G‐7ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

G‐7ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の同社は、オートバックスや業務スーパーのメガフランチャイジーとして多角的に事業を展開しています。直近の業績は、M&Aや新規出店により売上高が2141億円で増収となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は49億円で減益となりました。海外展開や生産性向上を推進しています。


※本記事は、株式会社G‐7ホールディングス の有価証券報告書(第50期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. G‐7ホールディングスってどんな会社?


同社は「オートバックス」や「業務スーパー」の最大手フランチャイジーとして、多角的な店舗運営を行う企業です。

(1) 会社概要


1976年にキノシタ商事を設立し、オートバックス大久保店を開店しました。2002年に株式会社サンセブン(現・G‐7スーパーマート)を設立し業務スーパー事業を開始しました。2004年にはバイク用品店事業を開始し、2006年に持株会社体制へ移行し現商号に変更しました。2022年に東証プライム市場へ移行し、2024年には株式会社ボン・サンテを子会社化しています。

2025年3月31日時点で、従業員数は連結2,204名、単体66名です。筆頭株主は創業者関連の一般社団法人で、第2位は奨学財団、第3位は創業者関連の合同会社です。

氏名 持株比率
一般社団法人Kトラスト信託口 27.08%
公益財団法人G‐7奨学財団 16.75%
合同会社KCM 7.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役会長は金田達三氏、代表取締役社長は岸本安正氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
金田 達三 取締役会長(代表取締役) 1993年同社入社。G‐7・オート・サービス代表取締役会長などを歴任し、2022年5月より現職。
岸本 安正 取締役社長(代表取締役) 1983年同社入社。経理部長、常務取締役、経営管理本部長などを歴任し、2023年6月より現職。
松田 幸俊 取締役総務統括部長 1998年同社入社。管理本部長兼総務部長などを経て、2025年4月より現職。
関 大作 取締役 2003年サンセブン(現G‐7スーパーマート)入社。同社取締役社長を経て2018年6月より現職。
玉木 功 取締役 1999年テラバヤシ(現G‐7ミートテラバヤシ)入社。同社取締役副社長を経て2019年6月より現職。
野口 真一 取締役 1996年オートセブン(現同社)入社。G‐7・オート・サービス専務取締役を経て2023年6月より現職。
吉田 泰三 取締役(常勤監査等委員) 公益社団法人関西ニュービジネス協議会理事事務局長などを経て、2022年6月より現職。


社外取締役は、坂本充(マネジメントエフ代表取締役社長)、志田幸宏(ANALOG PTE.LTD.代表取締役社長)、玉置菜々子(弁護士)、藤村絵里子(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「車関連事業」「業務スーパー事業」「精肉事業」および「その他」事業を展開しています。

車関連事業


オートバックスやバイクワールドの店舗運営を行い、カー用品・バイク用品の販売、車検・整備、車両販売などを提供しています。顧客は一般消費者です。

商品の販売代金やサービスの対価が主な収益源です。運営は主に株式会社G‐7・オート・サービス、株式会社G‐7バイクワールド、株式会社G‐7.CrownTradingが行っています。

