※本記事は、株式会社あみやき亭の有価証券報告書(第31期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. あみやき亭ってどんな会社?
同社は、中部・関東・近畿地区を中心に、焼肉や焼鳥、ステーキなどの飲食店を多店舗展開する外食チェーン企業です。
■(1) 会社概要
1995年に愛知県春日井市で設立され、焼肉レストラン「あみやき亭」の直営展開を開始しました。2000年には焼鳥専門店の経営も始め、2002年に株式上場を果たしました。2009年のスエヒロレストランシステムの子会社化などM&Aを活用して業容を拡大し、直近の2025年にもクーデションカンパニーを子会社化しています。
現在の従業員数は連結で635名、単体で346名です。筆頭株主は創業者および親族が関与するチャレンジブイコーポレーションで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。第3位には創業者の佐藤啓介氏が名を連ねており、創業者とその関係会社が高い持株比率を維持しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| チャレンジブイコーポレーション有限会社 | 36.49% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.17% |
| 佐藤 啓介 | 2.99% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役会長兼社長は佐藤啓介氏が務めています。社外取締役は取締役7名中2名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 啓介 | 取締役会長兼社長(代表取締役) | 1971年に三河屋へ入社し、専務取締役などを歴任。1995年のあみやき亭設立に伴い代表取締役社長に就任。スエヒロレストランシステムやニュールックなどのグループ会社の代表取締役会長も務める。2020年より現職。 |
| 千々和 康 | 常務取締役管理本部長 | 1981年に中央信託銀行へ入社。2003年にあみやき亭に入社し、経営戦略室長を経て2006年に取締役へ就任。2007年より取締役管理本部長を務め、2009年に常務取締役管理本部長に就任。2025年より現職。 |
| 佐藤 裕士 | 取締役関東本部長 | 2003年にあみやき亭へ入社し、2007年に関東本部長へ就任。スエヒロレストランシステムや杉江商事、ニュールックなど複数のグループ会社で取締役社長を歴任。2014年より現職。 |
| 竹内 隆盛 | 取締役内部監査室室長 | 1978年に公認会計士堀口茂登事務所へ入所。1999年にあみやき亭へ入社。2002年に取締役管理本部長、2007年に取締役経理部長を経て、2008年より現職。 |
| 藤井 有里 | 取締役 | 2018年にあみやき亭の商品開発アドバイザーに就任し、2023年に顧問を務める。2024年に取締役へ就任。2025年より現職。 |
社外取締役は、石森英生(元米久常務取締役)、乾美恵子(U.I総合法律事務所共同代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「焼肉事業」「焼鳥事業」「レストラン事業」および「その他の事業」を展開しています。
■(1) 焼肉事業
「あみやき亭」や「スエヒロ館」「チファジャ」などの焼肉店を、中部・関東・近畿地区で展開しています。食肉専門集団としての強みを活かし、品質の高い肉とカット技術を用いて、美味しい国産牛肉などを専門店の味とチェーン店の価格で幅広い顧客層に提供しています。
収益は、来店客からの飲食代金によって構成されています。運営は主にあみやき亭が行っているほか、スエヒロレストランシステム、杉江商事、ニュールック、クーデションカンパニーなどの各子会社がそれぞれのブランド店舗を展開し、セントラルキッチンでの加工製造も連携して行っています。
■(2) 焼鳥事業
「元祖やきとり家美濃路」や「もつしげ」などの焼鳥店を展開し、ファミリー客や女性客をメインターゲットにしています。こだわりの素材を使用した焼鳥や串揚げ、もつ焼きなどのメニューをリーズナブルな価格帯で提供しているのが特徴です。
収益は、店舗での飲食代金から得ています。運営は主にあみやき亭が行い、中部および近畿地区で店舗を展開しているほか、子会社のニュールックが看板メニューのもつを毎朝仕入れて提供する独自のブランドを運営しています。
■(3) レストラン事業
ステーキのファーストフード店「感動の肉と米」や、ハンバーグとステーキを提供するレストラン「スエヒロ館」を中心に展開しています。食肉工場直送の美味しいお肉と精米したてのお米にこだわり、短時間かつ低価格で提供する業態として支持を集めています。
収益源は、顧客からの飲食サービスに対する対価です。運営は主にあみやき亭と子会社のスエヒロレストランシステムが行っているほか、京都地区ではクーデションカンパニーが地域特性を活かしたメニュー構成で店舗を運営しています。
■(4) その他の事業
ご家庭向けの精肉小売店「お肉の工場直売市」をはじめ、しゃぶしゃぶ店、居酒屋、寿司業態、ラーメン専門店などを展開しています。多様な食のニーズに応えるため、各ブランドの独自性を活かしたメニュー開発やサービス向上を図っています。
収益は、各店舗での飲食代金および直売所での商品の販売代金です。運営はあみやき亭が行うほか、子会社のスエヒロレストランシステム、ニュールック、クーデションカンパニーが各地域で特色のある業態を展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は順調に拡大傾向にあり、約216億円から約377億円へと成長しています。一方、経常利益や利益率は期間中に変動が見られ、原材料価格や人件費の高騰といった外部環境の影響を受けつつも、継続的に黒字を確保しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 216億円 | 285億円 | 333億円 | 353億円 | 377億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 7億円 | 23億円 | 27億円 | 23億円 |
