※本記事は、株式会社アトム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アトムは、ステーキ、回転寿司、焼肉、とんかつ、和食、洋食、カフェなどの飲食チェーン店舗を、東北から関西地域を中心に直営およびフランチャイズで展開しています。同社は親会社の株式会社コロワイドグループに属しています。
単体従業員数は550名です。セグメントはレストラン事業の1つです。
アトムは、ステーキ、回転寿司、焼肉、とんかつ、和食、洋食、カフェなどの飲食チェーン店舗を、東北から関西の地域を中心に直営およびフランチャイズで展開しています。
前事業年度に居酒屋事業とカラオケ事業を会社分割により承継し、当事業年度よりレストラン事業の単一セグメントに区分を変更しました。また、一部店舗を大戸屋ごはん処へ業態転換しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アトムは飲食事業を中心とする企業であり、「すべてはお客様と従業員のために」という企業理念のもと、食のインフラを担うことを目指しています。従業員の成長と多様性を重視する方針が示されており、働きやすい環境づくりにも力を入れていることがうかがえます。具体的なデータから、同社の給与水準や働き方の特徴を見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が12.0年と比較的長く、従業員が安定してキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も43.0歳となっており、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。これは、長期的な視点での人材育成や働きやすい環境づくりが進められている可能性を示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,625,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.0年 |
| 平均年齢 | 43.0歳 |
| 単体従業員数 | 550人 |
同社は確定拠出年金制度を採用しています。これは、会社が拠出した資金を従業員が自ら運用し、将来の給付額が運用実績によって変動する制度です。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「働く仲間の成長と多様性の尊重」を企業競争力の源泉と位置付け、すべての従業員があらゆるライフステージで安心して働き、性別や属性に関わらずライフワークバランスの取れた働き方を実現できる職場環境の提供を目指しています。地域に根差したローカルチェーンとして、持続的な成長と地方創生への貢献も重要な経営課題としています。
正社員の給与は、職務内容と役割に基づくJOB型人事制度を導入しており、各人のジョブグレードに応じて成果と貢献度が適切に反映される報酬体系を採用しています。評価は年2回の成果評価と年1回の貢献度評価を総合して行われ、給与の昇降やグレードの昇降格が決定されます。賞与は個人の成果評価に応じて支給額が決まる仕組みです。また、物価上昇や業界の給与水準、従業員満足度を考慮したベースアップも適宜実施されています。臨時従業員についても、地域性や市場水準を考慮した基本時給と、能力や役割遂行状況を評価するパートナー評価制度に基づき給与が決定されます。
人材育成においては、全ての従業員が自律的に成長できる機会を提供し、自己成長を促す方針です。具体的には、次世代経営幹部研修や女性管理職研修などの階層別研修、eラーニング研修を通じて自己成長を促進しています。社内環境整備としては、多様な人材が能力やライフステージに合わせて働き方を選択できるよう、JOB型人事制度や地域限定・時短勤務・週休3日勤務などが可能なフレキシブル社員制度を導入しています。さらに、コロワイドグループ横断でのキャリアチャレンジ制度、女性活躍推進プロジェクト、外国人・障害者雇用の促進、年間所定休日数の増加、奨学金返還支援制度、定期的なエンゲージメントサーベイの実施など、多岐にわたる取り組みを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金の額の差異については、正規雇用労働者において女性管理職の割合が少ないこと、平均年齢が男性より約9歳若いこと、平均勤続年数が男性より約7年短いことが主な理由とされています。賃金制度・賃金体系において性別による処遇差はなく、同一職務での賃金差異もありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 7.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 125.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 69.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 76.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 111.2% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員比率 | 20.0% |
| 女性管理職比率 | 7.2% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アトムは、ステーキ、回転寿司、焼肉、とんかつ・和食・洋食、カフェといった飲食チェーン店舗を、東北から関西の地域を中心に直営およびフランチャイズで展開しています。同社は株式会社コロワイドグループに属しており、グループ内のシナジーも活用しながら事業を推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、ステーキ、回転寿司、焼肉、とんかつ・和食・洋食、カフェなどの飲食チェーン店舗を運営し、お客様に食事の機会を提供することで収益を上げています。当事業年度において、同社はレストラン事業の単一セグメントとして事業を展開しています。
