※本記事は、コメ兵ホールディングスの有価証券報告書(第48期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コメ兵ホールディングスってどんな会社?
同社グループは、中古ブランド品の買取・販売事業を中心に、タイヤ・ホイール事業や不動産賃貸事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1947年に名古屋市で古着屋「米兵」として創業しました。1979年にコメ兵を設立し、2003年に株式を店頭登録、2004年に東証および名証第二部に上場しています。その後、関東への進出や香港など海外への展開を推進し、2020年に持株会社体制へ移行して現在のコメ兵ホールディングスへと商号変更しました。
現在の従業員数は連結で2,095名、単体で64名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主はI-BELIEVEで、第2位はYSS、第3位はSIとなっており、資産管理会社とみられる法人が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| I-BELIEVE | 14.86% |
| YSS | 6.61% |
| SI | 3.43% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は石原卓児氏です。社外取締役は5名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石原卓児 | 代表取締役社長執行役員 | 1998年同社入社。常務取締役店舗営業本部長、代表取締役副社長営業本部長を経て、2013年代表取締役社長営業本部長に就任。2020年より現職。 |
| 沢田登志雄 | 常務取締役執行役員 | 1980年同社入社。KOMEHYOオークション代表取締役社長などを歴任し、2020年より現職。アールケイエンタープライズ代表取締役社長などを兼務。 |
| 山内祐也 | 常務取締役執行役員 | 2000年同社入社。K-ブランドオフ代表取締役社長などを経て、2024年にブランド・ファッション事業統括責任者に就任。2024年6月より現職。 |
| 鳥田一利 | 取締役(常勤監査等委員) | 1994年同社入社。経営企画室長、管理本部副本部長兼経理部長などを経て、2020年より現職。コメ兵などグループ各社の監査役を兼務。 |
社外取締役は、平内優(独立行政法人中小企業基盤整備機構販路支援部アドバイザー)、中原義子(大阪公立大学経営学研究科客員研究員)、高岡淳二(東京大学協創プラットフォーム開発インキュベーションパートナー)、皆見幸(皆見幸会計事務所所長)、村瀬桃子(ひのき綜合法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ブランド・ファッション事業」「タイヤ・ホイール事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■(1) ブランド・ファッション事業
中古品をメインとした宝石・貴金属、時計、バッグ、ファッション商材等の買取・仕入・販売およびオークション運営を行っています。国内外の一般顧客から買い取った品物や中古品取扱法人から仕入れた商品を、実店舗やEC、ライブコマース等のデジタルチャネルを通じて顧客に幅広く提供しています。
主に一般顧客や法人からの買取による仕入を基盤とし、店舗やオンラインを通じた販売によって収益を得ています。国内ではコメ兵、K-ブランドオフなどが運営を担い、海外事業はKOMEHYO BRAND OFF ASIA LIMITEDなどの子会社が展開しています。
■(2) タイヤ・ホイール事業
乗用車用タイヤ、アルミホイール、自動車用品および部品などの企画、研究開発、製造、販売サービスを行っています。カー用品店ではなくタイヤ・ホイールの専門店として、豊富な品揃えと高い専門性による商品提供やアフターサービスを展開しています。
顧客への新品および中古品のタイヤやオリジナルホイール等の販売によって収益を得ています。運営は、新品の販売等を行うクラフトや、中古品の販売・買取を手掛けるオートパーツジャパン、オリジナルホイールの企画開発等を行うフォーバイフォーエンジニアリングサービスが行っています。
■(3) 不動産賃貸事業
主にグループ会社が使用する主要な店舗等の賃貸を行っているほか、一般顧客への店舗や会議室の賃貸管理を行っています。
店舗の賃貸借契約に基づき、テナント等からの不動産賃貸収入を得る収益モデルです。運営は主に親会社であるコメ兵ホールディングスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して右肩上がりで成長を続けており、特に直近2期間において大幅な増収を達成しています。利益面については経常利益が安定してプラスを維持しており、一時的に当期利益がマイナスとなる期もありましたが、直近では力強い増益基調にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 711億円 | 861億円 | 1,195億円 | 1,590億円 | 2,217億円 |
| 経常利益 | 38億円 | 54億円 | 75億円 | 60億円 | 85億円 |
| 利益率(%) | 5.3% | 6.3% | 6.3% | 3.8% | 3.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2億円 | 2億円 | -2億円 | 14億円 | 55億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な伸びに伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は若干低下したものの、販売費及び一般管理費の増加分を増収による利益の積み上げで吸収し、営業利益率は改善に転じています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,590億円 | 2,217億円 |
| 売上総利益 | 352億円 | 472億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.2% | 21.3% |
| 営業利益 | 62億円 | 93億円 |
