※本記事は、株式会社ハウス オブ ローゼ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ハウス オブ ローゼは、子会社4社およびその他の関係会社1社とともに、化粧品・浴用剤・雑貨品の小売業および卸売業を主に展開しています。直営店での商品販売、卸販売、直営店サービス事業を通じて、幅広い顧客層にアプローチしています。
単体従業員数は752名です。事業セグメントは直営店商品販売事業、卸販売事業、直営店サービス事業の3つです。
ハウス オブ ローゼは、直営店商品販売事業、卸販売事業、直営店サービス事業を主要な事業内容としています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ハウス オブ ローゼは、自然志向の化粧品小売業を中核事業とし、顧客サービスと親身な接客を重視しています。そのため、人材の育成と定着に力を入れており、従業員が安心して長く働ける環境づくりを目指しています。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社の特徴を見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も安定していることから、人材が定着しやすい傾向にあることがうかがえます。これは、同社が従業員の働きがいやキャリア形成を重視し、長期的な視点で人材を育成していることの表れと言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,261,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.3年 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 単体従業員数 | 752人 |
同社は確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しており、国内の従業員を対象としています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は10.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、顧客サービスと親身な接客を重視する事業特性から、人材の確保と適正な処遇を経営の重要課題と認識しています。特に直営店商品販売事業では、スタッフの資質や技量が店舗売上を左右するため、人材戦略において適正な人材確保と処遇を重視し、従業員のモチベーション向上に努めています。
人事制度としては、店舗スタッフには職能資格制度を適用し、入社から数年間は修熟度に応じた昇格試験を実施しています。その後は年1回、職務内容や能力、期間成績、意欲・勤務態度に基づいて人事評価を行い、昇給や昇格を決定しています。本社部門では資格等級制度に基づき、社員の能力や職務、役割に応じて等級を区分し、年2回の成果評価とプロセス評価によって昇給・昇格、賞与を決定しています。新卒(大学卒)の初任給は小売・流通業界の水準をベンチマークとしており、キャリア採用では前職給与を参考に同社の賃金テーブルに合わせて決定しています。
同社は「従業員の幸せの追求」をマテリアリティの一つに掲げ、「働きやすい職場づくり」と「働きがいのある職場づくり」に取り組んでいます。具体的には、年間休日日数を毎年度1日ずつ増加させる目標を掲げ、2025年4月からは本社部門で週1回のテレワーク勤務体制を導入しています。また、本社正社員の昇格制度を改定して昇格スピードを早め、部門間異動の円滑化を推進することで、従業員の意識向上と働きがいの醸成を図っています。
人材育成においては、コンサルティング販売を柱とするスタッフ教育に注力しており、新人研修や定期的な販売トレーニングを通じて販売技術の習得を支援しています。本社部門の従業員に対しては年1回のキャリアアップアンケートを実施し、キャリアビジョンを把握した上で適正な異動配置と育成に繋げています。健康管理面では、全従業員への年1回の健康診断義務化や産業医による個別相談、専門カウンセラーによるメンタルケアを実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づき算出されています。従業員の男女の賃金差は、性差ではなく業務の違いや職位、勤務年数等に基づくものであり、比較的勤務年数の短い女性スタッフが多いことが主な要因です。直営店商品販売事業および直営店サービス事業には男性従業員がいないため、これらの事業に関するデータは記載されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 67.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全ての労働者) | 54.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 67.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 60.4% |
多様性・登用
同社は、中核人材の登用における多様性の確保について、以下の状況を示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 中途採用者の管理職比率 | 90%以上 |
育児・介護支援
同社は、子育てや介護と仕事の両立ができるよう職場の環境整備に力を入れています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員の育児休暇取得率 | 100% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ハウス オブ ローゼは、化粧品、浴用剤、雑貨品の小売業および卸売業を主な事業として展開しています。お客様の素肌を大切にする「素肌みがき」を軸に、ブランド価値向上と収益基盤の強化に取り組んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、直営店での商品販売、卸販売、そして直営店でのサービス提供という三つの主要な事業を通じて収益を上げています。それぞれの事業が異なる顧客層と販売チャネルを持ち、多角的なビジネスモデルを構築しています。
