※本記事は、株式会社ランシステムの有価証券報告書(第38期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ランシステムってどんな会社?
複合カフェの運営と各種システム開発を両輪として事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1988年に設立し、1989年に家庭用ゲーム販売店を出店して事業を開始しました。1998年に複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」の第1号店を出店して主力事業に成長させ、2004年に株式を上場しました。その後、2022年6月にAOKIホールディングスの子会社となり事業基盤を強化しています。
現在の従業員数は連結で118名、単体で107名となっています。筆頭株主は親会社として資本業務提携を結ぶ事業会社のAOKIホールディングスで、第2位は同社代表取締役社長の日高大輔氏、第3位はサントリービバレッジソリューションです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| AOKIホールディングス | 57.17% |
| 日高大輔 | 2.66% |
| サントリービバレッジソリューション | 2.24% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。取締役社長(代表取締役)は日高大輔氏が務めており、取締役7名中3名が社外取締役となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 日高大輔 | 取締役社長(代表取締役) | 1994年海上自衛隊入隊。プラザ商事等を経て2010年同社入社。2013年より現職。 |
| 笠間匠 | 専務取締役 | 1998年同社入社。自遊空間事業部部長などを経て2013年より現職。 |
| 面髙英雄 | 常務取締役 | 1995年日本長期信用銀行入行。京セラ等を経て2009年同社入社。2013年より現職。 |
| 照井則男 | 取締役 | 1980年すかいらーく入社。日本マクドナルド等を経て2015年AOKIホールディングス入社。2022年より現職。 |
社外取締役は、中谷健二(公認会計士)、加藤洋平(弁護士)、荒井春奈(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、エンターテインメント事業、システム事業、および不動産事業を展開しています。
■エンターテインメント事業
複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」の直営店舗運営を主力としており、顧客に対して施設利用やダーツ、ビリヤード等のエンターテインメント空間を提供しています。また、フランチャイズ加盟店への運営サポートや、店舗設備、商材の外部販売なども幅広く展開しています。
収益は、主に直営店を利用する顧客からの施設利用料や飲食代のほか、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ、備品販売代金などから得ています。この事業の運営は、同社および子会社のランセカンドが行っています。
■システム事業
複合カフェ店舗の運営ノウハウを活かし、受付カウンターのないセルフオペレーションを実現するセルフ化システムや、テレワーク環境を支援するシステムなどを多様な顧客に向けて開発・販売しています。
収益は、外部企業への各種システムの販売代金に加え、導入後の保守および管理業務を請け負うことで継続的に受け取る利用料などから得ています。親会社のグループ店舗へのシステム導入も進めており、運営は同社が行っています。
■不動産事業
群馬県その他の地域において、事業基盤となる安定的な収益確保を目的として賃貸用不動産の適切な管理および賃貸業務を行っています。
収益は、保有する賃貸用物件を利用する顧客から定期的に受け取る不動産賃貸料から得ています。この事業の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間において、事業環境の変化や決算期変更の影響を受け売上高は変動していますが、2024年3月期以降は黒字転換を果たしています。当期はシステム事業が堅調に推移し、売上高は横ばいながらも当期利益は増益となり、収益基盤の安定化が進んでいます。
| 項目 | 2022年6月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 43.5億円 | 37.0億円 | 73.7億円 | 54.1億円 | 54.3億円 |
| 経常利益 | -5.9億円 | -2.1億円 | 1.0億円 | 1.1億円 | 1.1億円 |
| 利益率(%) | -13.5% | -5.6% | 1.3% | 2.1% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -7.1億円 | -1.9億円 | 1.3億円 | 0.5億円 | 0.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微増となりましたが、売上総利益および営業利益はともに増加しています。店舗のコスト見直しやシステム事業の好調が寄与し、本業の収益力を示す営業利益率は前期から改善傾向にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 54.1億円 | 54.3億円 |
| 売上総利益 | 10.3億円 | 11.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.0% | 20.6% |
| 営業利益 | 1.3億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 2.3% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当・賞与が4.2億円(構成比45%)、業務委託費が1.1億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
エンターテインメント事業は店舗閉鎖などの影響で減収となりましたが、システム事業ではセルフ化システムや関連部材の導入が進み増収となりました。主力事業ごとの需要変化が全体の売上構成に影響を与えています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| エンターテインメント事業 | 32.2億円 | 31.4億円 |
| システム事業 | 21.0億円 | 22.1億円 |
| 不動産事業 | 0.9億円 | 0.8億円 |
| 連結(合計) | 54.1億円 | 54.3億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.5億円 | 3.1億円 |
| 投資CF | -4.0億円 | -3.9億円 |
| 財務CF | -1.4億円 | 1.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は37.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は7.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は企業使命として「お客様との出会いを活力に、豊かな発想力で楽しみ、くつろぎを創造し、新鮮なライフスタイルを提案する」ことを掲げています。社会とともに活気に満ちた永続的企業を目指す姿勢を経営の基本方針として定めています。
■(2) 企業文化
同社グループの求めるものとして、「人を豊かに、地域を豊かに、社会を豊かに、私たちも豊かに」という価値観を重視しています。お客様の価値観や要望を形にする努力を惜しまず、取引先や加盟店との連帯を深めるとともに、社員一人ひとりの人間的成長を最大の財産と捉える文化を育んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、売上高の増加による成長性と経常利益の増加による収益性を重視しており、経営効率と収益性の総合的な判断基準として「売上高経常利益率」を重要な経営指標として位置づけています。中長期的な事業拡大と質の高い利益追求の両立を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
エンターテインメント事業では既存店の顧客満足度向上と新規顧客の開拓を進めるとともに、完全セルフ型オンラインダーツ店舗「Smart Darts」などの新業態開発を加速させています。システム事業では、リアル店舗でのノウハウを活かした新商材開発を進め、パートナー企業との協業により販路拡大に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材の育成と活躍が企業の持続的成長の重要要因であると位置づけ、専門部署による社員およびアルバイトスタッフへの定期的な教育を実施し、サービス品質の向上を図っています。また、テレワーク環境の整備など柔軟な働き方を支援し、多様な人材が能力を発揮できる職場環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 46.1歳 | 14.9年 | 5,573,700円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.9% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 63.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 89.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 複合カフェ市場の競争激化
複合カフェ業界は認知向上により市場が拡大した一方、地域によっては競合店との競争が激化しています。業績の低下により店舗の撤退や移転を選択した場合、それに伴う費用発生や減収が同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 店舗運営人材の確保と育成
24時間年中無休で営業する複合カフェにおいて、労働人口減少の影響によりアルバイトスタッフ等の従業員確保のコストが上昇しています。優秀な人材を確保できない場合、接客サービス品質の低下を招き、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 提供コンテンツの著作権法務リスク
店舗で提供するパソコン内のソフトウェアや漫画・雑誌などの出版物は著作権法で保護されています。今後の法改正や著作権者との取り決め変更により、業務用としての利用が制限されたり、追加の許諾料が発生したりする可能性があります。
■(4) インターネット提供に伴う犯罪利用リスク
顧客に提供するインターネット環境が、匿名性を悪用した詐欺や誹謗中傷などの犯罪に利用されるリスクがあります。同社は本人確認に基づく会員制を導入していますが、問題が発生した場合は信用低下につながる可能性があります。



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