| 営業利益率(%) | 3.9% | 4.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が109億円(構成比29%)、地代家賃が54億円(同14%)、支払手数料が46億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のブランド・ファッション事業は、店舗網の拡大による顧客獲得や法人向けオークションでの販売強化が奏功し、大幅な増収を牽引しました。タイヤ・ホイール事業も海外販売や中古仕入の強化により堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ブランド・ファッション事業 | 1,531億円 | 2,151億円 |
| タイヤ・ホイール事業 | 59億円 | 65億円 |
| 不動産賃貸事業 | 0.4億円 | 0.4億円 |
| 連結(合計) | 1,590億円 | 2,217億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動ではマイナスとなっているものの、将来の成長に向けた事業拡大のための投資を継続し、借入等の財務活動によって資金を調達している勝負型のキャッシュ・フロー状況です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.2%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -52億円 | -10億円 |
| 投資CF | -67億円 | -45億円 |
| 財務CF | 119億円 | 99億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「つくる人に敬意をもち、つなぐ人に感謝し、手にする人に感動を提供することで、循環型社会の共感を創っていきます」をMISSION(存在意義)として掲げています。また、VISION(目指す姿)として「リレーユースを『思想』から『文化』にする。」を定め、国内外で健全なリユース市場の形成に寄与することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、ビジネスの推進自体がサステナビリティに貢献しているという認識のもと、事業の成長と社会課題の解決を一体化させる文化を重視しています。また、グループ共通の価値観として「パフォーマンス=どんなスキルがあるか×どんな気持ちでやるか」という考え方を大切にし、社員のエンゲージメント向上や主体的な行動を促す組織風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
2028年3月期を一つの節目とし、その先の90周年、100周年に向けた継続的な成長を実現するための「中期経営計画」を推進しています。財務上の主要な目標として、以下の数値を掲げています。
* 売上高 2,600億円
* 営業利益 130億円
* ROE(自己資本利益率) 15%以上
* 連結配当性向 20%程度
■(4) 成長戦略と重点施策
主力のブランド・ファッション事業では、個人買取の強化と顧客接点の多様化を進めるとともに、実店舗とデジタルチャネルを融合したOMO(オンライン・マージ・オフライン)を推進します。また、M&Aによる事業拡大や海外でのドミナント展開を通じて「グローバルリユースチェーン」の構築を加速させる方針です。さらに、AI等のテクノロジーを活用したデータ基盤の統合を図り、競争優位性を高めていきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「事業開発」「組織開発」「人材開発」を一体とした取り組みを進めています。特にサクセッションプラン(後継者育成計画)や人材育成に注力しており、経営人材やコーポレート人材への積極的な投資を行っています。また、多様な研修プログラムの提供やエンゲージメントサーベイの実施により、一人ひとりのパフォーマンスを高め、チーム力を最大化する組織づくりを推進しています。
■(2) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.4% |
| 男性育児休業取得率 | 91.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 47.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.1% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 89.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理的地位にある労働者に占める中途採用労働者の割合(52.5%)、正規雇用労働者に占める女性労働者の割合(42.2%)、年次有給休暇取得率(53.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 中古品の仕入と鑑定士の確保
中古品の安定的な仕入は景気動向や相場変動の影響を受けやすく、計画通りに進まない可能性があります。また、商品の真贋を見極め、適正な買取価格を提示できる優秀な鑑定士の確保が重要であり、人材の確保や流出、コピー商品・盗品の買取トラブルが発生した場合、業績やブランドの信頼性に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) 出店政策と特定エリアへの集中
ブランドリユースストアや買取センターの出店を拡大していますが、希望に適う物件の選定や人員計画が遅れた場合、事業計画に影響する可能性があります。また、これまで愛知県を中心とした東海地区に店舗を集約してきた経緯があり、大規模災害の発生や地域経済の停滞が売上高に与えるリスクが存在します。
■(3) 外部経済環境と相場変動の影響
同社グループは高額なブランド品や宝石・貴金属などを取り扱っているため、為替相場や貴金属の地金相場の急激な変動、流行の変化による商品の陳腐化などが短期間での価値下落をもたらすリスクがあります。また、株式市況の乱高下や消費者マインドの冷え込みが売上高に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 関連法規制と海外展開リスク
中古品の買取・販売において「古物営業法」や「特定商取引に関する法律」などの法的規制を受けており、違反が生じた場合や新たな規制が設けられた場合には事業活動が制約を受ける可能性があります。また、海外展開においても現地の法規制、政治・経済の混乱、為替変動等の地政学リスクが存在します。



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