セリア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セリア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セリアは、100円ショップの直営店展開やFC店・大口顧客への卸売を主力とする東京証券取引所スタンダード市場上場企業です。直近の2026年3月期は、直営既存店の売上が順調に推移し、新規出店も寄与したことで、売上高2557億円、経常利益213億円と増収増益を達成し、堅調な業績トレンドを示しています。


※本記事は、株式会社セリアの有価証券報告書(第39期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セリアってどんな会社?


100円ショップの小売業および卸売業を展開し、商品開発と戦略的出店で成長を続ける企業です。

(1) 会社概要


同社は1987年に山洋エージェンシーとして設立され、1997年に「ショップ・ワン・オー・オー」1号店をオープンしました。2003年に「Seria 生活良品」1号店をオープンするとともに商号をセリアに変更し、株式を店頭登録しました。2004年にはジャスダック証券取引所に上場を果たしています。

従業員数は単体で566名です。筆頭株主は不動産賃貸管理業等を行う事業会社のヒロコーポレーションで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
ヒロコーポレーション 16.86%
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505001 4.71%
Kアセット 3.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は河合映治氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
河合 映治 代表取締役社長 大垣共立銀行入行。同社顧問、常務取締役、経営企画室長を経て、2014年6月より現職。
岩間 靖 常務取締役営業部長 テイ・アイ・エス入社。同社入社後、業務部長、取締役を経て、2013年2月より現職。
安田 ひとみ 取締役経営企画室長 同社入社。2024年10月に経営企画室長に就任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、鈴木祐人(社員税理士)、片岡憲明(弁護士法人代表社員)、高城勝信(リーサ代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「100円ショップ」の小売業および卸売業を展開しています。

(1) 直営店舗での小売業


同社は、全国各地で100円ショップ「セリア」の直営店舗を展開しています。日常使いの雑貨から菓子・食品まで、顧客の多様なニーズに応える幅広いカテゴリーの商品を取り揃え、未出店地域への重点開拓や商業施設へのテナント出店など、積極的な店舗展開を行っています。

収益源は、一般消費者への商品販売による小売売上高です。店舗でのデータ分析に基づき、し好や年齢層などのターゲットを明確にした商品開発を進めています。運営は同社単独で行っており、セルフレジの活用などによる店舗オペレーションの効率化にも注力しています。

(2) FC店・大口顧客等への卸売業


同社は、直営店展開に加えて、フランチャイジー(FC店)や大口顧客に対する商品の卸販売事業を展開しています。また、国内だけでなく海外のFC店向けへの輸出や、国内代理店への卸販売も行っており、多様なチャネルを通じて販売網の拡大を図っています。

収益源は、これらFC店舗や大口顧客に対する商品の卸売上高です。なお、FC店との契約においては、商標の利用は任意としており、ロイヤリティの徴求は行っていません。本事業も同社単独で運営を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、継続的な店舗展開により売上高は一貫して成長を続けています。一方で利益面は、2024年3月期まで低下傾向にありましたが、その後は既存店売上の好調や効率化により回復に転じ、2026年3月期には大幅な増益を達成しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2081億円 2124億円 2232億円 2363億円 2557億円
経常利益 213億円 156億円 153億円 170億円 213億円
利益率(%) 10.3% 7.4% 6.9% 7.2% 8.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 143億円 103億円 98億円 112億円 147億円

(2) 損益計算書


直近2年間の損益構成を比較すると、売上高の成長に伴い売上総利益も拡大しており、売上総利益率はほぼ同水準を維持しています。増収による効率性の改善が寄与し、営業利益率は大きく向上しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2363億円 2557億円
売上総利益 979億円 1067億円
売上総利益率(%) 41.4% 41.7%
営業利益 168億円 210億円
営業利益率(%) 7.1% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が321億円(構成比37%)、地代家賃が288億円(同34%)を占めています。売上原価の内訳については、商品売上原価が1490億円であり、売上原価合計に対する構成比は100%となっています。

(3) セグメント収益


同社は「100円ショップ事業」の単一セグメントですが、事業部門別の売上高を見ると、売上の大半を占める直営店が順調に伸びて全体を牽引していることがわかります。FC店向けの卸売等も堅調に推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
直営店 2337億円 2532億円
FC店 18億円 20億円
その他 8億円 6億円
連結(合計) 2363億円 2557億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のパターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 160億円 190億円
投資CF -123億円 -45億円
財務CF -59億円 -305億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.6%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も72.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「クリーン、感謝、共有」を掲げています。クリーン(誠実、正直、フェア、オープン、清潔)であることを心がけ、あらゆることに感謝の気持ちを持ち、喜びや問題などを共有してかかわるすべての人が豊かになることを目指しています。社名のセリア(Seria)はイタリア語で「まじめな」を意味し、この理念を集約したものです。

(2) 企業文化


プラス志向での挑戦を評価する公平で開かれた職場環境を重視しています。経営に関する諸問題に対する意識を経営陣だけに留めず、広く社内全般で共有し、全社員で問題解決に当たり速やかに解決する姿勢を文化としています。「お客様が笑顔」を実践する店舗運営や、取引先との誠実で平等な関係づくりを大切にしています。

(3) 経営計画・目標


国内全地域において「未出店地域への出店」と「出店済み地域での持続的なシェア獲得」により企業価値を向上させていくことを当面の目標としています。100円ショップ市場の飽和局面においても残存者利益を確実に獲得し、最終的に現行以上の利益率の確保を目指しています。

* 売上高営業利益率5%以上を維持

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づき、「多様化するニーズを捉える商品開発」「戦略的出店によるシェア拡大」「オペレーションの効率化」を経営目標に掲げています。既存顧客向けのデータ分析やターゲットを明確にした商品開発を進めるとともに、未出店地域への重点的な開拓やセルフレジの活用によるレジ待ち時間の削減と業務効率化の両立を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様な人材が安心して働け、プラス志向での挑戦を評価する公平で開かれた職場環境の整備」と「地域の身近な雇用の場として地域社会との共存・共栄を目指す」ことを人材戦略の方針としています。店舗で勤務するパートタイマーからの社員登用を積極的に進めるなど、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.8歳 9.5年 5,712,526円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 52.7%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 79.7%
男女賃金差異(正規雇用) 80.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 98.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者の割合(82.8%)、障害者雇用率(3.43%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店に係る法的規制と環境変化

同社の店舗は「大規模小売店舗立地法」の規制を受けていませんが、ロードサイド独立店などで将来発生する物件によっては規制を受ける可能性があり、出店計画に影響を及ぼすリスクがあります。また、競争激化に伴い出店条件に合致する物件が不足した場合や、商業施設の閉鎖で退店を余儀なくされる場合も業績に影響する可能性があります。

(2) 貸倒損失の発生

同社は出店に際し家主に対して敷金や保証金を差し入れているほか、FC店舗および大口顧客に対しては掛売による取引を行っています。取引先の信用状態の変化には注意を払っていますが、予期せぬ破綻や信用状況の悪化によって貸倒損失が発生した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替相場および商品市況の変動

取扱商品の多くを国内メーカー等から調達しており外貨建仕入の割合は僅少ですが、仕入先が原材料を輸入しているため、為替変動が間接的に影響を与えるリスクがあります。さらに、原油価格の動向などにより、プラスチック製品などの原材料費、物流費、光熱費等が上昇した場合、収益を圧迫する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。