※本記事は、アビックス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アビックスグループは、LED表示機を開発・販売するファブレスメーカーです。店舗向け表示機のコンテンツ作成・発信・ネットワーク化により、従来の看板やネオンサインとは異なる、全く新しい効果的な販促手段を提供しています。
単体従業員数は65名、連結従業員数は65名です。セグメントはデジタルサイネージ関連事業、Value creating事業の2つです。
主な国内グループ会社は、デジタルプロモーション(Valuecreating事業)、SS Lab.(デジタルサイネージ関連事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アビックスは、映像表示機をハードウェアとサービス一体で提供する事業を展開しており、この分野での専門性と技術力を重視する企業文化が、従業員の働き方やキャリア形成にも影響を与えていると考えられます。同社グループでは、個々の能力を最大限に引き出し、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しているようです。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アビックスでは、従業員の平均年齢と平均勤続年数から、比較的安定した人材構成とキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。特定の年齢層に偏ることなく、幅広い世代の従業員が活躍している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,935,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.21年 |
| 平均年齢 | 40.59歳 |
| 単体従業員数 | 65人 |
| 連結従業員数 | 65人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
アビックスは、確定拠出型の退職給付制度を採用しています。これは、会社が拠出した資金を従業員が自ら運用し、将来の給付額が運用実績によって変動する制度です。この制度は国内のグループ会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
アビックスグループは、「価値創造企業」を企業理念に掲げ、映像表示機事業においてハードウェアとサービスを一体化したシステム提供を競争優位の源泉としています。この事業特性から、技術開発、コンテンツ企画・制作、システム開発・運用、そして提案営業から保守までを担う多様な人材の確保と育成を人材戦略の基本方針としています。新卒採用に加え、即戦力となる中途採用も積極的に行い、各職位・グレードに応じた専門知識の習得研修や、従業員一人ひとりの自発的なキャリア構築支援を通じて、活力ある組織の構築を目指しています。
従業員の給与は、月例の固定給、諸手当、賞与で構成されています。月例給与は役位、担当業務、職務遂行能力、経歴を総合的に勘案して決定され、賞与は会社の業績と個人の評価結果に基づいて決まります。また、組織に不足するスキルや専門性の獲得を促すため、資格取得などの成果を報酬に反映できる人事制度を構築しています。
同社グループは、人材育成において「全社員成長」をキーワードに、スキルを持つ人材であっても継続的な育成に取り組んでいます。社内環境整備では、専門性や経験、感性、価値観といった多様な知と経験を取り込むダイバーシティを推進し、性別や年齢に関わらず活躍できる環境づくりを進めています。具体的には、部長やグループリーダーによるマネジメント方針の共有、キャリア採用のモニタリング、定期的な1on1による従業員エンゲージメントレベルの把握、エンゲージメントレベルに応じたストレッチアサインメント、健康経営への投資、リモートワークへの対応などを実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性・登用
アビックスグループでは、人材の多様性確保と育成に関する方針に基づき、提出会社を対象とした指標を設定しています。2026年3月期末時点では目標達成に至りませんでしたが、翌4月より女性管理職1名が就任し、現時点の比率は約7.7%(管理職13名中1名)となっています。引き続き2029年3月期末までに15%を目指す方針です。
| 指標 | 目標 | 実績(当事業年度) |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2029年3月までに15% | 0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アビックスは、LED表示機を開発・販売するファブレスメーカーとして、デジタルサイネージ関連事業とValue creating事業を展開しています。従来の看板やネオンサインとは異なる、効果的な販促手段を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、LED表示機を開発・販売するファブレスメーカーであり、店舗に設置された表示機向けのコンテンツ作成と発信、ネットワーク化を通じて、新しい販促手段を提供しています。事業は主にデジタルサイネージ関連事業とValue creating事業の二つに分かれています。デジタルサイネージ関連事業は同社グループの主要な収益源であり、Value creating事業も前期から大きく拡大しています。本邦以外の外部顧客への売上高はないため、国内事業が中心です。
デジタルサイネージ関連事業
デジタルサイネージのリース・販売、販売促進を中心とした運営、メンテナンスといった、デジタルサイネージに関するサービス全般を行う事業です。収益は、デジタルサイネージのリースや月額利用料のサブスクリプションサービス、映像配信サービス、メンテナンス、デジタルサイネージの製造・販売から得ています。運営は、アビックス、SS Lab.、エクスポルトが行っています。
Value creating事業
地域での企業のPR、ファン作り、集客からブランディング、また地方自治体の魅力あるコンテンツ開発など、地域に係るエリアファンマーケティングを行っています。収益は、サブスクリプションモデルを中心に売上を拡大しています。運営は、デジタルプロモーションが行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| デジタルサイネージ関連 | 41.7億円 | 51.5億円 |
| Value creating | 1.8億円 | 2.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は過去5年間で着実に増加傾向にあります。直近の期では売上高が大きく伸びましたが、営業利益と経常利益は戦略的な先行投資により減少しました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は増加しています。
過去には損失を計上した期もありましたが、近年は安定して利益を確保しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18.0億円 | 33.3億円 | 37.3億円 | 43.5億円 | 54.1億円 |
| 経常利益 | △63百万円 | 11百万円 | 1.0億円 | 2.4億円 | 2.3億円 |
| 経常利益率 | △3.5% | 0.3% | 2.8% | 5.6% | 4.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △73百万円 | △8百万円 | 80百万円 | 1.8億円 | 2.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △2.49 | △0.22 | 2.29 | 5.17 | 6.64 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しています。これは、事業拡大に伴う人員増強などの戦略的な先行投資が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 75.0百万円 | 83.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.6百万円 | 3.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アビックスは、財務基盤の強化と事業拡大のための投資を進めています。本業で安定した資金を創出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、当期で53.3%、前期で54.5%となっています。これは、プライム市場に上場する企業の平均(製造業46.8%、非製造業24.2%)と比較して高い水準を維持していることを示しています。
