※本記事は、ぷらっとホーム株式会社 の有価証券報告書(第33期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ぷらっとホームってどんな会社?
ぷらっとホームは、LinuxOSを搭載した小型サーバーやIoTゲートウェイなどの自社製品開発のほか、コンピューター関連商品の販売を行う企業です。
■(1) 会社概要
1993年にコンピューターおよび周辺機器の開発・販売を目的に設立されました。2000年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2014年には市場第二部へ変更、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。独自の技術力を活かした小型サーバーやIoT製品の開発に加え、近年はWeb3事業への参入も進めています。
同社(単体)の従業員数は33名です。筆頭株主は社長の鈴木友康氏で、第2位は取締役の本多基記氏、第3位は証券会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鈴木 友康 | 19.77% |
| 本多 基記 | 7.13% |
| SBI証券 | 6.99% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は鈴木友康氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木 友康 | 代表取締役社長 | 1989年日商岩井入社。1996年同社入社。同年代表取締役副社長を経て、2001年より現職。 |
| 竹内 敬呂 | 取締役執行役員営業管掌 | 1999年光通信入社。2002年同社入社。営業部長、執行役員を経て、2016年取締役就任。2018年より現職。 |
| 本多 基記 | 取締役執行役員 COO兼 内部監査室長 | 1998年日本電信電話入社。弁護士登録後、2013年同社監査役。2017年取締役就任。同年執行役員COO。2020年より現職。 |
| 福留 正邦 | 取締役執行役員 兼 管理本部長管理管掌 | 1977年三菱化成工業入社。ユポ・コーポレーション社長CEO等を経て、2019年同社入社。2020年より現職。 |
社外取締役は、菅谷常三郎(元Icon Ventures General Partner)、大川康徳(小川・大川法律事務所開設)、藤﨑忍(ドムドムフードサービス代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社は、「自社製品コンピューター」「コンピューター関連商品」および「サービス・その他」の各品目区分で事業を展開しています。
■自社製品コンピューター
LinuxOSを搭載した手のひらサイズの小型サーバーやIoTゲートウェイなどのハードウェアを開発・販売しています。これらは耐熱・耐塵設計や超低消費電力を特徴とし、常時稼働が求められるネットワークサーバーやアプライアンスのベースとして利用されます。
主な収益源は、法人顧客への製品販売による代金です。汎用の「マイクロサーバー」や、特定のサービスを予め設定した「ネットワークアプライアンス」、IoT用途の「IoTゲートウェイ」などをラインナップしており、運営は主に同社が行っています。
■コンピューター関連商品
国内外のメーカーから仕入れたコンピューター周辺機器、ネットワーク関連部品、ソフトウェア、センサーデバイスなどを販売しています。また、同社が企画・開発した自社製品用のオプションやミニキーボードなども取り扱っています。
主な収益源は、法人および個人ユーザーへの商品販売による代金です。先端的な商品を幅広く取り揃え、顧客のニーズに合わせた提案を行っており、運営は同社が行っています。
■サービス・その他
IoTシステムや情報通信ネットワークのインフラ構築支援、システム設計、コンサルティングなどを提供しています。また、販売した製品の設定設置、保守・サポート、ライセンス提供、IoTシステム基盤に係るSaaSサービスなども含まれます。
主な収益源は、システム構築やコンサルティングの対価、保守・サポート料、ライセンス料などです。近年はWeb3事業もこの領域に含まれ、運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は10億円から12億円前後で推移しています。利益面では赤字が続いていましたが、当期においては増収効果などにより黒字転換を果たしました。売上高は前期比で増加し、経常利益および当期純利益ともにプラスとなっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 12億円 | 12億円 | 10億円 | 10億円 | 12億円 |
| 経常利益 | -1.2億円 | -0.6億円 | -1.0億円 | -1.0億円 | 0.1億円 |
| 利益率(%) | -9.7% | -4.7% | -9.6% | -10.1% | 1.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.2億円 | -0.3億円 | -1.0億円 | -1.1億円 | 0.1億円 |
■(2) 損益計算書
当期は前期と比較して増収となり、売上総利益も増加しました。これにより営業損益の赤字幅が縮小しています。営業外収益として補助金収入などが計上されたこともあり、経常利益ベースでは黒字を確保しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 10億円 | 12億円 |
| 売上総利益 | 3.9億円 | 4.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.4% | 39.8% |
| 営業利益 | -1.0億円 | -0.5億円 |
