※本記事は、株式会社セリア の有価証券報告書(第38期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セリアってどんな会社?
100円ショップ「Seria」を全国展開する企業です。「日本製」の食器や手芸用品など、デザイン性の高い雑貨に強みを持ちます。
■(1) 会社概要
同社は1985年に創業し、2003年に商号を現在の「セリア」に変更するとともに「Seria 生活良品」1号店をオープンしました。2004年にはジャスダック証券取引所へ株式を上場しています。その後、物流センターの統合や各地への営業所開設を経て全国展開を進め、2022年の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しました。
現在の組織体制において、連結子会社はなく単体での事業運営を行っており、従業員数は565名です。大株主構成については、筆頭株主はヒロコーポレーションで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヒロコーポレーション | 33.41% |
| ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505001 | 5.73% |
| ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505103 | 3.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は河合映治氏が務めています。なお、社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 河合 映治 | 代表取締役社長 | 大垣共立銀行入行後、同社顧問、常務取締役、経営企画室長を経て2014年6月より現職。 |
| 岩間 靖 | 常務取締役営業部長 | テイ・アイ・エス入社後、同社に入社。業務部長、取締役を経て2012年6月より現職。 |
| 鈴木 祐人 | 取締役(監査等委員) | 中島会計事務所(現税理士法人おおがき会計)入所、社員税理士。同社監査役を経て2016年6月より現職。 |
社外取締役は、鈴木祐人(税理士法人おおがき会計社員税理士)、片岡憲明(弁護士法人片岡法律事務所代表社員)、高城勝信(リーサ代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「100円ショップ事業」および「その他」事業を展開しています。
■100円ショップ事業
主力事業として、雑貨および菓子食品等の商品を消費者へ販売する小売業と、フランチャイジー(FC)や大口顧客へ商品を供給する卸売業を展開しています。取扱商品はメイク用品、キッチン用品、インテリア、文具、アウトドア用品など多岐にわたり、これらを「100円(税抜)」の均一価格で提供しています。
主な収益源は、直営店舗における一般消費者への商品販売代金に加え、FC加盟店や大口顧客への商品卸売による売上です。また、海外FC店への輸出や国内代理店への卸販売も行っています。本事業の運営は主にセリアが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、2023年3月期および2024年3月期に原材料高騰などの影響を受け利益率が一時低下しましたが、当期は回復基調にあり、売上高経常利益率は7.2%となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,007億円 | 2,081億円 | 2,124億円 | 2,232億円 | 2,363億円 |
| 経常利益 | 214億円 | 213億円 | 156億円 | 153億円 | 170億円 |
| 利益率(%) | 10.6% | 10.3% | 7.4% | 6.9% | 7.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 147億円 | 143億円 | 103億円 | 98億円 | 112億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に伸長しています。売上原価率は微減となり、利益率の改善に寄与しました。販管費も増加していますが、増収効果により吸収し、営業利益および営業利益率は前期間を上回る水準で着地しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,232億円 | 2,363億円 |
| 売上総利益 | 922億円 | 979億円 |
| 売上総利益率(%) | 41.3% | 41.4% |
| 営業利益 | 151億円 | 168億円 |
| 営業利益率(%) | 6.8% | 7.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が298億円(構成比37%)、地代家賃が274億円(同34%)を占めています。売上原価については、商品売上原価が1,384億円(売上原価合計に対し100%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は100円ショップ事業の単一セグメントですが、直営店売上が前期比6.0%増と伸長し、全体を牽引しています。一方、FC売上高およびその他の卸売等は減少しました。全体として増収となり、利益面でも増益を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 100円ショップ事業 | 2,232億円 | 2,363億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の範囲内で投資(投資CFマイナス)を行い、借入金の返済や配当支払い(財務CFマイナス)を実施する「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 122億円 | 160億円 |
| 投資CF | -62億円 | -123億円 |
| 財務CF | -59億円 | -59億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は経営理念として「クリーン、感謝、共有」を掲げています。「クリーン」は誠実・正直・フェア・オープン・清潔であること、「感謝」はあらゆることに感謝の気持ちを持つこと、「共有」は喜び・問題・責任・情報を共有し、関わるすべての人が豊かになることを意味しています。社名「セリア」はイタリア語で「まじめな」を意味し、この理念を集約したものです。
■(2) 企業文化
同社は「お客様が笑顔」を実践する商品開発・店舗運営、誠実で平等な関係に基づく取引、そしてプラス志向での挑戦を評価する公平で開かれた職場環境を基本方針としています。まじめに「価値ある商品(良品)」を提供し続けることで、100円の新しい価値を提案し、さらなる成長を目指す姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画において、国内全地域での未出店地域への出店およびシェア獲得による企業価値向上を目標としています。市場飽和局面においても、一定の収益性を維持しながら残存者利益を獲得し、利益率の確保を目指しています。
* 売上高営業利益率:5%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
2025年4月からの中期経営計画では、「多様化するニーズを捉える商品開発」「戦略的出店によるシェア拡大」「オペレーションの効率化」を掲げています。具体的には、ターゲットを明確にした商品開発や定番商品の改善、有力企業との関係強化による出店推進、セルフレジ活用による業務効率化など、6つの機能別戦略に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「多様な人材が安心して働け、プラス志向での挑戦を評価する公平で開かれた職場環境作り」と「地域の身近な雇用の場として地域社会との共存・共栄」をサステナビリティ基本方針に定めています。女性管理職比率30%以上の維持や、パートタイマーからの社員登用、障害者雇用の推進など、多様性の確保と育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.3歳 | 9.1年 | 5,393,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 52.8% |
| 男性育児休業取得率 | 36.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 79.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 76.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 98.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障害者雇用率(3.86%)、社員に占める中途採用者の割合(71%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店環境と競争激化
同社は個別店舗の採算を重視した出店を行っていますが、業界の垣根を越えた競争が激化しています。出店条件に合う物件の不足や、入居施設の閉鎖等による退店が発生した場合、計画未達となる可能性があります。また、新規出店投資に対し売上増が十分でない場合、経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) 商品在庫の管理リスク
店舗網拡大に伴い在庫が増加傾向にあります。同社はPOSシステム等で在庫管理を行っていますが、消費者ニーズの急変により滞留在庫が発生する可能性があります。その場合、短期的には売上の急減、中長期的には在庫処分損の増加を通じて、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 為替相場及び商品市況の変動
商品の多くを国内ベンダーから調達しており直接的な為替影響は限定的ですが、ベンダー側の輸入コスト変動が間接的に影響する可能性があります。また、原油価格等の市況変動による仕入価格や物流費、光熱費の上昇が、経営成績に影響を与える可能性があります。



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