ハウス オブ ローゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 ハウス オブ ローゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハウス オブ ローゼは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、自然志向の化粧品や雑貨の小売・卸売、リラクゼーションサロン等を展開する企業です。直近の業績は、直営店舗の不採算店退店や先行投資等の影響により微減収、減益となりましたが、デジタル化による顧客接点の拡大や中長期的なブランド価値向上を図っています。


※本記事は、ハウス オブ ローゼの有価証券報告書(第45期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハウス オブ ローゼってどんな会社?


自然志向の化粧品や雑貨の小売・卸売、リラクゼーションサロンの運営を手がける企業です。

(1) 会社概要


1982年に自社ブランド化粧品の開発と多店舗展開を目的に設立されました。2006年に東証二部、2008年に東証一部へ上場し、2022年にスタンダード市場へ移行しています。2006年には女性専用フィットネス「カーブス」に加盟し、2025年には「ママバター」ブランドを事業譲受するなど、事業領域を拡大しています。

従業員数は単体で752名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資本提携を行う事業会社のワコールホールディングスで、第2位はローズエージェンシー、第3位は資本業務提携を行う事業会社のアイスタイルとなっています。

氏名 持株比率
ワコールホールディングス 21.26%
ローズエージェンシー 9.85%
アイスタイル 5.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長営業本部長は川口善弘氏です。社外取締役は2名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
川口善弘 代表取締役社長営業本部長 2014年8月同社入社。直営店本部長などを経て、2024年6月代表取締役社長兼直営店本部長に就任。2025年4月より現職。
小野敏健 取締役経営企画室長 1983年9月同社入社。経営企画室長などを経て、2022年6月より現職。
佐藤哲 取締役管理本部長 1989年4月同社入社。人事・総務部長や管理本部長などを経て、2022年6月より現職。
岸本佳子 取締役マーケティング本部長 1992年1月同社入社。関西ブロック直営店店舗勤務、販売教育部長などを経て、2025年4月より現職。
桃田辰範 取締役ウエルネス事業本部長 2004年9月同社入社。人事・総務部長やウエルネス事業本部長などを経て、2026年6月より現職。
池田達彦 取締役(監査等委員) 2012年4月同社入社。代表取締役社長兼COOなどを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、北川真一(ワコールホールディングス常勤監査役)、町田眞友(監査法人A&Aパートナーズ社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「直営店商品販売事業」「卸販売事業」「直営店サービス事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

直営店商品販売事業


自然志向のスキンケア化粧品やボディケア用品などの自社ブランド商品を中心に、直営店舗および自社運営サイトや外部モールなどのECを通じて一般消費者に販売しています。

収益は、商品の販売代金として消費者から受け取ります。事業の運営はハウス オブ ローゼが行っています。

卸販売事業


ライフスタイルに応じたセルフ展開商品を、個人オーナー店舗、販売スタッフ派遣店舗、大手量販店向けなどに卸売しています。

収益は、化粧品や雑貨の卸売代金として取引先の小売店等から受け取ります。事業の運営はハウス オブ ローゼが行っています。

直営店サービス事業


リラクゼーションサロンの運営や、女性専用フィットネスクラブ「カーブス」のフランチャイズ店舗の運営を通じて、健康志向のサービスを提供しています。

収益は、サロンでの施術料やフィットネスクラブの会費等として利用者から受け取ります。事業の運営はハウス オブ ローゼが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期の業績推移を見ると、売上高は112億円から119億円台で推移していますが、直近は微減傾向にあります。経常利益も増減を繰り返しており、当期は店舗退店やブランド譲受による初期費用の計上等により減益となりました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 112.8億円 119.1億円 119.9億円 115.9億円 115.4億円
経常利益 2.8億円 1.9億円 3.7億円 1.5億円 0.8億円
利益率(%) 2.5% 1.6% 3.1% 1.3% 0.7%
当期純利益 1.0億円 5.1億円 1.2億円 0.8億円 167万円

