エフティグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エフティグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エフティグループは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、中小企業や個人事業主向けに環境関連商材や情報通信機器を販売する法人ソリューション事業と、小売電力や光回線等のネットワークインフラ事業を展開しています。直近の業績は、小売電力サービスの販売単価下落等の影響により減収減益となっています。


※本記事は、株式会社エフティグループの有価証券報告書(第41期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. エフティグループってどんな会社?


同社グループは、中小企業等に向けて情報通信機器や環境商材、小売電力サービスなどを提供しています。

(1) 会社概要


1985年に家庭用ホームテレホンの販売を目的に設立され、2001年にエフティコミュニケーションズへ商号変更しました。2004年にジャスダック市場に上場し、2013年には光通信の連結子会社となっています。2015年に持株会社体制へ移行し、現在のエフティグループへと商号を変更しました。

従業員数は連結で57名、単体で54名体制で事業を運営しています。筆頭株主は親会社である光通信の代表取締役を務める重田康光氏で、第2位はHCMAアルファ代表取締役の和田英明氏、第3位は外資系金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
重田康光 59.56%
和田英明 13.02%
MSIP CLIENT SECURITIES 1.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小林亮二氏が務めており、社外取締役の比率は40.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
小林亮二 代表取締役社長 2009年に光通信へ入社後、各社で要職を歴任し、2024年に同社取締役へ就任。2025年より現職。
鮑俊 取締役 2018年に光通信へ入社。その後、各社の財務・事業の要職を経て、2022年より現職。
大嶋敏也 取締役(監査等委員) 2005年に光通信へ入社し、人事部長等を歴任。各社での役員経験を経て、2020年より現職。


社外取締役は、小形聰氏(現GALAPアソシエイト代表取締役)、山下幸一郎氏(現Cloud Nine代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ネットワークインフラ事業」「法人ソリューション事業」および「その他事業」を展開しています。

ネットワークインフラ事業


小売電力「エフエネでんき」「FTでんき」、光回線「ひかり速トク」、ウォーターサーバー等、毎月着実に収益が見込めるストック型インフラサービスを一般消費者等に提供しています。

顧客からの毎月の利用料や定額課金を主な収益源としています。小売電力サービスはエフエネ、光回線サービスはアイエフネット、ウォーターサーバーの販売はウォーターセレクトがそれぞれ運営しています。

法人ソリューション事業


中小企業や個人事業主を顧客とし、ネットワークセキュリティ商品、ファイルサーバ、OA機器などの情報通信機器や、LED照明、空調設備等の環境省エネ商材の販売・施工・保守サービスを提供しています。

顧客または信販会社からの機器販売代金、施工費用、および定額保守サービスによる料金を収益源としています。事業の運営は同社、FTコミュニケーションズ、サポータス・システム・ソリューションズが行っています。

その他事業


ネットワークインフラ事業および法人ソリューション事業に含まれない事業であり、主に販売代理店および一般消費者向けに蓄電池や太陽光発電設備の販売取次業務を行っています。

蓄電池や太陽光発電設備の販売・施工が完了した時点で、メーカー等の他の当事者から受け取る報酬や取次手数料を収益源としています。運営はFRONTIERが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間において、売上収益は事業構造の転換等により減少傾向が続いていますが、利益率は継続的に改善しています。ストック収益の拡大や収益性の高い事業への注力により、直近の利益率は29.2%と高い水準を確保しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 452億円 407億円 365億円 346億円 316億円
税引前利益 65億円 59億円 77億円 93億円 92億円
利益率(%) 14.3% 14.4% 21.1% 26.9% 29.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 48億円 36億円 53億円 66億円 65億円

(2) 損益計算書


売上収益は減少したものの、売上総利益は増加しており、売上総利益率が向上しています。一方で販売費及び一般管理費等の影響により営業利益はわずかに減少しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 346億円 316億円
売上総利益 77億円 94億円
売上総利益率(%) 22.3% 29.6%
営業利益 93億円 89億円
営業利益率(%) 26.8% 28.3%


販売費及び一般管理費(当期60億円)のうち、販売手数料が26億円(構成比44%)、支払手数料が4億円(同6%)を占めています。また、売上原価(当期184億円)については、商品原価が154億円(構成比84%)、製造経費が29億円(同16%)となっています。

(3) セグメント収益


ネットワークインフラ事業は販売単価の下落等で減収となりましたが、利益は増加しました。一方、法人ソリューション事業はストックサービスの拡充に注力したものの、前期の事業譲渡影響等の反動で減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
ネットワークインフラ事業 196億円 162億円 46億円 57億円 35.3%
法人ソリューション事業 159億円 159億円 48億円 33億円 20.6%
その他事業 - - - - -
調整額 -9億円 -5億円 -1億円 -1億円 -
連結(合計) 346億円 316億円 93億円 89億円 28.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 67億円 41億円
投資CF -46億円 -33億円
財務CF -22億円 -25億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.6%となっており、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営理念として「私たちは、コミュニケーションを通して、3つのS(Satisfaction=満足)の向上とその相乗効果(3乗)により、エクセレント・カンパニーとなることを目指します」と掲げています。社会に貢献し続けるため、親密なコミュニケーションが新たな価値を生みだすというコンセプトのもと、企業価値を高める方針です。

(2) 企業文化


同社は「3つのSatisfaction」として、「CS(お客様満足の向上)」「ES(社員満足の向上)」「SS(株主様満足の向上)」を重視しています。顧客とのコミュニケーションを大切にし、社員の成長支援とフェアな報酬を提供するとともに、株主に対しては適正な情報開示を行い、関わるすべての人の満足度を高める文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、成長性と収益性を高め、安定収益の確保による企業価値の向上を図るため、売上収益、営業利益、ストック収益(ストック型サービスにより将来見込める収益)を重要な経営指標として重視しています。中長期的な「あるべき姿」の数値目標として以下を掲げています。

* 営業利益:100億円

(4) 成長戦略と重点施策


「営業利益100億円」の早期実現に向け、強い営業力やボリュームメリットを活かした成長戦略を描いています。具体的には、毎月着実に収益が見込めるストック型自社サービスの企画・開発によるストック収益の積み上げや、小売電力事業における電力調達先の分散等の原価低減策の推進、さらに資本提携やM&Aを通じたマーケットシェアの拡大に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を競争力の源泉たる「人財」と位置付け、優秀な人員の確保と教育を推進しています。採用面では新卒採用の継続に加え、専門性を持つ経験者の中途採用を拡充しています。また、オンライン研修などの階層別プログラムを通じた能力開発支援や、リモートワークの推奨、時間外勤務の撲滅など、多様な働き方に対応した環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.9歳 14.0年 6,116,975円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 49.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 52.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 61.4%


※男性育児休業取得率は、対象者がいないため「-」としています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自社商品の品質とサービス提供停止リスク

同社グループはLED照明や光インターネットサービスなど、自社商品の販売・サービス提供比率が高まっています。製品の不具合やサービスが長期間提供できない事態が発生した場合、返品や損害賠償、対応費用の発生などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 小売電力市場における価格変動リスク

主力事業の一つである小売電力サービスは、電力を卸電力取引市場から調達しているため、価格変動リスクを負っています。燃料価格の高騰や為替相場、天候不順による需要増、自然災害などで調達価格が急騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 通信事業者やメーカー等との販売代理業務リスク

同社グループは通信事業者やメーカーの販売代理店事業も展開しています。これらの事業は各事業者との契約内容や条件に基づいて運営されており、パートナー企業の方針転換や契約条件の変更などがあった場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。