オートウェーブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 オートウェーブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、千葉県を中心にカー用品販売や車検・整備を行う「車関連事業」と、「業務スーパー」のフランチャイズ運営を行う「業務スーパー事業」を展開しています。直近の決算では、売上高は増収となりましたが、営業利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社オートウェーブの有価証券報告書(第36期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オートウェーブってどんな会社?


千葉県を地盤に、カー用品販売・車検整備と業務スーパー運営の2軸で事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1990年に自動車用品・部品の販売を目的として設立され、1991年に千葉市に「オートウェーブ宮野木店」を開店しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2013年には「業務スーパー宮野木店」を開業して食品販売事業へ参入しました。2022年の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。

同社の従業員数は184名(単体)です。筆頭株主は代表取締役社長の廣岡大介氏で、第2位は取引先持株会のウェーブ会、第3位は従業員持株会となっており、経営陣や関係者が主要な株主となっています。

氏名 持株比率
廣岡 大介 15.88%
ウェーブ会 8.47%
オートウェーブ従業員持株会 7.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は廣岡大介氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
廣岡 大介 取締役社長(代表取締役) 1996年同社取締役就任。海外事業本部長等を経て、2010年より現職。
宮内 和也 取締役事業運営部部長兼 店舗運営部部長 1997年同社入社。店舗店長、第2営業部長等を経て、2016年より現職。
今井 孝一 取締役内部監査室室長 千葉信用金庫、白光舎を経て2001年同社入社。2013年内部監査室室長となり、2024年より現職。


社外取締役は、河野研(公認会計士・税理士、河野会計事務所代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「車関連事業」および「業務スーパー事業」を展開しています。

(1) 車関連事業


車の販売・買取、車検・整備、車関連用品等の販売を行っています。カー用品の小売販売から、車検や整備を中心に顧客を獲得し、車の状態に合わせた乗り換え提案を行うなど、顧客のカーライフをトータルでサポートしています。

主な収益源は、一般顧客に対する車両販売代金、車検・整備料、カー用品等の商品販売代金です。運営は主に同社が行っています。

(2) 業務スーパー事業


冷凍食品・加工食品の販売を行っています。株式会社神戸物産が展開する「業務スーパー」のフランチャイズ加盟店として、千葉県内を中心に店舗を展開しています。

主な収益源は、一般顧客に対する食品等の商品販売代金です。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


※第34期より連結財務諸表を作成していないため、提出会社(単体)の経営指標を表示しています。

直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。経常利益は4億円前後で安定して推移しており、当期純利益も安定的に確保しています。利益率は低水準ながらも黒字を維持しており、堅実な経営が続いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 71億円 74億円 80億円 84億円 89億円
経常利益 2.2億円 2.5億円 4.1億円 4.3億円 4.1億円
利益率(%) 3.2% 3.3% 5.1% 5.1% 4.6%
当期純利益 1.4億円 1.4億円 2.6億円 2.6億円 2.7億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は増加しましたが、売上総利益率は若干低下しました。販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 84億円 89億円
売上総利益 27億円 28億円
売上総利益率(%) 32.4% 31.4%
営業利益 3.3億円 2.7億円
営業利益率(%) 4.0% 3.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9億円(構成比36%)、賃借料が3億円(同14%)を占めています。売上原価は61億円で、売上高に対する比率は69%となっています。

(3) セグメント収益


車関連事業は売上高が微増しましたが、店舗運営効率化のための投資により減益となりました。業務スーパー事業は新店オープン効果で大幅な増収となりましたが、出店費用の増加により減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
車関連事業 62億円 62億円 6億円 5億円 8.6%
業務スーパー事業 22億円 27億円 0.4億円 0.3億円 1.3%
調整額 - - △3億円 △3億円 -
連結(合計) 84億円 89億円 3億円 3億円 3.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで得た資金の範囲内で投資と借入返済を行っており、堅実な資金繰りを行っている健全型と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 5.4億円 3.3億円
投資CF △2.6億円 △2.0億円
財務CF △2.3億円 △2.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、地域のお客様の全ての相談・困り事をワンストップで提案・解決する企業集団への転換を目指しています。カー用品需要が減少する中、車検を起点に顧客接点を作り、カーライフ需要の生涯顧客化を図ることを方針としています。また、異業種との融合により地域の生活利便性を高めることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、顧客サービスの向上において、社員ひとりひとりがお客様の「不満」「不信」「不合理」等を考え、「不の解消」のために行動することを重視しています。これにより、「安全」「安心」「快適」等を提供し、顧客満足度の向上を図る風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営計画や具体的な数値目標については有価証券報告書内で明記していませんが、経営基盤の強化に取り組むとともに、成長部門である業務スーパー事業の積極的な出店を視野に入れ、成長エンジンとして強化を図る方針を示しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、カー用品小売から車検・整備中心への転換を進め、新車・中古車販売を強化することで、生涯顧客化を図る戦略をとっています。また、成長部門である業務スーパー事業については、株式会社神戸物産等と連携し積極的な出店を目指すほか、自転車販売やコインランドリー等の異業種との融合を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的な企業価値向上のためにダイバーシティマネジメントを推進しています。多様な人材の活躍を支援するため、柔軟な働き方を実現する制度や、退職社員の再雇用、障がい者雇用の推進を行っています。また、社内研修や資格取得を通じて従業員の専門性向上と人材育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.6歳 10.3年 5,137,594円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 4.3%
男性労働者の育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 31.5%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 89.4%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 75.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合の目標(50%以上)、男性労働者の平均育児休業取得率の目標(10%以上)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 有利子負債への依存


同社は総資産に対する借入金等の割合が21.0%となっており、金利動向が業績に影響する可能性があります。また、シンジケートローン契約には財務制限条項が付されており、純資産や経常利益等が所定の水準を維持できない場合、期限の利益喪失等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 気候条件による影響


同社が取り扱うスタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどの商品は、降雪の有無によって需要が変動します。暖冬などの天候状況によってはこれらの商品の販売が伸び悩み、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害の影響


同社は店舗での販売が事業の中心であるため、地震や台風などの自然災害や事故等により、店舗やインフラに物理的な損害が発生し、営業活動を中断せざるを得ない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。