フライングガーデン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フライングガーデン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社はスタンダード市場に上場し、北関東を中心に「爆弾ハンバーグ」を主力とする郊外型レストラン「フライングガーデン」を直営展開しています。当期は来客数・客単価ともに堅調で増収となりました。利益面では物流費や人件費の高騰がありましたが、増収効果で経常増益を確保しました。


#記事タイトル:フライングガーデン転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社フライングガーデンの有価証券報告書(第44期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フライングガーデンってどんな会社?


北関東を中心に、看板メニュー「爆弾ハンバーグ」を提供する郊外型レストランを展開する企業です。

(1) 会社概要


1976年に創業し、1984年に郊外型レストラン1号店を開店しました。1996年に現社名へ変更し、2004年にジャスダック市場へ上場を果たしました。2013年には自社生産による爆弾ハンバーグの全店販売を開始するなど、品質と効率を追求した店舗展開を進めています。

同社は連結子会社を持たない単体企業で、従業員数は171名です。筆頭株主は創業者の野沢八千万氏で、第2位は同氏の住所地と同じ群馬県桐生市に所在する有限会社アクティヴです。創業家およびその関連会社が株式の多くを保有するオーナー系企業の特徴を持っています。

氏名 持株比率
野沢八千万 28.81%
有限会社アクティヴ 8.37%
野沢卓史 4.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は野沢卓史氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
野沢 卓史 代表取締役社長兼 営業本部長 2011年同社入社。社長室長、営業支援本部長、品質管理室長などを歴任。2021年より現職。
野沢 八千万 代表取締役会長 1976年ノザワ創業。1981年より同社(旧ノザワハッピーフーズ)代表取締役社長を務め、2021年より現職。
片柳 紀之 常務取締役営業支援本部長 2005年同社入社。管理部長、財務部長を経て、2021年より現職。
浜竹 敏明 取締役(常勤監査等委員) 2007年同社入社。経理部長、経理部参与を経て、2021年より現職。


社外取締役は、関根則次(公認会計士)、石島仁司(元株式会社関東銀行結城支店長)、石川伸治(税理士)です。

2. 事業内容


同社は、「ファミリーレストラン事業」および「その他」事業を展開しています。

ファミリーレストラン事業

「爆弾ハンバーグ」を主力商品とする郊外型レストラン「フライングガーデン」を、栃木・群馬・埼玉・茨城・千葉の5県で直営展開しています。ホスピタリティあふれるサービスと、専門工場で製造される安全で高品質な料理の提供に注力しています。

収益源は、来店客からの飲食代金です。運営はフライングガーデンが単独で行っており、ロードサイド店舗を中心としたドミナント出店戦略を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が順調に拡大傾向にあります。コロナ禍からの回復とともに客数・客単価が伸長し、増収基調を維持しています。利益面では、原材料価格やエネルギーコストの上昇など厳しい環境下にありながらも、一定の利益率を確保しており、安定した経営を続けています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 60億円 65億円 72億円 78億円 83億円
経常利益 3億円 6億円 6億円 6億円 6億円
利益率(%) 4.9% 9.8% 7.9% 7.4% 7.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 3億円 3億円 4億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も拡大しました。増収効果により、原材料費や物流費の高騰を吸収し、営業利益ベースでも増益を達成しています。利益率は前期と比較して微減または横ばい圏内で推移しており、コストコントロールに努めながら収益性を維持していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 78億円 83億円
売上総利益 54億円 56億円
売上総利益率(%) 69.2% 67.6%
営業利益 6億円 6億円
営業利益率(%) 7.1% 6.8%


販売費及び一般管理費のうち、雑給が16億円(構成比32%)、給料及び賞与が9億円(同17%)と人件費関連が大きな割合を占めています。次いで地代家賃が5億円(同9%)、水道光熱費が4億円(同9%)となっています。

(3) セグメント収益


同社はファミリーレストラン事業の単一セグメントです。主力商品である爆弾ハンバーグの販売促進や、季節限定メニューの投入が奏功し、既存店売上が堅調に推移したことで増収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ファミリーレストラン部門 78億円 83億円
連結(合計) 78億円 83億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金の範囲内で投資を行い、借入金の返済も進めている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 6億円 7億円
投資CF -4億円 -8億円
財務CF -0.4億円 -0.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「私達は人類の幸せを向上させるために、思いやりの心を持つ優秀な人財を採用育成し、社員の幸せと、お客様満足度日本一の企業を目指し、適正利潤を確保し、社会貢献致します。」という理念を掲げています。ホスピタリティの心と安全で美味しい料理の提供を通じて、顧客満足を追求しています。

(2) 企業文化


「お客様第一主義」「環境整備」「研究開発」の3つを経営基本方針として定めています。特に行動の全てをお客様の喜びに焦点を合わせることや、礼儀・規律・清潔などの「環境整備」を徹底することを重視しています。また、変化する社会情勢に合わせて事業構造を変革し続ける姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


「お客様満足度日本一への挑戦」をスローガンとし、店舗におけるクリンリネス・クオリティ・サービスの向上に取り組んでいます。中長期的には以下の数値目標を目指しています。

* 売上高100億円
* 売上高経常利益率6%
* 自己資本比率70%
* 店舗目標:客単価1,580円以上、爆弾ハンバーグ来客数比60%以上、来客数前年比100%以上

(4) 成長戦略と重点施策


消費者ニーズの多様化や人件費高騰等の厳しい環境下において、商品力・サービス力の強化、看板商品である爆弾ハンバーグに並ぶ新商品の開発、および新業態の開発を中長期的なテーマとして掲げています。また、衛生管理の徹底や営業体制の再構築、労働生産性の向上にも優先的に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


国籍や性別等を問わず、専門的な知識技能を習得し活躍できる人材の育成を目指しています。また、従業員が健康で安心して働けるよう、適正な休日の取得、長時間労働やハラスメントの撲滅を重点項目とし、ワークライフバランスを維持した職場環境の構築に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.2歳 13.1年 496万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.3%
男性育児休業取得率 20.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.5%
男女賃金差異(正規) 66.8%
男女賃金差異(非正規) 101.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、入社3年後の新入社員離職率(56.3%)、従業員(正社員)の女性比率(18.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店形態及び商品戦略


特定の商品「爆弾ハンバーグ」と北関東エリアへの出店に経営資源を集中させています。そのため、顧客ニーズの変化により主力商品が支持されなくなった場合や、出店エリアの人口動態の変化などが生じた場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食材の安全性と調達リスク


BSEや鳥インフルエンザなどの伝染病発生、あるいは風評被害により消費が減退した場合、業績に影響が出る可能性があります。また、食材価格や物流費の高騰もリスク要因です。これに対し、仕入先の多様化や衛生管理の徹底で対処しています。

(3) 人材の確保及び育成


「お客様第一主義」の実践には人材が不可欠ですが、計画通りに採用や育成が進まない場合、サービスレベルの低下を招き、顧客の支持を失う恐れがあります。新卒・中途採用の強化や研修制度の充実に注力していますが、労働力不足は重要な経営課題です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。