アイエーグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイエーグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイエーグループは東証スタンダード市場に上場し、カー用品のオートバックスFC運営を主力とする企業です。ブライダルや建設不動産事業も展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高373億円と増収を達成しましたが、経常利益は19億円、親会社株主に帰属する当期純利益は13億円と減益になりました。


※本記事は、アイエーグループ株式会社 の有価証券報告書(第42期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アイエーグループってどんな会社?


神奈川県を中心にオートバックス等のフランチャイズ店舗を展開するほか、ブライダルや不動産事業も手がける複合企業です。

(1) 会社概要


1984年に自動車用品販売を目的に設立され、オートバックスセブンと契約し店舗運営を開始しました。2004年にJASDAQへ上場し、2008年には持株会社体制へ移行して現在の商号に変更しました。その後、M&Aやグループ再編を進め、2014年にはオートバックス神奈川を子会社化して事業基盤を拡大しました。2022年の市場区分見直しにより、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

連結従業員数は1031名、単体では35名が在籍しています。筆頭株主は創業家の資産管理会社である有限会社草創で、第2位は株式会社SNホールディングス、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
有限会社草創 40.00%
SNホールディングス 3.90%
内藤征吾 3.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は古川隆太郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
古川隆太郎 代表取締役社長 PwCコンサルティング等を経て2017年入社。社長室長、取締役副社長を経て2022年より現職。
古川教行 取締役会長 1984年の設立時より代表取締役社長を務め、アイエー代表取締役社長等を経て2022年より現職。
小野敦 専務取締役 1994年入社。商品部長、営業副本部長、アルカンシエル代表取締役副社長等を経て2017年より現職。
岡野良信 常務取締役 1991年入社。管理部長、経理財務部長等を経て2018年より現職。
足立浩二 取締役開発部長 1996年入社。アイディーエム代表取締役、アイエーエナジー取締役等を歴任し、2024年より現職。
藤井敏光 取締役 1984年入社。アイエー代表取締役社長等を歴任し、現在はカー用品事業を管掌。


社外取締役は、佐野尚見(公益財団法人松下社会科学振興財団理事)、前川昌之(公認会計士税理士前川昌之事務所代表)、川村倫大(ライフカプセル代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「カー用品事業」「ブライダル事業」「建設不動産事業」および「その他の事業」を展開しています。

(1) カー用品事業

タイヤ、ホイール、カーオーディオ等のカー用品販売や、車検・整備、車両買取・販売を行っています。一般消費者を主な顧客とし、電気自動車への対応など時代の変化に合わせたサービス提供を進めています。

収益は、来店客への商品販売代金やピットサービス料、車両販売代金から得ています。運営は主にアイエー、アイエーオートバックス、アイエーマネージメントサービスが行っています。

(2) ブライダル事業

ゲストハウスウェディング形式の挙式・披露宴の企画・運営を行っています。婚姻予定のカップルを対象に、多様化するニーズに合わせた挙式スタイルを提案しています。

収益は、挙式・披露宴の施行に伴う飲食代、会場費、衣装代等から得ています。運営は主にアルカンシエル、アルカンシエルプロデュースが行っています。

(3) 建設不動産事業

不動産の売買・賃貸、建設工事の請負、および太陽光発電設備やEV充電システムの販売・施工を行っています。個人や法人を対象に、住宅や収益用不動産を提供しています。

収益は、不動産の販売代金、賃貸料、工事請負代金から得ています。運営は主にアイディーエム、アイエーエナジーが行っています。

(4) その他の事業

グループ各社に対する経理・総務代行業務などを行っています。

収益は、グループ会社からの業務受託料等が中心です。運営は主にアイエーグループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は326億円から373億円へと緩やかに拡大傾向にあります。利益面では、2021年3月期に赤字を計上しましたが、その後はV字回復し、経常利益は15億〜20億円の水準で推移しています。直近では増収ながらも若干の減益となりましたが、黒字基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 326億円 358億円 355億円 357億円 373億円
経常利益 -5.6億円 15億円 15億円 20億円 19億円
利益率(%) -1.7% 4.0% 4.2% 5.5% 5.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.9億円 -19億円 4.4億円 5.4億円 6.5億円

