※本記事は、株式会社ナフコの有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ナフコってどんな会社?
家具店として創業し、現在は家具とホームセンターを融合させた店舗を全国展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1970年に家具店のチェーン化を目的に設立され、福岡県に第1号店を開設しました。2003年に日本証券業協会へ店頭登録し、2010年には大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場しました。2017年にEC事業を開始し、2022年の東京証券取引所の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。
同社(単体)の従業員数は1,287名です。大株主は、資産管理会社と見られる株式会社深勝興産が31.57%を保有する筆頭株主であり、次いで投資ファンドのTHE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD.が6.15%、同社副社長の髙野將光氏が3.64%を保有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 深勝興産 | 31.57% |
| THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD.(常任代理人立花証券) | 6.15% |
| 髙野 將光 | 3.64% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性16名、女性2名(女性比率11.1%)で構成されています。代表取締役社長は石田卓巳氏です。社外取締役比率は13.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石田 卓 巳 | 代表取締役社長HI営業本部長兼経理部担当兼総務部担当 | 1976年労働省入省。深町家具店を経て1998年同社入社。2010年社長就任、2025年6月より現職。 |
| 石田 佳 子 | 代表取締役副社長家具営業本部長兼家具商品部長兼販売促進部担当 | 1987年深町家具店入社。1999年同社入社。2010年取締役副社長、2025年6月より現職。 |
| 髙野 將 光 | 取締役副社長HI営業副本部長 | 1987年大沢商会入社。深町家具店を経て1998年同社入社。2010年取締役副社長、2017年8月より現職。 |
| 深町 圭 司 | 常務取締役HI営業本部長補佐 | 1991年西日本ナフコ入社。2000年同社入社。2011年常務取締役就任、2017年9月より現職。 |
| 末松 保 幸 | 取締役家具事業推進部長 | 1989年同社入社。川崎店店長、事業部長を経て2014年取締役就任。2017年8月より現職。 |
| 山田 泰 弘 | 取締役HI商品部長 | 1993年深町家具店入社。2000年同社入社。HI商品部次長等を経て2017年取締役就任。2021年6月より現職。 |
| 山田 勲 | 取締役家具商品部副部長 | 1987年深町家具店入社。HI商品部バイヤー等を経て、2019年6月より現職。 |
| 今井 朋 晴 | 取締役人事部長兼経営企画部担当 | 1993年深町家具店入社。経営企画部次長、人事部長を経て2019年取締役就任。2024年6月より現職。 |
| 北川 大 二 郎 | 取締役HI商品部次長兼副部長兼業務部担当 | 1992年深町家具店入社。HI商品部バイヤー等を経て2021年取締役就任。2023年6月より現職。 |
| 宮本 健 太 郎 | 取締役HI事業推進部長 | 1993年深町家具店入社。各店店長、事業部長等を経て2025年6月より現職。 |
| 田辺 一 信 | 取締役店舗開発部長 | 1995年深町家具店入社。各店店長、事業部長等を経て2025年6月より現職。 |
| 永野 共 世 | 取締役家具商品部副部長 | 1999年同社入社。家具商品部バイヤーを経て2025年6月より現職。 |
| 石山 寛 則 | 取締役家具商品部副部長 | 2003年同社入社。HI商品部バイヤー等を経て2025年6月より現職。 |
社外取締役は、廣瀬隆明(広瀬公認会計士事務所所長)、福田義徳(福田義徳公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「資材・DIY・園芸用品」「生活用品」「家具・ホームファッション用品」および「その他」事業を展開しています。
■資材・DIY・園芸用品
大工道具、建築金物、ペイント、園芸用品、エクステリア、木材などを取り扱い、一般消費者からプロの業者まで幅広い顧客を対象としています。
これらの商品の販売を通じて、一般消費者や業者から対価を受け取ります。運営は主にナフコが行っています。
■生活用品
家庭用品、日用品、ペット用品、ヘルス&ビューティー、食品などを取り扱い、日々の生活に必要な商品を提供しています。
商品の販売代金が主な収益源となります。運営は主にナフコが行っています。
■家具・ホームファッション用品
家具、カーテン、寝具、インテリア小物などを取り扱い、トータルコーディネート提案を行っています。
顧客への商品販売による対価が収益となります。運営は主にナフコが行っています。
■その他
上記セグメントに含まれないカー用品、乗り物、灯油などを取り扱っています。
商品販売による対価を収益源としています。運営は主にナフコが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。特に2024年3月期以降は利益面の落ち込みが顕著で、2025年3月期は経常利益、当期純利益ともに大幅な減益となりました。利益率も低下傾向が続いています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | - | - | - | - | - |
| 経常利益 | 189億円 | 126億円 | 97億円 | 56億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | -% | -% | -% | -% | -% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 117億円 | 80億円 | 56億円 | 31億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が縮小しています。特に営業利益は前期比で大きく減少し、利益率も低下しました。コスト面では、売上原価率は横ばいですが、販管費の負担が相対的に重くなっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,921億円 | 1,811億円 |
