ハークスレイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハークスレイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハークスレイは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「ほっかほっか亭」のフランチャイズ展開を担う中食事業を中心に、店舗事業者向けソリューション、食品加工事業を展開する企業です。直近の業績は売上高524億円、経常利益30億円と、店舗リースやOEM受託が好調に推移して増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ハークスレイの有価証券報告書(第48期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハークスレイってどんな会社?


同社は「ほっかほっか亭」を展開する中食事業と、店舗支援や食品製造・物流などの周辺領域を多角的に手がける企業です。

(1) 会社概要


1980年3月に関西地区における「ほっかほっか亭」のフランチャイズ店舗展開のための事業本部として設立されました。1997年9月の店頭登録を経て、2004年に東京および大阪証券取引所市場第一部へ上場しました。2021年10月に純粋持株会社体制へ移行し、M&A等を通じて食品・物流領域への展開も広げています。

従業員数は連結で753名、単体で12名です。筆頭株主はライラックで持株比率は43.36%です。第2位は麻生で10.38%、第3位はこやので5.11%となっています。上位株主には多様な事業会社や資産管理会社が名を連ねているほか、創業者の青木達也氏も第4位の株主に位置しています。

氏名 持株比率
ライラック 43.36%
麻生 10.38%
こやの 5.11%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長兼社長は青木達也氏が務めており、取締役9名のうち2名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
青木達也 代表取締役会長兼社長 1980年同社設立代表取締役社長。ほっかほっか亭総本部代表取締役会長兼社長等を歴任し、2022年より現職。
澤田忠雄 取締役 2004年同社入社。アサヒ物流(現アサヒL&C)代表取締役社長等を経て、2024年アサヒL&C代表取締役会長。2008年より現職。
水野治彦 取締役 千代田生命保険相互会社やレコフ等を経て、2023年同社入社。事業開発部長や上席執行役員等を経て、2025年より現職。
阿部豊明 取締役 ミニストップ取締役営業開発担当等を歴任後、2024年同社入社。経営企画部グループサポート室長を経て、2025年より現職。


社外取締役は、酒井豊(堂島不動産代表取締役)、道畑富美(Foodbiz-net代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「中食事業」「店舗アセット&ソリューション事業」「物流・食品加工事業」および「その他」事業を展開しています。

中食事業


「ほっかほっか亭」店舗のフランチャイズチェーンシステム展開をはじめ、弁当・惣菜の製造販売、食材の提供、ケータリングサービスを行っています。新メニュー開発や自社アプリを活用したデジタル販促を通じて、一般消費者から大型パーティー需要まで幅広い顧客層に食事を提供しています。

主な収益源は加盟店からのロイヤリティ、食材販売のほか、直営店舗での売上です。事業運営はほっかほっか亭総本部をはじめ、味工房スイセンやほっかほっか亭京滋地区本部などの子会社が担い、各地域における商品提供やブランド管理を推進しています。

店舗アセット&ソリューション事業


飲食店舗などの運営事業者向けに、店舗リースや不動産の価値向上・販売、人材採用ソリューション、IT経営ソリューション、パーティー・イベント用品のレンタル等を提供しています。サービス事業者の出店から日々の運営、人材確保までを多角的に支援しています。

主な収益源は、店舗リース取引や不動産管理によるストック収入、バリューアップ後の不動産販売益、人材紹介の手数料などです。店舗流通ネットを中心としたグループ会社が事業を運営しており、店舗物件の仕入れから内装設備・財務支援に至る幅広いソリューションを展開しています。

物流・食品加工事業


グループ内外の企業向けに物流センターの運営や配送を行うほか、中華惣菜、製菓・ナッツ類の製造、卸販売、人工光型植物工場での野菜生産などを手がけています。スーパーや外食チェーンからのOEM製造受託も行い、食のバリューチェーンを支えています。

物流・カミッサリー業務による受託手数料や、製造・加工した食品の販売代金が主な収益源です。事業運営はアサヒL&Cのほか、稲葉ピーナツ、谷貝食品、ホソヤコーポレーション、Jリーフなどの専門性の高いグループ会社が各々の得意領域において担っています。

その他


報告セグメントに帰属しないグループ支援事業などを展開しています。グループ全体の不動産管理や関連サービスによる収益が含まれており、同社やグループ関連会社がその運営を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、M&Aを通じた新規領域の拡大や既存事業の回復などにより拡大傾向にあります。一時的に売上高が横ばいとなった期間もありましたが、直近の期では全事業セグメントでの好調な推移により過去最高の売上高と経常利益を記録し、利益率も5%台後半まで上昇しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 317億円 356億円 468億円 452億円 524億円
経常利益 14億円 16億円 26億円 21億円 30億円
利益率(%) 4.3% 4.4% 5.5% 4.6% 5.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 3億円 8億円 12億円 15億円

