ゲオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ゲオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ゲオホールディングスはプライム市場に上場し、リユース品やメディア商材の買取販売、レンタルを行う小売サービス事業を展開しています。2026年3月期は国内出店拡大や商材の堅調な推移により、増収増益を達成しました。今後も循環型流通の構築を図り、企業価値向上とグローバルな持続的成長を目指しています。


※本記事は、株式会社ゲオホールディングスの有価証券報告書(第38期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ゲオホールディングスってどんな会社?


同社グループは、リユース品の買取販売やメディア商材のレンタルを行う小売サービス事業を展開しています。

(1) 会社概要


1986年にビデオレンタル店として創業し、1989年にゲオミルダへ社名を変更して事業を拡大しました。2004年に東証一部へ上場し、2011年に持株会社体制へ移行して現在のゲオホールディングスとなりました。近年は海外展開も加速しており、2025年にはセカイズを完全子会社化しています。

現在の従業員数は連結で7,249名、単体で641名体制となっています。筆頭株主は城蔵屋で、第2位は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は常興薬品となっています。

氏名 持株比率
城蔵屋 41.02%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.77%
常興薬品 4.48%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長執行役員は遠藤結蔵氏が務めています。社外取締役比率は46.2%となっています。

氏名 役職 主な経歴
遠藤結蔵 代表取締役社長執行役員 2000年ゲオ入社。2004年取締役社長室副室長を経て、2011年代表取締役社長に就任。2019年より現職。
久保幸司 取締役専務執行役員 1995年フォー・ユー入社。2010年セカンドストリート代表取締役社長に就任。2024年より現職。
村上幸正 取締役専務執行役員 1989年スターリング入社。2016年ゲオホールディングス入社。2023年取締役常務執行役員を経て、2025年より現職。
今井則幸 取締役常務執行役員 1990年ゲオミルダ入社。2004年ゲオグローバル代表取締役社長などを歴任し、2019年より現職。
森田広史 取締役常務執行役員 1989年エスポ入社。2001年ゲオ入社。2017年ワールドモバイル代表取締役社長に就任し、2025年より現職。
笹野和雄 取締役常勤監査等委員 1971年日本長期信用銀行入行。1996年ゲオ入社。2008年常勤監査役を経て、2024年より現職。
吉川恭史 取締役常勤監査等委員 1988年エー・ブイ・ステーション入社。2007年代表取締役社長などを歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、荻野恒久(荻野公認会計士事務所開設)、安田加奈(安田会計事務所設立)、堀江容子(堀江容子公認会計士事務所設立)、小宮山太(小宮山公認会計士事務所開設)、太田裕之(全日本遊技事業協同組合連合会専務理事)、服部真也(セントラル法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売サービス」および「その他」事業を展開しています。

(1) セカンドストリート事業


同事業は、主に衣料、服飾雑貨、家具、家電製品などの中古品の買取および販売サービスを提供しています。国内での店舗展開に加え、北米やアジア地域など海外への出店も積極的に進めており、幅広い顧客層に向けてリユース商品を展開しています。

収益は、店舗やオンラインを通じた一般顧客への商品販売から得ています。また、買取専門店や出張買取などを活用して商品を仕入れています。事業の運営は主にゲオ、セカンドストリート、および各国の海外現地法人が担っています。

(2) ゲオ事業


同事業は、家庭用ゲーム、スマートフォン、タブレット端末などのリユース商材の買取販売や、新品ゲームの販売を提供しています。さらに、DVD、CD、コミックのレンタルサービスも展開しており、全国の店舗網を活かしたサービスを提供しています。

収益は、商品の販売代金やレンタル利用料から得ており、通信機器商材などの卸販売も行っています。事業の運営は主にゲオ、ゲオストア、ワールドモバイルが担当し、多様な商材を通じた収益基盤を形成しています。

(3) ラグジュアリー事業


同事業は、高級ブランド品や時計、ジュエリーなどのラグジュアリー商材に特化した買取および販売サービスを提供しています。専門性の高い査定技術を活かし、付加価値の高い商品を取り扱うことで、独自の市場ポジションを確立しています。

収益は、一般顧客への直接販売や卸売を通じた販売代金から得ています。事業の運営は主にOKURA、BANK OKURA、および関連する海外子会社が担当し、国内外で事業を展開しています。

(4) その他事業


同事業では、上記事業に分類されないオンラインサービスの提供や、ECサイトの運営、デジタルコンテンツの開発および販売などを展開しています。ITを積極的に活用し、オンラインとオフラインを融合させたシームレスなサービスを提供しています。

