※本記事は、株式会社ハークスレイ の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハークスレイってどんな会社?
「ほっかほっか亭」の運営を中核に、店舗不動産や物流・食品加工へ事業を多角化している企業グループです。
■(1) 会社概要
1980年3月、株式会社ほっかほっか亭大阪事業本部として設立され、関西地区でのフランチャイズ展開を開始しました。1993年にハークスレイへ商号変更し、2001年に大証・東証二部へ上場、2004年には一部へ指定替えとなりました(現在はスタンダード市場)。2021年10月には持株会社体制へ移行し、事業ポートフォリオの多角化を進めています。
同社の連結従業員数は734名(単体15名)です。大株主構成は、筆頭株主が不動産関連事業を行うライラック(43.36%)、第2位が麻生(10.35%)、第3位がこやの(5.11%)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ライラック | 43.36% |
| 麻生 | 10.35% |
| こやの | 5.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.0%です。代表取締役会長兼社長は青木達也氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青木達也 | 代表取締役会長兼社長 | 1980年同社設立代表取締役社長。アサヒ・トーヨー社長等を歴任し、2022年より現職。 |
| 石井実 | 代表取締役副社長 | 1993年昭和リース入社。店舗流通ネット社長等を経て、2024年より現職。 |
| 澤田忠雄 | 取締役 | 2004年同社入社。アサヒL&C社長等を歴任し、2008年より現職。 |
社外取締役は、酒井豊(堂島不動産代表取締役)、道畑富美(Foodbiz-net代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「中食事業」「店舗アセット&ソリューション事業」「物流・食品加工事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 中食事業
「ほっかほっか亭」ブランドの持ち帰り弁当チェーンを展開しています。フランチャイズシステムによる店舗展開に加え、直営店での弁当・惣菜の製造販売、食材の提供、ケータリングサービスを行っています。幅広い世代へのアプローチやデジタル販促を強化しています。
収益は、加盟店からのロイヤリティ収入や食材等の販売代金、直営店での商品売上などから構成されます。運営は主に株式会社ほっかほっか亭総本部や株式会社味工房スイセンなどが行っています。
■(2) 店舗アセット&ソリューション事業
飲食店等の店舗運営事業者向けに、店舗リース、不動産管理、内装設備支援などのソリューションを提供しています。また、店舗不動産の価値向上(バリューアップ)後の販売や、人材採用支援、IT経営ソリューションなども手掛けています。
収益は、店舗リース料、不動産賃貸収入、不動産販売益、人材紹介手数料、システム利用料などから構成されます。運営は主に店舗流通ネット株式会社やTRNシティパートナーズ株式会社などが行っています。
■(3) 物流・食品加工事業
物流センターの運営や企業向け物流サービス、食品加工、製菓製造、ナッツ・ドライフルーツ等の卸販売を行っています。OEM製造受託やカミッサリー(集中調理施設)の運営も含まれ、グループ内外へ食に関連するインフラ機能を提供しています。
収益は、物流業務受託料、加工食品や菓子の販売代金などから構成されます。運営は主に株式会社アサヒL&C、稲葉ピーナツ株式会社、株式会社ホソヤコーポレーションなどが行っています。
■(4) その他事業
上記報告セグメントに含まれない事業として、グループ支援事業などを行っています。
収益は、グループ各社への経営指導料や事務受託手数料などが含まれます。運営は主にハークスレイ(持株会社)が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は第46期まで拡大基調にありましたが、第47期は減収となりました。経常利益も第46期に最高益を記録した後、第47期は減益に転じています。第47期は原材料価格の高騰や店舗関連事業の反動減などが影響しましたが、積極的なM&Aにより事業規模の維持を図っています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 276億円 | 317億円 | 356億円 | 468億円 | 452億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 14億円 | 16億円 | 26億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 3.3% | 4.3% | 4.4% | 5.5% | 4.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 10億円 | 10億円 | 16億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しました。売上総利益率も低下しており、原材料費等のコスト増が影響している可能性があります。営業利益は減益となりましたが、一定の利益率は確保しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 468億円 | 452億円 |
| 売上総利益 | 153億円 | 145億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.6% | 32.1% |
| 営業利益 | 24億円 | 19億円 |
| 営業利益率(%) | 5.2% | 4.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が43億円(構成比34%)、支払手数料が14億円(同11%)を占めています。売上原価においては、食品仕入や加工費などが主要な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
