※本記事は、株式会社マキヤの有価証券報告書(第74期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. マキヤってどんな会社?
総合ディスカウント店や食品スーパーなどの多店舗展開を主力とする企業です。
■(1) 会社概要
1895年6月に金物店として創業し、1972年6月にマキヤを設立しました。1990年に総合ディスカウント店の新業態「エスポット」を開店し、その後も「ハードオフ」や「業務スーパー」の展開を開始するなど店舗網を拡大しました。2024年にはユージュアルなどを子会社化してEC事業の強化を図り、多角的な小売業としての基盤を築いています。
従業員数は連結で503名、単体で436名です。筆頭株主は資産管理業務などを行うマキリで、第2位はマキヤ取引先持株会です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| マキリ | 43.40% |
| マキヤ取引先持株会 | 7.40% |
| 公益財団法人マキヤ奨学会 | 7.00% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長執行役員兼営業本部長は早川紀行氏で、社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川原﨑 康雄 | 代表取締役会長 | 1990年マキヤ入社。同社取締役、常務取締役社長室長、代表取締役社長などを経て2022年4月より現職。 |
| 早川 紀行 | 代表取締役社長執行役員兼営業本部長 | ダイクマ等を経て2009年マキヤ入社。同社NF商品部長、取締役執行役員営業本部長などを歴任し、2022年4月より現職。 |
| 竹島 剛 | 専務取締役執行役員管理本部長兼経理財務部長 | 飯田昭夫税理士事務所等を経て2010年マキヤ入社。同社経理部長、常務取締役等を経て2024年6月より現職。 |
| 篠原 忠夫 | 取締役執行役員企画開発部長 | 1993年マキヤ入社。同社営業企画部長、執行役員販促・企画統括部長などを歴任し、2023年10月より現職。 |
| 佐藤 学 | 取締役執行役員人事部長兼総務部長 | マックスバリュ東海等を経て2008年マキヤ入社。同社エスポット各店店長、人事部長等を経て2021年6月より現職。 |
| 鈴木 慎司 | 取締役執行役員FD商品統括部長兼生鮮・日配商品部長 | 2004年マキヤ入社。同社エスポット各店店長、生鮮商品部長、執行役員等を経て2025年6月より現職。 |
社外取締役は、阪口裕司(元壱番屋専務取締役)、戸野谷宏(元静岡ガス代表取締役会長)、向眞生(公認会計士)、志方和歌子(税理士)、竹川英辰(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売業」「不動産賃貸事業」「EC事業」の報告セグメントを展開しています。
■小売業
生鮮食品、加工食品、生活雑貨、家電製品などを販売する総合ディスカウント店「エスポット」、食品スーパー、業務用食料品販売店「業務スーパー」、リユースショップ「ハードオフ」、100円均一ショップなどの多業態の店舗運営を行っています。
一般消費者からの商品販売代金を主な収益源としています。店舗運営は主に親会社であるマキヤが担い、惣菜や弁当の製造販売、グループ内物流などは子会社のMK・サービスが行っています。
■不動産賃貸事業
所有する不動産などの賃貸を行っています。
商業施設へのテナント誘致などにより、不動産の賃借人から受け取る賃貸料を主な収益源としています。事業の運営はマキヤが担っています。
■EC事業
インターネットモール等を通じて、総合小売や自社企画商品の販売を行っています。
ネットモール等の利用者からの商品販売代金を主な収益源としています。事業はマキヤのほか、子会社のユージュアル、PEAKS&TREESなどが展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上収益(営業収益)はEC事業の成長や新店舗の貢献により継続的な増収傾向にあります。一方で、直近では人件費等のコスト上昇などの影響により、利益率は微減傾向で推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 692.0億円 | 715.8億円 | 773.3億円 | 894.5億円 | 936.7億円 |
| 経常利益 | 18.2億円 | 18.1億円 | 24.0億円 | 23.7億円 | 23.7億円 |
| 利益率(%) | 2.6% | 2.5% | 3.1% | 2.6% | 2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 13.3億円 | 11.9億円 | 14.5億円 | 15.0億円 | 14.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しているものの、賃上げによる人件費の増加や新規出店・改装に伴う一時経費の増加により、営業利益額および営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 894.5億円 | 936.7億円 |
| 売上総利益 | 210.9億円 | 216.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.6% | 23.1% |
| 営業利益 | 22.7億円 | 21.3億円 |
