※本記事は、フジタコーポレーションの有価証券報告書(第48期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フジタコーポレーションってどんな会社?
飲食・小売事業を主軸とし、地域資源を活かした食品製造や農畜産業も展開する企業です。
■(1) 会社概要
フジタコーポレーションは1978年に設立され、ダスキンとミスタードーナツのフランチャイズ契約を締結して事業を開始しました。1996年に現在の社名へ変更し、2005年にジャスダック証券取引所へ上場しました。近年は2021年に食品製造・卸売事業へ、2022年以降は農業や酪農業へと参入しています。
同社グループの従業員数は連結で126名、単体で121名です。筆頭株主は業務資本提携を結ぶ事業会社のJFLAホールディングスで、第2位は創業関係者と推測される藤田博章氏、第3位はフランチャイズ本部である事業会社のダスキンとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| JFLAホールディングス | 11.28% |
| 藤田博章 | 4.79% |
| ダスキン | 3.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は遠藤大輔氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 遠藤大輔 | 代表取締役社長 | 1998年大阪ヒルトン入社。2001年プライム・リンク入社後、各社取締役を歴任。2016年同社社外取締役に就任し、2019年より現職。現在はTOMONIゆめ牧舎の代表取締役社長等も兼務。 |
| 清水清作 | 専務取締役経理・総務部門管掌 | 1988年藍屋入社。1995年に同社へ入社し、管理部次長や管理部長などを歴任。2001年に取締役経理部長に就任後、2005年常務取締役を経て、2008年より現職。 |
社外取締役は、森下將典氏(小僧寿し代表取締役社長)、松原淳二氏(札幌海鮮丸元代表取締役社長)、上岡由紀子氏(上野・横山・渡法律事務所所属)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食・小売部門」「製造・卸売部門」「農畜産部門」を展開しています。
■飲食・小売部門
ミスタードーナツやモスバーガー等のフランチャイズ店舗、およびオリジナルブランドであるかつてん等の飲食・小売店舗を運営し、一般顧客へ商品・サービスを提供しています。
一般顧客への飲食・商品販売による売上が主な収益源です。複数のフランチャイズ本部と加盟契約を結び、フジタコーポレーションが主体となって効率的な出店と店舗運営を行っています。
■製造・卸売部門
北海道黒松内町の特産物手づくり加工センターにおいて、チーズ、ハム、ベーコン、アイスクリームなどの製造、加工および販売を行っています。
製造した特産品や商品の販売による売上が収益源となります。この事業は、フジタコーポレーションが指定管理者として施設を受託運営し、事業を展開しています。
■農畜産部門
北海道黒松内町の牧場において、乳牛の飼養を行い、生乳などの農畜産物を生産・提供しています。
生産した生乳の販売等による売上が主な収益源です。運営は連結子会社であるTOMONIゆめ牧舎が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去3期間の推移を見ると、売上高は安定して成長を続けており、それに伴って経常利益もプラスを維持し、直近では利益水準と利益率の改善が見られます。当期利益についても着実な増加傾向にあり、収益体質の向上がうかがえます。
| 項目 | 46期 | 47期 | 48期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 46億円 | 49億円 | 51億円 |
| 経常利益 | 1.3億円 | 1.1億円 | 1.5億円 |
| 利益率(%) | 2.8% | 2.3% | 3.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.5億円 | 1.0億円 | 1.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加とともに売上総利益も拡大しており、売上総利益率は約60%と高い水準を維持しています。営業利益も前年より増加し、営業利益率も改善傾向を示しており、本業における稼ぐ力の向上が見られます。
| 項目 | 47期 | 48期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 49億円 | 51億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 30億円 |
| 売上総利益率(%) | 59.1% | 60.0% |
| 営業利益 | 1.1億円 | 1.6億円 |
| 営業利益率(%) | 2.3% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が13億円(構成比43%)、地代家賃が3.2億円(同11%)、水道光熱費が2.1億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である飲食・小売部門は既存店舗の強化や各種施策により売上を順調に伸ばし、全体を牽引しています。一方、製造・卸売部門や農畜産部門はわずかに売上が減少していますが、事業間連携による収益化を目指しています。
| 区分 | 売上(47期) | 売上(48期) |
|---|---|---|
| 飲食・小売 | 43億円 | 45億円 |
| 製造・卸売 | 3.7億円 | 3.3億円 |
| 農畜産 | 2.1億円 | 2.1億円 |
| 連結(合計) | 49億円 | 51億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。
| 項目 | 47期 | 48期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.2億円 | 1.9億円 |
| 投資CF | -2.4億円 | -1.5億円 |
| 財務CF | -1.4億円 | -0.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は42.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は12.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「地域の皆様からの支持を受け、信頼される企業でありたい」を経営方針に掲げています。また、単に食事や商品を提供するだけでなく、お客様の生活を様々に彩る「心の豊かさ」の販売を目指し、事業の大前提として地域に愛され、役立つことを追求しています。
■(2) 企業文化
社訓である「創意」「熱意」「誠意」を発揮して事業に取り組むことを重視しています。フランチャイズ事業の店舗運営で培ったノウハウを活かしながら、独自の事業開発にも挑戦し、新たな価値創造を推進する姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
経常利益率の安定的な成長を重要な経営指標と位置づけており、既存事業の収益確保と向上を図りつつ、食品製造や農業などの新規事業の早期収益化も進めています。中長期的な目標として以下を掲げています。
* 経常利益率:3.3%
■(4) 成長戦略と重点施策
店舗運営だけでなく、食品製造、農業、酪農などを結びつけた「食」全体の発展と地域貢献を目指しています。次世代を担う人材の確保・育成や、既存店舗の売上増・コスト削減を通じた収益力の維持向上、さらに収益性の見込まれる新規出店や改装を行うシフトを重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の確保・育成を最重要課題と位置づけ、特定技能外国人を含む多国籍人材の定着支援や、若手人材の積極登用による組織の若返りを図っています。また、スキルアップ研修の充実や多様な働き方の推進により、労働環境を整備し、次期を担う管理職の育成や生産性の向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 48期 | 39.7歳 | 9.6年 | 3,742,278円 |
※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 21.1% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 82.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 82.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 101.2% |
また、同社は「人材戦略に関する基本方針等」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、特定技能外国人の採用比率(24.0%)、係長職以上の平均年間給与増加率(6.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フランチャイズ契約の制約と影響
飲食・小売事業の売上高の大部分がフランチャイズ契約に基づいており、ノウハウ漏洩禁止等の義務違反による契約解除や損害賠償、本部の方針変更が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 有利子負債への高い依存度
新規出店やフランチャイズ加盟に伴う資金を金融機関からの借入で賄っており、有利子負債の比率が高い状態です。金利動向や金融情勢の変化による支払利息の増加がリスクとなります。
■(3) 食品衛生や法的規制への対応
飲食店舗や食品製造における食中毒の発生、食品リサイクル法や個人情報保護法、畜産業に係る法的規制の違反等があった場合、信用の低下や行政処分等により業績に深刻な影響を与える可能性があります。



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