また、ROE(自己資本利益率)は当期で12.6%、前期で11.1%と推移しています。プライム市場平均の9.4%を上回る水準であり、効率的な経営が行われている状況です。手元資金を示す現金及び預金は、当期で11.3億円、前期で6.6億円と増加しており、不測の事態への耐性も高まっていることがうかがえます。これらの状況は、同社グループの財務基盤が安定していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 17.4億円 | 19.8億円 |
| 自己資本比率 | 54.5% | 53.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.1% | 12.6% |
| 現金及び預金 | 6.6億円 | 11.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当期の営業活動によるキャッシュフローは4.0億円の収入となっており、本業で着実に資金を創出している状況です。これは、税金等調整前当期純利益の計上や、のれん償却額などによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△0.8億円の支出となっており、有形固定資産の取得による支出など、事業拡大に向けた投資が行われています。財務活動によるキャッシュフローは1.5億円の収入となっており、短期借入による収入があった一方で、長期借入金の返済による支出があったことによるものです。
これらのキャッシュフローの動きから、同社グループは本業で得た資金を成長投資に回しつつ、必要に応じて資金調達も行い、事業拡大を進めていることがうかがえます。安定した事業活動による資金創出と、将来に向けた投資のバランスが取れている状態です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.2億円 | 4.0億円 |
| 投資CF | △0.6億円 | △0.8億円 |
| 財務CF | △2.0億円 | 1.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.6億円 | 3.2億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの製品であるポールビジョンおよびサイバービジョンの屋外設置は、各都道府県の屋外広告物条例の規制を受けます。これらの法的規制の変更があった場合には、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、中国製LED表示機の仕入取引は外貨建てで行われているため、為替相場の変動が業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。中国における政治体制の変更や労働コストが上昇した場合、仕入体制に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アビックスは、映像表示機のハードウェア技術と映像コンテンツを一体化したシステム開発を通じて、社会に新たな価値を創造することを目指しています。自由な発想と起業家精神を大切にし、多様な人材が活躍できる企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、経営の基本方針として「価値創造企業」を企業理念に掲げています。人の創造と事業の創造を通じて、株主、顧客、メーカー、販売会社、施工メンテナンス会社など、関連するすべての方々に最大限の付加価値を創造することを基本方針としています。
デジタルサイネージ業界におけるトータルソリューションを提供し、「デジタルサイネージ業界No. 1」を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、起業家精神を持ち、自ら自己実現を追求するスタッフの集まりであることを重視しています。人材育成においては、従業員一人ひとりが自発的にキャリアを構築できるよう支援し、継続的な育成に取り組んでいます。
社内環境整備では、専門性や経験、感性、価値観といった多様な知と経験を積極的に取り込むダイバーシティを推進しています。従業員のエンゲージメント向上やウェルビーイングを重視し、ワークライフ・バランスを整えながら、安心して働き続けられる職場環境の整備に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、主力業界を従来のパチンコホール業界からスポーツマーケットや大型商業施設へとマルチ化し、特定の業界に依存しない顧客ポートフォリオの構築を目指しています。
事業領域の拡大においては、デジタルプラットフォーム「MiRAi PORT」へのAI技術の活用やSNS等との連動による機能拡充を考えています。生産性向上にも取り組んでおり、デジタルマーケティングによる営業効率の向上や、ITを活用した全社業務の効率化・集約化を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アビックスの経営体制は、監査等委員会設置会社として、経営の透明性、客観性、健全性を重視しています。取締役会は業務執行の意思決定を行い、監査等委員会がその適法性と妥当性を監督する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アビックスの筆頭株主はテラスホールディングスであり、同社グループの資本構成において重要な位置を占めています。その他、金融機関や個人株主が上位に名を連ねており、多様な株主によって支えられていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| テラスホールディングス | 35.31% |
| 上田八木短資 | 2.10% |
| 山 田 恭 | 1.67% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は岩切敏晃氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩 切 敏 晃 | 代表取締役社長 | 1986年株式会社リクルート入社。1995年株式会社コンテンツ(現テラスホールディングス)設立。2015年株式会社プロテラス代表取締役社長、同年株式会社コンテンツ代表取締役社長に就任。2021年同社取締役就任。2024年同社代表取締役社長兼営業本部本部長就任より現職。 |
| 谷 聡 雄 | 取締役 | 1997年株式会社テイン入社。2006年アビックス株式会社入社。2011年同社事業本部副本部長、2018年同社技術本部副本部長に就任。2021年SS Lab.株式会社取締役、2026年合同会社aua職務執行者。同年同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、中山絋太氏(ヴァンテージマネジメント代表取締役)、山根正裕氏(山根公認会計士事務所開設)、神田泰行氏(至高法律事務所パートナー弁護士)、木佐木之恵氏(合同会社Kajiboshi CEO)です。
同社は監査等委員会設置会社へ移行しており、社外取締役が過半数を占める監査等委員会が取締役の業務執行を監査・監督することで、経営監視機能の客観性と中立性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アビックスの役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を重視した体系です。個々の取締役の報酬は、役位、担当業務、経歴等を踏まえた適正な水準を基本方針としています。業務執行取締役および社外取締役には基本報酬のみが支払われ、月例の固定報酬と賞与で構成されています。監査等委員である取締役の報酬は、株主総会で承認された限度額内で協議により決定されます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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