直営店商品販売事業
ハウス オブ ローゼ直営店およびEC事業を通じて、スキンケア化粧品を中心に商品を販売しています。お客様一人ひとりに寄り添う「ふれる接客」を強みとし、顧客関係の深化とブランド価値向上に注力しています。収益は、直営店舗での対面販売と自社運営サイトや外部モールでのオンライン販売から得ています。
卸販売事業
個人オーナー店舗、大手量販店、一般卸といった多様な販路を通じて、同社の商品を供給しています。収益力強化に向けた販路別戦略の再構築を進めており、主力商品の販売や季節限定商品の拡販に力を入れています。収益は、これらの取引先への商品卸売から得ています。
直営店サービス事業
リラクゼーションサロン事業とカーブス事業を展開しています。リラクゼーションサロンでは施術サービスを提供し、カーブス事業ではフィットネスサービスを提供しています。収益は、リラクゼーションサロンでの施術料やカーブスでの会費収入、物販収入から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 直営店商品販売事業 | 90.0億円 | 89.6億円 |
| 卸販売事業 | 14.0億円 | 13.8億円 |
| 直営店サービス事業 | 12.0億円 | 12.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が前期からわずかに減少する傾向にあります。営業利益は前期と比較して大きく減少しており、当期純利益も大幅な減少となりました。これは、賃上げによる人件費の増加や、直営店舗の退店、成長基盤構築に向けたブランド譲受に係る初期費用の計上などが影響しています。また、投資有価証券の売却益や固定資産に係る減損損失も当期純利益に影響を与えています。営業活動によるキャッシュ・フローは使用した資金となっており、本業での資金創出には課題が見られます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、自己資本比率が高水準で推移しており、安定した財務基盤を示しています。一方で、キャッシュフローは営業活動および投資活動で資金を使用する状況となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は、前期末の67.2%から当期末には68.6%へと増加しています。これは、プライム市場の製造業平均46.8%や非製造業平均24.2%と比較しても高い水準にあり、強固な財務体質を示しています。手元資金である現金及び預金等は、当期末に22億40百万円となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 56.4億円 | 54.8億円 |
| 自己資本比率 | 67.2% | 68.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 26.0億円 | 22.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
本業の稼ぎを示す営業キャッシュフローは、前期に資金を取得していたものの、当期は1.4億円の資金を使用する状況となりました。これは、税引前当期純利益があった一方で、投資有価証券の売却益や仕入債務の減少、法人税等の支払いが影響しています。投資キャッシュフローも当期は56百万円の資金を使用しており、事業譲受や長期前払費用の取得による支出が主な要因です。
財務キャッシュフローは前期に引き続き資金を使用しており、配当金の支払いとリース債務の返済による支出が主な内容です。これらの結果、フリーキャッシュフローは当期に2.0億円のマイナスとなりました。前期は営業活動と投資活動で資金を取得しており、フリーキャッシュフローもプラスでした。当期は本業で得た資金が投資を賄いきれていない状況であり、今後の資金の流れに注目することが、入社後の安定性を判断する上で重要となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 63百万円 | △1.4億円 |
| 投資CF | 2百万円 | △56百万円 |
| 財務CF | △1.8億円 | △1.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 65百万円 | △2.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社が主要事業とする国内化粧品市場は成熟しており、新規参入の増加により競争が激化するリスクを認識しています。また、直営店の集客力低迷や卸販売事業の販路減少、EC事業の動向、カーブス事業の契約解除リスクなど、チャネル戦略に関するリスクも挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、コンサルティング販売を柱とする事業において、必要な人材の確保や育成ができない場合、スタッフのモチベーション低下や顧客満足度の低下が経営成績に影響を及ぼすリスクを認識しています。また、ハラスメントの発生が従業員のメンタルヘルスや職場の士気に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ハウス オブ ローゼは、「お客さまにありがとうと言われるような販売を続ける」という社是のもと、美しさと健康、快適な生活を願う人々に優れた商品と真心のこもったサービスを提供することを目指しています。自然志向の化粧品小売業を中核事業とし、お客さまとの「ふれあい」を大切にする文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「お客さまにありがとうと言われるような販売を続ける」という社是を掲げ、良い商品づくりを通じてお客さまが納得し満足することを使命としています。経営理念は「美しさと健康と快適な生活を願われる人々のために、優れた商品と真心のこもったサービスを提供する」ことです。この理念の実践を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。
