アールシーコア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アールシーコア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、自然派個性住宅「BESS」ブランドでログハウス等の企画・製造・販売を行う企業です。第40期の連結業績は、契約残高の減少等が響き売上高110億円(前期比9.5%減)と減収、経常損失3.8億円、当期純損失5.3億円となり、赤字決算となりました。


※本記事は、株式会社アールシーコア の有価証券報告書(第40期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アールシーコアってどんな会社?


「BESS」ブランドでログハウスをはじめとする自然派個性住宅の企画・開発・設計・販売を主軸とする企業です。

(1) 会社概要


1985年に設立され、翌1986年に個性的な住空間の創出を目指す「ビッグフット事業」を開始しました。2005年にJASDAQ証券取引所へ上場を果たし、2008年にはブランド名を現在の「BESS」に変更しています。2022年の東証市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、独自のライフスタイル提案型住宅事業を展開しています。

2025年3月31日現在、従業員数は連結217名、単体129名です。筆頭株主は同社創業者の二木浩三氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は同社取締役の谷秋子氏となっています。

氏名 持株比率
二木 浩三 18.03%
日本カストディ銀行(信託E口) 6.45%
谷 秋子 6.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.8%です。代表取締役社長は壽松木康晴氏が務めています。社外取締役比率は約42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
壽松木 康晴 代表取締役社長 新日本建物代表取締役社長、アキュラホーム(現AQ Group)専務取締役などを経て、2024年4月同社入社。同年6月より現職。
谷  秋子 取締役マーケティング本部長補佐 1985年同社設立時より参画。BI本部責任者、常務取締役技術本部長、社長室長などを歴任し、2024年4月より現職。
浦﨑 真人 取締役サポート・管理本部長 新日鐵化学(現日鉄ケミカル&マテリアル)を経て2000年入社。総務部長、常務取締役などを歴任し、2024年6月より現職。
加藤 晴久 取締役商品開発部長 大和ハウス工業を経て2016年入社。技術本部長、商品本部長などを歴任し、2024年4月より現職。


社外取締役は、後藤昇雄(元富士ゼロックス監査部門責任者)、北原規稚子(元資生堂ジャパン本部長)、吉田倫子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「直販部門」「販社部門」「BP社」の3つの報告セグメントを展開しています。

(1) 直販部門


東京・神奈川圏(代官山、多摩、藤沢)を拠点に、ログハウス等の新築工事請負を行っています。また、非住宅の建築工事請負、不動産の仲介・販売、タイムシェア別荘の販売・運営管理、メンテナンス・リフォーム工事なども手掛けています。

主にエンドユーザーからの工事請負代金や不動産販売収入、タイムシェア商品の販売代金等が収益源となります。運営は主にアールシーコアが行っています。なお、代官山の拠点「BESS MAGMA」は2025年3月まで営業し、その後閉鎖されました。

(2) 販社部門


日本国内におけるBESSの地区販社(フランチャイズ加盟店)に対して、ログハウス等の部材キットの販売やブランドライセンスの提供を行っています。

主な収益源は、全国の地区販社に対する部材キットの卸売代金やロイヤリティ収入です。運営はアールシーコアが担っており、全国のネットワークを通じてBESSブランドの展開を支援しています。

(3) BP社


連結子会社グループが担当するエリア(熊谷、つくば、富士、浜松、東愛知、糸島、熊本、札幌、岐阜)において、ログハウス等の新築工事請負を行っています。

収益源は、各拠点の担当エリアにおけるエンドユーザーからの住宅建築工事請負代金となります。運営は、BESSパートナーズ、BESS札幌、BESS岐阜の連結子会社3社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は減少傾向にあり、利益面では経常損失が続いています。当期は前期の黒字から再び最終赤字となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 158億円 163億円 139億円 121億円 110億円
経常利益 -3.6億円 -3.6億円 -8.9億円 -5.0億円 -3.8億円
利益率(%) -2.3% -2.2% -6.4% -4.2% -3.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -5.3億円 -4.4億円 -13.4億円 21.2億円 -5.3億円

