※本記事は、株式会社ニチリョク の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ニチリョクは、総合シニアライフサポート企業として、一般顧客向けにお墓事業と葬祭事業を主軸に展開しています。お墓事業では屋外墓地や納骨堂の販売、葬祭事業では生花祭壇葬などを手掛けています。
単体従業員数は80名です。事業セグメントは、お墓事業と葬祭事業の2つです。
ニチリョクは、お墓事業において屋外墓地や納骨堂の販売、墓石の仕入・施工・監修を手掛けています。また、葬祭事業では生花祭壇葬を中心に、終活支援や葬儀後の手続きサポートも提供しています。
直近では、葬祭事業の一部門である大型葬祭会館「ラステル新横浜」の事業譲渡を実施しました。これは財務基盤の改善と資産効率向上を目的としたものです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ニチリョクは、終活ビジネスを基盤に、多様な働き方を推進している企業です。社員一人ひとりの可能性を重視し、柔軟な働き方を支援する環境が整えられています。人材の定着と成長を促すための取り組みも行われています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
勤続年数と平均年齢からは、同社の人材構成と定着に関する傾向が見えてきます。社員の平均年齢は46.6歳、平均勤続年数は4.9年となっており、特定の年齢層に偏らず、多様な経験を持つ人材が活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,624,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.9年 |
| 平均年齢 | 46.6歳 |
| 単体従業員数 | 80人 |
同社は確定給付型の退職給付制度を設けています。これは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる制度です。適用範囲は国内グループ会社となっています。
また、退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ニチリョクは「人」を会社にとって最大の資産と捉え、人的資本経営を推進しています。終活ビジネスにおける新たなプラットフォーマーを目指し、内部育成と外部採用を組み合わせた計画的な人材確保を行っています。専門的知識の習得支援に加え、環境分野への対応、DX推進、コンプライアンス教育の充実、キャリア開発支援を通じて、従業員一人ひとりのスキル向上と変化に対応できる人材基盤の構築を図っています。
人事制度は、役割・責任、業績への貢献度、能力発揮度を基本として評価されます。基本給は資格等級に応じた賃率範囲が設定され、人事考課に基づく昇給・昇格を通じて成果や成長が処遇に反映される仕組みです。賞与や各種手当も企業業績や個人の貢献度を反映し、従業員のモチベーション向上と中長期的な人材定着を目指しています。
また、柔軟な働き方の拡大や部門間コミュニケーションの活性化により、従業員エンゲージメントの向上にも取り組んでいます。健康経営の推進やダイバーシティの尊重を通じて、多様な人材が安心して能力を発揮できる職場環境の整備を進めています。創業時よりフレックスタイム制度を導入しており、柔軟な働き方を推進する方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表を行っていないため、法定開示データは記載を省略しています。
人材の多様性・育成に関する指標
管理職は、同社における執行役員および部長職位者の合計です。
マネジメント職は、同社における課長および係長職位者の合計です。
| 指標 | 目標 | 実績(当事業年度) |
|---|---|---|
| 女性管理職比率 | 2030年3月までに30% | - |
| 女性マネジメント職比率 | 2030年3月までに35% | 29% |
| 女性社員比率 | 2030年3月までに45% | 43% |
| 男性社員の育児休業取得率 | 2030年3月までに80% | - |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ニチリョクは、お墓事業と葬祭事業を主軸とする総合シニアライフサポート企業です。一般顧客を対象に、人生の終盤における様々なニーズに応えるサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、お墓の提供から葬儀、そしてその後の生活サポートまで、シニアライフ全般を支援するビジネスを展開しています。主力事業であるお墓事業と葬祭事業を通じて収益を上げています。
お墓事業(屋外墓地)
屋外墓地事業では、宗教法人等から墓地の永代使用権を仕入れ、または販売代行として一般顧客へ販売しています。また、墓石の販売も手掛け、同社が仕入れ、施工・監修を行っています。
収益は、墓地や墓石の販売、および販売代行手数料から得ています。
お墓事業(納骨堂)
納骨堂事業では、宗教法人等が開発する納骨堂の企画開発、建造支援、募集販売代行、管理に関する業務提携契約に基づき事業を行っています。特に自動搬送式納骨堂「堂内陵墓」を展開しており、永代使用権の独占販売代理権を取得して販売することもあります。
収益は、納骨堂の使用契約が締結され、契約者からの入金があった時点での手数料売上から得ています。
葬祭事業
葬祭事業は2000年6月に本格稼動し、生花祭壇葬を得意とする葬儀社として認知されています。近年増加傾向にある「自分らしいお見送り」を求めるニーズに対応するため、魅力的なプランを開発し、会員向けのサービスや終活セミナーなどを通じて顧客獲得を図っています。
