※本記事は、株式会社ランシステム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ランシステムグループは、複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」の運営を主軸とするエンターテインメント事業を展開しています。また、セルフ化システムやテレワーク支援システムを提供するシステム事業、不動産賃貸物件の管理を行う不動産事業も手掛けています。
単体従業員数は107名、連結従業員数は118名です。セグメントはエンターテインメント事業、システム事業、不動産事業の3つです。
主な国内グループ会社は、AOKIホールディングス、ランセカンド(エンターテインメント事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ランシステムは、複合カフェ事業を主軸とする同社グループにおいて、従業員の育成と働きやすい環境づくりに注力しています。人材を重要な経営資源と位置付け、顧客満足度向上と事業基盤強化を目指す企業です。
給与水準や働き方の特徴について、具体的なデータから見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も長めであることから、人材の定着が進んでいる傾向がうかがえます。単体従業員数が連結従業員数の大部分を占めており、同社がグループの中核を担っていることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,573,700円 |
| 平均勤続年数 | 14.9年 |
| 平均年齢 | 46.1歳 |
| 単体従業員数 | 107人 |
| 連結従業員数 | 118人 |
| 単体のグループ内比率 | 90.7% |
同社及び連結子会社は、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を設けています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材の育成及び活躍が企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を支える最も重要な要因の一つであると認識しています。顧客との接点におけるサービス品質及び法令遵守の徹底が顧客満足度向上に直結し、事業基盤強化につながることから、人材戦略を経営戦略上の重要課題と位置付けています。
給与やその他の給付の額及び内容の決定に当たっては、各人の役割及び職責、職務遂行能力、経験、勤務成績、会社業績、外部水準等を総合的に勘案することを基本方針としています。社員については職務内容、成果及び能力発揮の状況を踏まえた処遇を行い、アルバイトスタッフについては担当業務、習熟度、勤務実績等を踏まえ、適切な処遇の実現に努めています。
また、顧客満足度向上及び従業員教育を専門的に担うCS室を中心として、社員のみならずアルバイトスタッフに対しても定期的かつ継続的な教育を実施しています。これにより、接客サービスの向上、法令の遵守、業務に必要な知識の習得を図るとともに、現場において適切な判断と行動ができるリーダーシップを有する人材の育成に努めています。従業員のエンゲージメント向上も重視しており、テレワーク環境の整備等の働き方改革を推進し、各従業員の事情や業務内容に応じた柔軟な働き方を支援するとともに、働きやすい職場環境づくりを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 58.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 63.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 89.1% |
指標及び目標
同社グループは、働きやすい環境及びここで働きたいと思われる企業を目指し、働き方改革の推進及び従業員満足度向上に取り組んでいます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.7% |
| 有休消化率 | 47.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ランシステムは、エンターテインメント、システム、不動産の3つの事業を展開し、多角的な収益基盤を構築しています。顧客のニーズに応じたサービス提供と、システムの開発・導入を通じて事業を推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、複合カフェの運営を主軸とするエンターテインメント事業、各種システムの販売や保守を行うシステム事業、そして不動産賃貸物件の管理を行う不動産事業を営んでいます。これらの事業を通じて、多様な顧客層にサービスを提供し、収益を上げています。
同社グループの事業は日本国内に特化しており、本邦以外の外部顧客への売上高はありません。また、株式会社快活フロンティアへの売上高が同社グループの総売上高の約4割を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。
エンターテインメント事業
当事業は、複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」チェーンの直営店舗運営をメインとし、フランチャイズ店舗のサポート業務も行っています。店内設備へのコンテンツ導入や、自遊空間店舗で利用している商材の外部販売、広告掲出、社員研修・スタッフ研修の外部販売、新規事業開発も進めています。
収益は、施設利用料収入や外販収入から得ています。運営は、ランシステム及びランセカンドが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から減少しましたが、セグメント利益は増加しました。
システム事業
当事業は、セルフ化システムやテレワーク環境を支援するシステムなどの各種システムの販売、保守、管理業務を行っています。新しい商材の開発や新規顧客開拓にも注力しており、親会社であるAOKIホールディングスのグループ会社が展開する店舗へのシステム導入も進めています。
収益は、外販収入から得ています。当連結会計年度の売上高、セグメント利益ともに前期から増加しました。
