あみやき亭 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 あみやき亭 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム・名証プレミア上場で、東海・関東地区を中心に焼肉・焼鳥・ステーキ等の飲食店を直営展開する企業です。当連結会計年度は、「感動の肉と米」等の好調や構造改革により、売上高は過去最高を更新し、増収増益となりました。自己資本比率は78.9%と高い財務健全性を維持しています。


※本記事は、株式会社あみやき亭 の有価証券報告書(第30期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. あみやき亭ってどんな会社?

東海・関東地区を地盤に、「あみやき亭」等の焼肉店や「感動の肉と米」等のレストランを多業態で展開する企業です。

(1) 会社概要

1995年に愛知県春日井市で設立され、焼肉レストラン「あみやき亭」を開始しました。2002年に株式を上場し、2005年には東証・名証の一部(現プライム・プレミア)へ指定替えしました。その後、スエヒロレストランシステムやアクトグループ等のM&Aを通じて関東地区へ進出し、事業基盤を拡大しています。

2025年3月31日時点で、連結従業員数は620名、単体従業員数は326名です。筆頭株主は会長兼社長の資産管理会社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には創業者の会長兼社長が名を連ねており、オーナーシップの強い資本構成となっています。

氏名 持株比率
チャレンジブイコーポレーション有限会社 36.49%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 7.92%
佐藤啓介 2.99%

(2) 経営陣

同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役会長兼社長は佐藤啓介氏、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤啓介 取締役会長兼社長(代表取締役) 1971年に株式会社三河屋入社。1995年に同社を設立し社長就任。スエヒロレストランシステム会長等を兼務し、2020年より現職。
千々和康 常務取締役管理本部長 1981年に中央信託銀行(現三井住友信託銀行)入社。2003年に同社入社後、経営戦略室長等を経て2009年より現職。
佐藤裕士 取締役関東本部長 2003年に同社入社。関東本部長を経て、スエヒロレストランシステム社長等を兼務。2014年より現職。
竹内隆盛 取締役内部監査室室長 1978年に公認会計士事務所入所。1999年に同社入社。管理本部長、経理部長等を経て2008年より現職。
藤井有里 取締役 2018年に同社商品開発アドバイザー就任。2023年に顧問となり、2024年より現職。


社外取締役は、秋岡賢治(元プリマハム常務執行役員)、石森英生(元米久専務取締役)、乾美恵子(U.I総合法律事務所共同代表)です。

2. 事業内容

同社グループは、「焼肉事業」「焼鳥事業」「レストラン事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 焼肉事業

国産牛などの品質の高い肉をリーズナブルに提供する「あみやき亭」や、和牛焼肉の「焼肉スエヒロ館」などを展開しています。中部・関東地区を中心にドミナント出店を行い、セントラルキッチンでの加工により品質と効率を両立させています。

一般消費者からの飲食代金が主な収益源です。運営は主に同社が行っていますが、関東地区では株式会社スエヒロレストランシステムや株式会社杉江商事、株式会社ニュールックなども店舗運営を担っています。

(2) 焼鳥事業

「元祖やきとり家美濃路」などを中部地区で展開し、ファミリー層や女性客をターゲットに焼鳥や釜めし等をリーズナブルに提供しています。また、「もつしげ」では鮮度にこだわった「もつ」を提供しています。

一般消費者からの飲食代金が主な収益源です。運営は主に同社が行っていますが、一部店舗は株式会社ニュールックが運営しています。

(3) レストラン事業

ステーキとご飯にこだわったファーストフード業態「感動の肉と米」や、国産牛ハンバーグ等を提供する「レストランスエヒロ館」を展開しています。「感動の肉と米」は提供スピードとコストパフォーマンスを重視し、出店を加速しています。

一般消費者からの飲食代金が主な収益源です。運営は同社および株式会社スエヒロレストランシステムが行っています。

(4) その他の事業

しゃぶしゃぶ店「しゃぶ亭ふふふ」、精肉直売店「お肉の工場直売市」、居酒屋「楽市」、寿司「すしまみれ」などを展開しています。

一般消費者からの飲食代金や商品販売代金が主な収益源です。運営は同社および株式会社スエヒロレストランシステムが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた時期から回復し、右肩上がりで成長を続けています。特に直近では過去最高の売上高を記録しました。経常利益もV字回復を果たし、利益率も改善傾向にあります。当期純利益もしっかりと確保しており、増収増益基調が鮮明です。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 221億円 216億円 285億円 333億円 353億円
経常利益 -10.1億円 13.3億円 7.0億円 23.1億円 27.3億円
利益率(%) -4.6% 6.2% 2.5% 6.9% 7.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -6.5億円 2.5億円 0.4億円 11.9億円 13.6億円