また、ひとり暮らしの高齢者向けに生活サポートから葬儀後の手続きまでを一貫して提供する「ニチリョク安心パック」や、小規模で心のこもった葬儀を基本理念とした施設「ラステル」ブランドを展開しています。
収益は、葬儀の施行や会員サービス、安心パックの提供などから得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 葬祭事業 | 14.0億円 | 10.3億円 |
| お墓事業(屋外墓地) | 6.8億円 | 5.6億円 |
| お墓事業(納骨堂) | 1.6億円 | 1.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が前期から減少しました。営業損益および経常損益は、前期に引き続き損失を計上し、その損失幅は拡大する結果となりました。
一方で、当期純損益は前期と比較して損失が縮小しています。これは、葬祭事業の一部門である葬儀会館の事業譲渡益を特別利益として計上したことが主な要因となっています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は、前期末と比較して減少しています。これは、特定の事業所の売却に伴う人員構成の変動などが主な要因となっています。
このような人員構成の変化は、事業構造の見直しや効率化の取り組みが進められている状況を示唆しています。入社を検討する際には、同社が現在推進している「第二の創業期」におけるコスト削減や営業力強化、外部連携強化といった施策が、今後の生産性向上にどのように寄与していくかという点に注目することが考えられます。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、本業の資金創出力に課題を抱えながらも、投資活動による資金確保を進めています。営業キャッシュ・フローの改善を最優先課題として、財務基盤の強化に取り組んでいる状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は当期57.4%であり、前期の50.0%から増加しています。これはプライム市場の平均と比較しても高い水準を示しています。財務基盤の安定性は、企業が予期せぬ経済変動に直面した際の耐性となり、長期的な雇用や給与の安定性にも影響を与える要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 50.0% | 57.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の当期の営業キャッシュ・フローは、営業損失の計上や利息の支払いなどにより、資金が使用される状況となっています。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による収入が大きく、資金の流入を示しています。これにより、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローはプラスとなっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより資金が使用されています。同社は本業におけるキャッシュ創出力の改善を最優先課題と認識しており、今後の事業計画に基づく資金繰りへの対応を進めています。このような資金の流れは、企業の成長戦略や財務健全性を判断する上で重要な要素となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △113百万円 | △453百万円 |
| 投資CF | 152百万円 | 1,231百万円 |
| 財務CF | △215百万円 | △632百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 39百万円 | 778百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社は、過去の業績動向や財務状況の影響により手元流動性に関する懸念が認識されていました。しかし、資本増強の実施や有利子負債の返済、収益構造の見直しなどの施策を進めた結果、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、終活支援サービスを基軸とした新たな事業モデルへの転換を進めていますが、新規事業の収益化や事業間シナジーの創出が計画通りに進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各事業は競争環境にあり、サービス内容や価格競争の激化等により、事業競争力が低下した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
終活に関連するあらゆるサービスを提供する「総合シニアライフサポート企業」として事業を展開してきたニチリョクは、今後「終活プラットフォーマー」への進化を目指しています。顧客のライフエンディングに関する一連の課題に対し、継続的かつ包括的な価値提供を行うことを重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ニチリョクは、終活に関連するあらゆるサービスを提供する「総合シニアライフサポート企業」として事業を展開してきました。今後はこの基盤を活かし、「終活プラットフォーマー」としての事業モデルへの進化を図ることを目指しています。
