うかい 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

うかい 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

うかいは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、和食や洋食のディナーレストランの経営と、洋菓子の製造販売を主な事業として展開しています。直近の業績は、客単価の上昇や物販事業の好調などにより、前年同期比で増収増益を達成しました。今後も既存事業の収益性向上と新たな成長機会の創出に取り組んでいます。


※本記事は、株式会社うかいの有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. うかいってどんな会社?


うかいは、高級和洋食レストランの展開と、アトリエうかいブランドでの洋菓子製造販売を行う企業です。

(1) 会社概要


1964年に八王子市で「うかい鳥山」として創業し、1968年に設立されました。1974年には「八王子うかい亭」を開店して洋食事業に進出し、1999年に株式を店頭登録しました。2013年には「アトリエうかい」を開店し物販事業を本格化させ、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。

従業員数は589名です。筆頭株主は一般社団法人鵜飼家持株会です。第2位株主は京王電鉄で、同社とは協定に基づく発注事務の受託に伴う工事費の立替等の取引関係があります。第3位株主はキッコーマンとなっています。

氏名 持株比率
一般社団法人鵜飼家持株会 24.25%
京王電鉄 13.70%
キッコーマン 8.88%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は紺野俊也氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は約33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
紺野俊也 代表取締役社長 1991年うかいに入社。洋食事業部総料理長や営業本部長等を歴任。2021年6月より現職。UKAIzm corporationの取締役も兼務。
松崎城康 専務取締役 日本水産観光等を経て2000年に入社。和食事業部長や企画推進部長等を歴任。2025年4月より専務取締役となり、事業運営・管理を管掌。
笹野雄一郎 常務取締役 菱栄観光開発等を経て2000年に入社。銀座うかい亭総料理長や飲食事業部長等を歴任。2025年4月より常務取締役事業開発管掌となり現職。
峰尾亨 取締役 1976年うかい鳥山に入社。洋食事業部長や管理本部長、文化事業部長等を歴任。2026年4月より取締役相談役兼渉外担当。


社外取締役は、永田正(元京王電鉄社長)、荒ヶ田和也(元アサヒビール専務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レストラン事業部」、「物販事業部」および「その他」事業を展開しています。

レストラン事業部


和食および洋食料理のディナーレストランを経営しています。主な店舗として、和食料理店では「うかい鳥山」「とうふ屋うかい」「kappou ukai」などを展開し、洋食料理店では鉄板料理の「うかい亭」やグリル料理の「グリルうかい」などを営業しており、国内外の多様な顧客に高級な食空間を提供しています。

収益源は、レストランに来店する顧客からの飲食代金およびサービス料です。店舗での食事に加え、一部の店舗では関連商品の販売も行っています。これらの店舗の運営はすべてうかいが主体となって行っており、直営店による高品質なサービス提供を通じて安定した収益基盤を確立しています。

物販事業部


洋菓子を中心とした物販商品の開発、製造、および販売を行っています。「アトリエうかい」のブランド名で、調布、品川、京都、大阪、東京の各主要駅や百貨店などに5店舗の直営洋菓子店を展開しており、手作りのクッキーや焼き菓子などを一般の消費者向けに提供しています。

収益源は、直営の洋菓子店における店頭での商品販売代金や、オンラインショップを通じたEC販売による代金、さらに百貨店での催事出店における売上です。商品の企画から製造、販売までの全工程をうかいが担っており、新工房の稼働によりさらなる製造能力の拡充を進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、100億円未満から130億円台へと順調に拡大しています。経常利益についても、2022年3月期は赤字でしたが、翌期以降は黒字転換を果たし、直近では客単価の上昇や物販事業の好調に支えられて8億円台まで回復しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 98億円 127億円 133億円 135億円 136億円
経常利益 -5億円 9億円 9億円 7億円 8億円
利益率(%) -4.9% 6.7% 6.5% 5.2% 6.2%
当期純利益 -9億円 9億円 9億円 1億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の微増に対して売上総利益も順調に増加しており、売上総利益率は約58%と高い水準を維持しています。これに伴い営業利益も1億円以上の増益となり、営業利益率も改善を見せています。適切なコスト管理と高付加価値なサービスの提供が利益成長に寄与しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 135億円 136億円
売上総利益 76億円 79億円
売上総利益率(%) 56.8% 58.2%
営業利益 7億円 8億円
営業利益率(%) 5.4% 6.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が22億円(構成比32%)、賃借料が10億円(同14%)を占めています。売上原価の内訳としては、レストラン事業部収入原価が47億円(売上原価全体の82%)、物販事業部収入原価が9億円(同15%)となっています。

