※本記事は、株式会社ポプラ の有価証券報告書(第50期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ポプラってどんな会社?
1976年設立のコンビニエンスストアチェーン。「ポプラ」「生活彩家」等の運営や弁当・惣菜製造も行います。
■(1) 会社概要
同社は1976年に設立され、1983年にフランチャイズ1号店を開店しました。1999年に株式を店頭登録し、2000年に東証二部へ上場しました。2014年にはローソンと資本業務提携を締結し、2020年に共同事業契約に基づきポプラリテールを設立するなど、業界再編の中で事業体制を変化させてきました。
現在の従業員数は連結で178名、単体で130名です。筆頭株主は創業者の目黒俊治氏で、第2位は資本業務提携先である大手コンビニエンスストアチェーンのローソン、第3位は加盟店主等で構成される持株会(ポプラ協栄会)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 目黒俊治 | 20.34% |
| ローソン | 18.22% |
| ポプラ協栄会 | 9.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は岡田礼信氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡田礼信 | 代表取締役社長 | 2003年入社。管理本部長、ポプラ保険サービス社長、副社長などを歴任し、2023年5月より現職。 |
| 大竹修 | 取締役執行役員社長室長 | 1999年転籍。経営企画室長などを経て、2024年5月より現職。 |
社外取締役は、藏田和樹(元広島銀行専務取締役)、増井慶太郎(ひろぎんキャピタルパートナーズ社長)、松本章(公認会計士・元KPMGセンチュリー監査法人)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スマートストア事業」「ローソン・ポプラ事業」および「その他」事業を展開しています。
**(1) スマートストア事業**
施設内店舗に最適な「ポプラ」「生活彩家」や、小型無人店舗「スマートセルフ」を展開しています。また、自社工場で製造した弁当・惣菜の販売も行っています。
収益は、加盟店からのロイヤリティ収入や直営店での商品販売収入、製品の外部販売収入などから構成されています。運営は主にポプラが行っています。
**(2) ローソン・ポプラ事業**
路面型店舗を中心に、「ローソン・ポプラ」または「ローソン」ブランドの店舗を運営しており、ローソンチェーンの高付加価値商品やサービスを提供しています。
収益は、店舗運営に伴う売上や利益に基づく収入を得ています。運営は子会社のポプラリテールが行っています。
**(3) その他**
損害保険代理店業務や、ドラッグストア、飲食店舗の運営を行っています。
収益は、保険手数料や店舗での販売収入などです。運営はポプラ保険サービスなどのグループ会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、営業総収入は店舗数の適正化や事業再編等の影響により減少傾向にありますが、利益面では第48期以降、黒字化を果たしています。第50期は営業総収入120億円、経常利益4.1億円となり、効率的な店舗運営や製造事業の拡大により利益率の改善が進んでいます。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業総収入 | 192億円 | 136億円 | 131億円 | 124億円 | 120億円 |
| 経常利益 | -10.1億円 | -10.1億円 | 0.7億円 | 3.6億円 | 4.1億円 |
| 利益率(%) | -5.3% | -7.4% | 0.6% | 2.9% | 3.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -13.2億円 | -5.2億円 | -2.4億円 | 4.6億円 | 3.8億円 |
■(2) 損益計算書
前期と比較すると、営業総収入は微減となりましたが、営業利益は横ばいを維持しています。売上原価率の低減や販管費のコントロールにより、営業総利益率は高い水準を保っており、安定した収益構造の構築が進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業総収入 | 124億円 | 120億円 |
| 営業総利益 | 54億円 | 54億円 |
| 営業総利益率(%) | 43.7% | 45.3% |
| 営業利益 | 4.0億円 | 4.1億円 |
| 営業利益率(%) | 3.3% | 3.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が12億円(構成比24%)、地代家賃が10億円(同20%)を占めています。売上原価については、商品仕入や製造原価が含まれ、営業総収入に対する比率は55%程度となっています。
■(3) セグメント収益
スマートストア事業は、店舗数減少等の影響で減収となり、営業損失を計上しました。一方、ローソン・ポプラ事業は直営店のFC化推進により減収となったものの、営業利益は増加しており、グループ全体の利益を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| スマートストア事業 | 52億円 | 51億円 | -0.3億円 | -1.4億円 | -2.7% |
| ローソン・ポプラ事業 | 64億円 | 61億円 | 7.5億円 | 8.8億円 | 14.3% |
| その他 | 9億円 | 8億円 | 0.3億円 | 0.0億円 | 0.2% |
| 連結(合計) | 124億円 | 120億円 | 4.0億円 | 4.1億円 | 3.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはプラス、財務CFはマイナスで「改善型」に該当します。本業で稼いだ現金と資産売却等による収入を、借入金の返済や配当支払いに充当しており、財務体質の改善を進めている段階と言えます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.8億円 | 4.3億円 |
| 投資CF | 3.2億円 | 0.3億円 |
| 財務CF | -4.8億円 | -4.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は59.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は20.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「お客様第一」を社是とし、「理想を持って夢の実現のために困難に挑戦していく」という経営理念を掲げています。常に地域に密着し、顧客一人ひとりに100%満足してもらうことをモットーに、店舗運営を展開しています。
■(2) 企業文化
「流通小売業の専門商社を目指す」を方針とし、製販一貫体制を採用して安心・安全な商品を提供することを重視しています。規模の大小にかかわらず適正な利益確保が可能な多様な店舗スタイルを用意し、地域で一番「強い」店となることを目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
収益力と資本効率のバランスを取りながら企業価値を向上させることを基本方針としています。2026年2月期に関しては、以下の経営数値目標を計画しています。
* 連結売上高:115億円
* 連結営業利益:3.7億円
* ROIC:16.9%
■(4) 成長戦略と重点施策
ローソン・ポプラ事業の成長軌道化や、スマートストア事業におけるシステム内製化、無人店舗「スマートセルフ」の出店加速を掲げています。また、冷凍調理品製造事業の収益化や、自社工場製品の販路拡大にも注力しています。
* ローソン・ポプラ事業の出店・FC化推進
* スマートストア事業の職域内出店・無人店舗展開
* 冷凍調理品製造への投資と商品開発
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「お客様第一」の社是に基づき、顧客目線で行動できる人材の育成を基本としています。階層別研修やOJTを通じた指導を行い、能力開発を支援しています。また、残業時間の短縮や有給休暇・育児休業の取得促進など、働きやすく働きがいのある職場環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 48.5歳 | 19.3年 | 4,481,340円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 50.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 72.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | 123.0% |
※女性管理職比率および男性育児休業取得率については、公表していないため記載を省略しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競合による影響
コンビニエンスストア業界に加え、スーパーやドラッグストアなど他業態との競争が激化しています。競合による顧客の奪い合いや、価格競争によるコスト負担増などが生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 出退店政策の巧拙
オーバーストア状態の中で、計画通りの出店ができない場合や、想定外の退店費用が発生した場合、業績が悪化するリスクがあります。また、ドミナント形成の崩れにより物流効率が悪化する可能性もあります。
■(3) 原材料等の調達
弁当工場等で使用する食材や副資材の価格は、商品相場や為替変動の影響を受けます。原材料価格の高騰や、取引先の倒産等による供給停止が発生した場合、製造原価の上昇や商品供給への支障が生じる可能性があります。
■(4) 人材の確保
店舗運営や工場稼働には多くの人材が必要ですが、労働力不足により必要な人員を確保できないリスクがあります。人員不足による機会損失や、採用・教育コストの増加、サービス品質の低下が懸念されます。



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