不動産事業
当事業は、不動産賃貸物件の適切な管理を行っています。
収益は、賃料収入を含むその他の収益から得ています。当連結会計年度の売上高、セグメント利益ともに前期から減少しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| エンターテインメント事業 | 32.2億円 | 31.4億円 |
| システム事業 | 21.0億円 | 22.1億円 |
| 不動産事業 | 85百万円 | 84百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期の業績を見ると、同社グループの売上高は変動がありつつも、直近2期は安定した水準で推移しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、過去に損失を計上した期もありましたが、直近2期は黒字を維持しています。
特に当期は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期から大きく増加しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、直近2期ともにプラスで推移しており、本業で資金を生み出す力があることを示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 43.5億円 | 37.0億円 | 73.7億円 | 54.1億円 | 54.3億円 |
| 経常利益 | △5.9億円 | △2.1億円 | 97百万円 | 1.1億円 | 1.1億円 |
| 経常利益率 | △13.5% | △5.6% | 1.3% | 2.1% | 2.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △6.8億円 | △1.8億円 | 100百万円 | 43百万円 | 1.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △287.15 | △41.50 | 23.46 | 10.21 | 23.95 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期からわずかに減少しましたが、従業員1人あたり営業利益は増加しています。これは、売上高の伸び以上に利益率が改善したことを示しており、組織全体の効率化が進んでいる傾向がうかがえます。従業員一人ひとりの生産性が向上していることは、安定した収益基盤の構築に貢献していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 46.6百万円 | 46.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.1百万円 | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。財務基盤の強化と事業成長の両面で、今後の動向が注目されます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から増加傾向にあり、財務基盤の改善が見られます。しかし、非製造業のプライム市場平均と比較すると、まだ低い水準にあります。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を大きく上回る高い水準を示しており、効率的な収益性がうかがえます。手元資金である現金及び預金は前期からわずかに増加しており、一定の流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2.2億円 | 3.2億円 |
| 自己資本比率 | 5.8% | 7.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 21.9% | 37.6% |
| 現金及び預金 | 8.6億円 | 8.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは前期から増加しており、本業で安定的に資金を生み出している状況です。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、引き続き資金を使用しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れや短期借入れによる収入が増加したことで、前期の資金流出から資金流入へと転換しました。
フリーキャッシュフローはマイナスとなっていますが、そのマイナス幅は前期から減少しています。これは、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てていることを示しており、事業拡大への意欲がうかがえる資金の流れとなっています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.5億円 | 3.1億円 |
| 投資CF | △4.0億円 | △3.9億円 |
| 財務CF | △1.4億円 | 1.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.5億円 | △0.8億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
複合カフェ業界では競争が激化しており、店舗の撤退や移転を選択する場合があります。これに伴う費用や減収は、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、販売実績において特定の取引先への依存度が高いことも、事業構造上のリスクとして挙げられます。
③ 人材・組織に関するリスク
労働人口の減少に伴い、従業員の確保に従前よりコストが生じています。優秀な人材の確保ができない場合、充分な接客サービスに影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ランシステムは、「お客様との出会いを活力に、豊かな発想力で楽しみ、くつろぎを創造し、新鮮なライフスタイルを提案する」ことを企業使命としています。同社グループは「人を豊かに、地域を豊かに、社会を豊かに、私たちも豊かに」という基本方針のもと、事業を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「お客様との出会いを活力に、豊かな発想力で楽しみ、くつろぎを創造し、新鮮なライフスタイルを提案する」ことを企業使命としています。社会とともに活気に満ちた永続的企業を目指すとともに、「人を豊かに、地域を豊かに、社会を豊かに、私たちも豊かに」という基本方針を掲げています。
