※本記事は、株式会社エフティグループ の有価証券報告書(第40期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. エフティグループってどんな会社?
ネットワークインフラ事業と法人ソリューション事業を軸に、中小企業や個人事業主、一般消費者向けに幅広いサービスを提供する企業です。
■(1) 会社概要
1985年にファミリーテレホンとして発足し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2013年に光通信の連結子会社となり、2015年にエフティグループへ商号変更して持株会社体制へ移行しました。2017年には連結子会社にて「エフエネでんき」のサービスを開始しています。
連結従業員数は119名、単体従業員数は60名です。筆頭株主は親会社である光通信の代表取締役重田康光氏で、第2位は株式会社HCMAアルファです。第3位には機械メーカーの村田機械が名を連ねており、親会社およびその関係者による持株比率が高い構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 重田 康光 | 59.56% |
| HCMAアルファ | 13.02% |
| 村田機械 | 1.67% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小林亮二氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林 亮二 | 代表取締役社長 | 2009年光通信入社。同社財務部課長、EPARK監査役等を経て、2024年同社取締役就任。2025年5月より現職。 |
| 鮑 俊 | 取締役 | 2018年光通信入社。同社ファイナンス部統轄部長、HBD代表取締役等を経て、2022年6月より現職。 |
| 大嶋 敏也 | 取締役(監査等委員) | 2005年光通信入社。同社人事部長、エイチ・ティ・ソリューションズ代表取締役等を経て、2020年6月より現職。 |
社外取締役は、小形聰(東京会計社代表取締役)、山下幸一郎(Cloud Nine代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ネットワークインフラ事業」「法人ソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ネットワークインフラ事業
小売電気事業者として電力サービス「エフエネでんき」「FTでんき」を提供するほか、FVNOとして光インターネットサービス「ひかり速トク」、節水装置「JET」のレンタルなどを展開しています。
顧客からの電力料金、通信回線利用料、レンタル料などが主な収益源です。運営は主に株式会社エフエネ、株式会社アイエフネット、株式会社NEXT、エコテクソリューション株式会社などが行っています。
■(2) 法人ソリューション事業
中小企業や個人事業主を対象に、ビジネスホン、OA機器、ファイルサーバー、UTM(統合脅威管理)などの情報通信機器や、LED照明、空調設備などの環境関連商材の販売・施工・保守サービスを提供しています。
機器の販売代金、施工料、アフターサービス料などが収益源となります。運営は同社、株式会社FTコミュニケーションズ、株式会社サポータス・システム・ソリューションズが行っています。
■(3) その他事業
販売代理店および一般消費者向けに、蓄電池および太陽光発電設備の販売取次等を行っています。
販売代理店や消費者への販売取次業務による手数料などが収益源です。運営は主に株式会社FRONTIERが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上収益は2022年3月期をピークに減少傾向にありますが、利益面では改善が進んでいます。特に直近の2025年3月期は、売上収益が減少した一方で、税引前利益および当期利益は増加し、利益率も大きく向上しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 413億円 | 452億円 | 407億円 | 365億円 | 346億円 |
| 税引前利益 | 55億円 | 65億円 | 59億円 | 77億円 | 93億円 |
| 利益率(%) | 13.4% | 14.3% | 14.4% | 21.1% | 26.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 32億円 | 48億円 | 36億円 | 53億円 | 66億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上収益は減少しましたが、売上原価や販売費及び一般管理費が減少したことにより、各段階利益は増加しています。売上総利益率は約40%の水準を維持しており、営業利益率は前期の21.1%から26.8%へと上昇し、収益性が高まっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 365億円 | 346億円 |
| 売上総利益 | 143億円 | 138億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.1% | 39.8% |
| 営業利益 | 77億円 | 93億円 |
| 営業利益率(%) | 21.1% | 26.8% |
販売費及び一般管理費のうち、販売手数料が27億円(構成比45.0%)、支払手数料が3億円(同4.6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
ネットワークインフラ事業は減収ながらも増益を確保しました。法人ソリューション事業も売上は微減となりましたが、セグメント利益は大幅に増加し、収益性の向上が全体の増益に寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ネットワークインフラ事業 | 211億円 | 196億円 | 44億円 | 46億円 | 23.3% |
| 法人ソリューション事業 | 160億円 | 159億円 | 35億円 | 48億円 | 30.0% |
| その他事業 | 0.1億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.0% |
| 調整額 | -6億円 | -9億円 | -2億円 | -1億円 | - |
| 連結(合計) | 365億円 | 346億円 | 77億円 | 93億円 | 26.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フローを示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 61億円 | 67億円 |
| 投資CF | 6億円 | -46億円 |
| 財務CF | -39億円 | -22億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.7%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「コミュニケーションを通して、3つのS(Satisfaction=満足)の向上とその相乗効果(3乗)により、エクセレント・カンパニーとなること」を経営理念として掲げています。3つのSとは、CS(お客様満足)、ES(社員満足)、SS(株主様満足)を指します。
■(2) 企業文化
「親密なコミュニケーションが新たな価値を生みだす」というコンセプトのもと、お客様、社員、株主とのコミュニケーションを大切にしています。商品やサービスの提供、社員の成長支援、適正な情報開示などを通じて、信頼される企業グループを目指す姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、「あるべき姿」として中長期的な数値目標を掲げています。
* 営業利益:100億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「営業利益100億円」の実現に向け、ストック収益の積み上げ、小売電力事業の安定化、新規事業開発、既存事業のシェア拡大、人財育成を推進しています。特に市場ニーズに合った新たなストック型サービスの開発や、電力調達の分散による原価低減、他社との提携やM&Aによるシェア拡大に注力する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を「財」と捉え、働きやすい環境整備とスキル向上のための教育に注力しています。時間外勤務の削減やリモートワークの推奨により、ワークライフバランスの向上を図るとともに、新卒・中途採用の強化や階層別研修の実施により、優秀な人材の確保と育成を進める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.6歳 | 12.1年 | 5,649,996円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 59.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 60.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 41.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制に係るリスク
同社グループの事業は「特定商取引法」や「電気通信事業法」など様々な法令による規制を受けています。これらの法令が改廃されたり、規制が強化されたりした場合には、事業活動に制約が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 自社製品等の開発・製造・販売に係るリスク
LED照明や光インターネットサービスなど自社商品の販売比率が高まっており、製品に不具合が発生した場合やサービスが長期間提供できない事態となった場合には、損害賠償や費用の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 小売電力市場に係るリスク
小売電力サービスでは卸電力取引市場から電力を調達しているため、燃料価格や気候変動、災害等により調達価格が急騰した場合、原価率の上昇を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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