ゲオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ゲオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のリユース・メディアショップ運営大手。「セカンドストリート」や「ゲオ」を全国展開しています。2025年3月期は、リユース事業が堅調に推移したものの、新品商材の反動減や人件費・地代家賃の増加等が影響し、売上高は4,277億円で減収、経常利益は122億円で減益となりました。


※本記事は、株式会社ゲオホールディングス の有価証券報告書(第37期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ゲオホールディングスってどんな会社?


リユースショップ「セカンドストリート」やメディアショップ「ゲオ」を運営し、循環型流通を展開する企業です。

(1) 会社概要


1986年に創業者がビデオレンタル店を開業し、1989年に「GEO」の屋号使用を開始しました。2000年に大阪証券取引所ナスダックジャパン市場へ上場後、2004年には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。2008年に「セカンドストリート」を運営する株式会社フォー・ユーを子会社化し、リユース事業を拡大。2011年に現社名へ変更し、持株会社体制へ移行しました。

同グループの従業員数は連結で6,512名、提出会社単体で576名です。筆頭株主は株式会社城蔵屋で、第2位は日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)です。

氏名 持株比率
城蔵屋 37.40%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.60%
常興薬品 4.48%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長執行役員は遠藤結蔵氏です。社外取締役比率は46.2%です。

氏名 役職 主な経歴
遠藤 結蔵 代表取締役社長執行役員 2000年同社入社。2011年代表取締役社長に就任し、2019年より現職。
久保 幸司 取締役専務執行役員 1995年フォー・ユー入社。セカンドストリート社長等を経て2024年より現職。
村上 幸正 取締役専務執行役員 1989年スターリング入社。インデックス常務等を経て2016年入社。2025年より現職。
今井 則幸 取締役常務執行役員 1990年ゲオミルダ入社。ゲオグローバル社長等を経て2019年より現職。
森田 広史 取締役常務執行役員 2001年入社。ワールドモバイル代表取締役を務め、2025年より現職。
笹野 和雄 取締役常勤監査等委員 日本長期信用銀行出身。1996年同社出向、常務取締役等を経て2024年より現職。
吉川 恭史 取締役常勤監査等委員 1988年エー・ブイ・ステーション入社。同社社長等を経て2025年より現職。


社外取締役は、荻野恒久(公認会計士・税理士)、安田加奈(公認会計士・税理士)、堀江容子(公認会計士・税理士)、小宮山太(公認会計士・税理士)、太田裕之(元警察庁警察大学校長)、服部真也(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リユースショップ運営」「メディアショップ運営」および「その他」事業を展開しています。

リユースショップ運営


衣料・服飾雑貨・家電製品等の中古品の買取販売を行っています。リユース市場の拡大を背景に、アパレル特化型やコンセプトショップなど多様な店舗を展開しています。
収益は、一般顧客からの買取商品を販売することによる売上が中心です。運営は主に株式会社セカンドストリート、株式会社OKURAなどが担っています。

メディアショップ運営


ゲーム・スマートフォン・家電などの買取販売、新品ゲームの販売、DVD・CD・コミックのレンタルを行っています。実店舗のネットワークを活かしたサービスを提供しています。
収益は、商品の販売代金やレンタル料などから構成されています。運営は主に株式会社ゲオストアが行っています。

その他


リユース・メディア商材の卸販売事業、オンラインサービスやECサイトの運営などを展開しています。
収益は、商品の卸売上やオンラインサービスの利用料などが含まれます。運営は株式会社viviON、株式会社エイシス、株式会社ゲオクリア、株式会社ワールドモバイルなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2024年3月期にかけて売上高は増加傾向にありましたが、直近の2025年3月期は微減収となりました。利益面では、2024年3月期に高い水準を記録しましたが、2025年3月期は経常利益、当期利益ともに減少しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,284億円 3,348億円 3,773億円 4,338億円 4,277億円
経常利益 48億円 97億円 119億円 187億円 122億円
利益率(%) 1.5% 2.9% 3.2% 4.3% 2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 51億円 22億円 -19億円 18億円 -36億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上総利益は増加しましたが、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は減少しています。売上総利益率は改善傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,338億円 4,277億円
売上総利益 1,598億円 1,707億円
売上総利益率(%) 36.8% 39.9%
営業利益 168億円 113億円
営業利益率(%) 3.9% 2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が585億円(構成比36.7%)、地代家賃が307億円(同19.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


