※本記事は、株式会社星医療酸器 の有価証券報告書(第51期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
星医療酸器転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
1. 星医療酸器ってどんな会社?
医療用ガスの供給を起点に、在宅酸素療法や介護施設運営など医療・福祉のトータルソリューションを提供する企業です。
■(1) 会社概要
1974年に東京都北区で設立され、医療用ガスの製造・販売を開始しました。1989年に製造子会社のエイ・エム・シーを設立し、製販体制を強化。2000年に株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。
同社の連結従業員数は500名(単体428名)です。筆頭株主は同社取引先による持株会で、第2位は通信サービスや電力販売などを手掛ける事業会社、第3位は投資事業を行う企業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 星医療酸器取引先持株会 | 17.90% |
| 光通信 | 7.90% |
| UH Partners 2 | 7.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性16名、女性0名の計16名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は星幸男氏です。社外取締役比率は約16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 星 幸男 | 代表取締役社長 | 1988年同社入社。取締役東京事業所長、常務取締役医療ガス事業本部長、専務取締役などを経て2005年6月より現職。 |
| 星 昌成 | 取締役会長 | 1969年星医療酸器入店。1994年代表取締役社長、2005年代表取締役会長などを歴任。2014年6月より現職。 |
| 星 昌浩 | 専務取締役社長室長 | 1988年同社入社。取締役総務部次長、常務取締役社長室長などを経て2005年6月より現職。 |
| 茂垣 行雄 | 専務取締役千葉・松戸・北関東・南東京・京浜・横浜・神奈川・西東京・甲府地区統括兼管理本部長兼購買部長 | 1984年同社入社。常務取締役営業本部長、ケイ・エム・シー代表取締役社長などを経て2024年10月より現職。 |
| 額狩 光男 | 常務取締役営業本部長兼札幌・岩手・東北・郡山・栃木・茨城地区統括兼北海道・九州地区担当 | 1987年同社入社。アイ・エム・シー代表取締役社長、ケイ・エム・シー代表取締役などを経て2024年6月より現職。 |
| 鈴木 康之 | 取締役 | 1995年同社入社。名古屋支店長、テイ・エム・シー代表取締役社長を経て2024年4月より現職。 |
| 徳永 大輔 | 取締役兼関西地区担当兼中四国地区担当 | 1995年同社入社。星医療酸器関西代表取締役などを経て2024年6月より現職。 |
| 早水 和博 | 取締役医療設備事業部長 | 1986年同社入社。星エンジニアリング専務取締役を経て、合併に伴い同社医療設備事業部長に就任。2017年6月より現職。 |
| 星 徹 | 取締役経営戦略本部長 | 2017年同社入社。経営戦略本部長、上席執行役員を経て2025年6月より現職。 |
| 星 輝 | 取締役財務部長兼社長室 | 2018年同社入社。財務部長兼社長室、上席執行役員を経て2025年6月より現職。 |
社外取締役は、八木雄一(八木税理士事務所所長)、飯塚孝徳(飯塚総合法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「医療用ガス関連事業」「在宅医療関連事業」「医療用ガス設備工事関連事業」「介護福祉関連事業」「施設介護関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■医療用ガス関連事業
医療機関向けに、酸素ガス、麻酔用ガス、その他医療用ガス全般の製造および販売を行っています。また、医療用ガスに関連する商品の企画・販売も手掛けています。
収益は、医療機関等の顧客へのガス販売代金等から得ています。製造は主に連結子会社のエイ・エム・シー、アイ・エム・シー、ケイ・エム・シー、テイ・エム・シーが担当し、仕入・販売は同社が行っています。
■在宅医療関連事業
在宅酸素療法(HOT)用酸素濃縮器、持続陽圧呼吸療法(CPAP)用機器、在宅人工呼吸器などのレンタルおよび販売を行っています。また、在宅関連商品の販売も行っています。
収益は、医療機関や患者からの機器レンタル料や商品販売代金から構成されます。機器の仕入およびレンタル・販売業務は、主に同社が運営しています。
■医療用ガス設備工事関連事業
病院等の医療機関に対し、医療用ガス配管設備の設計・施工、メンテナンス、および消火設備の工事を行っています。
収益は、医療機関等の施設側から受け取る工事代金やメンテナンス料等です。施工および販売は、同社が主体となって行っています。
■介護福祉関連事業
介護福祉関連機器のレンタル・販売、住宅改修、訪問看護・居宅介護支援事業所の運営を行っています。
収益は、利用者や保険者からのレンタル料、販売代金、介護サービス料等です。商品の仕入・レンタル・販売は同社および連結子会社の虎彰が行い、訪問看護等の運営は同社が行っています。
■施設介護関連事業
有料老人ホーム「ライフステージ阿佐ヶ谷」や通所介護施設(デイサービス)の運営を行っています。
収益は、入居者や利用者からの施設利用料や介護サービス対価等です。これらの介護サービス事業は、同社が運営しています。
■その他事業
看護学校向けの関連商品や、医療器具関連商品の販売を行っています。
収益は、顧客への商品販売代金です。商品の仕入および販売は、同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は毎期増加を続けており、成長傾向にあります。経常利益も順調に推移しており、直近では20億円を超える水準を維持しています。利益率は12%台から13%台で安定的に推移しており、収益性は底堅いです。当期利益についても増加基調にあり、特に直近の伸びが顕著です。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 118億円 | 128億円 | 138億円 | 148億円 | 151億円 |
