ハードオフコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハードオフコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。リユース事業およびFC事業を展開する大手リユース企業。当連結会計年度は、直営・FC合計で1000店舗を達成し、既存店売上も好調に推移しました。業績は増収増益となり、売上高、各利益段階において過去最高を更新しています。


※本記事は、株式会社ハードオフコーポレーション の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハードオフコーポレーションってどんな会社?


リユースショップ「ハードオフ」等を全国展開する企業です。直営店運営とフランチャイズ本部機能を持ちます。

(1) 会社概要


1972年にサウンド北越として設立され、1993年に「ハードオフ」1号店を開店しました。2000年に店頭登録、2005年に東証一部へ上場しています。2024年にはグループ店舗数が1000店舗に達し、全国的な店舗網を構築しています。また、米国や台湾などへの海外展開も積極的に進めています。

同社グループの連結従業員数は785名、単体では487名です。筆頭株主は創業者の山本善政氏の資産管理会社であるヤマモトアセットで、第2位、第3位は信託銀行です。安定した株主構成のもと、長期的な視野での経営が行われています。

氏名 持株比率
ヤマモトアセット 33.55%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.19%
日本カストディ銀行(信託口) 7.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は山本 太郎氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 太郎 代表取締役社長 ファーストリテイリングを経て2007年に入社。経営企画室長、店舗運営本部長などを歴任し、2019年より現職。
山本 善政 代表取締役会長 1972年にサウンド北越(現ハードオフコーポレーション)を創業。社長を経て2019年より現職。
長橋 健 専務取締役 日本生命保険を経て2003年に入社。社長室長、経営管理本部長などを歴任し、2016年より現職。


社外取締役は、渡邊 美栄子(元スノーピーク代表取締役専務)、泉 延喜(弁護士・元日本経済新聞社記者)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リユース事業」「FC事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) リユース事業


パソコン・楽器等を扱う「ハードオフ」、衣料・家具等を扱う「オフハウス」などの直営店運営を行っています。顧客は一般消費者で、多様なリユース品の買取・販売を提供しています。また、海外においても米国や台湾で店舗を展開しています。

一般顧客への商品販売代金が主な収益源です。運営は主に同社が行うほか、子会社のハードオフファミリー、エコプラス、ECO TOWN USA INC.、HARD OFF TAIWAN INC.などが各地域で事業を展開しています。

(2) FC事業


「ハードオフ」「オフハウス」など各ブランドのフランチャイズ本部として事業を行っています。加盟店に対して経営指導や商品供給を行い、全国的な店舗ネットワークを拡大しています。

加盟店から受け取る加盟料、ロイヤリティ、および商品販売代金が収益源です。この事業の運営は同社が担っています。

(3) その他


システム開発事業を行っています。グループ内のシステムサポートや外部向けの受託開発などを行っていると考えられます。

システム開発や保守・運用に伴う対価を収益源としています。運営は子会社のリンクチャネルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上高は着実な右肩上がりを続けています。経常利益も増益基調にあり、利益率は4%台から10%台へと大幅に改善しました。店舗網の拡大と既存店の好調が寄与し、成長性と収益性の向上が両立していることが読み取れます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 213億円 245億円 270億円 301億円 335億円
経常利益 9億円 17億円 25億円 30億円 34億円
利益率(%) 4.2% 6.8% 9.3% 9.9% 10.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 8億円 13億円 17億円 21億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に伸長しています。営業利益率も改善傾向にあり、効率的な店舗運営が進んでいることがうかがえます。販管費のコントロールと売上拡大のバランスが取れており、収益体質が強化されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 301億円 335億円
売上総利益 207億円 230億円
売上総利益率(%) 68.6% 68.6%
営業利益 28億円 32億円
営業利益率(%) 9.3% 9.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が約83億円(構成比42%)、地代家賃が約39億円(同20%)を占めています。店舗運営における人件費と家賃が主要なコスト要因です。

(3) セグメント収益


主力の「リユース事業」は、既存店の好調と新規出店により増収となりました。「FC事業」も加盟店への商品供給やロイヤリティ収入が増加し、増収となっています。両セグメントともに事業は拡大傾向にあります。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
リユース事業 285億円 317億円
FC事業 16億円 18億円
その他 0.3億円 0.3億円
連結(合計) 301億円 335億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ハードオフコーポレーションのキャッシュ・フローについて解説します。

同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益により、前年を上回る収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いがあったものの、短期借入金の増加などにより、前年よりも支出が減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 19億円 21億円
投資CF -12億円 -18億円
財務CF -6億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「理念経営に磨きをかけ、誰にも真似できない唯一無二の存在になる」ことを目指しています。強いリアル店舗を核とした「“Re”NK CHANNEL(リンクチャネル)」を構築し、国内外で圧倒的なリユースのリーディングカンパニーとして循環型社会の構築に貢献することを掲げています。

(2) 企業文化


「企業は人財が全て」という考えのもと、人材育成を最優先事項としています。「ハードオフ理論30ヶ条」を行動指針とし、社員やスタッフが笑顔で元気に活躍できる環境づくりを重視しています。地域のお客様から買い取った品物をその店舗で販売する「地産地消型」のビジネスモデルも特徴的です。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けた中期計画を推進しており、売上高経常利益率を主要指標としています。店舗網の拡大については、2024年度にグループ1000店舗を達成し、次なる目標として2030年度に1300店舗体制の構築を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「リアル店舗戦略」「出店戦略」「デジタル戦略」「海外戦略」の4つを柱としています。個性ある店舗づくりを進めつつ、地方都市の空白エリアへの出店を強化します。また、公式アプリやECサイト「オフモール」の活用によるデジタル化、米国や台湾、ASEAN地域への積極的な海外出店により事業拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「企業は人財が全て」を掲げ、人材育成を最重要課題と位置付けています。性別や国籍等を問わず能力に応じた採用・登用を行い、早期育成プログラム「be店長プログラム」や海外研修などを通じて、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 36.5歳 11.0年 5,345,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.7%
男性育児休業取得率 92.3%
男女賃金差異(全労働者) 61.5%
男女賃金差異(正規) 81.6%
男女賃金差異(非正規) 99.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(6.8%)、正社員に占める女性比率(14.4%)、ストレスチェック受検率(97.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) リユース市場の競争激化


競合他社が類似した事業展開を行い、積極的な出店攻勢をかけた場合、既存店の業績に影響が及ぶ可能性があります。また、インターネットを利用した買取サービスの普及や新たな競合の出現により、商品の仕入確保が困難になるリスクもあります。

(2) 古物営業法の規制遵守


リユース品の売買には古物営業の許可が必要です。法令違反等により営業停止や許可取消となった場合、事業活動に重大な影響が生じます。また、盗品を買取ってしまった場合の無償回復請求リスクなど、法的リスクへの対応が求められます。

(3) 商品の仕入確保と価格競争


店舗商圏内の一般個人からの買取が主な仕入源であるため、景気動向や顧客マインドの変化により仕入量が変動する可能性があります。競合店が買取価格を引き上げた場合、仕入確保のために追随することで利益率が低下するリスクがあります。

(4) 大規模自然災害による影響


店舗が出店している地域において地震や台風等の大規模な自然災害が発生した場合、店舗の営業停止や設備の損壊、商品在庫の滅失などにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。