コメ兵ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コメ兵ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証メイン上場のリユース企業大手。ブランド品や貴金属等の買取・販売を行う「ブランド・ファッション事業」と、自動車用タイヤ・ホイール等の販売を行う「タイヤ・ホイール事業」を展開しています。当期の連結業績は、売上高が大幅な増収となるも、各段階利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社コメ兵ホールディングス の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コメ兵ホールディングスってどんな会社?


コメ兵ホールディングスは、ブランド品や貴金属のリユース事業を主力とし、「リレーユース」文化の創造を目指す企業グループです。

(1) 会社概要


1947年に古着屋「米兵」として創業し、1979年に株式会社コメ兵を設立しました。2003年に株式を店頭登録し、2004年には東証・名証市場第二部へ上場を果たしています。2012年に株式会社クラフトをグループ化しタイヤ・ホイール事業へ参入。2020年に持株会社体制へ移行し、現商号に変更しました。

連結従業員数は1,895名、単体では43名です。大株主構成は、筆頭株主が株式会社I-BELIEVE、第2位が株式会社KI、第3位が株式会社YSSとなっており、上位を資産管理会社と思われる法人が占めています。

氏名 持株比率
株式会社I-BELIEVE 9.67%
株式会社KI 8.42%
株式会社YSS 6.63%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長執行役員は石原卓児氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
石原 卓児 代表取締役社長執行役員 1998年同社入社。店舗営業本部長、営業本部長、コメ兵代表取締役社長等を経て2020年10月より現職。
沢田 登志雄 常務取締役執行役員 1980年同社入社。営業本部長、KOMEHYOオークション代表取締役社長等を経て2020年10月より現職。
山内 祐也 常務取締役執行役員 2000年同社入社。経営企画本部長、K-ブランドオフ代表取締役社長、コメ兵代表取締役社長等を経て2024年6月より現職。
鳥田 一利 取締役(常勤監査等委員) 1994年同社入社。管理本部副本部長、IR戦略室長等を経て2020年6月より現職。


社外取締役は、平内優(元プーマジャパン代表取締役社長)、中原義子(元オムロン財務部長)、高岡淳二(元UsideU代表取締役社長)、皆見幸(公認会計士・税理士)、村瀬桃子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ブランド・ファッション事業」「タイヤ・ホイール事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。

(1) ブランド・ファッション事業


中古品を主とする宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、カメラ、楽器等の買取・仕入・販売・仲介およびオークション運営を行っています。国内では「コメ兵」「K-ブランドオフ」等が店舗やECを展開し、海外でも香港、台湾、タイ等で事業を行っています。

収益は、一般顧客や法人への商品販売代金やオークション手数料等から得ています。運営は主に、株式会社コメ兵、株式会社K-ブランドオフ、株式会社アールケイエンタープライズなどの事業子会社が行っています。

(2) タイヤ・ホイール事業


乗用車用タイヤ、アルミホイール、自動車用品および部品の企画、研究開発、製造、販売サービスを行っています。タイヤ・ホイール専門店「クラフト」や中古専門店「U-ICHIBAN」等を展開しています。

収益は、顧客への商品販売およびアフターサービスから得ています。運営は、株式会社クラフト、株式会社オートパーツジャパン、株式会社フォーバイフォーエンジニアリングサービスが行っています。

(3) 不動産賃貸事業


店舗の賃貸管理を行っているほか、グループ会社の主要な店舗をグループ会社に賃貸しています。

収益は、賃貸先からの賃料収入等から得ています。運営は、主に親会社である株式会社コメ兵ホールディングスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの業績を見ると、売上高は507億円から1,590億円へと3倍以上に拡大し、急成長を遂げています。利益面では、2021年3月期は赤字でしたが翌期に黒字転換し、その後は増益基調でしたが、直近の2025年3月期は減益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 507億円 711億円 861億円 1,195億円 1,590億円
経常利益 4億円 38億円 54億円 75億円 60億円
利益率(%) 0.9% 5.3% 6.3% 6.3% 3.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -6億円 23億円 37億円 50億円 48億円