具体的には、ステーキ業態の「ステーキ宮」では、付加価値メニューの開発やサイドメニューの強化、地域別の価格設定など、体験価値の向上に注力しています。焼肉業態では、国産牛の食べ放題コースの提供店舗を拡大しつつ、商品の品質向上にも取り組んでいます。寿司業態では、季節や産地を意識したフェア施策や素材を活かした商品提案を通じて、ブランド力の強化を図っています。
また、将来の成長に向けた取り組みとして、ハンバーグカフェ業態「グリエ・ミア!」や鉄板焼肉としゃぶしゃぶを融合させた「鎌倉かぶと」といった新規業態の開発にも注力しています。これらの新規業態では、既存業態とは異なる利用シーンや顧客層の開拓を目指し、ブランド確立と運営ノウハウの蓄積を進めています。収益性に課題のある店舗については、コロワイドグループ内のシナジーを活用した業態転換も実施しており、既存資産を活かしながら収益構造の転換を図る戦略的な施策を進めています。
前事業年度までは、レストラン事業の他に居酒屋事業とカラオケ事業も展開していましたが、これらは会社分割によりグループ内の他社へ承継されました。同社は創業の地である福井県を中心に、地域との連携協定に基づく特別授業の実施や子ども食堂への無償提供など、地域・社会への貢献活動も継続的に行っています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の業績は、当事業年度において売上高が304億円、営業利益が25百万円となりました。経常損失は△22百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は△15.1億円となっています。
当事業年度の売上高は前期から減少しましたが、営業利益は前期の営業損失から黒字に転換しました。経常損失は前期から縮小し、当期純利益は前期の純利益から純損失となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 311億円 | - | - | - | - |
| 経常利益 | △13.5億円 | - | - | - | - |
| 経常利益率 | △4.3% | - | - | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.2億円 | - | - | - | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 1.50 | - | - | - | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたりの収益性や生産性を示す指標は、同社の稼ぐ力や組織効率を測る上で重要です。しかし、これらの指標に関するデータが不足しているため、具体的な分析はできません。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、財務基盤の強化と事業の再構築を進めている段階にあります。キャッシュフローの状況からは、事業活動と投資活動において資金の流出が見られ、今後の収益改善に向けた取り組みが注目されます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から減少しています。当期の自己資本比率は25.4%となっており、非製造業のプライム市場平均24.2%と比較するとほぼ同水準です。
ROE(自己資本利益率)は、前期は7.3%でしたが、当期は純損失を計上したためマイナスとなっています。プライム市場平均の9.4%を下回る水準です。
現金及び現金同等物の残高は前期から減少しており、当期は36.3億円となっています。純資産も前期から減少しており、これらの状況は財務の安定性に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 73.0億円 | 36.8億円 |
| 自己資本比率 | 38.5% | 25.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.3% | - |
| 現金及び現金同等物 | 67.0億円 | 36.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の当期のキャッシュフローは、営業活動、投資活動、財務活動のいずれも資金が減少しています。
本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、支払利息や法人税等の支出により、4.6億円の資金が減少しました。
投資活動によるキャッシュフローも、有形固定資産の取得による支出が主な要因となり、5.0億円の資金が減少しています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは9.6億円のマイナスとなっています。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や優先株式の償還による自己株式の取得により、21.1億円の資金が減少しました。
これらの状況は、同社が事業の再構築を進める中で、資金の流出が続いていることを示しており、今後の資金繰りや収益改善の動向が、入社後の雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | △4.6億円 |
| 投資CF | - | △5.0億円 |
| 財務CF | - | △21.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △9.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
外食産業市場は、ライフスタイルの変化や健康志向の高まり、消費者の節約志向や選別消費の傾向が強まるなど、市場が変化するリスクがあります。原材料の調達においては、疫病の発生、天候不順、自然災害、地政学リスク等による原材料確保の困難や、市場価格・為替相場の変動による調達価格の高騰が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、飲食店舗の運営において人材の確保と運営能力向上が重要な課題であると認識しています。人材の採用環境の悪化により必要な人材が集まらない場合や、人件費が上昇した場合、また採用した人材の育成が順調に進まない場合等には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アトムは、「すべてはお客様と従業員のために」という企業理念のもと、飲食業としての原点回帰を基本方針に掲げています。お客様に「楽しかった、おいしかった」と実感していただける体験価値の創出を目指し、食を通じて地域に貢献する企業としての役割を果たすことを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アトムは、「すべてはお客様と従業員のために」という企業理念を掲げています。飲食業としての原点回帰を基本方針とし、ブランドコンセプトやQSCA(品質・サービス・清潔・雰囲気)の本質価値向上に継続的に取り組んでいます。