(2) 損益計算書


直近2期の損益を比較すると、売上高は横ばい圏内で推移していますが、販売費及び一般管理費が増加したことなどにより、営業利益及び営業利益率は低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 115.9億円 115.4億円
売上総利益 82.6億円 82.5億円
売上総利益率(%) 71.3% 71.5%
営業利益 1.2億円 0.7億円
営業利益率(%) 1.1% 0.6%


販売費及び一般管理費のうち、店舗家賃が25億円(構成比30%)、給料及び手当が24億円(同30%)を占めています。

(3) セグメント収益


直営店商品販売事業は一部商品の販売強化が奏功したものの、不採算店の整理や先行投資等により微減収、営業赤字となりました。卸販売事業も販路整理等の影響で減収減益です。一方、直営店サービス事業はフィットネスクラブの入会者増等により増収となり、利益も前期水準を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
直営店商品販売事業 90.0億円 89.6億円 -1.2億円 -1.2億円 -1.4%
卸販売事業 14.0億円 13.8億円 0.7億円 0.2億円 1.7%
直営店サービス事業 12.0億円 12.1億円 1.7億円 1.7億円 14.1%
連結(合計) 115.9億円 115.4億円 1.2億円 0.7億円 0.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的とされる末期型となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 0.6億円 -1.4億円
投資CF 214万円 -0.6億円
財務CF -1.8億円 -1.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「美しさと健康と快適な生活を願われる人々のために、優れた商品と真心のこもったサービスを提供する」を経営理念に掲げています。また、「お客さまにありがとうと言われるような販売を続ける」という社是の下、良い商品づくりを進め、顧客が十分納得し満足することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は利益ある成長を続ける「強くて良い会社」を目指すとともに、自然の恵みに感謝し、自然環境を大切にした商品づくりを重視しています。また、従業員や取引先など事業活動に関わる全ての人とのつながりを大切にし、ワークライフバランスの向上や安全で安心して働ける労働環境の充実にも努めています。

(3) 経営計画・目標


同社の組織運営においては、店舗スタッフ一人当たり売上高(スタッフ効率)を最も重視し、その結果を表す営業利益率を目標としています。2026年3月期を始期とする3カ年中期経営計画では、最終年度である2028年3月期に以下の数値を目標に設定しています。

* 営業利益率:3.1%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は化粧品事業再構築によるブランド価値向上、デジタル化によるサービス品質向上等を通じて各事業の収益力を高める戦略を描いています。具体的には、直営店における「ふれる接客」と商品価値の掛け合わせによる顧客満足度の向上、ECサイトとのメンバーズシステム統合、新規事業で取得したブランドの拡販などに注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、顧客サービスと親身な接客を重視しており、人材の雇用と育成を経営の重要課題と位置づけています。コンサルティング販売を柱とするため、販売教育部を中心とした定期的なトレーニングを実施しています。また、人事制度改革による人材登用の促進や、子育て・介護と仕事の両立を図る職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.4歳 9.3年 4,261,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 67.8%
男性育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 54.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 67.3%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 60.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(90%以上)、中途採用者の管理職比率(90%以上)、女性従業員の育児休暇取得率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境、競争戦略について


同社の属する国内化粧品市場は成熟しており、新規参入も増加傾向にあります。類似品の登場による競争力低下や、環境変化に的確に対処できない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、素肌みがきを通じたブランド価値向上等により競争優位性を高める戦略を構築しています。

(2) 商品の製造、品質管理体制について


同社は自社ブランド商品を外部メーカーに製造委託しています。天災や事故、サイバー攻撃等で製造委託工場の機能が低下した場合や、原材料価格の高騰、委託先の倒産等が生じた場合、商品の安定供給や品質に支障をきたし、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制等について


化粧品等の販売において、医薬品医療機器等法等の規制を受けています。法改正や解釈変更への適応遅れ、重大な消費者トラブルによるブランド信用低下、また店舗におけるリラクゼーションが医療類似行為と判断されるような事態が生じた場合、事業活動が制限されるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。