NEW ART HOLDINGS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NEW ART HOLDINGS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NEW ART HOLDINGSはスタンダード市場に上場し、ブライダルジュエリーの製造販売を中心に、アート・オークション運営、エステサロン展開、食品販売、リゾート開発など多角的に事業を展開する企業です。直近の業績は、主力ジュエリー事業の堅調な推移により増収増益を達成し成長を続けています。


※本記事は、株式会社NEW ART HOLDINGSの有価証券報告書(第32期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. NEW ART HOLDINGSってどんな会社?


ブライダルジュエリー事業を中核に、アート、エステ、食品、リゾートなど多角的な事業展開を行う持株会社です。

(1) 会社概要


1994年にダイヤモンドシライシを設立し、銀座に1号店を開設して創業しました。2004年にジャスダックに上場し、その後持株会社体制へ移行して現在の体制となりました。近年はエステティックサロンやアートオークション会社のグループ化、食品事業への参入など、M&Aや新規事業開発により事業領域を広げています。

現在、同社グループの従業員数は連結で981名、単体で73名となっています。筆頭株主は創業者のYUKIO SHIRAISHI氏で、第2位は事業会社であるホワイトストーン、第3位は白石勝代氏となっています。

氏名 持株比率
YUKIO SHIRAISHI 21.27%
ホワイトストーン 9.48%
白石 勝代 8.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性4名の計17名で構成され、女性役員比率は23.0%です。代表取締役会長は白石幸生氏、取締役社長は吉森章氏が務めています。社外取締役比率は17.6%です。

氏名 役職 主な経歴
白石 幸生 代表取締役会長 1967年4月ギャラリー白石創業。1994年9月ダイヤモンドシライシ創業。2025年6月より現職。
吉森 章 取締役社長 1972年4月住友化学工業入社。コトブキホールディングス代表取締役社長等を経て、2025年6月より現職。
白石 哲也 取締役 1996年10月ダイヤモンドシライシ取締役就任。同社代表取締役社長等を経て、2024年6月より現職。
小崎 愼一郎 取締役 2001年4月西鉄シティホテル入社。2007年6月シーマ入社。九州営業部部長等を経て2022年6月より現職。
福田 悟士 取締役 2000年4月クレオ入社。2014年10月NEW ART HOLDINGS入社。WEB集客部部長等を経て2024年9月より現職。
濵野 えり 取締役 2007年4月シーマ入社。銀座ダイヤモンドシライシ銀座本店店長等を経て2024年6月より現職。
芥川 宏一郎 取締役 1985年4月肥後銀行入行。同社地域振興部副部長等を経て、2024年6月より現職。
CHAN Fei 取締役 2006年10月Jet SpeedFoods Limited Director。2024年6月より現職。
石田 直也 取締役 1995年4月みずほ銀行入行。NEW ART貴金属総合研究所代表取締役社長等を経て、2025年6月より現職。
塚本 モニカ 取締役 2001年8月ラ・パルレ入社。同社池袋本店店長等を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、妙見聡子(三鈴代表取締役)、小山政彦(元船井総合研究所代表取締役会長)、法木安城(あかし総合会計事務所入所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ジュエリー・アート・オークション事業」「食品事業」「ヘルス&ビューティー事業」「リゾート開発事業」および「その他事業」を展開しています。

ジュエリー・アート・オークション事業


「銀座ダイヤモンドシライシ」や「エクセルコ ダイヤモンド」ブランドを通じて、婚約指輪・結婚指輪などのブライダルジュエリーを製造販売しています。また、美術品の販売やアートオークションの企画・運営も手掛けており、一般顧客や美術品コレクターへ価値を提供しています。

ジュエリーの販売代金やオークションの手数料などが主な収益源です。運営は親会社のNEW ART HOLDINGSのほか、子会社のNEW ART、ニューアート・エストウェストオークションズ、東西ニューアートなどが担当しています。

食品事業


主に香港や中国本土市場において、加工冷凍肉・加工冷蔵肉、魚介類製品などの販売を展開しています。高品質な食材を求める消費者や飲食事業者に向けてサービスを提供しています。

食品の販売代金が主な収益源です。運営は子会社のNew Art Wah Full Limitedなどが担当しています。

ヘルス&ビューティー事業


エステティックサロン「ラ・パルレ」の運営を中心に、化粧品や健康食品などのオリジナル商品の製造・販売を行っています。美容や健康に関心の高い幅広い年代の顧客にサービスを提供しています。

サロンでの施術サービス料やオリジナル商品の販売代金が主な収益源です。運営は子会社のニューアート・ヘルス&ビューティーなどが担当しています。

リゾート開発事業


軽井沢などの地域において、ホテルや結婚式場の運営、および高級レジデンスなどのリゾート開発事業を展開しています。国内外の富裕層や投資家、リゾート利用者に対して価値を提供しています。