| 売上総利益 | 651億円 | 614億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.9% | 33.9% |
| 営業利益 | 55億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 2.9% | 0.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当などの役員報酬及び給料手当が195億円(構成比32%)、地代家賃が84億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントにおいて減収となりました。「資材・DIY・園芸用品」は天候不順等の影響、「生活用品」は競合激化、「家具・ホームファッション用品」は買い控えの影響を受けました。「その他」も前年の反動減などにより減少しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 資材・DIY・園芸用品 | 877億円 | 831億円 |
| 生活用品 | 496億円 | 466億円 |
| 家具・ホームファッション用品 | 365億円 | 340億円 |
| その他 | 183億円 | 175億円 |
| 連結(合計) | 1,921億円 | 1,811億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CF、投資CF、財務CFがいずれもマイナスとなる「末期型」のパターンを示しています。本業のキャッシュ創出がマイナスに転じ、投資と財務活動による支出も重なっているため、資金繰りへの注意が必要な状況です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 92億円 | -7億円 |
| 投資CF | -49億円 | -59億円 |
| 財務CF | -74億円 | -78億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.1%で市場平均(7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.4%で市場平均(48.5%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「店はお客様のためにある」という原則を基本方針として掲げています。この理念のもと、一般消費者からプロの業者まで幅広い顧客層に満足される品揃えと価格での商品提供を目指し、地域一番の店づくりに取り組んでいます。
■(2) 企業文化
「人・商品・店舗」における他社との差別化を図りながら業績向上を目指す姿勢を重視しています。「お客様満足度100%」を目標とし、顧客の声を商品開発やサービス向上に反映させるとともに、全社一丸となった経営努力を続ける文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上高に対する収益性を重視しており、以下の経営指標を目標として掲げています。
* 売上高経常利益率:中期的目標として5.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
競争力強化のため、プライベート・ブランド(PB)商品の開発による値入率改善や、利益率の高い輸入品の拡大に注力します。また、商圏人口に応じた多様な店舗業態の展開や、既存店の増床・改装による活性化を進めるとともに、ドミナント化を推進しシェア拡大を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
従業員の能力や適性に配慮しつつ、働く環境の整備を進める方針です。特に女性の管理職登用や男性の育児休業取得促進を重要課題とし、多様性の確保に注力しています。また、上司や同僚の協力体制構築や独自制度の導入検討を通じ、育児休業を取得しやすい風土づくりを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.5歳 | 18.4年 | 6,115,793円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 4.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 55.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 92.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性育児休暇取得率(61.3%)、女性管理職比率目標(2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店に対する法的規制
大規模小売店舗立地法により、売場面積1,000㎡超の新規出店や増床には自治体の審査が必要です。周辺環境への配慮や調整が求められ、計画通りの出店ができない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、まちづくり三法の改正も郊外出店計画に影響する可能性があります。
■(2) 競合環境の激化
同社が出店する地域には競合他社が多数存在し、新規参入による競争激化のリスクがあります。また、住宅構造の変化や少子化等を背景に家具市場が停滞傾向にあり、これらの市場環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 個人情報の漏洩リスク
営業活動を通じて多数の個人情報を保有しており、万が一情報漏洩が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として規程の策定や管理体制の強化を行っています。
■(4) 感染症拡大の影響
感染症の拡大状況により、営業時間の短縮や休業等の措置を余儀なくされる可能性があります。これにより来店客数の減少や店舗運営への支障が生じ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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