030」を策定し、2030年3月期には以下の数値目標の達成を目指しています。

* 売上高:1,150億円
* 経常利益:60億円
* 店舗数:1,180店舗
* ROE:12%超
* ROIC:5%超

(4) 成長戦略と重点施策


「既存事業の飛躍的な発展と新たな収益基盤の確立による和食チェーングループ圧倒的No.1の実現」を基本方針とし、主力業態である「和食さと」のナショナルブランド化や、「にぎり長次郎」「うまい鮨勘」によるグルメ寿司チェーンNo.1の実現を目指します。また、第3、第4の収益の柱となる事業の確立や、グループ機能の強化、サステナブル経営の推進に取り組む方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様性の推進」と「安心して働ける職場環境の整備」を重点施策としています。性別や国籍等を問わない多様な人材の登用を進め、短時間正社員制度の導入や外国人材の積極採用を行っています。また、年間所定休日の拡大や連続休暇制度、テレワークの導入などにより、従業員がより良い人生を送れるよう労働環境の改善に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.8歳 14.6年 7,016,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.5%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 43.5%
男女賃金差異(正規) 53.3%
男女賃金差異(非正規) 20.5%


※男性労働者の育児休業取得率については、該当者がいなかった等の理由により「-」と記載されています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(連結)(8.0%)、男性労働者の育児休業取得率(連結)(26.7%)、離職率(連結)(11.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外事業リスク


海外での事業展開において、現地の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化、商慣習、為替変動などの潜在的リスクが存在します。これらに対処できず事業展開が計画通りに進まない場合、出資の減損処理等が必要となり、経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) ESG対応に関するリスク


ESG経営やCSR活動への取り組み、およびその情報発信が十分でない場合、株価の下落やエシカル消費の取り込み遅れによる売上低迷を招く可能性があります。同社はサステナビリティ委員会等を設置し体制を構築していますが、対応の遅れ等が経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 売上高の変動について


大規模な自然災害、社会的混乱、伝染性の疾病、異常気象などの影響により、消費者の外食動機が大幅に減少した場合、売上高が大きく低下し、経営成績に悪影響を与える可能性があります。

(4) 仕入の価格変動と安定確保について


異常気象、国際紛争、安全性問題、伝染病、為替変動、エネルギーコスト高騰、物流ドライバー不足などにより、原材料価格や物流費の高騰、供給不足が生じる可能性があります。産地の分散等の対策を講じていますが、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。