アイエーグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイエーグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイエーグループは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、主にオートバックスを運営するカー用品事業をはじめ、ブライダル事業、建設不動産事業などを展開する企業です。直近の業績では、主力事業の堅調な推移や不動産売却等により、増収ならびに経常利益・当期純利益ともに増益を達成し、安定した成長を続けています。


※本記事は、アイエーグループ株式会社の有価証券報告書(第43期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アイエーグループってどんな会社?


同社はカー用品事業を中心に、ブライダルや建設不動産事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1984年に自動車用品販売を目的として設立され、同年オートバックスセブンとフランチャイズ契約を締結しました。2004年にジャスダックへ上場を果たし、2008年にはブライダル事業に参入するとともに持株会社体制へ移行して現在の社名となりました。2024年にはエネルギー関連子会社を設立しています。

同社グループの従業員数は連結で1027名、単体で32名です。大株主については、筆頭株主が役員の関連会社とみられる有限会社草創で約40%を保有しており、第2位はSNホールディングス、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
有限会社草創 39.80%
SNホールディングス 3.90%
内藤征吾 3.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は古川隆太郎氏が務めており、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
古川隆太郎 代表取締役社長 2013年同社入社。PwCコンサルティング合同会社等を経て2019年同社取締役、2021年取締役副社長。2022年より現職。アイエーエナジー代表取締役社長を兼務。
古川教行 取締役会長 1984年同社設立、代表取締役社長。アイディーエム代表取締役社長やアイエー代表取締役社長等を歴任し、2022年より現職。
小野敦 専務取締役 1994年同社入社。開発部長や取締役商品部長、アイエー常務取締役、アルカンシエル取締役等を歴任し、2015年より現職。アルカンシエル取締役会長等も務める。
岡野良信 常務取締役 1991年同社入社。管理部長を経て2003年取締役経理部長。その後、経理財務部長や内部統制担当を歴任し、2018年より現職。
足立浩二 取締役開発部長 1996年同社入社。開発部長、アイディーエム取締役等を歴任。2014年同社取締役開発部長に就任し、2016年より現職。アイディーエム取締役副社長等を兼務。
藤井敏光 取締役 1984年同社入社。取締役店舗運営部長やアイエー常務取締役等を経て2012年同社取締役。オートバックス神奈川取締役等を歴任し、2016年より現職。


社外取締役は、佐野尚見(元松下電器産業代表取締役副社長)、小森忠明(元三井住友フィナンシャルグループ常務執行役員)、川村倫大(元三和総合研究所)です。

2. 事業内容


同社グループは、カー用品事業、ブライダル事業、建設不動産事業およびその他の事業を展開しています。

カー用品事業


主にオートバックスセブンが運営するフランチャイズチェンに加盟し、自動車用品等の小売りおよび関連サービスを提供する事業です。自動車整備や車検などのサービスのほか、中古車の買取や販売も手掛けており、一般のカーオーナーを主な顧客としています。

収益源は、一般消費者へのカー用品の販売代金やピットサービスの提供による工賃、車両の販売代金などです。事業の運営は主にアイエーおよびアイエーオートバックスが行っています。

ブライダル事業


ゲストハウスウェディングのスタイルを取り入れた結婚式場を運営し、挙式・披露宴の企画から当日のサービスまでを総合的に提供する事業です。結婚を予定しているカップルを対象に、ニーズに応じた多様なウェディングプランを提案しています。

収益源は、顧客からの挙式披露宴のサービス提供に伴う代金や、衣装レンタル、装花などの関連費用です。また、法人や個人向けの宴会利用からも収益を得ており、運営は主にアルカンシエルが行っています。

建設不動産事業


主に保有する不動産の賃貸や売却などを行う事業です。比較的人口の多い主要都市を中心に、事業用不動産などを保有しています。さらに、太陽光発電設備や電気自動車用充電システムの販売および設置工事といったエネルギー関連分野にも取り組んでいます。

収益源は、保有不動産の賃貸収入や物件の売却益、建設工事の請負代金などです。不動産事業は主にアイディーエムが、エネルギー関連分野や店舗設備・営繕業務はアイエーエナジーが運営を行っています。