(2) 損益計算書


2期間の傾向を分析すると、売上高は357億円から373億円へ増加し、売上総利益も162億円から177億円へ伸長しました。一方で、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は18億円で横ばいから微減となりました。売上総利益率は改善しており、本業の収益力自体は向上していることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 357億円 373億円
売上総利益 162億円 177億円
売上総利益率(%) 45.5% 47.4%
営業利益 18億円 18億円
営業利益率(%) 5.2% 4.8%


販売費及び一般管理費のうち、その他が74億円(構成比47%)、従業員給料が41億円(同26%)を占めています。売上原価については、商品仕入高等が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


カー用品事業はタイヤ販売や車両販売が好調で増収となりましたが、利益は微増にとどまりました。ブライダル事業は増収ながらもコスト増で減益、建設不動産事業は物件売却の反動などで減収減益となりました。全体としてはカー用品事業が収益の柱となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
カー用品事業 296億円 320億円 12億円 14億円 4.2%
ブライダル事業 42億円 42億円 3.1億円 2.4億円 5.6%
建設不動産事業 16億円 11億円 2.5億円 0.3億円 3.2%
連結(合計) 357億円 373億円 18億円 18億円 4.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資や借入返済に回す「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 16億円 15億円
投資CF -6億円 -5億円
財務CF -15億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社員の成長と発展を願い、仕事環境の創出を致します。」「社会との関わりを大切にし、豊かな社会作りに貢献致します。」「時流変化を正しく認識し、絶えざる革新を行う企業経営に邁進致します。」を企業理念に掲げています。顧客の期待に応え、豊かさを提供することで社員が成長し、企業の持続的成長につながると確信して事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は、社員一人ひとりが知恵や発想、チャレンジ精神を持って参加することを重視しており、会社を「自己拡大の場」「自己実現の場」と位置付けています。広い視野と良識、責任感を持つ人材を育成する方針のもと、資格取得の奨励や各種研修プログラム(チャレンジプログラム、未来塾など)を通じて、自律的な成長を促す風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社はグループ経営マスタープラン「~2030年に向けて~ 進化と挑戦」に基づき、中期経営計画を策定しています。「理念の承継と共有」「時流にあった人材の育成と発掘」「グループ事業の進化」「経営基盤の強化」を重点課題とし、これらを毎期見直しながら実行に移しています。具体的な数値目標としては、売上高や経常利益の目標を設定し、進捗を管理しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、カー用品事業におけるピットサービスや中古車買取・販売の強化、ブライダル事業でのブランド価値向上とデジタル化推進、建設不動産事業での脱炭素関連領域の拡大に注力します。特に、新設した子会社を通じたEV充電システムや太陽光発電設備の販売・設置など、周辺事業領域の拡大と環境対応ビジネスの強化を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「時流にあった人材の育成と発掘」を重点課題とし、事業に合わせた教育機会の創出や制度変更、採用強化を行っています。特に資格取得を奨励しており、自動車整備士やブライダル関連資格、宅地建物取引士などの有資格者育成に注力しています。また、次世代リーダー育成のための研修プログラムも実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.0歳 13.1年 5,994,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.9%
男性育児休業取得率 64.7%
男女賃金差異(全労働者) 48.9%
男女賃金差異(正規雇用) 77.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 78.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 店舗展開および差入保証金に関するリスク

店舗の多くは賃貸借契約に基づいており、多額の保証金を差し入れています。貸主の財政悪化による回収不能や、契約期間前の解約に伴う違約金発生の可能性があります。同社は契約先との定期的な対話や、状況に応じた不動産購入の検討などで対策しています。

(2) 個人情報漏洩リスク

事業活動において多くの個人情報を取り扱っており、サイバー攻撃や不適切な取り扱いによる情報流出のリスクがあります。漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や業績への悪影響が懸念されます。同社は管理規定の制定や意識啓発によりリスク低減に努めています。

(3) フランチャイズ契約に関するリスク

カー用品事業はオートバックスセブンとのフランチャイズ契約に基づき運営されており、新規出店には本部の許諾が必要です。計画通りの出店ができない場合、業容拡大に影響する可能性があります。同社は本部との密な連携や多角的な視点での出店判断を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。