※本記事は、サガミホールディングスの有価証券報告書(第56期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. サガミホールディングスってどんな会社?
サガミホールディングスは、和食麺類レストランを中心に多角的な飲食事業を展開する外食企業です。
■(1) 会社概要
1970年3月にサガミチェーンを設立し、1974年に自社店舗第1号店を開店しました。その後、関東や関西など全国に店舗網を拡大し、1991年に名古屋証券取引所市場第二部に上場、1996年には東京証券取引所市場第二部への上場を果たしました。2018年10月に持株会社体制へ移行し、現在の社名に変更しています。
同社グループは連結で555名、単体で8名の従業員を抱える組織体制です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位および第3位は事業会社である昭和産業とアサヒビールが名を連ねており、安定した資本基盤を構築しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.61% |
| 昭和産業 | 3.94% |
| アサヒビール | 3.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は大西尚真氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大西尚真 | 代表取締役社長 | 1982年入社。2007年取締役第1営業本部担当などを経て、2011年常務取締役。子会社社長や会長を歴任し、2021年より現職。 |
| 鷲津年春 | 取締役専務執行役員 | 1985年入社。管理部長などを経て、2017年取締役執行役員管理担当。子会社社長などを歴任し、2025年より現職。 |
| 三ツ口質 | 取締役常務執行役員 | 1988年入社。経営企画部長などを経て、2019年子会社代表取締役社長。2023年取締役執行役員に就任し、2025年より現職。 |
| 中島康文 | 取締役執行役員 | 1996年入社。経営企画部情報戦略次長などを経て、2019年子会社代表取締役社長。2023年より現職。 |
| 川口奈央 | 取締役執行役員 | 1997年明星外食事業(現味の民芸フードサービス)入社。同社マーケティング部長などを経て、2019年経営企画部長。2023年より現職。 |
| 榊原晃 | 取締役執行役員 | 1994年入社。あいそ家営業部グループマネージャーなどを経て、2018年執行役員。2021年子会社社長に就任し、2025年より現職。 |
社外取締役は、有馬祥子(日本能率協会コンサルティングチーフ・コンサルタント)、神谷俊一(正信法律事務所所長)、村上貴子(公認会計士村上貴子事務所所長)、遠山眞樹(ティー・サポート代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「外食事業」および「その他」事業を展開しています。
■外食事業
和食麺処サガミ、味の民芸、どんどん庵、二代目長助などの飲食店経営と、フランチャイズ店舗への材料提供および経営指導を行っています。手延べうどんやセルフサービス方式のそば専門店など多彩な業態を展開し、幅広い一般消費者やフランチャイズ加盟店を顧客としています。
直営店では一般顧客から飲食代金を、フランチャイズ店からは材料費や経営指導料を受け取って収益を上げています。事業の運営は、サガミレストランツや味の民芸フードサービスといった連結子会社が中心となって行っています。
■その他の事業
子会社などの経営管理業務や、それに付随する不動産賃貸業務を行っています。自社で所有する不動産を有効活用し、テナント企業に対して商業施設などの賃貸スペースを提供するビジネスを展開しています。
テナント企業から受け取る不動産賃貸収入を主な収益源としています。事業の運営は、親会社である同社および子会社のサガミマネジメントサポートが担当し、グループ全体の経営を支える役割を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は右肩上がりで拡大を続けており、新型コロナウイルス禍からの回復傾向が鮮明です。経常利益についても堅調な推移を示しており、特に直近の事業年度では大幅な増益を達成し、利益率も向上しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 213億円 | 264億円 | 310億円 | 350億円 | 394億円 |
| 経常利益 | 23億円 | 16億円 | 17億円 | 21億円 | 30億円 |
| 利益率(%) | 10.6% | 6.0% | 5.6% | 6.1% | 7.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 12億円 | 9億円 | 9億円 | 14億円 | 16億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益と営業利益がともに大きく伸長しています。積極的な出店や各種販売促進策の効果により、売上総利益率と営業利益率の双方が改善しており、収益力の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 350億円 | 394億円 |
| 売上総利益 | 238億円 | 269億円 |
| 売上総利益率(%) | 68.1% | 68.5% |
| 営業利益 | 21億円 | 30億円 |
| 営業利益率(%) | 5.9% | 7.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が123億円(構成比51%)、賃借料が28億円(同12%)、水道光熱費が16億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である和食麺処サガミ部門が全体の売上を牽引しており、各事業部門で順調な増収を達成しています。各種料理フェアや感謝祭などの積極的な販売促進企画が奏功し、客単価の上昇と顧客接点の増加に貢献しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 和食麺処サガミ部門 | 250億円 | 284億円 |
| 味の民芸部門 | 72億円 | 78億円 |
| どんどん庵部門 | 10億円 | 10億円 |
| その他の部門 | 19億円 | 21億円 |
| その他の事業 | 0.8億円 | 0.8億円 |
| 連結(合計) | 350億円 | 394億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 22億円 | 37億円 |
| 投資CF | -27億円 | -34億円 |
| 財務CF | -12億円 | -16億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「私たちは、『食』と『職』の楽しさを創造し、地域社会に貢献します~すべてはみんなのゆたかさと笑顔のために~」を経営理念に掲げています。グループビジョンである「No.1 Noodle Restaurant Company」を実現し、「そば」「なごやめし」「手延べうどん」といった和食文化を世界に広げることを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、株主、顧客、従業員、取引先など全てのステークホルダーに繋がる取り組みを経営の基本としています。各店舗がそれぞれの地域で一番店になるような活力溢れる企業集団を目指すとともに、企業と顧客、そして社会の「三方よしの経営」である「CSV(共有価値の創造)経営」を推進する文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、積極的かつ戦略的な新規出店によるマーケット拡大と生産性の向上を推進しており、2027年3月期において以下の経営目標を掲げています。
* 店舗数:284店舗
* 売上高:405億円
* 営業利益:24億円
* 経常利益:25億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:12億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、外食産業の本質的な価値である「おいしさ」と「おもてなし」の向上に注力しています。主力業態の「和食麺処サガミ」「味の民芸」および小型業態の出店を着実に進める方針です。また、店舗オペレーションにおける作業面のDX化を促進し、省人化や生産性の向上を図ることで、接客サービスに注力できる環境を整備します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員一人ひとりの心身の健康と「物心両面のゆたかさ」を成長戦略の基盤と位置づけています。体験価値向上を成長の原動力とし、役職別人材育成研修などによるスキルアップ支援を充実させています。また、女性、シニア、外国籍、パートなど多様な人材の積極的な登用や社員登用制度を通じ、変化に即応できる柔軟な組織構築を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 51.7歳 | 32.3年 | 7,195,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 66.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 125.6% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(68.6%)、外国人比率(1.6%)、中途採用者比率(28.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店用地の確保と立地環境の変化
主力の和食・麺類レストランのチェーン展開において、適切な出店用地が計画通りに確保できない場合や、競合店の出店などにより立地環境が大幅に変化した場合、集客や売上に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食材仕入価格の高騰と供給変動
鳥インフルエンザ等の疫病や大規模な自然災害、外国為替相場の大幅な変動などにより、食材の仕入価格が高騰するリスクがあります。また、資源の枯渇や伝染病に伴い食材の供給量に大きな変動が生じた場合、収益を圧迫するおそれがあります。
■(3) 自社工場での生産・供給トラブル
冷凍保存麺やかえし類を製造する自社工場において、自然災害や食品の安全性に関する問題が発生した場合、店舗への食材供給や生産活動に支障をきたし、グループ全体の経営成績やブランドイメージに重大な影響を及ぼす可能性があります。



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