※本記事は、株式会社銀座ルノアール の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
銀座ルノアールは、喫茶店等の経営を主たる業務とする同社グループの中核企業です。同社グループは、首都圏を中心に103店舗の喫茶等事業を展開しています。
単体従業員数は150名、連結従業員数は151名です。セグメントは喫茶等事業の1つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
銀座ルノアールは、喫茶店事業を展開する企業です。同社グループの給与水準や働き方について、有価証券報告書から読み取れる情報を基に解説します。人材を重要な経営資源と位置づけ、従業員が長く安心して働ける環境づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、安定したキャリアを築ける環境が整っていると考えられます。平均年齢も40代前半であり、経験豊富な人材が多数活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,421,073円 |
| 平均勤続年数 | 13.0年 |
| 平均年齢 | 42.0歳 |
| 単体従業員数 | 150人 |
| 連結従業員数 | 151人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.3% |
同社グループは、退職給付制度として確定拠出年金制度と退職一時金制度を併用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は1.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、お客様にくつろぎとやすらぎを提供し、元気で明るい笑顔になっていただける空間を実現するため、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。既存店収益力の向上や新規出店の推進、経営システム改革による生産性向上を目指し、店舗マネジメントの高度化を不可欠とし、採用・育成・定着・多様性推進を一体化した人材戦略を推進しています。
給与は、市場水準との比較、生活基盤の安定、個人および組織の成果・貢献度、中長期的な企業価値向上への寄与のバランスを重視して決定され、月額の給与と業績指標に応じた年2回の賞与で構成されています。年2回の人事評価では、「業績目標達成度」「職務遂行能力」「行動特性(企業理念との適合度)」の3軸を中心に考課され、評価結果は昇給・賞与・昇格に反映されます。また、人事委員会での定期的な給与水準の見直しや、公平・公正で透明性を確保した柔軟な給与体系の導入も行われています。
人材育成においては、業界・経験を問わない中途採用や新卒採用を実施し、多様な人材が活躍する組織を目指しています。社内研修と現場のOJTによる理念教育、自己成長や自己実現の機会提供を通じて、機動的かつ柔軟な発想力を兼ね備えた人材の育成に注力しています。
社内環境整備では、ワークライフバランスの実現に向けた育児・介護の両立支援、能力主義を基本とした職位資格制度や人事考課制度の実施、コンプライアンス遵守やハラスメント対策のための内部通報窓口設置など、従業員が安心して長く働き続けられる環境づくりに取り組んでいます。ダイバーシティ&インクルージョンの推進として、女性管理職比率向上や中途採用比率拡大も進められています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 82.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち非正規雇用労働者) | 103.0% |
人材育成及び社内環境整備に係る指標及び目標
| 指標 | 目標(2029年3月期) | 実績(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.0% | 10.6% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社銀座ルノアールは、喫茶店等の経営を主たる業務とする同社グループの中核企業です。首都圏を中心に「喫茶室ルノアール」をはじめとする各ブランドの店舗を展開し、お客様に高品質な商品とホスピタリティあふれるサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、喫茶等事業の単一セグメントで事業を展開しています。主力ブランドである「喫茶室ルノアール」を中心に、首都圏での出店を加速し、地域拡大を図っています。
収益は主に飲料・食品の提供から得ており、雑貨の販売も行っています。店舗運営の効率化や経費削減にも継続的に取り組むことで、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
同社グループの事業は喫茶事業に依存する構造であり、市場環境や出店政策、仕入価格の変動、人材の採用・育成が経営に影響を与える要因となっています。店舗の収益性を重視した立地選定や、コーヒー豆を含む商品の仕入価格変動への対応、人材確保と育成が重要な課題であると同社グループは認識しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高が継続的に増加しています。経常利益は過去に損失を計上した期もありましたが、直近3期は黒字を維持し、増加傾向を示しています。
親会社株主に帰属する当期純利益は、直近3期連続で損失を計上していましたが、当連結会計年度において黒字に転換しました。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益には、減損損失が影響したと説明されています。営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、本業による資金創出力は堅調に推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 45.6億円 | 61.2億円 | 73.5億円 | 78.0億円 | 83.5億円 |
| 経常利益 | △45百万円 | △1.9億円 | 68百万円 | 1.3億円 | 2.5億円 |
| 経常利益率 | △1.0% | △3.1% | 0.9% | 1.6% | 3.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.5億円 | △2.9億円 | △59百万円 | △76百万円 | 1.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 56.87 | △48.05 | △9.68 | △12.52 | 26.19 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から改善しており、生産性が向上している傾向が見られます。
これらの指標の改善は、同社グループが人員配置の効率化や各種経費削減に継続して努めてきた結果であると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 51.3百万円 | 55.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.5百万円 | 1.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で安定した資金を生み出し、投資活動も賄えている状態を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で56.2%となっています。これはプライム市場の製造業平均46.8%、非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期で5.1%です。手元資金である現金及び預金は、当期末で18.6億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持している状況です。これらの財務状況は、事業の安定性を示す要素の一つとなります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 31.1億円 | 32.5億円 |
| 自己資本比率 | 51.9% | 56.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 5.1% |
