白銅 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

白銅 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の金属・プラスチック商社です。主要事業はアルミニウム、伸銅、ステンレスなどの金属加工・販売で、標準在庫品と特注品を取り扱います。直近の業績は、半導体製造装置向けやOA機器向け販売が増加し、売上高664億円、経常利益32億円と増収増益で着地しました。


※本記事は、白銅株式会社 の有価証券報告書(第76期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 白銅ってどんな会社?


金属やプラスチックなどの材料を加工・販売する専門商社です。短納期での配送体制に強みを持ちます。

(1) 会社概要


同社は1932年に個人創業し、1949年に株式会社として設立されました。1992年に現商号へ変更し、金属事業の営業譲受を行っています。2005年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。近年では、2019年に高瀬アルミ(現AQR)を完全子会社化し、2023年には米国での事業拡大のためWest Coast Aluminum & Stainlessを子会社化するなど、国内外でのM&Aを通じた成長を続けています。

2025年3月31日現在、従業員数は連結で398名、単体で324名です。大株主については、筆頭株主はK&Pアセット・マネジメント合同会社、第2位はキッズラーニングネットワーク、第3位は有限会社双光となっています。上位株主は主に資産管理会社や法人で構成されています。

氏名 持株比率
K&Pアセット・マネジメント合同会社 12.08%
キッズラーニングネットワーク 10.05%
有限会社双光 9.98%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は角田浩司氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
角田 浩司 代表取締役社長 1986年白銅(廣成)入社。中国室長、上海白銅精密材料有限公司董事長、開発営業本部長、営業本部長などを歴任し、2012年4月より現職。
山田 哲也 専務取締役 1991年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。1998年同社入社。東部支社厚木営業所長、内部監査室副室長などを経て、2024年4月より現職。
山田 光重 常務取締役 1991年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。デロイトトーマツコンサルティングなどを経て2019年4月より現職。製造本部を管掌。
岩田 龍一 取締役(監査等委員) 1990年白銅(廣成)入社。西部支社長、内部監査室長、標準品営業本部長などを歴任。2023年6月より現職。


社外取締役は、古河潤一(古河林業社長)、石本雅敏(元デサント社長)、額田一(公認会計士・税理士)、北村喜美男(元ファミリーマート常務)、末岡晶子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」、「北米」、「中国」の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) 日本


アルミニウム、伸銅、ステンレスなどの金属製品やプラスチック製品を販売しています。材料メーカー等から仕入れた約5,500品目を標準在庫品として自社工場に保有し、注文に応じて切断・加工して短納期で届けるビジネスモデルです。また、在庫していない製品を取り寄せる特注品販売も行っています。

収益は、顧客である加工業者やセットメーカー等からの製品販売代金および加工料です。運営は主に白銅が担い、連結子会社のAQRも金属加工・販売を行っています。

(2) 北米


米国市場において非鉄金属の加工・販売事業を展開しています。新規顧客の開拓や新規事業の準備に取り組み、事業拡大を進めています。

収益は、現地顧客への製品販売代金等です。運営は、連結子会社のHakudo USA Inc.およびWest Coast Aluminum & Stainless, LLCが行っています。

(3) 中国


中国市場において、金属製品等の仕入・在庫・加工・販売を行っています。上海の工場に在庫を持ち、切断・フライス加工を行って短納期で納入するほか、特注品の取り扱いも行っています。

収益は、中国国内の顧客からの製品販売代金等です。運営は、連結子会社の上海白銅精密材料有限公司が行っています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない地域の事業として、主にタイでの事業を展開しています。中国同様に製品を仕入れ、外部倉庫に在庫し、現地企業への販売を行っています。