(2) 損益計算書


直近2期間では増収に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約32%と安定しており、増収効果によって販売費及び一般管理費の増加を吸収したことで、営業利益が大幅に伸長し、営業利益率も改善を見せています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 452億円 524億円
売上総利益 145億円 168億円
売上総利益率(%) 32.1% 31.9%
営業利益 19億円 31億円
営業利益率(%) 4.3% 5.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が43億円(構成比31%)、支払手数料が15億円(同11%)、地代家賃が9億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の状況として、中食事業は原材料コストの低減施策が奏功し営業赤字から黒字へと転換しました。店舗アセット&ソリューション事業と物流・食品加工事業はM&Aの寄与や稼働店舗数の増加等により大幅な増収となりましたが、物流・食品加工事業はのれん償却費の増加により微減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
中食事業 172億円 165億円 -1億円 3億円 1.9%
店舗アセット&ソリューション事業 118億円 140億円 17億円 22億円 15.9%
物流・食品加工事業 162億円 219億円 9億円 8億円 3.8%
連結(合計) 452億円 524億円 19億円 31億円 5.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は健全型です。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 2億円 56億円
投資CF -68億円 -9億円
財務CF 44億円 -43億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.7%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「全ての人の健康と幸せを願い、豊かな明日を創造」することを理念に掲げています。日々の活動方針として「常に相手の立場にたって考動すること」「いつも革新に努め、前向きに考動すること」を定めており、時代の変化に対応し地域社会に貢献する姿勢を大切にしています。

(2) 企業文化


従業員個々の成長意欲を重視し、「人が活きる」企業経営を重要課題(マテリアリティ)の一つに位置づけています。多様な人材が平等に活躍の場を見出し、互いに補完しあいながら活力を最大化できる職場環境の整備を目指しており、従業員エンゲージメントの向上に向けた対話やコミュニケーションを推進しています。

(3) 経営計画・目標


2028年3月期を最終年度とする中期経営目標を策定し、事業の成長と収益拡大による持続的な利益成長を目指しています。成長投資を通じた経営基盤の強化によって、以下の具体的な数値目標を掲げています。

・ROE 8.3%
・売上高 720億円
・EBITDA 56億円
・当期純利益 25億円

(4) 成長戦略と重点施策


「自己変革型企業群」の構築に向け、成長投資としてM&Aや設備投資に178億円を投じ、特に物流・食品加工事業を中心とした積極投資を行います。中食事業では新メニューやデジタル販促による新規顧客開拓、店舗アセット事業では稼働店舗数の拡大、食品事業ではOEM受託の拡大やシナジー創出を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財育成方針及び社内環境整備方針」を掲げ、多様性のある人材の確保と成長支援を企業発展に不可欠と位置づけています。ビジネスに精通し環境適応能力を備えた高度な経営人材を社内外から発掘・育成するとともに、人権重視経営やワークライフバランスの充実を進め、能力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 50.0歳 6.8年 7,241,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 63.6%
男女賃金差異(正規雇用) 43.6%
男女賃金差異(パート・有期) 58.5%


※女性管理職比率および男性育児休業取得率については、同社単体では入社3年以内の社員が多数を占め、育児期間を終えた男性社員が多いため実績がなく「-」としています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメントの高評価目標割合(70%超)、周囲との人間関係に関する高評価スコア(約70%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 安全性品質の確保

食中毒や異物混入等の品質問題が生じた場合、営業停止や風評悪化により社会的信用を失い、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、食品安全マネジメントの国際規格の認証取得や品質管理部門による徹底した衛生管理、店舗での日常指導を通じて安心・安全な商品の提供に努めています。

(2) 食品の原材料価格変動

原材料を輸入に頼るナッツ類や、弁当の原材料となる米・野菜の価格高騰、為替変動等がコスト増をもたらし、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、サプライチェーンとの連携による安定調達や、グループ内での加工体制の整備、メニューの見直し等で価格変動リスクに対応しています。

(3) 販売用不動産価格変動

店舗不動産ビジネスにおいて、建設単価の上昇による収益性の低下や、不動産市況の悪化による販売不振・在庫評価損が発生するリスクがあります。これに対しては、幅広い販売ルートの拡充や在庫回転の向上、在庫ポジションの適正管理を通じて価格変動リスクのコントロールを図っています。

(4) 出店戦略と減損・空家賃

店舗リース事業において、経済環境等により出店事業者の確保が難航した場合、賃貸用不動産の空室や空家賃が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、人材紹介や内装設備等の多面的ソリューションを強みとするリーシング能力を活かし、見込み顧客への提案を強化してリスクを抑制しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。