| 経常利益 | 15億円 | 16億円 | 18億円 | 20億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 12.4% | 12.7% | 13.2% | 13.8% | 13.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 10億円 | 11億円 | 12億円 | 15億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加し、売上総利益も増加しています。売上総利益率は約50%と高い水準を維持しています。営業利益も横ばいから微増となっており、安定した収益力を示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 148億円 | 151億円 |
| 売上総利益 | 72億円 | 76億円 |
| 売上総利益率(%) | 48.8% | 50.1% |
| 営業利益 | 20億円 | 20億円 |
| 営業利益率(%) | 13.3% | 13.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が23億円(構成比42%)、その他が13億円(同24%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の医療用ガスおよび在宅医療関連事業が売上・利益ともに増加し、全体を牽引しました。一方、医療用ガス設備工事関連事業や施設介護関連事業は減益または赤字転落となりました。介護福祉関連事業は売上減ながら増益を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 医療用ガス関連事業 | 38億円 | 40億円 | 6億円 | 6億円 | 15.9% |
| 在宅医療関連事業 | 63億円 | 67億円 | 8億円 | 9億円 | 13.5% |
| 医療用ガス設備工事関連事業 | 21億円 | 19億円 | 3億円 | 3億円 | 14.6% |
| 介護福祉関連事業 | 12億円 | 12億円 | 0.4億円 | 0.4億円 | 3.8% |
| 施設介護関連事業 | 3億円 | 3億円 | 0.2億円 | -0.2億円 | -5.5% |
| その他事業 | 10億円 | 10億円 | 2億円 | 1億円 | 13.9% |
| 連結(合計) | 148億円 | 151億円 | 20億円 | 20億円 | 13.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、持続的成長に向けた効率的かつ計画的な投資の実行と、安定的かつ継続的な営業活動による資金創出力による資金調達を両立させることで、資本の財源及び資金の流動性を確保しています。
営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費、法人税等の支払い等により、資金を得ています。投資活動では、定期預金の預入や有形固定資産の取得により、資金を使用しています。財務活動では、リース債務の返済や配当金の支払いにより、資金を使用しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 22億円 |
| 投資CF | -7億円 | -53億円 |
| 財務CF | -9億円 | -7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同グループは、「私たち星医療酸器グループは生命(いのち)を守る最前線で社会に貢献しつづけます」という経営理念を掲げています。医療用酸素ガスの供給を出発点とし、医療・介護分野におけるトータルソリューションの提供を通じて、持続的な成長と社会的使命の両立を目指しています。
■(2) 企業文化
同グループの強みは「人的資本」を基盤とした組織力にあります。医療ガスや在宅酸素療法の安定供給に対する信頼は、従業員一人ひとりの誠実な取り組みと、日々の業務に真摯に向き合う姿勢によって支えられています。
■(3) 経営計画・目標
同グループは、経営の効率性および収益性を表す指標として「売上高営業利益率」を最重要KPIと位置付けています。医療・介護という公共性の高い分野において、一定の収益性と健全性を両立させる基準として設定し、月次でモニタリングを行っています。
* 売上高営業利益率:12%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
環境変化に対応するため、M&Aや商材・販路拡大、DX推進を実施し、強固な経営基盤を構築する方針です。医療用ガス事業では原価低減と新規開拓、在宅医療事業ではシェア拡大とICT導入による効率化を進めます。また、介護福祉分野ではM&Aによるエリア拡大、設備工事事業では提案力強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
専門性の高い知識と責任感を持つ人材の確保・育成を重要課題としています。特に地域人材や若年層の採用を強化し、待遇や環境の整備を通じて「選ばれる職場」づくりを推進しています。育成面では、資格取得支援や研修プログラムを充実させ、従業員のエンゲージメント向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.9歳 | 10.3年 | 5,500,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 77.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 70.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 101.2% |
※同社は公表義務の対象ではないため、有報には女性管理職比率の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的な規制について
同グループの事業は医療用ガスや在宅酸素発生器等の取り扱いにおいて、各種法令や監督官庁の許認可、規制を受けています。意図せざる法令違反や、将来的な法令改正等が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 薬価の改定について
売上高の3割超を占める医療用ガスは薬価基準に収載されており、これが販売価格の上限として機能しています。そのため、薬価改定の内容によっては販売価格に影響が生じ、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 安全性について
高圧ガス保安法に基づき医療用ガス等を製造・販売しており、安全操業体制の強化に努めていますが、万が一火災や爆発事故が発生した場合、操業停止などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。



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