収益は、現地企業からの製品販売代金等です。運営は、連結子会社のHakudo(Thailand)Co., Ltd.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は392億円から664億円へと拡大傾向にあります。2023年3月期に一時的な利益率の低下が見られましたが、直近の2025年3月期では売上高664億円、経常利益32億円、利益率4.8%となり、前期比で増収増益を達成しました。当期純利益も前期の19億円から22億円へと増加しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 392億円 554億円 616億円 573億円 664億円
経常利益 21億円 44億円 40億円 28億円 32億円
利益率(%) 5.3% 7.9% 6.5% 5.0% 4.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 30億円 27億円 19億円 22億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も93億円から106億円へと増加しています。売上総利益率は16%前後で推移しています。営業利益は25億円から30億円へ増加しましたが、営業利益率は4.5%とほぼ横ばいです。コスト管理を行いつつ事業規模を拡大している様子がうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 573億円 664億円
売上総利益 93億円 106億円
売上総利益率(%) 16.2% 15.9%
営業利益 25億円 30億円
営業利益率(%) 4.4% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、運賃が21億円(構成比28%)、給与手当が15億円(同20%)を占めています。物流コストと人件費が主要な経費となっています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力である日本セグメントが売上高579億円、利益32億円と全体の収益を牽引しています。北米セグメントは売上高51億円と成長していますが、利益面ではマイナスとなっています。中国セグメントは売上高18億円で黒字を確保しており、その他地域も黒字で推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 499億円 579億円 28億円 32億円 5.6%
北米 46億円 51億円 -1億円 -2億円 -3.6%
中国 14億円 18億円 -0.1億円 0.1億円 0.7%
その他 14億円 16億円 1億円 2億円 9.2%
調整額 -8億円 -13億円 -0.1億円 -0.0億円 -
連結(合計) 573億円 664億円 28億円 32億円 4.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.1%で市場平均を上回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 25億円 18億円
投資CF -16億円 -9億円
財務CF -13億円 -11億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは、関係する全ての人に信頼されるとともに、モノづくりに関わる人々へ商品・便利・安心の提供を通じて、社会に貢献します」という経営理念を掲げています。この理念の実現に向け、全てのステークホルダーとの信頼関係構築や、従業員のチャレンジ精神を原動力として、持続可能な社会の発展への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社はブランドスローガンとして「あたらしい、を、素材から。」を掲げており、高いクオリティの素材があってこそ新しいテクノロジーが生まれるという価値観を持っています。また、人的資本に関して「人こそが白銅グループの財産=人財である」と考え、従業員の個性と能力を尊重し、失敗を恐れず果敢に挑戦できる組織風土の実現を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は創業100周年となる2031年度の将来像から逆算した中期経営計画を推進しています。外部環境の変化や自社の強みを踏まえた重点戦略施策を遂行し、以下の数値目標の達成を目指しています。

* 2027年度 売上高:1,041億円
* 2027年度 経常利益:60億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「ビジネスの進化による事業成長」「経営基盤の強化」「サステナビリティ経営の推進」を経営課題として掲げています。ネットサービスの機能拡充による顧客基盤強化や、加工機能・アイテム拡充による付加価値向上、工場・SCM改革による効率改善に取り組むほか、半導体・自動車・航空宇宙領域の拡大や海外事業の拡大にも注力しています。

* 2027年度 海外向け売上高:187億円

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人こそが白銅グループの財産=人財」であるとし、新人から管理職までの階層別研修や専門研修、自己研鑽機会の提供などを行う方針です。また、安全で健康的な職場環境の確保を最優先とし、多様な個性と能力を尊重し自己実現できる組織風土の実現、挑戦して成果を出した人への適正な評価と処遇を行うことを社内環境整備の方針としています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.8歳 16.1年 7,918,487円


※平均年間給与は基準外賃金および賞与が含まれております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.5%
男性育児休業取得率 91.3%
男女賃金差異(全労働者) 74.9%
男女賃金差異(正規) 67.7%
男女賃金差異(非正規) 75.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(全労働者)(7.9%)、年次有給休暇消化率(64.3%)、管理職に占める中途採用者の割合(63.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 非鉄金属市況による影響


同社グループの主要製品であるアルミニウムや伸銅などの非鉄金属価格は、原材料市況の変動を受けます。市況が大きく変動した場合、棚卸資産の評価額や販売価格に影響を与え、業績に重要なプラスまたはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。実際、棚卸資産評価損益が営業利益に影響を与えています。

(2) 特定業界への売上高依存


同社グループは半導体製造装置業界やFPD製造装置業界向けの売上比率が高く、これらの業界の需給サイクル(シリコンサイクル等)の影響を受けやすい構造です。短期的には調整局面、中長期的には需要拡大が見込まれていますが、市況の変動により業績が影響を受ける可能性があります。

(3) 原材料の供給に関する影響


製品の仕入先は特定の材料メーカーや商社に依存している部分があります。災害や事故、または仕入先の方針変更などにより、必要な原材料や製品の安定供給が困難になった場合、同社グループの事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。