| 利益率(%) | 6.2% | 2.5% | 6.9% | 7.7% | 6.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 0.4億円 | 12億円 | 14億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しているものの、それに伴い売上原価も増加しており、売上総利益率は微減しています。また、営業利益および営業利益率も減少しており、コスト負担の増加が利益面を圧迫している状況が伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 353億円 | 377億円 |
| 売上総利益 | 216億円 | 225億円 |
| 売上総利益率(%) | 61.1% | 59.7% |
| 営業利益 | 26億円 | 22億円 |
| 営業利益率(%) | 7.5% | 5.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が96億円(構成比47%)、地代家賃が28億円(同14%)を占めています。売上原価(152億円)の具体的な内訳は記載されていませんが、売上高に対する売上原価の構成比は約40%となっています。
■(3) セグメント収益
主力の焼肉事業は売上・利益ともに微減となりましたが、レストラン事業は「感動の肉と米」の出店効果などにより大きく売上を伸ばしました。その他の事業もM&Aの影響などで増収となっていますが、全社費用の調整額が利益を押し下げています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 焼肉事業 | 224億円 | 220億円 | 18億円 | 14億円 | 6.3% |
| 焼鳥事業 | 37億円 | 39億円 | 4億円 | 3億円 | 8.8% |
| レストラン事業 | 77億円 | 97億円 | 6億円 | 6億円 | 6.3% |
| その他事業 | 16億円 | 21億円 | 1億円 | 1億円 | 4.9% |
| 連結(合計) | 353億円 | 377億円 | 26億円 | 22億円 | 5.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に分類されます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 27億円 | 38億円 |
| 投資CF | 0.5億円 | -8億円 |
| 財務CF | -9億円 | -12億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「お客様一人一人に喜んでいただく社会貢献」を経営理念に掲げています。より美味しいものをお値打ちに食べたいという顧客の欲求に応えるため、嗜好の一歩先を行く商品開発に取り組み、安心・安全で美味しい食肉を使用した焼肉やステーキなどを提供することを追求しています。
■(2) 企業文化
食肉の専門集団であるという自負を持ち、厳選した素材と卓越したカット技術を活かした商品の提供を重視しています。また、従業員に対しては「社員一人一人の人間的成長」を掲げ、ダイバーシティ&インクルージョンを実践し、すべての人が輝ける職場環境の構築を志向する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
適正な原価率の維持およびコスト管理を通じた収益性の向上を重要な経営課題と認識しています。中長期的には、既存店の収益力向上や事業ポートフォリオの最適化、調達効率の改善等を通じて、以下の数値目標の達成を目指しています。
・売上高経常利益率15%
■(4) 成長戦略と重点施策
ドミナント展開を意識した新規出店を推進し、地域性や顧客層に適した多様な業態を展開することでブランド認知の向上を図ります。また、既存店の成長に加え、M&Aを活用した新たな業態や営業エリアの拡大を推進し、グループの調達力や加工技術、店舗運営ノウハウとのシナジー創出を重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材が同社の持続的成長を支える重要な基盤であると考え、正社員のみならずパート・アルバイトの安定的採用、人材育成および定着率向上に向けた体制整備に取り組んでいます。働きやすい環境整備を行うため、労働時間の適正化や待遇の改善を継続的に進めるとともに、多様な人材が活躍できる職場づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.9歳 | 8.6年 | 6,131,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.2% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 112.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正規雇用女性従業員比率(17.2%)、定年の延長年齢(70歳)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競合に関するリスク
外食産業は消費者の食習慣や嗜好の変化に大きく影響を受け、参入障壁が低いため激しい競争環境にあります。同業他社との競争において優位に立てない場合、客数の減少や店舗売上の低下につながり、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食の安全性に関するリスク
BSE、異物混入、アレルギー物質の表示など、食品の安全性確保は最重要課題です。これら食品安全性に関するリスクが顕在化した場合、企業の信頼低下や客数の減少を招き、結果として業績に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあります。
■(3) 原材料や資材調達価格の高騰に関するリスク
同社は牛肉や豚肉など多岐にわたる食材を使用しています。天候不順や自然災害、地政学上のリスクによる輸入量の減少、為替や原油価格の変動に伴い調達価格が高騰した場合、売上原価の上昇につながり、業績に大きな影響を与える可能性があります。
■(4) 人材の確保・育成に関するリスク
安定した店舗運営を維持・発展させるためには、正社員やパート・アルバイトなど必要な人材の確保と育成が不可欠です。少子高齢化による労働人口の減少や人件費の増加等により人材確保が困難となった場合、サービス品質の低下や新設店舗の開業遅延を招く可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。