ツツミ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社ツツミの有価証券報告書(第53期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ツツミってどんな会社?
同社は宝飾品の製造・販売・卸売を一貫して手掛け、全国のショッピングセンター等に直営店を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1973年に埼玉県蕨市で堤貴金属工芸として設立され、宝飾品の製造を開始しました。同年11月に小売事業、1975年に卸売事業を開始し、1988年に現在のツツミへと商号を変更しました。1991年に株式を店頭登録し、1996年には東京証券取引所市場第一部銘柄に指定されています。
現在の従業員数は単体で889名です。筆頭株主は創業者一族とみられる堤倭子氏で、第2位は互夕希子氏、第3位は石花千花氏となっており、個人株主が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 堤 倭子 | 51.21% |
| 互 夕希子 | 9.84% |
| 石花 千花 | 9.73% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は互智司氏が務めており、社外取締役の比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 互 智司 | 代表取締役社長 | 2005年三井住友銀行を退社後、同社に入社。管理本部長や営業本部長等を歴任し、2011年6月より現職。 |
| 岡野 勝美 | 取締役商品本部長 | 1981年同社に入社。店舗運営本部第二運営部長等を経て、2007年4月より現職。 |
| 渡邉 新一郎 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年同社に入社。製造部長や参与を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、柿沼佑一氏(元最高裁判所司法研修所入所・現髙篠・柿沼法律事務所パートナー)、上村敦氏(元税理士法人朝日会計社入社・現同法人社員)です。
2. 事業内容
同社は「宝飾品の製造とその販売」の単一セグメントで事業を展開しています。
■宝飾品の製造・販売
ネックレスやブレスレット、指輪などの宝飾品を企画・製造し、全国のショッピングセンター等に出店する直営店での小売販売や、得意先への卸売を行っています。多様化する顧客のニーズに対応するため、品質やデザインにこだわったジュエリーを幅広く提案しています。
主な収益源は、直営店にご来店されたお客様への宝飾品の販売代金や、卸売先からの販売代金です。事業の運営は同社が主体となって行っており、製造部門の一部については非連結子会社である大分ツツミ貴金属に委託加工を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は165億円から352億円へと右肩上がりで拡大しています。利益面についても、経常利益が12億円から54億円へと大幅に伸長し、利益率も7.2%から15.3%へと大きく改善しており、継続的な増収増益のトレンドが確認できます。
| 項目 | 第49期 | 第50期 | 第51期 | 第52期 | 第53期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 165億円 | 181億円 | 199億円 | 248億円 | 352億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 15億円 | 17億円 | 25億円 | 54億円 |
| 利益率(%) | 7.2% | 8.3% | 8.7% | 10.1% | 15.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 9億円 | 12億円 | 20億円 | 37億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大していますが、売上総利益率は45.8%から43.4%へとやや低下しています。一方で、増収効果により販管費の負担率が下がり、営業利益は24億円から52億円へ倍増し、営業利益率も大きく向上しています。
| 項目 | 第52期 | 第53期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 248億円 | 352億円 |
| 売上総利益 | 114億円 | 153億円 |
| 売上総利益率(%) | 45.8% | 43.4% |
| 営業利益 | 24億円 | 52億円 |
| 営業利益率(%) | 9.7% | 14.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与が33億円(構成比33%)、賃借料が26億円(同26%)、販売諸費・手数料が15億円(同15%)を占めています。売上原価は、当期製品製造原価が大きな割合を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は宝飾品の製造とその販売の単一セグメントであるため、全社の売上高を記載しています。地金相場の高騰などの影響を受けつつも、来店客数や販売数量が増加したことで売上を大きく伸ばしました。
| 区分 | 売上(第52期) | 売上(第53期) |
|---|---|---|
| 宝飾品の製造・販売 | 248億円 | 352億円 |
| 全社(合計) | 248億円 | 352億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で十分なキャッシュを創出し、その資金で設備投資(店舗リニューアル等)や借入返済・配当等の財務活動を賄っている健全な財務状態(健全型)です。
| 項目 | 第52期 | 第53期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -13億円 | 6億円 |
| 投資CF | -5億円 | -6億円 |
| 財務CF | -11億円 | -14億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は95.1%で市場平均を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「常に技術の向上を目指し、お客様に美と夢と満足を提供する」という社是を掲げています。ジュエリー等の企画・開発から原材料の買い付け、製造、販売までの各過程において技術力を向上させ、顧客の多様なニーズに応えることを使命としています。
■(2) 企業文化
従業員の働き方や多様性を踏まえた柔軟な労働環境の整備に努め、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指す「働きやすい環境の整備」を重視しています。また、意見を自由に交換しあえる「風通しのよい」職場環境の維持を企業文化として根付かせようとしています。
■(3) 経営計画・目標
お客様に美と夢と満足を提供することにより、会社の持続的な成長を果たし、中長期的な企業価値の向上を達成することを経営目標としています。具体的な経営指標としては、収益力を示す以下の拡大を目指しています。
・営業利益
・営業キャッシュ・フロー
■(4) 成長戦略と重点施策
顧客の多様な選別化や企業間競争の激化に対応するため、品質、デザイン、コンセプトにこだわった新商品の企画・開発を進めています。また、既存店舗のリニューアルを積極的に実施し、営業力や集客力の強化に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「お客様に美と夢と満足を提供する」という社是を実現するため、各業務における技術を常に向上させることを人材戦略の基本方針としています。新入社員研修や在籍年数に合わせた研修、新任店長研修などの教育体制を整備し、必要な知識・技能を学ぶ場を提供しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 第53期 | 39.0歳 | 9.8年 | 4,413,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.0% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 57.5% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める外国籍の従業員割合(0.2%)、本社部門の管理職に占める中途採用者割合(20.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格の変動について
主原材料である金やプラチナ等の貴金属、宝石は国際市況製品であるため、流通価格や為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。これに対し、適正な在庫水準の維持や価格変動に対応した商品の企画・開発に努めています。
■(2) 店舗展開について
ショッピングセンター等へ賃貸借契約にて出店しているため、出店先の経営環境の変化により、売掛債権や営業保証金・敷金などが未返還となるリスクがあります。市場調査等を通じて慎重な店舗展開を進めています。
■(3) 個人情報の管理について
接客向上を目的として個人情報を保有しており、情報漏洩が発生した場合には法的・社会的な責任が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。社員への教育研修やシステムの構築を通じて、管理体制の維持・強化を図っています。



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