※本記事は、株式会社はるやまホールディングス の有価証券報告書(第51期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. はるやまホールディングスってどんな会社?
1974年設立の紳士服専門店大手。「紳士服はるやま」「P.S.FA」などを展開し、多様なビジネスウェアを提供しています。
■(1) 会社概要
1974年に設立され、紳士服専門店チェーンとして全国展開を進めました。1988年に岡山青江本店を開設し、2002年には東証一部へ指定替えとなりました。2017年に持株会社体制へ移行し、現社名に変更しています。2022年の市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は1,097名、単体では13名です。筆頭株主は株式会社はるかで、第2位は創業家出身の個人株主、第3位は有限会社岩渕コーポレーションとなっており、創業家および関連会社が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| はるか | 20.83% |
| 治山 邦雄 | 8.64% |
| 岩渕コーポレーション | 8.27% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は治山 正史氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 治山 正史 | 代表取締役会長兼社長 | 1994年入社。社長室室長、常務取締役を経て2003年より社長。2021年取締役会長、2025年6月より現職。はるやま商事代表取締役会長兼社長を兼務。 |
| 宇野 薫 | 取締役 | 1993年入社。総務部長、総合管理部長などを歴任。はるやま商事取締役専務執行役員管理本部長兼人事部長を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、中川 雅文(公認会計士・中川公認会計士事務所代表)、丸屋 祐太朗(弁護士・小林裕彦法律事務所所属)です。
2. 事業内容
同社グループは、「衣料品販売事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 衣料品販売事業
紳士服、婦人服およびその関連洋品の販売を行っています。「紳士服はるやま」「Perfect Suit FActory(P.S.FA)」「フォーエル」などの店舗ブランドを展開し、ビジネスウェアを中心に多様な顧客ニーズに対応しています。
収益は一般顧客への商品販売代金や補修加工賃収入などから得ています。運営は主に連結子会社であるはるやま商事、株式会社モリワン、株式会社マンチェスなどが行っています。
■(2) その他
衣料品販売以外の事業として、グループ会社の広告代理業務などを手掛けています。
収益はグループ会社等からの広告代理手数料などが中心です。運営は連結子会社の株式会社ミックが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は360億円前後で推移しており、大きな変動はありません。損益面では、2021年3月期と2022年3月期に大幅な赤字を計上しましたが、2023年3月期以降は黒字化しています。直近の2025年3月期は、経常利益率は低下したものの、黒字基調を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 382億円 | 367億円 | 369億円 | 359億円 | 361億円 |
| 経常利益 | -30億円 | -23億円 | 11億円 | 13億円 | 10億円 |
| 利益率 | -7.9% | -6.3% | 3.0% | 3.5% | 2.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -49億円 | -79億円 | 2億円 | 4億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は微増しましたが、売上原価の増加により売上総利益は横ばいとなりました。販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益は減少しています。売上総利益率は約60%と高い水準を維持しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 359億円 | 361億円 |
| 売上総利益 | 215億円 | 215億円 |
| 売上総利益率(%) | 59.8% | 59.4% |
| 営業利益 | 9億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 2.6% | 1.7% |
販売費及び一般管理費のうち、賃借料が53億円(構成比25%)、給与及び賞与が49億円(同23%)を占めています。売上原価は147億円で、売上高に対する構成比は41%です。
■(3) セグメント収益
主力の衣料品販売事業において、重衣料は前年並みでしたが、ジャケット・スラックス等の中衣料が好調に推移しました。一方、物価高騰による原価上昇や設備投資等のコスト増が利益を圧迫しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 重衣料 | 158億円 | 158億円 |
| 中衣料 | 33億円 | 33億円 |
| 軽衣料 | 160億円 | 161億円 |
| 補修加工賃収入 | 9億円 | 9億円 |
| 連結(合計) | 359億円 | 361億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却といった活動による資金の増減を表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払いなど、資金調達や返済に関する活動による資金の動きを示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 13億円 | -1億円 |
| 投資CF | 5億円 | -12億円 |
| 財務CF | -26億円 | -19億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「お客様第一主義」を経営の基本方針とし、「顧客満足」を発想の原点に置いています。創業理念である「より良いものをより安く」を実現するために、高機能・高品質の商品の企画、研究開発に努めることを方針としています。
■(2) 企業文化
「地域に必要とされる店に」なることを経営ビジョンとしています。社員が誇りを持ちながら働ける企業文化の構築を目指し、店舗別人員配置の見直しや教育・研修制度の充実による人的資源への投資を強化しています。
■(3) 経営計画・目標
将来的には以下の数値を目標として掲げ、効率的な経営を目指して企業価値の向上に努めています。
* 売上高経常利益率:5%
■(4) 成長戦略と重点施策
商品・サービスの品質向上、集客力の強化、生産性の向上を基本戦略としています。「NEW BIZ WEAR」をキーワードに機能性商品やレディス商品を拡充するほか、ECと店舗を融合させたサービスの推進を図っています。また、「ほっとひと息ステーション」等の新サービスによる集客強化や、店舗不動産の有効活用、本社機能の効率化などに取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
急激に変化する外部環境に対応するため、組織力の強化、個人能力の向上、ダイバーシティ推進を重点施策としています。リーダーシップや専門スキルの習得機会を提供し、資格取得支援制度を拡充するなど、自発的な能力向上の仕組みづくりに取り組んでいます。また、性別・国籍等に関わらない採用・登用を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.9歳 | 11.8年 | 6,133,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 54.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 70.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 11.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(9.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 業績の季節変動
衣料品販売は季節性が強く、特に重衣料の需要が高まる冬季や新入社員向け需要がある3月を含む下期に売上高・利益が偏る傾向にあります。そのため、天候不順や商戦期の動向が通期の業績に重要な影響を与える可能性があります。
■(2) 店舗展開と法的規制
大規模小売店舗立地法等の規制により、新規出店や増床において調整が必要となり、出店コストや期間に影響が出る可能性があります。また、不採算店舗の退店や移転、改装などのスクラップアンドビルドに伴う費用が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 業界の競合と市場環境
少子高齢化によるスーツ需要の減少が見込まれる中、価格競争や商品開発競争が激化しています。また、ビジネススタイルのカジュアル化や働き方の多様化など、消費者ニーズの変化に対応できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 個人情報の管理
衣料品販売事業において多くの個人情報を保有しており、情報セキュリティ委員会を中心に管理体制を整備しています。しかしながら、万一情報漏洩事故が発生した場合は、社会的信用の失墜や損害賠償等により、業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。



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