リユース系商材は、高級時計等の相場軟調や天候不順の影響があったものの、リユース市場の拡大や海外出店の推進により売上が増加しました。一方、新品商材は家庭用ゲーム機本体等の反動減により大幅な減収となりました。全体として、コスト増により利益率は低下しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
小売サービス事業 4,338億円 4,277億円 168億円 113億円 2.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金と財務活動による調達資金を、新規出店や設備投資に充てる「積極型」のキャッシュ・フロー構造となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 93億円 80億円
投資CF -104億円 -125億円
財務CF 124億円 108億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%でプライム市場平均(9.4%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.7%でプライム市場非製造業平均(24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」を企業活動の基本方針としています。この方針に基づき、付加価値の高いサービスを提供し、コンプライアンスに沿った適正な企業活動によって利益を確保することで、長期的な成長を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、変化への適応と事業の成長を通じて持続可能な社会の実現に取り組むことを基本方針としています。環境や社会へ十分に配慮することや、多様な価値観を尊重し、各人の個性が発揮できる環境づくりを推進することを行動指針としています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、直営店舗の全国展開を中心とした事業において、店舗の営業活動の収益性を示す売上高営業利益率と、資本効率を示す自己資本利益率を重視すべき経営指標と位置付けています。

* 売上高営業利益率:5.0%
* 自己資本利益率(ROE):8.0%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「ネットワークリテイラー」体制の構築と「グローバルプラットフォーマー」を目指し、リユース市場の深耕や収益基盤の再構築に取り組んでいます。具体的には、多店舗展開の加速、買取サービスの拡充、新規フォーマットの提案、IT活用によるシームレスな購買環境整備、グローバルマネジメント体制の構築などを推進しています。

* 2026年3月期 売上高:4,700億円
* 2026年3月期 営業利益:115億円

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材獲得と教育投資による人材活用を推進しています。従業員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、能力を最大限に発揮できるよう、多様な働き手を支援する環境整備やグローバル教育・資格制度の再構築に取り組んでいます。また、「自己申告制度」や「社内公募制度」を設け、自律的なキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.5歳 13.3年 5,447,001円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.1%
男性育児休業取得率 31.3%
男女賃金差異(全労働者) 57.2%
男女賃金差異(正規) 63.9%
男女賃金差異(非正規) 94.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者育児休業取得率(117.9%)、定期健診受診率(99.0%)、ストレスチェック受検率(95.2%)、時間外労働時間(平均)(12.5時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店政策について


同社グループは、新規出店やM&A、店舗買収による店舗網の拡大を計画しています。これらの案件が継続的に成立しない場合や、一時的な費用が発生した場合には、成長力が鈍化し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) リユース品の仕入について


店舗で扱うリユース品は主に一般顧客からの買取で仕入れています。環境問題への関心の高まりによるリユース分野への新規参入等で競合が激化しており、買取の量と質を十分に確保できない場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 法的規制等について


事業運営において「大規模小売店舗立地法」「古物営業法」「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」「著作権法」などの規制を受けています。今後の法改正や規制強化、またはこれらに抵触する事態が生じた場合、事業活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 有利子負債依存度について


事業資金を主に金融機関からの借入れにより調達しているため、総資産に対する有利子負債の比率が高い水準にあります。金融情勢の変化により金利が大幅に上昇した場合には、資金調達コストが増加し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。