はるやまホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

はるやまホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

はるやまホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、衣料品および関連洋品の販売を主力事業とする企業です。機能性オフィスカジュアル商品やレディス向け商品の拡充などに注力していますが、直近の業績は個人消費の停滞や商品原価上昇等の影響を受け、売上高は減収、最終損益は減益となっています。


※本記事は、株式会社はるやまホールディングスの有価証券報告書(第52期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. はるやまホールディングスってどんな会社?


衣料品および関連洋品の販売を中心に、グループの戦略立案や事業会社の統括管理を行う企業です。

(1) 会社概要


1974年に関西地区はるやまチェーンとして設立されました。1994年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、その後東京証券取引所への上場を果たしました。2017年には持株会社体制へ移行して現在の商号に変更し、衣料品販売事業をはるやま商事へ承継しています。2024年に本社を岡山市北区青江に移転しました。

従業員数は連結で1,089名、単体で12名です。大株主の構成は以下の通りとなっており、筆頭株主であるはるかをはじめ、創業家等の個人株主や関連法人が名を連ねています。

氏名 持株比率
はるか 21.27%
治山 邦雄 8.82%
岩渕コーポレーション 8.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は治山正史氏が務めています。取締役における社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
治山 正史 代表取締役会長兼社長 1994年同社入社。1995年常務取締役、2003年代表取締役社長などを歴任。2017年はるやま商事代表取締役会長に就任し、2025年より現職。
宇野 薫 取締役総合管理部長 1993年同社入社。2020年総務部長、2021年総合管理部長を経て、はるやま商事の執行役員総務部長等を歴任。2025年より現職。


社外取締役は、中川雅文(中川公認会計士事務所代表)、丸屋祐太朗(小林裕彦法律事務所入所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「衣料品販売事業」および「その他」の事業を展開しています。

衣料品販売事業


主に一般顧客向けにスーツ、礼服、コートなどの重衣料から、ジャケット、スラックスなどの中衣料、ワイシャツやネクタイ、カジュアルなどの軽衣料まで、幅広いビジネスウェアやその関連洋品を提供しています。

収益源は、実店舗やオンラインショップにおける顧客からの衣料品等の販売代金です。同事業は主にはるやま商事およびモリワンなどが運営を行っており、各店舗等を通じて商品とサービスの提供を行っています。

その他


グループ内の広告に関連する業務を担い、販売促進活動をサポートするためのサービスを提供しています。

グループ各社を顧客とし、広告代理業務を通じた手数料等を収益源としています。この事業は主にミックが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は350億円から360億円台で推移しており、横ばいの傾向が続いています。利益面では一時的に回復し黒字を計上する期もありましたが、直近の期においては減益となり、経常損失および当期純損失を計上しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 367億円 369億円 359億円 361億円 352億円
経常利益 -23億円 11億円 13億円 10億円 -3億円
利益率(%) -6.3% 3.0% 3.5% 2.7% -0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -114億円 2億円 4億円 6億円 -11億円

(2) 損益計算書


売上高が減少したことに加え、売上総利益率も低下傾向にあります。これに伴い、営業利益は黒字から赤字へと転落しており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 361億円 352億円
売上総利益 215億円 206億円
売上総利益率(%) 59.4% 58.5%
営業利益 6億円 -7億円
営業利益率(%) 1.7% -1.9%


販売費及び一般管理費のうち、賃借料が52億円(構成比25%)、給与及び賞与が47億円(同22%)、広告宣伝費が23億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の軽衣料および重衣料がそれぞれ減収となったことが全体の売上減少に影響しています。一方、中衣料は増収を確保しており、品目間で増減が分かれる結果となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
重衣料 158億円 150億円
中衣料 33億円 35億円
軽衣料 161億円 158億円
補修加工賃収入 9億円 9億円
連結(合計) 361億円 352億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -1億円 -21億円
投資CF -12億円 -13億円
財務CF -19億円 12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「お客様第一主義」を経営の基本方針とし、「顧客満足」を発想の原点においています。創業理念である「より良いものをより安く」を実現するために、高機能・高品質の商品の企画、研究開発に努めています。

(2) 企業文化


組織、人材、多様性を認め合う企業文化の醸成を推進しています。社員が誇りを持ちながら働ける環境づくりを目指し、多様な働き方を受容する枠組みや人事制度の見直しを随時行い、各従業員の能力と適性に基づく登用を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


「地域に必要とされる店に」なることを経営ビジョンとし、企業価値の一層の向上に努めています。経常利益や親会社株主に帰属する当期純利益の確保を重視し、安定的な企業継続を経営責任と位置づけています。

* 売上高経常利益率5%

(4) 成長戦略と重点施策


「おしゃれで健康な生活を提供し、サポートするファッション・インフラ企業」というミッションを体現するため、機能性オフィスカジュアル商品やレディス向け商品の拡充を進めています。また、健康をキーワードとした新たな収益基盤の構築や、デジタルマーケティングを活用した実店舗とオンラインの相互送客を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「企業理念を理解し、自ら計画し、自ら実行し、自ら確認し、その目標の実現に責任を持つ人材を育成」することを基本方針としています。マネジメントスキルの習得や資格取得支援など能力開発に注力するとともに、性別や国籍等に関係ない適性に基づく採用と、多様性を認め合う文化の醸成を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.0歳 6.3年 5,515,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 42.9%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 73.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 94.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 15.1%


※男性労働者の育児休業取得率は、HTML原文において「-」と記載されているため、表でも同様に表示しています。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用の割合(2.7%)、65歳超の労働者の割合(6.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績の季節変動による収益の偏り


同社の主力事業である衣料品の販売は、重衣料の需要が高まる冬季や、新入社員向けのスーツ需要が増加する3月を含む下期に売上が偏る傾向にあります。そのため、経常利益も上期に比べて下期に偏る特性があり、下期の動向が通期の業績に影響を与えるリスクがあります。

(2) 出店規制や店舗展開に関するリスク


売場面積が一定規模を超える店舗の新規出店や増床は、大規模小売店舗立地法の対象となります。地域住民や自治体との調整によって出店コストの増加やスケジュールの長期化が生じる可能性があります。また、不採算店舗の退店や改装等のスクラップアンドビルドに係る費用が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) スーツ需要の減少と競合他社との競争激化


少子高齢化の進行により、中長期的にスーツの需要が減少することが見込まれています。加えて、競合他社による多店舗展開や、価格競争、新機能を提案する商品開発競争が激しくなっています。顧客の多様化するニーズに十分に対応できない場合、同社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。