アールシーコア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アールシーコア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アールシーコアはスタンダード市場に上場し、自然派個性住宅「BESS」ブランドの企画・開発・販売を主力としています。直近の業績は、建築確認申請の審査期間長期化等の影響で売上高が減少傾向にあり、減損損失の計上等により当期純損失となっています。新規事業の育成により早期黒字化を目指しています。


※本記事は、株式会社アールシーコアの有価証券報告書(第41期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. アールシーコアってどんな会社?


BESSブランドの自然派個性住宅を提供する同社の特徴をまとめます。

(1) 会社概要


1985年に企画コンサルティング業務を目的として設立されました。1986年に個性的な住空間の創出を目指すビッグフット事業を開始し、2005年にジャスダック証券取引所(現スタンダード市場)へ上場しました。2008年にブランド名を「ビッグフット」から「BESS」へ変更し、現在に至ります。

従業員数は連結で229名、単体で134名です。筆頭株主は事業会社の旭化成ホームズで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位はアールシーコア社員持株会となっています。なお、旭化成ホームズとは資本業務提携契約を締結し、事業連携や共同研究等を進めています。

氏名 持株比率
旭化成ホームズ 14.00%
日本カストディ銀行(信託E口) 6.17%
アールシーコア社員持株会 5.29%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役社長は壽松木康晴氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
壽松木 康晴 代表取締役社長 大京、新日本建物を経てアキュラホーム入社。2016年にアールシーコアに入社し、営業本部販社管理室長やBESSパートナーズ代表取締役社長を歴任。2024年6月より現職。
谷 秋子 取締役マーケティング本部長補佐 フジエテキスタイルを経て1985年のアールシーコア設立時に参画。1989年に取締役に就任し、商品開発部やBI開発部等の責任者を歴任。常務取締役等を経て2024年4月より現職。
浦﨑 真人 取締役 新日鐵化学を経て2000年にアールシーコア入社。経営企画室責任者や総務部長、BESSパートナーズ取締役等を歴任。2023年に代表取締役サポート・管理本部長を経て、2024年6月より現職。
加藤 晴久 取締役商品開発部長 大和ハウス工業を経て2016年にアールシーコア入社。技術本部長、執行役員商品開発部長を歴任。2021年に取締役に就任し、商品本部長等を経て2024年4月より現職。


社外取締役は、後藤昇雄(元富士ゼロックス経営監査部グループ長)、北原規稚子(MICHI CEO)、吉田倫子(岡村綜合法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「直販部門」「販社部門」「BP社」の報告セグメントで事業を展開しています。

直販部門


BESS多摩やBESS藤沢などの直営拠点で、東京・神奈川・千葉圏を中心とする顧客向けに、ログハウス等の自然派個性住宅の企画・新築工事請負を提供しています。また、非住宅の特建事業(BtoB事業)、分譲住宅の仲介・販売、別荘タイムシェアの販売・運営管理なども手掛けています。

収益は、顧客との直接の工事元請契約に基づく請負代金や、不動産販売・タイムシェアの利用権販売などから得ています。運営は主にアールシーコアが担い、一部の事業は非連結子会社が行っています。

販社部門


日本全国のBESS販社(地区販社)が運営する営業拠点(LOGWAY)に向けて、BESSブランドと販売システムの提供を行うとともに、ログハウス等を建築するための部材キットの販売を行っています。全国的なブランド展開とファン創造を担うフランチャイズ本部事業です。

収益源は、地区販社への部材キット販売代金や、顧客との個別契約に基づく一定料率のロイヤリティ収入などです。フランチャイズ契約において加盟料や保証金を求めない独自制度を採用しており、本事業の運営はアールシーコアが担当しています。

BP社


連結子会社が運営する全国の複数の営業拠点(LOGWAY)において、エンドユーザーである顧客向けに、BESS企画型住宅等の新築工事請負やメンテナンス等の事業を直接提供しています。地域の特性に応じた独自の暮らし提案と販売網の拡大を担っています。