| 営業利益率(%) | -10.2% | -3.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が2.0億円(構成比39%)、その他が1.3億円(同25%)を占めています。売上原価に関しては、製品売上原価が3.8億円(売上原価合計に対し55%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期は、主力の自社製品コンピューターにおいて高価格帯製品の販売が増加し、売上が伸長しました。サービス・その他部門もネットワーク関連サービスやIoT環境構築案件の獲得により大幅な増収となりました。一方、コンピューター関連商品は前期のような特需がなく減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 自社製品コンピューター | 2.6億円 | 6.0億円 |
| コンピューター関連商品 | 2.6億円 | 2.2億円 |
| サービス・その他 | 2.5億円 | 3.4億円 |
| 連結(合計) | 10億円 | 12億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ぷらっとホームは、継続企業の前提に関する重要な不確実性を解消するため、第三者割当による新株式発行で資金調達を実施しました。
同社は、営業活動によるキャッシュ・フローで資金を獲得し、事業運営に必要な運転資金を確保しています。投資活動においては、将来の成長に向けた取り組みを進めていると考えられます。財務活動では、資金調達を通じて財務基盤の強化を図っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.6億円 | 1.5億円 |
| 投資CF | -0.0億円 | -0.0億円 |
| 財務CF | -億円 | 0.5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「日本をリードする技術者たちに最先端商品を提供する会社をつくろう」という創業の精神を、「TECHNOLOGY to serve you.」というコンセプトキーワードに込めています。蓄積されたオープンソース・ソフトウェアに関連する技術を核として、顧客の新しいニーズに誠実に応えていくことを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は「自由で安全なコネクテッドワールドの実現」をミッションに掲げています。環境問題に取り組みながら、省スペース・省電力製品やデータ流通を実現する通信技術を通じて、より利便性が高く安全な社会の実現を目指しています。また、技術者たちの個性と発想を尊重し、可能性を引き出す職場環境づくりを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、経常損益の継続的な黒字化を最優先目標として掲げています。当期において経常損益の黒字転換を達成しましたが、引き続きこの黒字化を定着させることを目指しています。具体的な経営指標の数値目標や水準については、継続的な黒字化目標の達成後に策定する方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
ネットワーク事業では、高付加価値な「ネットワークアプライアンス」に経営資源を集中し、従来のハードウェア型からソフトウェア・サービス型への事業転換を加速させています。また、新規事業であるWeb3領域においては、ブロックチェーン技術を活用した実証事業の成果を踏まえ、事業開拓やアライアンス戦略を推進し、収益化に取り組む方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、少人数で高効率な組織によるミッション実現を目指しており、人的資本を価値創造の源泉と位置付けています。性別や国籍を問わず投資を行い、組織力と総合的な人材力の向上を図っています。役職員一人ひとりの多彩な個性と発想を尊重し、OJTなどを通じて能力向上を支援するとともに、能率的で安全な職場環境の提供に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 50.4歳 | 13.9年 | 6,269,473円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) オープンソース・ソフトウェアへの依存
同社の製品はオープンソース・ソフトウェア(OSS)に関連しており、OSSの普及状況や開発コミュニティの動向に大きく依存しています。コミュニティとの良好な関係維持が困難になった場合や、OSS自体が市場ニーズに対応できなくなった場合、同社の成長や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 製品の陳腐化と開発競争
コンピューター業界は技術革新が速く、競合他社による新技術の投入や新たな業界標準の登場により、同社製品が急速に陳腐化するリスクがあります。新製品開発には多額の費用と期間を要するため、市場の評価を得られなかった場合や開発が遅れた場合、コスト負担の増大や競争力の低下を招く可能性があります。
■(3) 新規事業の不確実性
同社はWeb3事業などの新規事業に取り組んでいますが、これらは安定的な収益を得るまでに時間を要し、先行投資が発生します。市場環境の変化や法規制の影響により計画通りに推移しなかった場合、投資資金の回収が困難となり、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
■(4) 競合他社との競争
自社製品や関連商品において、国内外の企業や量販店との価格競争やサービス競争に晒されています。特に大手企業は豊富な経営資源を有しており、これらとの競争激化により市場シェアや収益性が低下する恐れがあります。また、仕入先や提携先が競合他社と関係を強化した場合、事業機会が阻害される可能性があります。



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