※本記事は、株式会社セキド の有価証券報告書(第63期、自 2024年3月21日 至 2025年3月20日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セキドってどんな会社?
セキドは、輸入ブランド品専門店「GINZA LoveLove」や韓国コスメ店「&choa!」の運営、および韓国コスメの卸売を行う企業です。
■(1) 会社概要
1963年に家電販売を行う関戸電機として設立され、1990年に店頭登録、2000年に東証二部へ上場しました。その後、家電事業から撤退しファッション事業へ集約、2012年には現在の主力事業の基盤を確立しました。近年は韓国コスメ「MEDIHEAL」の日本総代理店契約(現在は終了)を機に美容事業を拡大し、2022年に東証スタンダード市場へ移行しました。
同社の従業員数は57名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社である有限会社関戸興産で、第2位は投資ファンドのEVO FUNDです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社関戸興産 | 14.72% |
| EVO FUND | 9.81% |
| 関戸 正実 | 9.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は関戸正実氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 関戸 正実 | 代表取締役社長 | 1993年入社。常務、副社長を経て2000年社長就任。2011年会⻑兼CEOを経て2012年より現職。 |
| 弓削 英昭 | 取取締役執行役員管理部長 | 1988年入社。総務部長、執行役員総務部長を経て2009年より現職。 |
社外取締役は、小手川大助(元財務省関東財務局長・IMF日本政府代表理事)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ファッション」、「美容」、「賃貸部門」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ファッション事業
輸入ブランド品のバッグ、時計、宝飾品などを扱う専門店「GINZA LoveLove」と、韓国コスメのセレクトショップ「&choa!」を運営しています。店舗販売に加え、自社サイトやモールでのインターネット通販も展開しており、一般消費者を顧客としています。
収益は、店舗およびECサイトでの商品販売代金です。運営は主にセキドが行っています。
■(2) 美容事業
韓国コスメブランドの日本総代理店として、国内のバラエティショップやドラッグストア等の小売法人向けに卸売を行っています。また、公式ECサイトを通じた一般消費者への直接販売も展開しています。
収益は、小売店への卸売販売代金および消費者からの商品販売代金です。運営はセキドが行っています。
■(3) 賃貸部門
同社が保有する不動産(旧店舗跡地や駐車場用地など)を有効活用し、外部テナントへ賃貸しています。
収益は、賃借人からの賃貸料収入です。運営はセキドが行っています。
■(4) その他
外商部門として、主に法人向けに空調設備や照明機器設備の施設工事を行っているほか、個人向けリフォーム工事なども手掛けています。
収益は、顧客からの工事代金や商品販売代金です。運営はセキドが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。なお、第63期より連結財務諸表を作成していないため、以下の数値は提出会社(単体)のデータに基づきます。
■(1) 業績推移
直近5期間の推移を見ると、売上高は70億円から80億円前後で推移していましたが、当期は前期比で減収となりました。利益面では、黒字と赤字を繰り返しており不安定な状況です。特に当期は、主力の美容事業での契約終了や減損損失の計上により、営業段階から赤字に転落し、大幅な最終赤字を計上しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 68億円 | 74億円 | 42億円 | 85億円 | 75億円 |
| 経常利益 | 1.3億円 | 1.4億円 | -0.7億円 | 1.3億円 | -3.3億円 |
| 利益率(%) | 1.9% | 2.0% | -1.7% | 1.5% | -4.4% |
| 当期純利益 | 1.2億円 | 4.2億円 | -1.1億円 | 0.4億円 | -5.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で約10億円減少し、売上総利益も減少しました。売上高の減少に加え、円安等の影響による原価率の上昇が利益を圧迫しています。販管費は抑制傾向にあるものの、売上総利益の減少をカバーできず、営業損失を計上しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 85億円 | 75億円 |
| 売上総利益 | 28億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.6% | 30.1% |
| 営業利益 | 1.5億円 | -2.8億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | -3.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.4億円(構成比21%)、地代家賃が4.0億円(同16%)、荷造及び発送費が3.8億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
