※本記事は、株式会社ハウス オブ ローゼ の有価証券報告書(第44期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハウス オブ ローゼってどんな会社?
自然志向の化粧品やボディケア商品の企画・販売、およびリラクゼーションサロンの運営を行う企業です。
■(1) 会社概要
1982年に化粧品のプライベートブランド開発と販売を目的に設立されました。1996年に日本証券業協会へ株式を店頭登録し、2000年には英国式リフレクソロジーサロンの1号店を開店してサービス事業へ進出しました。2006年からは女性専用フィットネス「カーブス」に加盟し店舗展開を開始しています。2025年4月には「MAMA BUTTER」事業を譲受し、ブランドポートフォリオを拡充しました。
同社の従業員数は単体で751名です。筆頭株主は資本業務提携先であるワコールホールディングスで、第2位はローズエージェンシー、第3位は資本業務提携先のアイスタイルとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ワコールホールディングス | 21.26% |
| ローズエージェンシー | 9.96% |
| アイスタイル | 5.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名、計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は川口 善弘氏です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川口 善弘 | 代表取締役社長営業本部長 | 2014年入社。直営店本部長、第一直営店営業部長などを経て、2024年代表取締役社長に就任。2025年4月より現職。 |
| 神野 晴年 | 取締役取締役会議長 | 2002年入社。営業本部長、代表取締役社長、代表取締役会長兼CEOなどを歴任。2022年6月より現職。 |
| 坂 直幸 | 取締役 | 2006年入社。営業企画部長、営業企画本部長、マーケティング本部長などを歴任。2025年4月より現職。 |
| 小野 敏健 | 取締役経営企画室長 | 1983年入社。商品部、株式・法務課マネジャーを経て、2014年経営企画室長。2022年6月より現職。 |
| 佐藤 哲 | 取締役管理本部長 | 1989年入社。物流センター長、人事・総務部長などを経て、2019年業務執行役員管理本部長。2022年6月より現職。 |
| 岸本 佳子 | 取締役マーケティング本部長 | 1992年入社。店舗勤務、エリアマネジャー、販売教育部長などを歴任。2025年4月より現職。 |
| 池田 達彦 | 取締役(監査等委員) | 2012年入社。直営店本部長、管理本部長、代表取締役社長兼COOなどを歴任。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、町田 眞友(監査法人A&Aパートナーズ社員)、北川 真一(ワコールホールディングス常勤監査役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「直営店商品販売事業」「卸販売事業」「直営店サービス事業」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 直営店商品販売事業
「ハウス オブ ローゼ」ブランドを中心としたスキンケア、ボディケア、バス用品などを、百貨店や専門店等の直営店舗およびECサイトを通じて一般顧客へ販売しています。主力商品には「Oh!Baby」シリーズなどがあります。
収益は一般顧客への商品販売代金です。運営は同社が行っています。
■(2) 卸販売事業
百貨店、専門店、量販店などの法人顧客や販売代理店に対して、同社ブランドの化粧品や雑貨等を卸売りしています。また、一部海外向けの越境EC卸売なども含まれます。
収益は取引先への商品販売代金です。運営は同社が行っています。
■(3) 直営店サービス事業
英国式リフレクソロジーサロンや、フランチャイズ加盟している女性専用フィットネス「カーブス」の店舗運営を行っています。リラクゼーションと健康づくりの場を提供しています。
収益は利用者からの施術料や会費収入です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は110億円台後半で推移していますが、直近では減収傾向にあります。利益面では、2023年3月期以降、原材料費の高騰や人件費の増加等の影響により利益率が低下傾向にあり、2025年3月期は大幅な減益となりました。当期純利益も減少しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 107億円 | 113億円 | 119億円 | 120億円 | 116億円 |
| 経常利益 | 1.5億円 | 2.8億円 | 1.9億円 | 3.7億円 | 1.5億円 |
| 利益率(%) | 1.4% | 2.5% | 1.6% | 3.1% | 1.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.7億円 | 1.0億円 | 5.1億円 | 1.2億円 | 0.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に加え、人件費率の上昇やシステム導入関連費用の増加などが響き、営業利益は前期比で大きく減少しました。売上原価率は改善傾向にあるものの、販管費の負担増が利益を圧迫する構造となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 120億円 | 116億円 |
| 売上総利益 | 85億円 | 83億円 |
| 売上総利益率(%) | 71.1% | 71.3% |
| 営業利益 | 3.7億円 | 1.2億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 1.1% |
販売費及び一般管理費のうち、店舗家賃が25億円(構成比30%)、給料及び手当が24億円(同29%)を占めています。売上原価においては、当期商品仕入高が27億円(売上原価合計に対し82%)を占めています。