宿泊料、結婚式場の利用料、リゾート物件の販売代金などが主な収益源です。運営は子会社のニューアート・リゾートや軽井沢エレガンスカンパニーが担当しています。

その他事業


クレジット事業による信用購入あっせんサービスのほか、シニアゴルファー向けのオーダーメイドクラブなどのゴルフ用品や関連スポーツ用品の開発・製造・販売を展開しています。

クレジットの分割手数料やスポーツ用品の販売代金が主な収益源です。運営は子会社のニューアート・フィンテックやニューアート・スポーツが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

直近5年間の業績は、主力であるブライダルジュエリー事業の好調や、国内外における新規事業・M&Aの寄与により、売上高が順調に拡大しています。利益面でも高水準を維持し、安定した成長基盤を構築しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 187億円 215億円 211億円 276億円 320億円
経常利益 29億円 34億円 29億円 36億円 48億円
利益率(%) 15.7% 15.7% 13.8% 13.0% 15.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 20億円 14億円 18億円 10億円


売上高の増加にともない、売上総利益および営業利益ともに拡大しています。売上総利益率は約60%という高い水準を維持しており、付加価値の高い商品提供が収益力に結びついています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 276億円 320億円
売上総利益 168億円 193億円
売上総利益率(%) 60.7% 60.2%
営業利益 39億円 49億円
営業利益率(%) 14.1% 15.3%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が33億円(構成比23%)、給与手当が31億円(同21%)、地代家賃が21億円(同15%)を占めています。

主力のジュエリー・アート・オークション事業が売上・利益ともに全体の大部分を牽引しています。食品事業も大幅な増収を達成し、全体の業績拡大に貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
ジュエリー・アート・オークション事業 211億円 231億円 48億円 58億円 24.9%
食品事業 47億円 72億円 0.9億円 1.0億円 1.5%
ヘルス&ビューティー事業 14億円 14億円 -3.2億円 -2.5億円 -17.0%
リゾート開発事業 2.8億円 2.7億円 -0.5億円 -1.2億円 -43.8%
その他事業 1.2億円 0.7億円 -0.5億円 -0.9億円 -127.9%
連結(合計) 276億円 320億円 39億円 49億円 15.3%


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 18億円 34億円
投資CF -0.5億円 -4億円
財務CF -16億円 -24億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「みんなの夢の企業グループ NEW ARTは、アートの持てるすべての力で、あなたを美と健康と幸せに導きます」という企業理念のもと、事業の多角化を進め、社会に貢献し株主や顧客から信頼される企業を目指して経営を行っています。

(2) 企業文化


常に革新的な企業を目指し、今までにない新しい文化の創造を図る姿勢を大切にしています。多様性を経営の重要な柱として位置づけ、女性役員の積極的な登用や柔軟な発想を活かした組織変革をリードするなど、多様な人材が活躍できる文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


株主利益および企業価値の最大化という観点から事業規模の拡大と収益力の向上に取り組んでいます。収益性の指標として営業利益率を重視し、早期実現を目指す目標数値を設定して経営を行っています。

* 営業利益率20%の早期実現

(4) 成長戦略と重点施策


主力のブライダルジュエリー事業において、独自のブランド価値向上とシェア拡大を図ります。また、香港・台湾・シンガポールなどの海外市場における事業展開を加速させるほか、リゾート開発事業における高級レジデンス開発や、アートオークション事業の強化など、新規事業の育成を通じて中長期的な企業価値の向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を企業価値向上の源泉となる最も重要な経営資源と位置付け、年齢や勤続年数に関わらず、能力と成果に応じて活躍できる環境づくりを推進しています。女性従業員が長期的に活躍できるよう復職支援や短時間勤務制度の拡充を図るほか、営業部門では成果連動型の報酬体系を採用し、従業員の挑戦意欲と成長を後押ししています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.5歳 5.1年 5,225,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 76.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 64.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 199.5%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(23.0%)、育児休業取得率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 開発適地の取得及び用途選定に関するリスク


リゾート開発に適した用地の取得は、地域の観光資源や規制対応など多様な要素を判断する必要があり、用地の選定や取得には時間を要します。地権者との交渉が難航した場合などには事業計画の見直しを余儀なくされ、事業の進捗や投資回収計画に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 販売活動に関するリスク


同社が取り扱うリゾート不動産の主要顧客は、国内外の高額所得者や富裕層・投資家であり、需要は景気動向や為替レートなどの国際市況等の影響を受けやすい傾向があります。これらの不確実性の高い要因が、売上動向や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) ブライダルジュエリー市場の動向リスク


少子化や晩婚化の進行に伴い、中長期的にはブライダルジュエリー市場の縮小が予想されています。婚姻件数の減少などにより市場環境が悪化し、新たな需要の開拓が進まない場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4) 原材料価格および為替相場の変動リスク


ダイヤモンドルースやプラチナ等の貴金属の仕入価格は、国際的な需給動向や地政学的リスク、為替相場の変動による影響を受けます。急激な価格変動や大幅な円安が進行し、販売価格への転嫁が困難な場合には、収益および業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。