| 現金及び預金 | 19.6億円 | 18.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは当期に5.4億円の収入となり、前期の3.0億円から増加しています。これは主に減価償却費と減損損失があったことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは当期に△2.1億円の支出となり、主に有形固定資産の取得によるものです。財務活動によるキャッシュフローは当期に△4.3億円の支出となり、短期借入金やリース債務の返済が主な要因です。結果として、事業活動で得た資金が投資を上回るフリーキャッシュフローは当期に3.3億円のプラスとなっています。この状況は、本業で安定的に資金を生み出し、事業の成長に必要な投資も賄えていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.0億円 | 5.4億円 |
| 投資CF | △3.2億円 | △2.1億円 |
| 財務CF | △3.0億円 | △4.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △0.3億円 | 3.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは売上高の大半を喫茶事業に依存しており、喫茶事業を取り巻く環境や競争激化が業績に影響を与える可能性があります。また、主要商品であるコーヒー豆の仕入価格は、相場や生産地の情勢、天候等の影響を受けて変動するため、価格高騰が業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、優れた人材の採用及び育成を最重要課題の一つとして認識しています。しかし、採用難による人手不足や計画通りの教育が行えない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
銀座ルノアールは、お客様にくつろぎと憩いの場を提供することを企業理念とし、ホスピタリティサービスの充実を追求する会社です。少数精鋭の管理体制のもと、社会貢献と人材教育を重視する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創業以来東京を中心に喫茶業を展開し、「くつろぎと憩いの場をより多くのお客様に提供する」ことを企業理念としています。今後、コミュニティプラザとしての社会的存在意義に応えるため、「喫茶室ルノアール」を中心としたブランドイメージの確立を目指しています。ホスピタリティサービスの充実をテーマに、直営店のみならずフランチャイズ方式による出店も考慮し、市場の変化に柔軟に対応しながら、お客様・取引先・投資家の信頼と期待に応える会社を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、迅速かつ正確な情報の把握と意思決定を最重要課題とし、少数精鋭による管理形態を重視しています。社会貢献、人材教育、適正利潤の追求の3つの経営理念を掲げ、お客様にくつろぎとやすらぎを感じていただけるホスピタリティサービスを提供することで社会貢献を目指しています。
意欲と能力を高め合える組織風土を醸成し、一人ひとりが当事者意識を持って自律的に行動できる人材の育成を推進しています。多様な人材が活躍できるよう、業界・経験を問わない中途採用や新卒採用を実施しています。従業員が安心とやりがいを感じながら長く働き続けられる環境の維持・改善にも努めており、ワークライフバランスの実現に向けた支援や能力主義に基づく人事制度、コンプライアンス遵守のための取り組みを行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、物価高騰や人材確保による給与水準の引き上げなど、各種コスト上昇が業績を圧迫する厳しい経営環境に直面しています。このような状況下で「銀座ルノアール」の価値観を認識してもらうため、お客様の視点に立った店舗づくりに力を入れています。
具体的には、お客様の満足度向上のための「ホスピタリティサービスの充実」や「商品開発」に取り組んでいます。また、新規出店や新規顧客獲得のための商圏拡大への取り組みも進めています。不採算店舗の見直し・撤退を徹底し、利益構造改革に取り組むとともに、人材の活性化を推進し、同社グループを担う人材教育にも力を入れています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
銀座ルノアールは、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能の強化と意思決定の迅速化を図り、持続的な企業価値の向上を目指しています。経営の健全性と透明性の確保に努める体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、有限会社オーギュストが筆頭株主であり、株式会社花見煎餅やキーコーヒー株式会社といった事業会社も上位株主として名を連ねています。特定の株主グループが上位に並ぶ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社オーギュスト | 21.79% |
| 花見煎餅 | 19.12% |
| キーコーヒー | 12.34% |
なお、「単元未満株式」の「株式数」の欄には、同社所有の自己株式26株が含まれています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長営業本部管掌は岡崎裕成氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 猪狩 安往 | 代表取締役会長 | 1972年5月 同社入社。2002年6月 取締役就任。2022年9月 代表取締役会長兼社長経営戦略室長。2024年6月 代表取締役会長より現職。 |
| 岡崎 裕成 | 代表取締役社長営業本部管掌 | 1989年10月 同社入社。2016年6月 取締役就任。2024年6月 代表取締役社長。2025年6月 代表取締役社長営業本部管掌より現職。 |
| 高野 好隆 | 取締役開発本部長 兼デザイン・メンテナンス部長 | 1989年1月 同社入社。2020年6月 取締役営業本部長。2025年6月 取締役開発本部長兼開発部長兼デザイン・メンテナンス部長。2026年3月 取締役開発本部長兼デザイン・メンテナンス部長より現職。 |
| 森田 正一 | 取締役管理本部長兼財務部長兼経営企画部長 | 1996年9月 同社入社。2022年6月 取締役管理本部長兼財務部長兼経営戦略室担当。2024年3月 取締役管理本部長兼財務部長兼経営企画部長より現職。 |
社外取締役は、小澤信宏氏(キーコーヒー取締役)、福田厚氏(キーコーヒー執行役員経営企画部長)、中谷ゆかり氏(弁護士・監査等委員)、荒剛史氏(アイオイ・システム常勤監査役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会による業務執行の監督と監査等委員会による監査を軸とした経営監視体制を構築しています。社外取締役を4名とすることで、実効性のある経営の監視監督に努め、経営の透明性、健全性の維持、確保を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、固定報酬、業績連動報酬、退職慰労金で構成されています。企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう、株主利益と連動した報酬体系を基本方針としています。監督機能を担う社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみを支払うこととしています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.0億円 | 25.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.3百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 6百万円 | 3.0百万円 |
なお、役員ごとの報酬等の総額につきましては、1億円以上を支給している役員はおりませんので、記載を省略しています。同社は、取締役の使用人兼務部分に対する報酬を支給していません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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