顧客の終活から供養、葬儀に至るまでの一連のニーズに対し、継続的かつ包括的な価値提供を行うことで、長期的な顧客関係の構築と新たな収益機会の創出を目指しています。また、中期経営計画に基づき、従来の「守り」の経営から「攻め」の経営へと転換を図り、企業価値の向上に取り組む方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ニチリョクは、「人」を最大の資産と捉え、多様な人材が集い、社員一人ひとりの可能性を引き出す人的資本経営を推進しています。働きやすい職場づくりの一環として、創業時よりフレックスタイム制度を導入し、柔軟な働き方を推進しています。
また、サステナビリティに関する主要テーマとして「人」「環境」「社会」の3つを掲げています。「環境」ではプラスチックごみ削減やペーパーレス化、霊園開発を通じた緑化を推進しています。「社会」では、供養を通じた心の安寧支援や終活セミナー、供養の場のバリアフリー化を通じて、豊かなシニアライフの創出に貢献することを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ニチリョクは、終活支援サービスを起点とした顧客接点の拡大と、会員組織を基盤とした継続的な関係構築を重要な課題としています。特に単身高齢者や「おひとりさま」層に対し、終活相談やセミナーを通じて早期に接点を確立し、各サービスへの導線を構築することを目指しています。
また、「さくら倶楽部」や「あおい倶楽部」の新規会員獲得強化、終活支援サービスの拡充、顧客との継続的なコミュニケーション強化に取り組んでいます。営業力の強化とデータ活用、外部連携戦略の推進も重点施策としています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ニチリョクは監査役設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。取締役会には社外取締役が参加し、経営の監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ニチリョクは、投資事業有限責任組合が筆頭株主として経営を支えています。複数の機関投資家や証券会社が上位株主として名を連ねており、多様な株主によって構成されています。筆頭株主は同社の親会社であり、経営に影響力を持つ株主構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| バリューアップ・ファンド投資事業有限責任組合 | 34.65% |
| MLI FOR CLIENT GENERAL NON TREATY-PB | 5.75% |
| 東海東京証券 | 2.33% |
| 岡三証券 | 1.74% |
| 阪田 和弘 | 1.10% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長営業サポート本部長は渡邊将志氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渡邊 将志 | 代表取締役社長 営業サポート本部長 | 1994年日興證券入社後、松井証券で取締役を務める。2014年渡邊将志オフィス設立、代表取締役社長に就任。2021年同社取締役、2025年7月より代表取締役社長営業サポート本部長に現職。 |
| 篠田 丈 | 取締役会長 | 1985年小松製作所入社後、日興證券、ドレスナー・クラインオートベンソン証券、アイエヌジー・ベアリング証券、BNPパリバ証券等で要職を歴任。2003年T&R有限会社代表取締役、2011年アリスタゴラ代表取締役会長に就任。2020年同社取締役、2022年6月より取締役会長に現職。 |
| 服部 聡昌 | 取締役 経営統括本部長 | 2002年ニッセン入社後、監査法人M&G、シーアイアソシェイツ代表取締役を経て、日本管理センター(現JPMC)で取締役グループCFOを務める。2025年7月より同社取締役経営統括本部長に現職。 |
| 尾上 正幸 | 取締役 | 1978年東邦チタニウム入社後、東京葬祭で取締役を務める。2021年同社入社、常務取締役マーケティング本部長などを経て、2025年6月より同社取締役に現職。 |
| 白石 哲 | 取締役 | 1987年日本旅行入社後、ボーダフォン、光通信等を経て、エポック・ジャパン取締役、SOUセレモニー取締役、SOUシニアケア代表取締役社長を歴任。2026年6月より同社取締役営業本部長に現職。 |
| 藪田 晃彰 | 取締役 | 2002年くろしおエクスプレス取締役就任以来、日光水産代表取締役会長、静岡エネルギー代表取締役社長など、多数の企業で経営に携わる。2025年7月より同社取締役に現職。 |
社外取締役は、古内耕太郎氏(元燦ホールディングス代表取締役社長)、勝又夕紀氏(Office9代表取締役社長)、三宅哲夫氏(アリスタゴラ・アドバイザーズ取締役)です。
同社は監査役設置会社であり、取締役会、監査役会、経営会議を設置しています。取締役9名のうち4名、監査役3名のうち2名が社外役員であり、客観的な視点から経営の監視を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬制度は、業績との連動を強化し、株主との価値共有を目指しています。取締役の報酬は月例の基本報酬と業績を考慮した賞与で構成されています。社外取締役および監査役には、業務執行から独立した立場であるため基本報酬のみが支給され、業績による変動はありません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 90百万円 | 12.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.2百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 21百万円 | 2.6百万円 |
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