業務スーパー事業


「業務スーパー」のフランチャイズ店舗を運営し、冷凍食品や加工食品などを販売しています。一般消費者および飲食店などの業者が顧客です。

商品販売による代金が収益源です。運営は株式会社G‐7スーパーマート、株式会社ボン・サンテが行っています。

精肉事業


「お肉のてらばやし」等の屋号で精肉店を展開し、食肉および畜産加工品を販売しています。安全・安心な食材を求める地域顧客が対象です。

商品販売による代金が収益源です。運営は株式会社G‐7ミートテラバヤシが行っています。

その他


農産物直売所「めぐみの郷」の運営、こだわり食品の卸売、ミニスーパー「リコス」の運営、フィットネス事業などを展開しています。

商品販売代金や卸売による収益、施設利用料などが収益源です。運営は株式会社G7ジャパンフードサービス、株式会社G7アグリジャパン、株式会社G‐7リコス・ストアズ、株式会社G7リテールジャパンなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大しており、特に直近では2141億円に達しています。経常利益は70億円台で推移しており、比較的安定しています。当期純利益も安定的に黒字を確保していますが、利益率は3%台後半から3%台半ばへとわずかに低下傾向にあります。全体として事業規模の拡大が続いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1636億円 1685億円 1769億円 1930億円 2141億円
経常利益 73億円 79億円 68億円 73億円 75億円
利益率(%) 4.5% 4.7% 3.9% 3.8% 3.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 30億円 14億円 26億円 29億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の1930億円から2141億円へと増加しました。売上総利益も増加していますが、売上総利益率は23.7%から24.3%へと改善しています。一方、営業利益率は3.6%から3.3%へと低下しており、販管費の増加が利益率に影響を与えていることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1930億円 2141億円
売上総利益 457億円 519億円
売上総利益率(%) 23.7% 24.3%
営業利益 69億円 71億円
営業利益率(%) 3.6% 3.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が82億円(構成比18%)、雑給が76億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


業務スーパー事業が売上の過半を占め、増収に大きく貢献しています。車関連事業も増収増益で堅調です。一方、精肉事業は売上が横ばいで利益が減少しています。その他事業は増収増益となりました。全体として、主力事業の拡大が全体の成長を牽引しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
車関連事業 434億円 460億円 16億円 20億円 4.4%
業務スーパー事業 1063億円 1237億円 48億円 49億円 3.9%
精肉事業 212億円 210億円 4億円 2億円 1.0%
その他 221億円 233億円 2億円 3億円 1.3%
調整額 - - 3億円 1億円 -
連結(合計) 1930億円 2141億円 73億円 75億円 3.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 74億円 75億円
投資CF -40億円 -88億円
財務CF -19億円 10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会貢献」「自己実現」「願望実現」を経営の基本理念としています。この理念のもと、ニーズの多様化に対応した業容拡大、環境変化に対応した新規事業開発、業務用食材の低価格提供による地域社会への貢献などを目指しています。また、社員の自己実現機会の創出や、利益・キャッシュフロー重視の事業運営による財務基盤強化を掲げています。

(2) 企業文化


同社グループは、人間尊重を経営基盤とし、「顧客第一主義」「現地現場主義」を重視する文化を持っています。顧客・株主・従業員・地域社会等のステークホルダーの満足度向上を目指した経営を実践しており、創業者が持ち続けた事業への情熱とチャレンジ精神、スピード経営の継承を重視しています。また、生産性向上や働き方改革にも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経常利益および当期純利益重視の経営を推進しています。具体的には、以下の経営指標を目標数値として掲げています。

* 連結経常利益率:5.5%以上
* ROE(自己資本利益率):25.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「収益向上」「人材育成」「組織継続」「市場開拓」「アジア市場」への取り組みを重点課題としています。創業50周年を迎える2025年に向け、タイムリーな新規出店や生産性向上、徹底的な経費削減を推進します。また、M&Aや資本提携を活用した業容拡大、東南アジア諸国での事業展開も進める方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、販売事業を基盤とし、顧客に満足を与え続けられる人材の育成に注力しています。具体的には「幹部養成塾」「NC養成塾」「創業者塾」を開講し、次世代リーダーや経営者の育成に取り組んでいます。また、多様な人材確保のため、外国人留学生の採用やシニア人材の活用、働きやすい環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 52.3歳 7.4年 5,810,002円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 46.6%
男女賃金差異(正規) 89.5%
男女賃金差異(非正規) 48.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(22.8%)、育児休暇取得率合計(70.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 東南アジア市場への進出


マレーシアで現地法人を設立し店舗展開を進めていますが、宗教や文化の相違による人材確保の困難さ、法規制の変更、外国資本への許認可の壁などのリスクがあります。これらにより費用の増加や進出遅延が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) フランチャイズ契約の継続性


主力事業である車関連事業や業務スーパー事業は、フランチャイズ本部との契約に基づき運営されています。契約には期間や解除条項が定められており、何らかの理由で契約継続に支障が生じたり解除されたりした場合、同社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 国内市場の成熟と競合


自動車用品業界は成熟市場であり、個人消費低迷や競合の影響を受けています。また、業務スーパー事業や精肉事業においても、同業他社との競合激化により来店客数の減少や売上単価の低下が起きた場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(4) 自然災害及び事故等


主要事業は関西・中部・関東地区での店舗運営であり、地震や台風などの自然災害、火災、停電等により店舗の営業活動が阻害された場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動による異常気象の頻発もリスク要因として認識されています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。