Genki Global Dining Concepts 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Genki Global Dining Concepts 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Genki Global Dining Conceptsは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、国内での「魚べい」等の直営展開や海外へのフランチャイズなどのレストラン事業、および水産物の加工・販売等を展開しています。直近の業績は、売上高が737億円、当期利益が30億円と増収減益の傾向となっています。


※本記事は、株式会社Genki Global Dining Conceptsの有価証券報告書(第47期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. Genki Global Dining Conceptsってどんな会社?


同社グループは、国内外での寿司レストラン事業と水産物等の調達・加工販売を展開する企業です。

(1) 会社概要


1979年に元禄商事として設立され、1990年に元気寿司へ商号変更し新商標での営業を開始しました。1991年に株式を店頭登録し、2015年に神明ホールディングスの子会社となりました。2024年に現在のGenki Global Dining Conceptsへ商号変更し、2025年にはゴダックなどを子会社化して事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で691名、単体で604名です。筆頭株主は事業会社の神明ホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は同社の取引先持株会となっています。

氏名 持株比率
神明ホールディングス 40.77%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.54%
Genki Global Dining Concepts取引先持株会 2.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長執行役員は藤尾益造氏が務めています。取締役7名中3名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
藤尾益造 代表取締役社長執行役員 2007年神明(現神明ホールディングス)取締役などを経て、2025年4月より現職。
藤尾益雄 取締役会長 2007年神明(現神明ホールディングス)代表取締役社長などを経て、2024年6月より現職。
西谷賢亮 取締役専務執行役員 1995年神明(現神明ホールディングス)入社。ゴダック代表取締役社長などを経て、2025年6月より現職。
櫻井宏樹 取締役常務執行役員 2014年財務省近畿財務局金融証券検査官などを経て、2026年4月より現職。


社外取締役は、岩谷博紀(岩谷・村本・山口法律事務所パートナー弁護士)、柄澤彰(元農林水産省政策統括官)、小高真智子(Cardea Holdings Limited代表)の3名です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内事業」「グローバル事業」および「その他」事業を展開しています。

国内事業


寿司をはじめとするレストランの展開を行っており、主力の「魚べい」業態や「大阪焼肉 うま勝」などを出店し、居心地の良い空間を提供しています。
収益は店舗における顧客からの飲食代金などから得ており、事業の運営は主に同社が行っています。

グローバル事業


海外におけるフランチャイズ展開および米国での直営レストランの展開を行っており、現地のニーズに応えた店舗運営を進めています。
収益は、米国店舗での飲食代金のほか、フランチャイジーに対する食材等の販売代金やロイヤリティ収入から構成されます。運営は同社および子会社のGENKI SUSHI USA,INC.が行っています。

その他


水産物の加工・販売、並びに水産物を中心とした食品の製造・販売事業のほか、新たに開始した養殖事業を展開しています。
収益は自社加工製品や水産物の仕入販売などから得ており、事業の運営は子会社のゴダックおよび神戸まるかんが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、店舗網の拡大や販売価格の適正化等により売上高は一貫して増加傾向にあります。一方で利益面は、食材価格やエネルギーコスト、人件費の高騰などの影響を受け、直近期において減益に転じています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 446億円 546億円 618億円 675億円 737億円
経常利益 2億円 18億円 51億円 69億円 52億円
利益率(%) 0.5% 3.2% 8.2% 10.3% 7.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 10億円 33億円 50億円 35億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で増加したものの、米価を中心とした原材料価格の高騰や最低賃金の上昇による人件費増加が響き、売上総利益率および営業利益率ともに低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 675億円 737億円
売上総利益 402億円 404億円
売上総利益率(%) 59.6% 54.8%
営業利益 68億円 48億円
営業利益率(%) 10.1% 6.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が181億円(構成比51%)、賃借料が39億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


国内事業は客数及び客単価の上昇により増収となりました。グローバル事業も海外子会社の業績が堅調に推移し増収を達成しています。当期からは新たな事業基盤として「その他」セグメントが加わりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
国内事業 586億円 611億円
グローバル事業 89億円 91億円
その他 - 36億円
連結(合計) 675億円 737億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 68億円 47億円
投資CF -18億円 -45億円
財務CF -36億円 162億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私たちは、まごころ込めた一皿で、豊かで楽しい時間(ひととき)を提供し、世界中を"元気"にします」を企業理念に掲げています。寿司をはじめとする食の提供を通じて居心地の良い空間を提供し、世界の人々の心と身体の健康への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


日本の食の素晴らしさを世界に広めることを使命とし、食産業の活性化と食文化の継承に取り組んでいます。自然の恵みと自らの強みを活かしてステークホルダーと共に新たな価値を創造し続け、社会の絆を深め、人々のウェルビーイングを育むことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画として、以下の2029年3月期の数値目標を掲げています。

* 売上高:1,274億円
* 営業利益:75億円
* 総店舗数:820店

(4) 成長戦略と重点施策


「川上戦略を起点とした持続的成長モデル」をビジョンに掲げ、国内外へ戦略的な展開を実施しています。国内では主力業態の出店加速、グローバルではフランチャイズ網の強化や新業態開発を進めるとともに、グループ内での原材料調達力を強化するための養殖事業等も本格的に展開します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「おいしさ」を組織能力として再現・拡張できる状態を実現することを基本コンセプトとしています。店舗運営だけでなく、商品開発や調達、海外事業などを支えるバリューチェーン全体の人材ポートフォリオへの転換を進め、従業員エンゲージメントの向上やサクセッションプランの実装に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.5歳 11.0年 5,816,155円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 63.6%
男女賃金差異(全労働者) 80.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 76.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 111.2%


また、同社はサステナビリティのセクション等において、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性正社員比率(23.2%)、フレンド社員(障害者)雇用率(2.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況および食材等の市況変動

国内および海外の景気動向や政治経済状況、並びに天候等の影響による魚介類や農産物の収穫量低下、為替相場の変動により、原材料の仕入価格の上昇や不足が生じる可能性があります。

(2) 外食産業における競争激化

外食産業は市場が飽和・成熟段階にあり、顧客ニーズの多様化に応えるための企業間競争が一層激しくなっています。競争状況の変化によっては、集客や収益の確保に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保および育成

生産年齢人口の減少や最低賃金の上昇、採用競争の激化により、必要な人材の確保や教育体制の整備が計画通りに進まない場合、店舗の営業時間短縮や臨時休業等を余儀なくされる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。