(2) 損益計算書


前期と当期を比較すると、売上高は約33%の大幅な増収となりましたが、営業利益は約17%減少しました。これは、売上総利益率が低下したことに加え、販売費及び一般管理費が増加したことによるものです。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,195億円 1,590億円
売上総利益 296億円 352億円
売上総利益率(%) 24.8% 22.2%
営業利益 75億円 62億円
営業利益率(%) 6.2% 3.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が83億円(構成比29%)、地代家賃が43億円(同15%)、支払手数料が37億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のブランド・ファッション事業は、個人買取の強化やM&A効果等により大幅な増収となりましたが、相場変動への対応や販管費の増加により減益となりました。タイヤ・ホイール事業は増収増益を達成しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ブランド・ファッション事業 1,143億円 1,531億円 69億円 57億円 3.7%
タイヤ・ホイール事業 51億円 59億円 3億円 3億円 5.1%
不動産賃貸事業 0.5億円 0.4億円 0.9億円 1億円 252.3%
その他 - - - - -%
調整額 -2億円 -3億円 2億円 0.5億円 -%
連結(合計) 1,195億円 1,590億円 75億円 62億円 3.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -5億円 -52億円
投資CF -32億円 -67億円
財務CF 94億円 119億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、VISION(目指す姿)として「リレーユースを『思想』から『文化』にする。」を掲げています。MISSION(存在意義)には「つくる人に敬意をもち、つなぐ人に感謝し、手にする人に感動を提供することで、循環型社会の共感を創っていきます」を定めています。

(2) 企業文化


人材マネジメントの基本的な考え方として、「パフォーマンス=どんなスキルがあるか×どんな気持ちでやるか」を掲げています。従業員の「働きがいのある職場環境」「キャリア形成」「多様性」「価値観の浸透」を重要視し、制度改定や仕組みづくりに取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


創業80周年を迎える2028年3月期までを一つの節目とした中期経営計画「Beyond the 80th year milestone」を掲げています。

* ROE:15%以上
* 連結配当性向:20%程度

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画の実現に向け、ブランド・ファッション事業では「個人買取の強化」「小売の強化」「法人取引・オークションの強化」「グローバル展開の強化」「リユーステックの強化」を推進します。タイヤ・ホイール事業では新品・中古販売の強化とメーカー事業の認知拡大を図ります。また、M&Aによる事業拡大や、人材開発・組織開発、ガバナンス強化にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業成長を支える「人材開発」と「組織開発」を重要な経営課題と位置づけています。「パフォーマンス=どんなスキルがあるか×どんな気持ちでやるか」という考え方に基づき、「働きがいのある職場環境」「キャリア形成」「多様性」「価値観の浸透」を重要項目として、制度改定や仕組みづくり等の強化施策を実施する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(提出会社)は従業員が出向者で構成され、給与の支払がないため、有価証券報告書に平均年間給与等の記載がありません。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.2%
男性育児休業取得率 51.6%
男女賃金差異(全労働者) 44.7%
男女賃金差異(正規雇用) 69.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 89.6%


※上記は主要な連結子会社である株式会社コメ兵の実績です。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める中途採用労働者の割合(56.7%)、正規雇用労働者に占める女性労働者の割合(40.2%)、年次有給休暇取得率(94.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 中古品の仕入について


中古品は新品と異なり仕入量の調整が困難です。景気動向や競合増加、相場変動等により安定的な確保が困難になった場合、業績に影響する可能性があります。また、偽造品や盗品の流入リスクに対し、鑑定士の育成やAI導入、古物営業法等の遵守に努めていますが、トラブル発生時には信用低下等の影響を受ける可能性があります。

(2) 出店政策について


買取店舗の出店計画に対し、物件選定や人員確保が進まない場合、業績に影響が出る可能性があります。また、店舗が東海地区に集中しているため、地域経済の減衰や大規模災害のリスクがあります。その他、大規模小売店舗立地法による規制や、賃貸借契約の更新不可、賃料上昇などもリスク要因となります。

(3) 外部経済環境の変化に伴う売上変動


流行の変化による陳腐化、為替や貴金属相場の変動、人気商品の有無が販売動向に影響します。また、為替・株式市況の変動や景況感の変化により、高額品を中心に売上が大きく変動する可能性があります。これに対し、在庫管理の徹底や為替変動リスクの抑制に努めています。

(4) 気候変動・自然災害や季節的変動と天候による影響


大規模な自然災害や感染症拡大等は、店舗営業や商品供給に支障をきたす可能性があります。また、タイヤ・ホイール事業は冬用タイヤ需要が下期に集中するため、暖冬等の天候不順が発生した場合、売上減少や過剰在庫のリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。