収益は、顧客との直接の工事元請契約に基づく請負代金から得ています。運営はアールシーコアの連結子会社であるBESSパートナーズが担っており、同社が複数地域の拠点を統括して事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向で推移しており、経常利益も連続して損失を計上しています。ウッドショック等による原価高騰や建築確認申請の審査長期化が影響し、厳しい事業環境が続いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 163億円 139億円 121億円 110億円 105億円
経常利益 -4億円 -9億円 -5億円 -4億円 -5億円
利益率(%) -2.2% -6.4% -4.2% -3.5% -4.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -4億円 -14億円 20億円 -4億円 -8億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も減少しています。営業利益ベースでもマイナスが継続しており、収益性の改善が急務となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 110億円 105億円
売上総利益 31億円 30億円
売上総利益率(%) 28.0% 28.4%
営業利益 -5億円 -6億円
営業利益率(%) -4.5% -5.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び雑給が15億円(構成比41%)、広告宣伝費が5億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの業績を見ると、直販部門と販社部門は利益を確保しているものの、BP社は営業損失を計上しています。全体として拠点減や集客減の影響を受けています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
直販部門 44億円 38億円 4億円 3億円 8.5%
販社部門 28億円 26億円 0.6億円 1億円 5.2%
BP社 37億円 42億円 -3億円 -2億円 -4.5%
連結(合計) 110億円 105億円 -5億円 -6億円 -5.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は本業での資金流出に加え、投資活動や財務活動でもキャッシュが減少しており、資金繰りに注意が必要な局面となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -9億円 -3億円
投資CF 0.7億円 -2億円
財務CF -1億円 -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-40.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も28.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「我々は信用を第一とし、情報の具現化によって、相互の利益を追求する」を掲げています。自らの意思で情報を具体的なビジネスへと形にし、今までにないマーケットを創出することを目指しています。また、存在意義を「人間へ BESS」、ビジョンを「劇的感動」と定め、「ユーザー・ハピネス」の実現を使命としています。

(2) 企業文化


同社は、文明偏重や合理性優先とバランスを取り、行き過ぎた感のある現代社会を日本的な価値観で再構築すること(バランシズム・イン・ビジネス)を目指しています。少数果敢、顧客のクライアント化、ソフト化による高付加価値の実現、ストレートシンキング、努力に報いる公平な配分という5つの経営基本方針を掲げ、文化や感性を重視した価値観をベースにビジネスを営む文化が特徴です。

(3) 経営計画・目標


連続営業損失という結果を厳粛に受け止め、既存事業の立て直しと新規事業の成長による早期黒字化を実現するため、新たな中期経営4ヵ年計画「Make Market 2030」を策定しています。2030年3月期(第45期)に連結営業利益10億円を目指すことを具体的な数値目標として掲げています。

- 営業利益10億円(2030年3月期)

(4) 成長戦略と重点施策


独自の暮らし提案を強みとするBESS事業において、大都市圏の直営拠点を中心に高価格帯・都市部市場を開拓し、収益性の改善を狙います。また、特約店制度の導入による新規拠点開拓や、リゾート・保育施設等の非住宅建築を提供する特建事業(BtoB事業)の拡大を進めます。旭化成ホームズとの提携による賃貸集合住宅分野での連携も推進し、新たな市場価値の創出を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


日本的価値観で社会を再構築できる人材の育成を重視しています。人間にしかない意思や感性を持ち、自ら道を拓く「創造者」の育成を目指し、コア社員の育成や専門・マネジメント人材の育成に投資を行っています。また、公正な評価を踏まえた質の高い採用と、能力の発揮度合いに基づく処遇を提供し、安心安全に働ける職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.9歳 9.8年 7,981,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 69.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 51.7%


※同社は対象となる従業員がいない等の理由により、一部項目において有報には本稿の該当する記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 輸入取引に関するリスク


住宅部材の一部を欧州から直接輸入しているため、ユーロ建て決済における為替変動リスクや、海上輸送への依存に伴う治安・情勢不安による運航リスク、原油高による輸送コスト上昇などの影響を受ける可能性があります。円安の長期化等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 設計及び施工不良によるリスク


ログハウス等の工事請負において、外注先を含めた品質管理の徹底を図っていますが、ルールの不徹底などにより設計や施工不良が発生し、重大なクレーム等が生じた場合には、グループの評判が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 労働環境及び労働災害リスク


勤怠管理や健康管理等の体制を整備していますが、不適切な管理により過重労働やハラスメントが発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求のリスクが生じます。また、建築工事等における重大な事故災害が発生した場合にも、補償や工事遅延により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報管理に関するリスク


個人情報や営業情報を共有・保有しており、セキュリティ対策を講じていますが、サイバー攻撃や不正アクセス、人的ミス、委託先における管理不備等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償責任や行政処分、信用低下を招く恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。