ランシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場上場。複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」の運営および店舗システムの開発・外販を主力とします。直近決算では、不採算店舗の閉店やシステム事業の減収等により減収となりましたが、営業利益はほぼ横ばい、経常利益は増益、当期純利益は減益で着地しました。


※本記事は、株式会社ランシステム の有価証券報告書(第37期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ランシステムってどんな会社?


複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」を全国展開するほか、無人化システムの外販も行う企業です。

(1) 会社概要


1988年に設立され、1998年に複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」の直営第1号店を出店しました。2004年にJASDAQ市場へ上場し、2015年には「アミューズメントカジノ ジクー」を出店するなど業容を拡大しました。2022年には株式会社AOKIホールディングスの子会社となり、現在はスタンダード市場に上場しています。

2025年3月31日時点の従業員数は連結116名、単体105名です。筆頭株主は親会社であり「快活CLUB」等をグループに持つAOKIホールディングスで、第2位はプラザ商事、第3位はGAUDIとなっています。

氏名 持株比率
AOKIホールディングス 57.17%
プラザ商事 4.09%
GAUDI 3.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は日高 大輔氏が務めています。社外取締役比率は約42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
日高 大輔 取締役社長(代表取締役) 1994年海上自衛隊入隊。2000年プラザ商事入社。2010年同社入社。2013年9月より現職。GAUDI取締役等を兼任。
笠間 匠 専務取締役 1998年同社入社。自遊空間事業部部長等を経て、2013年9月より現職。外販事業部本部長を兼務。
面髙 英雄 常務取締役 日本長期信用銀行、京セラ、セブンイレブン・ジャパン等を経て2009年同社入社。2013年9月より現職。経営企画本部長・管理本部長を兼務。
照井 則男 取締役 すかいらーく、日本マクドナルド、スターバックスコーヒージャパン等を経てAOKIホールディングス入社。同社副社長執行役員等を歴任し、2022年9月より現職。


社外取締役は、中谷 健二(公認会計士・税理士)、加藤 洋平(弁護士)、荒井 春奈(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンターテインメント事業」、「システム事業」および「不動産事業」を展開しています。

(1) エンターテインメント事業


複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」の直営店舗運営およびフランチャイズ展開を行っています。完全個室への改装など顧客ニーズに対応した設備投資を進めるほか、バーチャル関連の新規事業開発も行っています。一般消費者およびフランチャイズ加盟店が主な顧客です。

収益は、店舗利用者からの利用料収入や飲食売上、加盟店からのロイヤリティ収入、備品等の販売収入から構成されています。運営は主に同社および子会社の株式会社ランセカンドが行っています。

(2) システム事業


省人化システムやテレワーク支援システムなどの開発・販売・保守を行っています。QR鍵やセルフ化システムなどの商材を扱っており、企業や店舗運営者が主な顧客です。また、親会社であるAOKIホールディングスのグループ会社店舗へのシステム導入も進めています。

収益は、システムの販売代金および保守・管理業務による継続的な収入から構成されています。運営は同社が行っています。

(3) 不動産事業


同社グループが保有する不動産賃貸物件の管理・運営を行っています。

収益は、賃貸先からの賃料収入です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第36期に大きく増加した後、当期は減少しました。これは前連結会計年度における子会社譲渡や不採算店舗の閉店等が影響しています。利益面では、第33期から第35期までは赤字が続いていましたが、第36期以降は黒字化しており、当期も経常利益は増益を維持しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 49億円 43億円 37億円 74億円 54億円
経常利益 -6.1億円 -5.9億円 -2.1億円 1.0億円 1.1億円
利益率(%) -12.5% -13.5% -5.6% 1.3% 2.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -12.1億円 -7.1億円 -1.9億円 1.3億円 0.5億円

(2) 損益計算書


売上高は減少しましたが、売上総利益率は前年の13.8%から19.0%へ改善しました。営業利益率は前年とほぼ同水準を維持しています。販管費が増加しているものの、売上原価の低減により利益を確保しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 74億円 54億円
売上総利益 10億円 10億円
売上総利益率(%) 13.8% 19.0%
営業利益 1.3億円 1.3億円
営業利益率(%) 1.7% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当・賞与が4億円(構成比46%)、業務委託費が1億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


エンターテインメント事業は不採算店舗の閉店等により減収となりましたが、利益率は改善し増益となりました。システム事業は親会社グループ向け等の反動減などにより減収減益となりました。不動産事業は安定的に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
エンターテインメント事業 36億円 32億円 1.2億円 1.9億円 5.8%
システム事業 31億円 21億円 1.7億円 1.5億円 7.1%
不動産事業 0.8億円 0.9億円 0.6億円 0.6億円 70.0%
調整額 - - -2.8億円 -2.7億円 -
連結(合計) 74億円 54億円 1.3億円 1.3億円 2.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**健全型**
本業の営業活動でキャッシュを稼ぎ出していますが、設備投資等の支出がそれを上回っており、手元の現預金を取り崩しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 3.3億円 2.5億円
投資CF 1.3億円 -4.0億円
財務CF -0.8億円 -1.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は5.8%で市場平均を大きく下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは『企業使命』として、「お客様との出会いを活力に、豊かな発想力で楽しみ、くつろぎを創造し、新鮮なライフスタイルを提案します。社会とともに、活気に満ちた永続的企業を目指します。」を掲げています。

(2) 企業文化


『ランシステムグループの求めるもの』として、「人を豊かに、地域を豊かに、社会を豊かに、私たちも豊かに」を掲げています。お客様、取引先、加盟店、株主、社会、そして社員と家族それぞれに対し、誠実に向き合い、共に成長することを目指す姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、売上高の増加による成長性と経常利益の増加による収益性を重視しており、特に「売上高経常利益率」を重要な経営指標として位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


エンターテインメント事業では、完全個室化やセルフオペレーションによる効率化を推進し、顧客満足度の向上と安定収益の確保を図ります。また、システム事業では、リアル店舗で培ったノウハウを活かした省人化システムの外販を強化し、親会社グループへの導入や他業態への販路拡大を進める方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材育成を成長の重要要因と位置づけ、CS室による定期的な教育を通じて接客サービス向上やリーダーシップ育成に努めています。また、テレワーク環境の整備や省人化システムの導入により、業務効率化と従業員のエンゲージメント向上を図り、働きやすい環境づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.3歳 14.9年 5,078,602円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.3%
男女賃金差異(正規) 75.2%
男女賃金差異(非正規) 92.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有休消化率(51.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新型感染症の感染拡大による事業リスクについて


感染症の拡大により緊急事態宣言や休業要請が出された場合、直営店舗の稼働率低下による売上高やロイヤリティの減少が想定されます。

(2) 競争の激化について


複合カフェ業界は市場規模が拡大してきましたが、地域によっては競合店との競争激化により業績が低下する可能性があります。その場合、店舗の撤退や移転を選択せざるを得ず、それに伴う費用発生や減収が業績に影響を与える可能性があります。

(3) 人材の確保及び育成について


店舗は24時間営業のため、アルバイトスタッフを中心とした運営を行っていますが、労働人口減少により採用コストが増加しています。優秀な人材を確保できない場合、サービスレベル低下の懸念があります。これに対し、教育体制の構築や省人化システムの導入を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。