(2) 損益計算書


売上高は減少し、営業段階での赤字が継続しています。売上総利益率は改善傾向にありますが、販管費の負担をカバーしきれていません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 121億円 110億円
売上総利益 33億円 31億円
売上総利益率(%) 27.0% 28.0%
営業利益 -5.0億円 -4.9億円
営業利益率(%) -4.1% -4.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び雑給が14億円(構成比38%)、広告宣伝費が5.1億円(同14%)を占めています。コスト削減に努めていますが、営業損失の計上が続いています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで減益または赤字拡大となりました。特にBP社は売上の減少に伴い赤字幅が拡大しています。直販部門は増益を確保しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
直販部門 42億円 45億円 3.4億円 4.1億円 9.2%
販社部門 53億円 44億円 0.9億円 0.6億円 1.3%
BP社 46億円 40億円 -2.0億円 -2.5億円 -6.3%
調整額 -21億円 -18億円 -7.2億円 -7.1億円 -
連結(合計) 121億円 110億円 -5.0億円 -4.9億円 -4.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の収益力が低下し、資産売却や資金繰りで対応している「事業検討型」の状況です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -2.7億円 -8.7億円
投資CF 57億円 0.7億円
財務CF -45億円 -1.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-19.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「我々は信用を第一とし、情報の具現化によって、相互の利益を追求する」を経営理念に掲げています。自らの意思で情報を具体的なビジネスの形にし、今までにないマーケットを創出することを目指しています。

(2) 企業文化


BESS事業においては、『「住む」より「楽しむ」』をブランドスローガンとし、ログハウスなど自然材を使った個性的な家の提供を通じて「ユーザー・ハピネス」の実現を目指しています。文明偏重や合理性優先とバランスを取り、感性を重視した日本的な価値観で社会を再構築する「バランシズム・イン・ビジネス」を標榜しています。

(3) 経営計画・目標


現在の経営状況を踏まえ、経営再建による営業利益の黒字化を最重要指標としています。また、成長性と収益性の観点から「BESS LOGWAY数」「新規来場件数」「契約(受注)高」、資本効率の観点から「ROE(自己資本当期純利益率)」および「DOE(純資産配当率)」を重要な経営指標と位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


創業40周年を迎え、BESS事業のブランド理念を再構築し、ミッションを「人間へBESS」、ビジョンを「劇的感動」としました。感性マーケティングを強化し、ファンづくりを推進します。具体的には、新商品「三角WONDER」のバリエーション追加や、新たな直販拠点「BESS木更津」のオープン、BtoB事業(特建事業)の拡大に注力します。

財務面では、2023年の資産売却により手元資金を確保し安定化を図っていますが、引き続き手元流動性資金の維持に努めます。また、地区販社とのパートナーシップによる小資本型事業のメリットを活かし、資本効率の向上を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、文明偏重な社会を日本的価値観で再構築することを目指し、自らの意思と感性を持つ「創造者」としての人材育成を重視しています。求める人物像を「コア社員」と定義し、信用される人柄とビジネスパーソンとしての逞しさを兼ね備えた人材の育成に取り組んでいます。入社時研修や専門スキル研修を通じて事業理解を深めるとともに、公正な評価と能力発揮に基づく処遇によりエンゲージメントを高めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.9歳 9.6年 7,689,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.5%
男女賃金差異(正規) 67.1%
男女賃金差異(非正規) 77.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 輸入取引に関するリスク


住宅部材の一部を北欧から直接輸入しているため、為替変動や海上輸送に関するリスクがあります。ユーロ建て決済に伴う円安の進行や、テロ・地域紛争等による海上輸送の遅延・コスト上昇が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 設計及び施工不良によるリスク


ログハウス等の工事請負において、仕様書や業務フロー等による品質管理を行っていますが、設計や施工の不良により重大なクレームが発生した場合、社会的信用の低下や補修費用の発生等により、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 労働環境及び労働災害リスク


勤怠管理や健康管理等の体制を整備していますが、過重労働やハラスメント等の問題が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求のリスクがあります。また、建築工事における労働災害が発生した場合も、信用の低下や工事遅延による損害等が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。