(2) 損益計算書

直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に伸長しています。営業利益率も向上しており、コストコントロールと売上拡大が両立できています。原価率や販管費率の適切な管理により、収益性が高まっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 333億円 353億円
売上総利益 204億円 216億円
売上総利益率(%) 61.3% 61.1%
営業利益 22億円 26億円
営業利益率(%) 6.7% 7.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が88億円(構成比46%)、地代家賃が27億円(同14%)を占めています。外食産業の特性上、人件費と店舗家賃が主なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益

焼肉事業は売上が横ばいですが、利益率は高水準を維持しています。焼鳥事業は増収増益で堅調です。特筆すべきはレストラン事業で、「感動の肉と米」の好調により大幅な増収増益を達成しており、全体の成長を牽引しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
焼肉 224億円 224億円 17億円 18億円 8.2%
焼鳥 34億円 37億円 3億円 4億円 9.5%
レストラン 59億円 77億円 3億円 6億円 7.3%
その他 15億円 16億円 1億円 1億円 5.8%
調整額 - - -2億円 -2億円 -
連結(合計) 333億円 353億円 22億円 26億円 7.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持しています。投資キャッシュ・フローがプラスになっていますが、これは定期預金の払戻による収入が大きいためであり、実質的には有形固定資産の取得など積極的な投資を行っています。財務キャッシュ・フローは配当金の支払等によりマイナスとなっており、全体として財務体質を改善しつつ成長投資を行う「改善型」の傾向を示しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 35億円 27億円
投資CF -16億円 0.5億円
財務CF -7億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.9%で市場平均を大幅に上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

「お客様一人一人に喜んでいただく」ことを経営理念に掲げ、「より美味しいものを、よりお値打ちに食べたい」という顧客ニーズに応えることを目指しています。安心安全で美味しい食肉を使用したメニューの提供を通じて、常に顧客の嗜好の一歩先を行くことに全社一丸となって取り組んでいます。

(2) 企業文化

「食肉の専門集団」としての強みを活かし、プロフェッショナルとしての誇りを持って業務に取り組む文化があります。また、顧客満足を第一に考え、「お客様に喜んでいただき、選んでいただく店舗作り」を全従業員で追求する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標

中長期的な目標経営指標として、以下の数値を掲げています。
* 売上高経常利益率:15%

(4) 成長戦略と重点施策

「食肉の専門集団」としての強みを活かした差別化とブランド認知の向上を図ります。店舗展開は原則直営でドミナント展開を進め、地域特性に合わせた業態選定を行います。また、ローコストオペレーション体制の整備により経営体質を強化します。
* 商品の安心・安全の確保およびサステナビリティへの取組
* 人材の確保・育成と定着推進
* 既存店の店舗力・商品力の向上と生産性向上
* ドミナント展開を意識した新規出店とM&Aの検討

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

人材を持続的成長の基盤と捉え、社員およびパート・アルバイトの安定的採用と育成、定着化を目指しています。働きやすい環境整備のため、労働時間の適正化や待遇改善に取り組み、多様な人材が活躍できる職場作りを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.5歳 8.7年 6,026,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.5%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 70.7%
男女賃金差異(正規雇用) 72.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 93.5%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合に関するリスク

外食産業は消費者の嗜好変化の影響を受けやすく、参入障壁が低いため競争が激化しています。同業他社との競合において優位性を保てない場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は高品質で値打ちな商品とサービスの提供により差別化を図っています。

(2) 食の安全性に関するリスク

BSE、異物混入、アレルギー表示など食の安全性は最重要課題です。万一食品事故が発生した場合、客数減少やブランド毀損により業績に重大な影響を与える可能性があります。同社は仕入先の選定、セントラルキッチンでの衛生管理、店舗での品質管理を徹底しています。

(3) 原材料や資材調達価格の高騰に関するリスク

食肉や野菜等の食材価格は、天候不順、自然災害、地政学的リスク、為替変動等の影響を受けます。調達価格が高騰した場合、売上原価の上昇により利益を圧迫する可能性があります。同社は仕入先の分散化や長期契約、新規開拓等によりリスクヘッジを行っています。

(4) 人材の確保・育成に関するリスク

労働人口の減少や需給逼迫により、必要な人材の確保が困難になるリスクがあります。人手不足はサービス低下や出店遅延、人件費高騰を招き、業績に影響を与える可能性があります。同社は多様な人材が活躍できる環境整備や待遇改善に注力しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。