中食事業は増収となったものの、原材料価格高騰の影響で赤字転落しました。店舗アセット&ソリューション事業は不動産販売の減少等により減収減益でした。一方、物流・食品加工事業はM&A効果等により増収増益となり、グループ全体の業績を下支えしています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中食事業 | 169億円 | 173億円 | 3億円 | -1億円 | -0.4% |
| 店舗アセット&ソリューション事業 | 158億円 | 122億円 | 20億円 | 17億円 | 14.2% |
| 物流・食品加工事業 | 165億円 | 181億円 | 7億円 | 9億円 | 4.9% |
| その他 | 9億円 | 8億円 | 9億円 | 8億円 | 100.0% |
| 調整額 | -32億円 | -32億円 | -13億円 | -14億円 | - |
| 連結(合計) | 468億円 | 452億円 | 24億円 | 19億円 | 4.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**パターン:積極型**
営業活動で得たキャッシュと、財務活動による調達資金(借入等)を合わせて、投資活動(設備投資やM&A等)へ積極的に振り向けている状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 70億円 | 2億円 |
| 投資CF | -62億円 | -68億円 |
| 財務CF | 20億円 | 44億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も33.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「全ての人の健康と幸せを願い、豊かな明日を創造」することを理念として掲げています。時代の変化に柔軟に対応しながら、全ての人の生活に寄り添い、地域社会に貢献するとともに、さらなる価値を提供することで「豊かな明日」を創造し、より明るい未来へ貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「常に相手の立場にたって考動すること(考動=常に考え、自ら行動する)」および「いつも革新に努め、前向きに考動すること」を日々の活動方針としています。これらの価値観に基づき、多様な人材が個々の能力を最大限に発揮し、変化への適応力を高める柔軟性を持つ組織風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2028年3月期を最終年度とする中期経営目標を策定し、事業の成長と収益拡大による持続的な利益成長を目指しています。
* ROE:8.3%
* 売上高:720億円
* EBITDA:56億円
* 当期純利益:25億円
* EPS:134.5円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、成長投資による経営基盤の強化(足場固め)を通じた利益拡大を基本戦略としています。特に「物流・食品加工事業」を中心に積極投資を行い、既存事業とのシナジーによる事業基盤の拡充や新領域拡大を進めています。また、中食事業では新規顧客層の開拓やデジタル販促、店舗アセット&ソリューション事業ではストック収入の拡大等に注力しています。
* 成長投資総額:178億円(M&A 120億円、設備投資 58億円)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、「人が活きる」企業経営をマテリアリティの一つに掲げています。多様性のある人材の確保・育成・登用を進めるとともに、個々の能力を最大限に発揮できるよう、人権重視やワークライフバランスの充実に向けた社内環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 51.6歳 | 7.3年 | 8,220,120円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 50.4% |
| 男女賃金差異(正規) | 56.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 41.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 安全性品質
食中毒や異物混入等の品質問題、使用食材の安全性への疑義が生じた場合、営業停止や社会的信用の失墜により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、店舗事業における火災等の事故リスクも存在します。工場での国際規格認証取得や品質管理の徹底、法令遵守により対応しています。
■(2) 事業ポートフォリオ戦略
環境適応能力と成長性を備えた「自己変革型企業群」を目指す中、事業ポートフォリオ基本方針の運用が形骸化した場合、資本収益性の低迷や企業価値毀損のリスクがあります。戦略会議での投資判断プロセスの強化や、経理財務部によるモニタリング機能の発揮を通じてリスク管理を行っています。
■(3) 食品の原材料価格変動
食品加工事業における輸入原材料の価格変動や為替リスク、中食事業での米・野菜の不作やインフレによる価格高騰が業績に影響する可能性があります。サプライチェーンとの連携による安定調達や、グループ内での加工・供給体制の整備、メニュー開発の工夫により対応しています。
■(4) 販売用不動産価格変動
商業用不動産のバリューアップ事業において、資材高騰や納期遅れ、金融情勢を含む市況悪化による販売不振や価格下落のリスクがあります。幅広い販売ルートの拡充や在庫回転の良化、適正な在庫ポジションの維持によりリスクコントロールを図っています。



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