ファッション事業は横ばいでしたが、美容事業は主力ブランドの契約終了が響き減収となりました。利益面では、ファッション事業がコスト増等により損失を計上した一方、美容事業は黒字を確保しましたが、全社費用を補うには至りませんでした。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ファッション | 41億円 | 41億円 | -0.6億円 | -0.0億円 | -0.0% |
| 美容 | 41億円 | 32億円 | 4億円 | 1.0億円 | 3.1% |
| 賃貸部門 | 0.4億円 | 0.4億円 | 0.3億円 | 0.3億円 | 86.6% |
| その他 | 2億円 | 2億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | 5.8% |
| 調整額 | - | - | -3億円 | -5億円 | - |
| 連結(合計) | 85億円 | 75億円 | 1.3億円 | -3.3億円 | -4.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**パターン:勝負型**
本業の収益力が低下し営業CFがマイナスとなる中、将来の成長や事業維持のために借入金等による資金調達を行い、店舗設備等への投資を継続している状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | - | -1.1億円 |
| 投資CF | - | -1.4億円 |
| 財務CF | - | 3.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-107.9%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は4.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「お客様に尽くす」「社員に尽くす」「お取引先に尽くす」を理念として掲げています。すべての経営活動は店頭を出発点とし終結点とする姿勢を重視し、顧客一人ひとりに商品を販売しサービスを提供することを営業の基本単位と位置づけています。
■(2) 企業文化
「高い目標に挑戦」「ウソをつかない」「店頭第一主義」を経営の基本方針としています。従業員一人ひとりが自らの進歩を求め、店舗が地域ナンバーワンに挑戦することを推奨しています。また、顧客に対して嘘をつかず約束を守ることを信条とし、誇りを持って業務に取り組む風土があります。
■(3) 経営計画・目標
2025年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上高経常利益率4.0%を目標としていましたが、主力事業の環境変化等により未達となりました。今後は、2026年3月期以降の回復を目指し、中期的には改めて売上高経常利益率4.0%の達成を目指す方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
主力のファッション事業と美容事業の強化を最優先課題としています。ファッション事業では、AI顧客解析システムの活用や越境ECの導入によりリピート率向上と販路拡大を図ります。美容事業では、新たな韓国コスメブランド(KAHI、athé、MEDIPEEL)の展開やPB商品の開発により、収益性の向上とシェア拡大を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人権の尊重を前提に、働き方改革の推進や適正処遇のための人事考課の導入を進めています。多様性を尊重し、性別や国籍にかかわらず積極的な採用と登用を行っており、特に外国人スタッフに対しては特定の研修や学習機会を提供するなど、受け入れ環境の整備に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.2歳 | 13.1年 | 4,053,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は従業員規模が100名以下のため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営成績の季節変動リスク
同社の売上高は、クリスマスや年末年始商戦が含まれる下半期(10月~3月)、特に12月と1月に偏重する傾向があります。この時期の商戦結果や天候、消費動向などが、通期の業績に重要な影響を与える可能性があります。
■(2) 為替変動リスク
商品の総仕入額のうち約37%を海外からの直接仕入が占めています。そのため、為替相場の変動が仕入価格に直接影響し、急激な円安等が進行した場合には、利益率の低下や業績悪化につながる可能性があります。
■(3) 店舗資産の減損リスク
同社は多数の直営店舗を運営しており、店舗設備等の固定資産を保有しています。店舗の収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合、減損損失の計上が必要となり、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 国際情勢の影響
ウクライナ情勢や中東紛争などの地政学的リスク、およびそれに伴う物価上昇や関税引き上げなどの影響を受ける可能性があります。消費者の購買意欲の減退や物流の混乱などが生じた場合、事業活動に支障をきたす恐れがあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。