エンターテインメント事業では、複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」の運営を通じて、業界のリーディングカンパニーとしてブランド価値の向上と豊かな空間の提供に尽力しています。システム事業では、リアル店舗で培ったノウハウを活かし、システム開発の強化と販路拡大を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、お客様の価値観や要望を形にすべく努力を惜しまず、いつでも新鮮な気持ちで迎えることを目標としています。取引先とは最高の環境づくりを目指す良きパートナーとして連携し、加盟店とは連帯して努力を惜しまない姿勢です。
社員一人ひとりの人間的成長を最大の財産と捉え、無限の可能性を引き出せる環境づくりに努め、家族を大切にする社員の心のゆとりも応援しています。顧客満足度向上と従業員教育を専門とするCS室を設け、接客サービスの向上や法令遵守の知識を持ったリーダーシップのある人材育成に注力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、お客様目線でのサービス提供の徹底を課題とし、清掃・接客を軸とした安心安全健全な運営を継続しています。顧客満足度向上のための店舗改装や、SNSを活用したプロモーション強化、多言語対応強化による新規顧客開拓と既存顧客の再訪促進にも取り組んでいます。
また、安定した収益確保のため、完全セルフ型オンラインダーツ店舗「Smart Darts」の出店加速や、遠隔接客BPOを核とした新たな収益基盤の確立、顔認証システムやAIなどの先端技術導入、新規コンテンツ開発・導入といった新業態開発にも積極的に挑戦しています。持続的な成長のため、人員の増強と人材育成にも注力し、パートナー企業との協業による開発体制強化、働き方改革の推進と従業員満足度向上にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社では、取締役会が経営方針の決定と業務執行の監督を担い、監査役会が公正かつ客観的な立場から業務監査および会計監査を実施する体制を構築しています。迅速な意思決定と業務執行、透明性の高い経営を目指していることが特徴です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるAOKIホールディングスであり、安定した資本基盤を形成していることがうかがえます。また、代表取締役社長である日高大輔氏も上位株主の一人として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| AOKIホールディングス | 57.17% |
| 日 高 大 輔 | 2.66% |
| サントリービバレッジソリューション | 2.24% |
| ロフティー | 1.06% |
| 経 塚 真 理 恵 | 0.73% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は日高大輔氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 日高 大輔 | 取締役社長(代表取締役) | 1994年4月海上自衛隊第一術科学校生徒部生徒体育課入隊、2000年4月プラザ商事㈱入社、2013年9月同社代表取締役社長より現職。 |
| 笠間 匠 | 専務取締役 | 1998年11月同社入社、2013年9月同社専務取締役外販事業部本部長より現職。 |
| 面髙 英雄 | 常務取締役 | 1995年4月㈱日本長期信用銀行入行、2009年3月同社入社、2013年9月同社常務取締役経営企画本部長より現職。 |
| 照井 則男 | 取締役 | 1980年4月㈱すかいらーく入社、2015年11月㈱AOKIホールディングス入社、2022年9月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、中谷健二氏(公認会計士中谷健二会計事務所設立)、加藤洋平氏(弁護士法人MT代表)、荒井春奈氏(弁護士法人高橋裕次郎法律事務所入所)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会、監査役会、会計監査人、顧問弁護士、コンプライアンス委員会、内部監査、経営計画会議が連携して企業統治体制を構築しています。社外取締役3名と社外監査役2名が選任されており、客観的な視点から経営の監督・助言、監査機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は役員の報酬等の額またはその算定方法の決定に関する方針を定めていませんが、株主総会で取締役および監査役の報酬限度額を決議しています。個別の報酬額は、代表取締役社長が株主総会で定められた範囲内で、事業内容や職責、業績を考慮して決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 56百万円 | 18.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 3.6百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 7百万円 | 2.4百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
なお、取締役の支給額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。また、上記の対象となる役員の員数には、無報酬の役員は含まれておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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