お客様に「楽しかった、おいしかった」と実感できる体験価値の創出を目指し、食を通じて地域に貢献する企業としての役割を果たすことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アトムは、食の安全・安心をすべての事業活動の基盤と位置づけ、お客様に「食の楽しさ」という外食本来の価値を提供することを追求しています。地域に根ざしたローカルチェーンとしての強みを活かし、地域貢献を重要な使命としています。
また、持続的な成長を支える基盤として、人材の確保と育成を重要な戦略課題と捉えています。コンプライアンスポリシーに基づき、全従業員が社会的良識に基づいた行動を徹底するとともに、サステナビリティの推進にも積極的に取り組む企業風土です。
同社は、5つのマテリアリティ(重要課題)として「地球環境への貢献」「食の安全・安心の提供」「働く仲間の成長と多様性の尊重」「地域・社会への貢献」「経営基盤の強化」を特定し、持続可能な社会への貢献と企業価値向上を両立することを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アトムは、外食企業としての原点回帰を基本姿勢とし、安全・安心を前提とした質の高い商品とサービスの提供を通じて、お客様から信頼され、地域に支持される店舗づくりを進めることを重視しています。
対処すべき課題として、食品安全・衛生管理体制の高度化に取り組んでいます。衛生管理体制の整備と運用の定着、現場への浸透やモニタリング体制の充実を通じて、安全・安心な店舗運営の高度化を推進しています。
また、人材基盤の強化と店舗運営力の向上も重点テーマです。採用力の強化や教育・研修体制の充実を通じて、店舗運営力とサービス品質の向上を図っています。健全で持続可能な経営を実現するため、ガバナンス及び経営管理体制の充実にも継続的に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は経営の意思決定と監督機能を担っています。社外取締役が経営に助言を行い、ガバナンス体制の充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は事業会社であるコロワイドです。同社はコロワイドの親会社であり、経営に強い影響力を持つ関係にあります。同社は、親会社との取引において少数株主の利益を保護するため、特別委員会を設置するなどの体制を整備しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| コロワイド | 41.19% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) | 0.97% |
| 足利銀行 | 0.26% |
| 野村證券 | 0.19% |
| SIX SIS FOR SWISS NATIONAL BANK | 0.12% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性4名・女性4名)で構成され、女性役員比率は50.0%です。代表取締役社長は植田剛史氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 植田 剛史 | 代表取締役社長 | 2001年9月 ㈱平成フードサービス(現㈱コロワイド)入社、2005年6月 同社代表取締役社長、2011年6月 ㈱コロワイド取締役、2025年6月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 佐藤 真一郎 | 取締役 | 1997年11月 ソニー中新田㈱(現ケイテック㈱)入社、2018年2月 ケイテック㈱取締役管理部、総務部部長、2022年7月 同社入社、2024年6月 同社取締役管理本部本部長より現職。 |
| 三平 昌弘 | 取締役 | 2004年10月 ㈱レインズインターナショナル入社、2016年10月 ㈱コロワイド転籍、2025年6月 同社取締役営業推進本部本部長より現職。 |
社外取締役は、池田清華氏(Rita Brands代表取締役社長)、大藏さいら氏(大藏さいら公認会計士事務所所長・公認会計士)、山崎操氏(山崎公認会計士事務所代表・公認会計士)、熊王斉子氏(島村法律会計事務所パートナー弁護士)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会において議決権を行使できる監査等委員である取締役を選任しています。取締役会の意思決定の妥当性を高めるため、取締役会の3分の1以上を独立社外取締役としています。社外取締役は、グローバルな見地や専門的な知見からの助言・勧告を通じて、統治機能の充実と企業競争力の強化を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、業務執行取締役については基本報酬と業績連動報酬で構成されています。監査等委員である取締役の報酬は基本報酬のみであり、業績連動の要素はありません。報酬額の決定にあたっては、社外取締役を半数以上とする指名報酬諮問委員会の答申を得た上で、取締役会で決定する仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 56百万円 | 11.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 24百万円 | 4.8百万円 |
非金銭報酬等は、譲渡制限付株式の付与分であります。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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