※本記事は、セフテック株式会社の有価証券報告書(第69期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セフテックってどんな会社?
同社は、工事現場の安全を守る保安用品の販売・レンタルを全国ネットで展開する総合安全企業です。
■(1) 会社概要
1952年に道路工事用赤色警戒灯の製造等を目的に設立されました。1957年の改組を経て、1977年に愛知フェンス工業(現・東阪神)を設立して製造部門を拡充し、1995年に現在のセフテックへ商号変更しています。同年には株式を店頭登録し、その後ジャスダック上場を経て、現在はスタンダード市場に上場しています。
現在の従業員数は連結で372名、単体で356名です。筆頭株主は裕﨑興産で、第2位は創業家であり取締役会長を務める岡﨑勇氏、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 裕﨑興産 | 31.54% |
| 岡﨑勇 | 11.03% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 4.30% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼執行役員社長は岡﨑太一氏が務めています。社外取締役の比率は約14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡﨑太一 | 代表取締役社長兼執行役員社長 | 2014年に入社後、総務兼特命プロジェクト担当、取締役兼執行役員経営企画室長を経て、2019年より現職。 |
| 岡﨑勇 | 取締役会長 | 1963年に旧・東阪神点灯へ入社。取締役、代表取締役社長等を歴任し、2019年より現職。 |
| 佐藤雄考 | 常務取締役兼常務執行役員財務本部長兼子会社担当 | 1994年に入社し、経理部次長、執行役員経理部長兼子会社担当、取締役等を経て、2015年より現職。 |
社外取締役は、坂野宣弘(坂野公認会計士事務所開設)です。
2. 事業内容
同社グループは、保安用品事業の単一セグメントで展開しています。
■(1) 工事用保安用品の販売
案内や注意を目的とした標識・標示板、危険区域への立ち入りを制限するバリケードなどの安全機材、点滅灯やカラーコーンといった保安警告サインなどを提供しています。主な顧客は全国の工事業者や官公庁であり、直接エンドユーザーに提供する「直販」や代理店を経由する「卸」を行っています。
収益源は、提供する工事用保安用品の販売代金です。事業の運営は主にセフテックが行っていますが、安全機材のうちバリケードやフェンス類、標識全般については、製造・販売を担う子会社の東阪神から購入して顧客に提供する体制をとっています。
■(2) 工事用保安用品のレンタル
短期間商品を必要とするユーザー向けに、各種工事用保安用品のレンタルサービスを提供しています。建設業者の工事コスト削減ニーズに対応し、標識・標示板、安全機材、保安警告サインなどを中心に、工事現場やイベント会場向けに密着した提案営業を展開しています。
収益源は、顧客が商品を短期間使用した際に支払うレンタル利用料です。運営はセフテックが主体となっており、全国に展開する販売網とストックヤードを活用し、適正な在庫配置と迅速な商品供給によって顧客の利便性を高めています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は100億円前後で安定して推移していますが、経常利益および当期利益は減少傾向にあります。これは、仕入価格の高止まりや更なる上昇、輸送コストの増加が利益を圧迫しているためです。同社は販売・レンタル価格の改定を進めて収益改善に努めています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 103億円 | 100億円 | 101億円 | 103億円 | 101億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 9億円 | 5億円 | 4億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 11.7% | 8.8% | 5.4% | 3.5% | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 5億円 | 3億円 | 2億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2年間の損益構成を見ると、売上高の微減に加えて売上総利益率も低下しています。レンタル投入は抑制したものの、商品価格の上昇や高付加価値商品のレンタル単価の低下が続いたことが要因です。結果として営業利益率も悪化しており、収益性の向上が課題となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 103億円 | 101億円 |
| 売上総利益 | 47億円 | 45億円 |
| 売上総利益率(%) | 45.4% | 44.6% |
| 営業利益 | 4億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が18億円(構成比42%)、運搬費が7億円(同16%)、賃借料が5億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは保安用品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の収益データは開示されていません。ただし、販売実績の内訳としてはレンタルが売上の過半数を占めており、次いで標識・標示板、その他工事用品、安全防災用品の順に構成されています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 保安用品事業 | 103億円 | 101億円 |
| 連結(合計) | 103億円 | 101億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良な健全型を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 2億円 |
| 投資CF | -1億円 | -0.3億円 |
| 財務CF | -7億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「安全と環境にやさしい総合安全企業を目指す」をテーマに掲げ、工事現場の安全管理に不可欠な保安用品および保安システムを工事業者に提供するとともに、環境美化と環境負担の低減に役立つ新商品の開発とその販売・レンタルを通じて、社会的な貢献を果たすことを経営理念としています。
■(2) 企業文化
「顧客・株主・社員・取引先との共存共栄を図ること」を常に念頭に置き、事業活動を行っています。また、経営方針の一環として「創意工夫を啓発して環境にやさしい商品・安全に効果的なシステムを積極的に企画開発すること」を重視しており、社員一人ひとりが多様性を尊重され、能力を発揮できる組織作りを目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、株主第一義の経営を行う上で、収益力の指標として自己資本当期純利益率(ROE)6.0%以上の達成を中長期的かつ継続的な目標として掲げています。直近の業績ではこの目標を下回っているため、売上増強と商品開発を高め、収益力をつけて強固な企業体質を構築することを目指しています。
* ROE 6.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
全国展開する販売網と広いストックヤードを活かし、適正利益を確保しつつ良質な保安用品を廉価で提供することでシェア拡大を図ります。仕入価格上昇への対応として価格改定を進めるとともに、集中購買による原価低減や海外調達率の引き上げを実施します。また、AIカメラ等を利用した提案型営業を強化し、高付加価値商品のレンタル回転率向上にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「人」こそが最大の経営資本であるとの認識のもと、人材の定着と育成に注力しています。具体的には、ワークライフバランスを整えるために残業時間の削減や有給休暇の取得率向上を推進し、働きやすい職場環境を整備しています。さらに、研修制度や充実した資格手当制度を設け、従業員一人ひとりの資質向上をバックアップする方針を掲げています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.3歳 | 13.9年 | 5,011,148円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.8% |
| 男性育児休業取得率 | 55.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 69.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 30.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(6.8%)、平均残業時間(13.9時間/月)、年休取得率(71.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設市場の動向による影響
同社グループの業績は、公共工事予算や民間工事の動向、地方自治体の財政状況に大きな影響を受ける可能性があります。このリスクを軽減するため、競争力のある新商品の開発や営業力の強化に取り組み、特定の市場動向に過度に依存しない安定的な収益基盤の構築に努めています。
■(2) 輸入元(中国)の経済情勢リスク
商品の仕入の一部を中国から輸入しているため、中国の経済状況や政策の変更によって商品の供給に支障をきたす可能性があります。これに対して同社は、国内の代替仕入先との関係を維持するとともに、類似機能を持つ商品の仕入ルートを常に確保し、顧客への供給が滞らない体制を整えています。
■(3) レンタル資産の積極投入による短期的な利益圧迫
レンタル需要の増加に対応するため、レンタル商品の更新と増強を積極的に行っています。しかし、資産の償却期間よりも実際のレンタル売上期間の方が長くなる傾向があるため、事業拡大期においては、償却費の増加に対してレンタル売上が追いつかず、一時的に業績が悪化するリスクがあります。



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