また、同社は「多様化する社会において、お客さまとの共感や従業員の幸せを大切にし、『ふれあい』を通じて誰からも永く信頼され、愛され続ける会社になる」ことを「2030年時点の“ありたい姿”」としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「お客さまにありがとうと言われるような販売を続ける」という社是を企業風土の根幹としています。サステナビリティに関する4つの指針として、「自然に優しい」商品づくり、人と人とのつながりの大切さ、公正な取引の実践、リスク管理の強化を掲げています。
「ありたい姿」を具現化するためのマテリアリティとして、「お客さまとの共感の追求」「従業員の幸せの追求」「事業基盤の強化」の3つのテーマを設定しています。商品づくりにおいては、「4Universal」(for Skin、for Everyone、for Animals、for Earth)という理念に基づき、高品質・低刺激、誰もが使える、アニマルフレンドリー、エコフレンドリーな商品を追求しています。顧客サービスと親身な接客を重視し、コンサルティング販売を柱とするスタッフ教育に注力する文化があります。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、人的資本の更なる強化を重要な経営課題と認識しており、人材登用の促進を核とした人事制度改革を進めています。組織間の意思疎通を強化し、効率を高めることで、全社を挙げた経営基盤の構築に取り組んでいます。
また、化粧品事業の再構築によるブランド価値向上や、デジタル化によるサービス品質向上を通じて、各事業部門の収益力強化を図っています。サステナビリティ委員会を中心に「2030年時点の“ありたい姿”」とマテリアリティに基づき、具体的なKPIを定めて取り組みを推進しています。働きやすい職場づくりや働きがいのある職場づくりに向けた制度改革、商品づくりにおける「4Universal」理念の具現化、ガバナンス強化にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ハウス オブ ローゼは、監査等委員会設置会社として、取締役会が経営上の最高意思決定機関となり、監査等委員会が取締役の職務執行を監督する体制を構築しています。これにより、経営の透明性と効率性の向上を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ハウス オブ ローゼの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるワコールホールディングスです。また、株式会社ローズエージェンシーも上位株主として名を連ねており、特定の事業会社が主要な株主として同社を支えていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ワコールホールディングス | 21.26% |
| ローズエージェンシー | 9.85% |
| アイスタイル | 5.52% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長営業本部長は川口善弘氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川口 善弘 | 代表取締役社長営業本部長 | 2014年8月同社入社業務執行役員直営店本部長付、2020年6月取締役直営店本部長、2024年6月代表取締役社長兼直営店本部長、2025年4月代表取締役社長兼営業本部長より現職。 |
| 小野 敏健 | 取締役 経営企画室長 | 1983年9月同社入社商品部、2014年6月経営企画室長、2016年4月業務執行役員経営企画室長、2022年6月取締役経営企画室長より現職。 |
| 佐藤 哲 | 取締役管理本部長 | 1989年4月同社入社商品部、2011年6月管理本部人事・総務部長、2019年6月業務執行役員管理本部長、2022年6月取締役管理本部長より現職。 |
| 岸本 佳子 | 取締役マーケティング本部長 | 1992年1月同社入社関西ブロック直営店店舗勤務、2020年4月業務執行役員直営店本部西日本販売統括担当、2024年6月取締役販売教育部長、2025年4月取締役マーケティング本部長より現職。 |
| 桃田 辰範 | 取締役ウエルネス事業本部長 | 2004年9月同社入社業務改善管理課シニアマネージャー、2016年4月業務執行役員ウエルネス事業本部長、2026年6月取締役ウエルネス事業本部長より現職。 |
社外取締役は、北川真一氏(ワコールホールディングス常勤監査役・監査等委員)、町田眞友氏(監査法人A&Aパートナーズ社員・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は監査等委員3名(うち社外取締役2名)を含む8名で構成されています。これにより、経営への監視機能を強化し、コーポレートガバナンスの充実を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬制度は、固定報酬である基本報酬、短期業績を反映した業績連動報酬(期末賞与)、および退職慰労金で構成されています。業績連動報酬の指標には、当期純利益を基本としており、株主と経営者の利益を共有し、持続的な成長を意識した経営を推進する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 14百万円 | 6.9百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 5百万円 | 2.4百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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