※本記事は、株式会社オートウェーブの有価証券報告書(第37期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. オートウェーブってどんな会社?
車関連用品の販売や車検・整備事業に加え、業務スーパーの運営など地域密着型の多角的な事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1990年に自動車用品・部品の販売を目的に設立され、翌年千葉市に第1号店をオープンしました。2004年にはジャスダック(現スタンダード市場)への上場を果たしています。近年は車関連事業に加え、2013年より業務スーパー事業を開始し、コインランドリーや自転車販売店を併設するなど多角化を進めています。
従業員数は単体で183名です。大株主の構成は、筆頭株主が代表取締役社長の廣岡大介氏であり、第2位は取引先持株会であるウェーブ会、第3位はオートウェーブ従業員持株会となっています。経営陣や関係者による安定した資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 廣岡 大介 | 16.04% |
| ウェーブ会 | 9.04% |
| オートウェーブ従業員持株会 | 8.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は廣岡大介氏が務めており、取締役4名中1名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 廣岡 大介 | 取締役社長(代表取締役) | 1996年同社取締役就任、海外事業本部長等を経て2010年6月より現職。 |
| 宮内 和也 | 取締役事業運営部部長 | 1997年同社入社。店長や事業運営部部長等を経て2016年6月取締役に就任し現職。 |
| 今井 孝一 | 取締役内部監査室室長 | 千葉信用金庫等を経て2001年同社入社。内部監査室室長を経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、河野研(河野公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「車関連事業」および「業務スーパー事業」を展開しています。
■車関連事業
新車・中古車の販売や買取、車検・整備、タイヤやオイルなどの車関連用品の販売を行っています。また、スマートフォン向け公式アプリを通じて、メンテナンス履歴の管理や作業予約の受付を行うなど、顧客の利便性向上と継続的な関係構築に注力しています。
一般の顧客から、車両の購入代金、車検・整備の作業料金、カー用品の販売代金等を受け取るビジネスモデルです。本事業の運営はオートウェーブが直接行っています。
■業務スーパー事業
冷凍食品や加工食品を中心とした食料品の販売を行っています。「エブリデイロープライス(毎日がお買得)」をコンセプトに、地域の消費者のニーズに応える店舗づくりを展開し、車関連事業の店舗敷地内などに併設する形での出店も進めています。
店舗を訪れる一般の消費者から、食料品などの商品販売代金を受け取ることで収益を得ています。本事業の運営もオートウェーブが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、当期純利益は2022年3月期の1億円から2026年3月期の4億円へと順調に拡大しています。事業環境の変化に対して、車検・整備を中心とした顧客獲得へのシフトや、業務スーパー事業の出店強化などの施策が奏功し、安定した収益基盤の構築と利益成長を実現していることが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 74億円 | - | - | - | - |
| 経常利益 | 2億円 | - | - | - | - |
| 利益率(%) | 3.3% | - | - | - | - |
| 当期利益 | 1億円 | 3億円 | 3億円 | 3億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の89億円から当期は98億円へと増収となっています。売上総利益も増加していますが、売上総利益率は約29%で推移しています。増収効果により、営業利益も堅調に推移し、営業利益率は3%台を維持しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 89億円 | 98億円 |
| 売上総利益 | 28億円 | 29億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.4% | 29.3% |
| 営業利益 | 3億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9億円(構成比36%)、賃借料が3億円(同13%)を占めています。売上原価は商品売上原価が大半を占めています。
■(3) セグメント収益
車関連事業は、公式アプリを通じたサービス予約件数の伸長などにより、堅調に売上を伸ばしました。また、業務スーパー事業も、新規出店や既存店の好調な推移により大きく売上を増加させており、両セグメントともに全社の増収に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 車関連事業 | 62億円 | 66億円 |
| 業務スーパー事業 | 27億円 | 32億円 |
| 連結(合計) | 89億円 | 98億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローがプラス、投資・財務活動がマイナスであり、営業利益で借入返済を行いながら投資を手元資金で賄う「健全型」の状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 6億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | -2億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も57.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「世の中から事故車・故障車をなくす」というミッションを掲げ、安心・安全・快適なカーライフの提供に取り組んでいます。また、お客様の暮らしに寄り添い、地域の皆様にとって必要不可欠な「トータルライフパートナー」となることを目指して、地域密着型のサービス提供を推進しています。
■(2) 企業文化
顧客が抱える「不満」「不信」「不合理」に対して社員一人ひとりが真摯に向き合い、「不の解消」のために行動する文化を重視しています。また、組織の共通価値観として「価値を生む力」「仲間と働く力」「自分を伸ばす力」の3つを定め、チームとしての連携や主体的な学びを通じた継続的な成長を奨励しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、市場の縮小傾向など厳しい事業環境の中で、主たる事業領域をカー用品の小売販売から車検・整備を中心とした顧客獲得へとシフトし、収益性の向上と経営基盤の強化を目指しています。現在、有価証券報告書において具体的な財務数値目標の記載はありませんが、継続的な成長に向けた事業構造の転換を進めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
車両状態に応じた乗り換え提案による新車・中古車販売の強化や、車検を起点としたカーライフ全体の「生涯顧客化」を推進しています。また、成長エンジンである業務スーパー事業における積極的な出店に加え、自転車販売やコインランドリーなど異業種との融合を進め、地域生活の利便性を高める店舗づくりに注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を中長期的な企業価値向上の基盤と位置付け、現場で顧客と向き合う従業員の知識や技術、接客力を重視しています。「価値を生む力」「仲間と働く力」「自分を伸ばす力」の育成を通じて、社内研修や資格取得などの支援を充実させるとともに、多様な人材が活躍できる柔軟な働き方の実現を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.0歳 | 11.8年 | 5,231,603円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.3% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 31.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 92.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 77.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 有利子負債と財務制限条項リスク
総資産に対する借入金の割合が高く、金利動向の変化が収益に影響を及ぼす可能性があります。また、シンジケートローン契約には財務制限条項が付されており、一定の財務水準を維持できない場合、一括返済を求められるなど資金繰りに重大な影響が生じるおそれがあります。
■(2) 商品調達と価格変動リスク
原材料価格の変動や海外情勢などの外部要因により、商品の仕入価格が上昇するリスクがあります。また、特定の仕入ルートが中断した場合には商品の安定供給に支障をきたし、店舗運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 天候状況による需要変動リスク
同社が取り扱うスタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどの季節商品は、降雪の有無や気候条件によって需要が大きく変動します。記録的な暖冬など想定外の天候不順が起きた場合、販売機会の損失や在庫負担の増加に繋がる可能性があります。



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