■(3) セグメント収益
直営店商品販売事業は店舗数の減少やシステム導入時のオペレーション負荷により減収となりました。卸販売事業も一部店舗の退店や主力商品の売上減により減収となっています。直営店サービス事業は退店の影響で減収となりましたが、カーブス事業の伸長により部門利益は確保しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 直営店商品販売事業 | 92億円 | 90億円 |
| 卸販売事業 | 16億円 | 14億円 |
| 直営店サービス事業 | 12億円 | 12億円 |
| 連結(合計) | 120億円 | 116億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラスを維持していますが、投資有価証券の売却等により投資CFもプラスとなり、その資金を配当支払いやリース債務返済などの財務活動に充当しています。営業活動によるキャッシュ創出に加え、資産の入れ替えを行いながら財務体質の改善を図る局面と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.9億円 | 0.6億円 |
| 投資CF | -1.9億円 | 0.0億円 |
| 財務CF | -4.5億円 | -1.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「美しさと健康と快適な生活を願われる人々のために、優れた商品と真心のこもったサービスを提供する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、多くの女性に支持される店舗づくりと商品開発に注力し、顧客との接点拡大を通じて安定的な成長を目指しています。
■(2) 企業文化
「お客さまにありがとうと言われるような販売を続ける」という社是を掲げており、顧客満足を最優先する文化があります。また、商品づくりにおいては「4Universal」(for Skin, for Everyone, for Animals, for Earth)という理念を新たに掲げ、サステナビリティや多様性への配慮を重視する姿勢を強めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、スタッフ効率(店舗スタッフ一人当たり売上高)を重視しており、その結果としての営業利益率を重要な経営指標と位置づけています。現在は営業利益率が低水準にありますが、将来的には営業利益率5.0%を目標として掲げ、持続的な企業価値の向上に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
新3ヶ年中期経営計画において、化粧品事業の再構築によるブランド価値向上とデジタル化推進による経営効率化を掲げています。直営店では「素肌みがき」の再構築と会員基盤の強化を図り、EC事業では外部モールへの展開を強化します。また、MAMA BUTTER事業の譲受による新ブランド育成や、人的資本の強化にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「親身な接客」を重視する同社では、販売スタッフの教育に特に注力しています。新人研修やOJTに加え、販売教育部による定期的なトレーニングを実施し、社是の実践を図っています。また、本社部門ではテレワークの導入や昇格制度の改定を行い、働きやすい環境整備と従業員の意欲向上を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.1歳 | 9.0年 | 4,405,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 67.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 56.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 69.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 59.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 営業・販売に関わる人材の確保・育成
同社の化粧品販売事業はコンサルティング販売を柱としており、スタッフの資質や技量が店舗売上に大きく影響します。また、リラクゼーションサロン事業においても有資格者の確保が必須です。人材の確保や育成が十分に進まない場合、またはスタッフのモチベーション低下が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 商品の品質管理と風評リスク
同社はOEMメーカーに生産を委託するファブレス体制をとっています。万一、商品に品質上の欠陥が生じたり、消費者トラブルが発生した場合、損害賠償責任のほか、百貨店等の出店先からの信用低下により出店契約が解除される恐れがあります。これらは同社の経営成績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) 法的規制への対応
同社の事業は「医薬品医療機器等法」「食品衛生法」「景品表示法」など多数の法的規制を受けています。特に化粧品等の製造販売業許可は事業継続の前提となります。万一、法令違反等により許可の取消しや業務停止処分を受けた場合、または法改正への対応が遅れた場合、事業活動に支障をきたす可能性があります。
■(4) 競争激化と市場環境の変化
国内化粧品市場は成熟しており、異業種からの新規参入も増加しています。同社は自然志向商品等で差別化を図っていますが、類似品の登場や競合他社との競争激化により競争力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、消費者の節約志向や購買行動の変化もリスク要因となります。



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