収益は、デジタルコンテンツの販売代金やオンラインサービスの利用料などから得ています。事業の運営は主にゲオ、viviON、エイシスなどが担当し、グループ全体の事業ポートフォリオの多角化に貢献しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、5期連続で増収を達成しています。経常利益も直近の2026年3月期には153億円となり、安定して推移しています。当期利益は一時的にマイナスとなる期もありましたが、直近では124億円と黒字化し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3,348億円 3,773億円 4,338億円 4,277億円 4,812億円
経常利益 97億円 119億円 187億円 122億円 153億円
利益率(%) 2.9% 3.2% 4.3% 2.9% 3.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 -19億円 18億円 -36億円 124億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も前期間比で増加しています。各段階の利益率も改善傾向にあり、事業の成長とともに収益構造の強化が図られていることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4,277億円 4,812億円
売上総利益 1,707億円 1,894億円
売上総利益率(%) 39.9% 39.4%
営業利益 113億円 142億円
営業利益率(%) 2.6% 3.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が665億円(構成比37.9%)、地代家賃が327億円(同18.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は小売サービス事業の単一セグメントですが、商材別の売上実績が開示されています。リユース衣料・服飾雑貨や新品商材の販売が牽引し、全体として増収となりました。一方でレンタル需要は縮小傾向が続いています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
衣料・服飾雑貨、家具・家電、等 1,320億円 1,553億円
ゲーム、スマートフォン・タブレット、等 837億円 878億円
ラグジュアリー 582億円 576億円
新品 991億円 1,243億円
その他 547億円 563億円
連結(合計) 4,277億円 4,812億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 80億円 195億円
投資CF -125億円 -153億円
財務CF 108億円 225億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」を企業活動の基本方針として掲げています。この理念に基づき、付加価値の高いさまざまなサービスを提供し、コンプライアンスに沿った適正な企業活動によって長期的な成長を目指して取り組んでいます。

(2) 企業文化


循環型社会の形成が志向される中、同社はオンラインとオフラインの境目をなくした「ネットワークリテイラー」の体制構築を重視しています。リユースとレンタルの循環型流通を通じて、世界の人々に豊かで楽しい日常を届ける「グローバルプラットフォーマー」としての価値観が根底にあります。

(3) 経営計画・目標


同社は、直営店舗の全国展開を中心とした事業を行っており、店舗の営業活動の収益性を明確に表す指標を重視しています。また、資本効率の観点から中長期的な目標を設定し、継続的な成長と利益率の向上を目指しています。

* 売上高営業利益率:5.0%
* 自己資本利益率(ROE):8.0%

(4) 成長戦略と重点施策


持続的成長のため、店舗展開や買取インフラの拡充を通じたリユース市場の深耕を進めています。また、グループの各事業が持つ機能を掛け合わせた収益基盤の再構築、ITの積極活用によるオンラインの強化、グローバルでの収益モデルの早期確立を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大を牽引する人材の確保および育成を最優先課題と位置づけています。「配転教育制度」を通じた次世代リーダーの育成や、専門人材を計画的に育成する「キャリアディベロップメントプログラム」を展開し、多様な働き方を推進する環境整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.7歳 13.5年 5,766,973円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.7%
男性育児休業取得率 88.9%
男女賃金差異(全労働者) 60.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 91.3%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメントトータルスコア(66)、マネジメント候補者の昇格人数(293名)、昇格時平均在籍年数(5年11ヵ月)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店政策の成否と業績への影響


同社グループは新規出店やM&Aを通じて店舗網の拡大を加速させています。しかし、継続的な案件成立が確約されているわけではなく、計画通りに進まない場合は成長力の鈍化や一時的な費用の発生により、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) リユース市場での仕入確保と競争激化


取り扱うリユース品の大部分は一般顧客からの買取で仕入れています。環境意識の高まりに伴うリユース分野への新規参入により他社との競争が激化しており、十分な商品量と質の確保が困難になった場合、事業活動や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 店舗運営に伴う法的規制への対応


事業運営において「古物営業法」や「景品表示法」などの各種法的規制を受けています。法令遵守の徹底に努めているものの、法規制への対応費用の発生や、違反による行政処分を受けた場合、社会的信用の低下や業績の悪化につながる恐れがあります。

(4) 個人情報管理とシステム障害


多数の顧客情報を保有しており、事業活動におけるシステムへの依存度が高まっています。セキュリティ強化や従業員教育などの対策を講じていますが、万が一重要情報の漏洩やシステム障害が発生した場合、損害賠償や信用の失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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