| 営業利益率(%) | 2.5% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が57.8億円(構成比28.8%)、広告宣伝費が29.5億円(同14.7%)、不動産賃借料が20.6億円(同10.2%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の小売業は食品部門を中心に好調で増収となりましたが、コスト増により減益となりました。EC事業は売上が伸長したものの、営業損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小売業 | 819.4億円 | 855.4億円 | 27.1億円 | 25.2億円 | 2.9% |
| 不動産賃貸事業 | 4.1億円 | 4.1億円 | 1.5億円 | 1.6億円 | 39.0% |
| EC事業 | 71.0億円 | 77.3億円 | -1.2億円 | -1.2億円 | -1.6% |
| 連結(合計) | 894.5億円 | 936.7億円 | 22.7億円 | 21.3億円 | 2.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 31.0億円 | 30.3億円 |
| 投資CF | -13.7億円 | -25.5億円 |
| 財務CF | -12.3億円 | -16.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
お客様の「毎日の生活」をより豊かに、楽しく、健康で快適にする「より良い商品」を、「安心の価格」と「温かいサービス」で提供し、社会に貢献する「働き易い、高収益企業」になることを経営理念として掲げています。
■(2) 企業文化
「地域の持続性がマキヤの持続性」であるとの認識に立ち、「マキヤサステナビリティ基本方針」を定めています。経済的価値の創出とともに地域環境改善における社会的責任の実現を目指し、「ゼロ廃棄社会への挑戦者」「地域の暮らしと共鳴」「働くが誇れる学び続ける組織」を行動方針としています。
■(3) 経営計画・目標
資本効率の向上と持続的な成長による企業価値の向上を図るため、資本効率に視点を置いた経営指標を重視しています。「中期経営取組施策」において、以下の数値を目標としています。
* 売上高: 1,000億円
* 経常利益率: 4%
* ROE(自己資本利益率): 10%以上
* 配当性向: 25%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
収益性と資本効率の拡大に向け、ノンフード部門の品揃え再構築やEC事業とのシナジーによる販路拡大、「ダイソー」部門の増床・販売拡大などを推進します。また、エブリディロープライス(EDLP)の徹底と自社・ローカルブランドの販売強化により利益率の改善を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
地域密着型ディスカウント小売業として、人材を将来の収益創出の源泉と位置づけています。パートタイマーの多能工化とデジタル技術の活用による省人化・業務効率化を推進する一方、正社員についてはマネジメント能力の向上を図り、店舗の収益責任を担う次世代の経営人材育成を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.6歳 | 15.7年 | 5,449,803円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.5% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 78.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 96.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店に関する規制等のリスク
売場面積が一定規模を超える新規出店および既存店舗の増床については、「大規模小売店舗立地法」の規制を受けます。この規制などにより、新規出店に多くの時間と費用が必要となる場合や、計画通りの出店ができない場合には、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 情報システムの障害とセキュリティのリスク
事業活動において情報システムの役割は極めて重要ですが、自然災害、事故、サイバー攻撃などによりシステム障害が発生するリスクがあります。また、営業情報や個人情報などの漏洩が生じた場合、対応費用の発生や企業の信頼低下により、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 競合店の出店による競争激化のリスク
同社グループの店舗周辺に他社の競合店舗が出店し、競争が激化することによる売上・利益低下のリスクがあります。競合による影響を最小限に留める対策を実施していますが、競合店舗の出店数や規模が想定を超える場合は、店舗の撤退を余儀なくされる可能性もあります。
■(4) フランチャイズ契約等に関するリスク
「ハードオフ」や「業務スーパー」、「ダイソー」などの店舗展開において、本部とフランチャイズ契約等を締結しています。契約の解除条項に該当する事態が生じた場合や、フランチャイズ本部の経営方針・経営状況の悪化により来店客数が減少した場合などに、業績へ悪影響を及ぼすリスクがあります。



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