その他の事業


グループ内の経営管理や共通業務の集約、および一部の不動産賃貸などを行う事業です。グループ各社の円滑な事業推進をサポートする役割を担っています。

収益源は、グループ会社から受け取る経理・総務などの代行業務に関する手数料や、自社で保有する店舗不動産のグループ会社への賃貸収入です。運営は親会社である同社が直接行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は緩やかな増加傾向にあり、直近では398億円に達しています。経常利益も19億円前後で安定して推移しており、収益基盤の底堅さがうかがえます。当期純利益については一時的なマイナスがあったものの、その後は黒字に回復し堅調に推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 358億円 355億円 357億円 373億円 398億円
経常利益 15億円 15億円 20億円 19億円 19億円
利益率(%) 4.0% 4.2% 5.5% 5.1% 4.8%
当期純利益 -19億円 4億円 5億円 6億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益・営業利益ともに前年と同等以上の水準を確保しています。売上総利益率や営業利益率はわずかに低下しているものの、安定した利益率を維持しており、着実な事業運営が行われていることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 373億円 398億円
売上総利益 177億円 179億円
売上総利益率(%) 47.4% 45.0%
営業利益 18億円 18億円
営業利益率(%) 4.8% 4.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が41億円(構成比26%)、賃借料が21億円(同13%)、ロイヤリティが21億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のカー用品事業は堅調な需要を背景に売上を伸ばしています。ブライダル事業も安定して推移する中、建設不動産事業は保有不動産の戦略的売却や大型工事案件の竣工により大幅な増収を達成しており、全体の売上高を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
カー用品事業 320億円 326億円
ブライダル事業 42億円 43億円
建設不動産事業 11億円 29億円
その他の事業 0億円 0億円
連結(合計) 373億円 398億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金を借入金の返済や事業投資に充てる「健全型」の傾向を示しています。手元資金で投資を賄いながら負債を削減しており、安定した財務運営が行われています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 15億円 24億円
投資CF -5億円 -8億円
財務CF -10億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.1%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「社員の成長と発展を願い、仕事環境の創出を致します」「社会との関わりを大切にし、豊かな社会作りに貢献致します」「時流変化を正しく認識し、絶えざる革新を行う企業経営に邁進致します」を企業理念に掲げています。顧客の期待の変化を正しく認識し、豊かさや楽しさを提供することを通じて社員が成長・発展することが、持続的な成長につながるという考えのもと経営を行っています。

(2) 企業文化


創業の志である「グッドカンパニーを創ること」を重要視しています。グッドカンパニーとは、お客様および社会にとって存在価値が高く、社員にとってやりがいと自己成長が見込める会社と定義しています。ステークホルダーに支えられているという感謝の気持ちを持ちながら、本業を通じて社会課題の解決に取り組む文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


グループ経営マスタープラン「~2030年に向けて~ 進化と挑戦」を策定し、中長期的に取り組むべき重点課題の見直しと事業ごとの戦略を明確にしています。中期の目標数値として以下の目標を掲げて達成状況を判断しています。

* 売上高目標:395億円
* 経常利益目標:17億円

(4) 成長戦略と重点施策


重点課題として「企業理念の承継と共有」「時流にあった人材の育成と発掘」「グループ事業の進化」「経営基盤の強化」を掲げています。カー用品事業では利益率の高いピットサービスや中古車買取・販売に注力し、ブライダル事業では人材育成やデジタル化を推進します。建設不動産事業では脱炭素社会を見据えたエネルギー関連領域の拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員一人ひとりの力が事業の価値創造を支えていると認識し、人的資本を重要な経営資源と位置付けています。事業ごとの最適な人材採用・育成と多様な働き方に合わせた制度設計を進めるとともに、次世代経営幹部層への集中的な教育としてグループ横断の研修プログラム等を実施し、多角的な視点を持つ経営人材の育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.0歳 13.1年 5,773,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.2%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全従業員) 46.4%
男女賃金差異(正規) 78.6%
男女賃金差異(非正規) 77.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 店舗賃貸借契約にかかるリスク


店舗の多くは土地建物の賃貸借契約等により出店しており、貸主に差入保証金を差し入れています。中途解約時の違約金発生や、貸主の財政悪化により保証金が回収できないリスクがあります。定期的なコミュニケーションや状況に応じた不動産購入で影響を抑えています。

(2) 個人情報漏洩リスク


各事業において多くの顧客の個人情報を取り扱っています。サイバー攻撃の高度化などにより情報漏洩が発生した場合、社会的な信用の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として管理規程の制定や社内外への通知による情報管理意識の向上を図っています。

(3) 固定資産の減損リスク


店舗運営を幅広く行っているため、収益の悪化などにより固定資産の減損損失を新たに計上することとなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。事業計画策定段階から綿密に計画を行い、収益性の維持向上を図ることで減損リスクの低減に努めています。

(4) フランチャイズ契約にかかるリスク


主力事業においてオートバックスセブンとフランチャイズ契約を締結し、出店の都度承認を得る必要があります。計画通りの出店ができない場合、事業拡大に影響を及ぼす可能性があるため、採算性等を見極めた出店判断と本部との密な連携を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。