ハードオフコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハードオフコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハードオフコーポレーションは東証プライム市場に上場し、ハードオフやオフハウス等のリユース品の買取・販売事業、およびフランチャイズ展開を主力とする企業です。直近の業績では、売上高が393億円と30期連続増収で過去最高を更新し、経常利益も35億円を記録するなど、着実な増収増益のトレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社ハードオフコーポレーションの有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハードオフコーポレーションってどんな会社?


全国で多様なリユース店舗を運営し、地球に優しい循環型社会の構築に貢献するリユースのリーディングカンパニーです。

(1) 会社概要


同社は1972年にサウンド北越として設立され、1993年に「ハードオフ」を開発し業態変更しました。1994年にFC事業を開始し、2004年に東京証券取引所市場第二部へ上場、2005年に市場第一部へ指定されました。近年は米国や台湾に子会社を設立し、海外展開も積極的に進めています。

現在、同社は連結で1,040名、単体で637名の従業員を擁しています。筆頭株主は同社役員が役員を兼務する資産管理会社のヤマモトアセットで、第2位および第3位は信託業務を行う金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
ヤマモトアセット 33.51%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.09%
日本カストディ銀行(信託口) 5.85%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は山本太郎氏が務めています。社外取締役の比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 太郎 代表取締役社長 ファーストリテイリングを経て、同社入社。常務取締役店舗運営本部長などを経て、2019年4月より現職。
山本 善政 代表取締役会長 サウンド北越創業設立、専務取締役などを経て、2019年4月より現職。
長橋 健 専務取締役社長室長兼経営管理本部長 日本生命保険相互会社を経て、同社入社。常務取締役社長室長などを経て、2016年4月より現職。


社外取締役は、渡邊美栄子(元スノーピーク代表取締役専務)、泉延喜(元日本経済新聞社記者)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リユース事業」および「FC事業」、「その他」事業を展開しています。

リユース事業

同事業は、ハードオフ、オフハウスなどの多様な業態で、地域から買い取ったパソコン、衣料、ホビー用品等のリユース品を販売するサービスを展開しています。一般の個人顧客に向けた地産地消型の店舗運営が特徴です。

収益は、店舗やインターネットを通じた一般顧客への商品販売により得ています。事業の運営は同社のほか、子会社のエコプラス、エコノス、および海外子会社のECO TOWN USA INC.などが担っています。

FC事業

同事業は、ハードオフ、オフハウス、ホビーオフなどの各リユースショップのフランチャイズチェーン本部として、全国の加盟店に対する店舗運営の指導や援助を行っています。

収益は、フランチャイズ契約に基づく加盟店からの加盟料やロイヤリティ、および販売用商品や消耗品の供給により得ています。本事業の運営は同社が単独で行っています。

その他

同セグメントでは、主にグループ内外に向けたシステムの開発やメンテナンスに関するサービスを提供しています。

収益は、顧客に対するシステム開発等の役務提供を完了することで得ています。事業の運営は子会社のリンクチャネルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実な右肩上がりで推移しており、直近の5年間で継続的な増収を達成しています。経常利益も安定して成長しており、利益率はおおむね9%前後を維持するなど、堅調な業績拡大が続いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 245億円 270億円 301億円 335億円 393億円
経常利益 17億円 25億円 30億円 34億円 35億円
利益率(%) 6.8% 9.3% 9.9% 10.1% 8.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 13億円 17億円 21億円 30億円

(2) 損益計算書


売上高および売上総利益は前期から大きく増加しています。売上総利益率は約68%と高水準をキープしており、営業利益も増加傾向にありますが、出店等に伴う費用増の影響で営業利益率はやや低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 335億円 393億円
売上総利益 230億円 268億円
売上総利益率(%) 68.6% 68.2%
営業利益 32億円 34億円
営業利益率(%) 9.6% 8.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が100億円(構成比43%)、地代家賃が43億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のリユース事業は、直営店の新規出店や子会社化による店舗増が寄与し、大幅な増収と利益拡大を牽引しています。FC事業も堅調に推移しており、各セグメントで安定した収益基盤を確立しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率(2026年3月期)
リユース事業 317億円 373億円 51億円 57億円 15.2%
FC事業 18億円 19億円 13億円 13億円 67.8%
その他 0.3億円 0.8億円 0.4億円 0.1億円 9.4%
調整額 -8億円 -8億円 -32億円 -36億円 -
連結(合計) 335億円 393億円 32億円 34億円 8.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で十分な利益を創出し、その資金と外部からの借入を用いて有形固定資産や子会社株式の取得などへの積極的な投資を行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 21億円 25億円
投資CF -18億円 -27億円
財務CF -3億円 5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も63.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会のためになるか」「お客様のためになるか」「社員・スタッフのためになるか」「会社のためになるか」という優先順位に基づく「4つのテスト」を掲げています。日本国内外でリユースのリーディングカンパニーとして、循環型社会の構築に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「企業は人財が全て~人財育成は、あらゆる業務より優先させよう~」を掲げ、人財育成を最も重要な経営課題と位置づけています。エコロジーとエコノミーが共生する社会の実現に向け、社員一人ひとりが笑顔で元気に活躍し、長く安心して働ける組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けた中期計画において、従来の出店基準である「10万商圏に1店舗」を確実に行いながら、地方都市の空白エリアへも積極的な出店を推進し、2030年度に1,300店舗体制を構築することを目標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


強いリアル店舗を中心とした「“Re”NK CHANNEL(リンクチャネル)」の構築を推進しています。個性ある店舗づくりを進めるリアル店舗戦略や、アプリ活用を促進するデジタル戦略に加え、既存エリアを中心に海外での積極的な新規出店を進め、リユースのグローバルリーダーを目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は持続的な成長を遂げるために多様性の確保が不可欠であると考え、性別や年齢に関わらず能力や適性に応じた採用・登用を行っています。また、「be店長プログラム」などのWEB研修や海外研修を充実させ、社員のエンゲージメント向上に向けた社内環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.6歳 11.2年 5,383,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.5%
男性育児休業取得率 87.5%
男女賃金差異(全労働者) 63.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 79.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 100.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性比率(15.5%)、離職率(5.7%)、ストレスチェック受検率(98.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) リユース市場の競争激化


環境意識の高まりによりリユース市場は拡大していますが、同業他社の積極的な出店やインターネット買取サービスの普及により、店舗物件の確保や仕入商品の調達が計画通りに進まない場合、同社の既存店業績や収益に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 古物営業法等の法的規制


同社の事業は古物営業法の許可を前提としています。古物台帳の管理を徹底するなど法令遵守の体制を整えていますが、万が一不正事件等が発生し許可の取消しや営業停止処分を受けた場合、事業継続に重要な影響を与えるリスクがあります。

(3) 大規模自然災害による影響


同社の出店が集中している地域において、地震や大規模な台風などの自然災害が発生し店舗の営業継続が困難となった場合、売上や仕入の減少、設備の原状復帰費用の発生などにより、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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