(3) セグメント収益


レストラン事業部は、一部店舗の閉鎖による影響があったものの、客単価の上昇が寄与し増収増益となりました。物販事業部は、新店オープンや百貨店での催事展開が好調に推移し、大幅な増収増益を達成しました。一方、文化事業部は事業承継に伴う対象期間の短縮により減収減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
レストラン事業部 106億円 110億円 15億円 16億円 14.9%
物販事業部 18億円 20億円 2億円 2.2億円 11.1%
文化事業部 11億円 5.5億円 0.9億円 0.1億円 1.8%
調整額 - - -11億円 -10億円 -
連結(合計) 135億円 136億円 7億円 8億円 6.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの状況は、営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行いながら、投資も手元資金で賄う健全型の財務状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 12億円 6億円
投資CF 29億円 -23億円
財務CF -5億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.9%でこちらも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


基本理念として「利は人の喜びの陰にあり」を掲げ、経営精神には「同社にかかわるすべての人々を大切にし、そしてそのすべての人々により大切にされる企業でありたい」と定めています。また、店舗理念として「100年続く店づくり」を標榜し、事業を通じて多くの方に喜びや感動を提供し、社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


長期経営構想において「未来に向かって前に進む」という行動指針を定めています。既存の手段や仕組みに囚われず、自由に発想し新しいことに挑戦する姿勢を重視しており、失敗を恐れない攻めの姿勢を社内に浸透させています。さらに、社内外に志を共にする仲間を作り、共創していく文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


「長期経営構想2035」および「中期経営計画2030」を策定し、売上高や営業利益に加えて、新規事業創出件数などを重要な経営指標として設定しています。既存ビジネスの成長とともに革新的な戦略を進め、中長期的な企業価値の最大化を図っています。

* 2030年3月期目標:売上高140億円、営業利益8.5億円、ROE 5.0%、新規事業創出5件
* 2035年3月期目標:売上高160億円、営業利益12億円、ROE 8.0%、新規事業創出10件

(4) 成長戦略と重点施策


長期的な成長に向け、「収益力の向上」と「人材力の強化・現場環境の充実」を好循環させる成長戦略を描いています。子会社を通じてブランドプロデュースや新業態開発などの新規事業を創出するとともに、物販事業においては新たな体験型工房を設立して生産能力の拡大と市場開拓を図り、次なる収益の柱として育成する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「守る」から「挑む」への転換を人材面から支えるため、人材の獲得・育成・定着・配置を一体的に設計する人材戦略を推進しています。社内教育制度「UKAI Global Academy」を通じてプロフェッショナル人材を育成するほか、評価制度の見直しや両立支援によって辞めない体制を構築し、働きやすさの向上と定着率の改善に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.8歳 8.6年 4,984,188円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 76.9%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 102.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品事故やアレルギー対応に伴うリスク

レストランや物販事業において、集団食中毒やアレルギー食材の誤提供、異物混入等が発生した場合、社会的信用の低下や対応費用の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は衛生管理マニュアルの整備や従業員教育の徹底により、品質問題の未然防止に努めています。

(2) 人材の確保および育成に関するリスク

「おもてなし」と「最高の料理」を提供するためには優秀な人材の確保が不可欠ですが、採用環境の悪化により必要人員を確保できない場合、サービス品質や店舗運営に支障が生じる恐れがあります。同社は採用手法の多様化や教育制度の拡充、働きやすい環境の整備を進めて人材定着を図っています。

(3) 原材料の調達と価格高騰リスク

使用する食材や資材が多岐にわたるため、天候不順や疫病、地政学的リスクによる原材料価格の高騰や調達難が発生した場合、収益を圧迫する可能性があります。複数の産地や取引先からの分散調達体制を構築し、必要に応じてメニュー変更等で柔軟に対応することでリスクの低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。