#記事タイトル:フジタコーポレーション転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社フジタコーポレーション の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フジタコーポレーションってどんな会社?
飲食・小売事業を主軸に、北海道を地盤として「ミスタードーナツ」等のFC店舗や自社ブランドを展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1978年に北海道苫小牧市で設立され、ダスキンと「ミスタードーナツ」のチェーン契約を締結して事業を開始しました。1990年に株式会社へ組織変更し、1996年に現商号へ変更しています。2005年にジャスダック証券取引所へ株式を上場しました。2021年からは北海道黒松内町の特産物手づくり加工センターの指定管理者として食品製造事業を開始しています。
2025年3月31日時点の従業員数は連結112名、単体105名です。筆頭株主は事業会社であるJFLAホールディングス、第2位は創業者の藤田博章氏、第3位はフランチャイズ契約先であるダスキンです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| JFLAホールディングス | 11.31% |
| 藤田 博章 | 5.69% |
| ダスキン | 4.13% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は遠藤大輔氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 遠藤 大輔 | 代表取締役社長 | 大阪ヒルトン、プライム・リンク等を経て2019年より現職。フジックス、TOMONIゆめ牧舎の代表取締役社長も兼務。 |
| 藤 田 博 章 | 取締役会長 | 日本レイヨンを経て、1978年に前身のファミリーフーズを設立し社長就任。2019年より現職。創業者。 |
| 清 水 清 作 | 専務取締役経理・総務部門管掌 | 藍屋(現すかいらーくHD)を経て1995年に入社。管理部長、経理部長等を歴任し、2008年より現職。 |
社外取締役は、森下將典(KOZOホールディングス代表取締役社長)、松原淳二(札幌海鮮丸設立者・元代表取締役社長)、上岡由紀子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食・小売部門」「製造・卸売部門」および「農畜産部門」事業を展開しています。
■(1) 飲食・小売部門
北海道・東北地区を中心に、「ミスタードーナツ」「モスバーガー」等のフランチャイジー店舗や、自社ブランド「かつてん」を運営しています。一般消費者を顧客とし、ショッピングセンター等の複合施設内への出店を多く行っています。
収益は、店舗での飲食・商品販売による代金や、フランチャイズ本部としての加盟金・ロイヤリティ等から得ています。運営は主に同社が行い、「かつてん」についてはフランチャイザーとしての本部事業も展開しています。
■(2) 製造・卸売部門
北海道黒松内町の「黒松内町特産物手づくり加工センター(トワ・ヴェール)」の指定管理者として、チーズ、ハム、ベーコン、アイスクリーム等の製造・加工を行っています。一般消費者や小売店等が顧客です。
収益は、製造した食品の販売代金等から得ています。運営は同社が行っており、地場食材を利用した商品開発や販路拡大に取り組んでいます。
■(3) 農畜産部門
北海道黒松内町において、乳牛の飼養経営を行っています。
収益は、生乳の販売等から得ています。運営は連結子会社のTOMONIゆめ牧舎が行っており、同社グループ内で「食」の生産から加工、販売まで連携する体制の一部を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり49億円規模へ拡大しました。利益面では、経常利益はやや減少したものの、当期利益(親会社所有者帰属)は増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 46億円 | 49億円 |
| 経常利益 | 1.3億円 | 1.1億円 |
| 利益率(%) | 2.8% | 2.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.7億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上総利益率および営業利益率は前年から横ばいから微増で推移しています。売上拡大に伴い利益額は増加していますが、利益率の大幅な変動は見られません。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 46億円 | 49億円 |
| 売上総利益 | 26億円 | 29億円 |
| 売上総利益率(%) | 57.7% | 59.1% |
| 営業利益 | 0.9億円 | 1.1億円 |
| 営業利益率(%) | 2.0% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が約12億円(構成比43.2%)、地代家賃が約3.1億円(同11.3%)を占めています。飲食・小売業の特性上、人件費と店舗家賃がコストの主要部分を構成しています。
■(3) セグメント収益
全セグメントで売上が計上されていますが、主力の飲食・小売部門が増収となり全体の成長を牽引しています。農畜産部門も売上を伸ばしていますが、製造・卸売部門は前年を下回る結果となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 飲食・小売部門 | 40億円 | 43億円 |
| 製造・卸売部門 | 4億円 | 4億円 |
| 農畜産部門 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 46億円 | 49億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**パターン判定:健全型**
営業活動で得たキャッシュを、投資活動や財務活動(借入返済等)に充当しており、健全な資金循環となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.2億円 | 2.2億円 |
| 投資CF | -1.0億円 | -2.4億円 |
| 財務CF | -2.0億円 | -1.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は51.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は8.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「地域の皆様からの支持を受け、信頼される企業でありたい」という強い信念を経営方針としています。事業の大部分が一般顧客に直接応対するものであるため、地域社会に愛され、役に立つことを事業の大前提と考えています。単に食事や商品を販売するだけでなく、顧客の生活を彩る「心の豊かさ」の提供を目指しています。
■(2) 企業文化
社訓である「創意」・「熱意」・「誠意」をもって取り組む姿勢を重視しています。また、多様化するニーズに対応するため「多業種・多業態」展開を進めており、フランチャイズ事業で培ったノウハウを活かしつつ、オリジナルブランド開発や新規事業にも挑戦する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
経営上の目標として「経常利益率の安定的な成長」を重視しています。常にコスト削減と収益改善意識を持ち、効率的な店舗運営に努める方針です。
* 中期的な目標:経常利益率3.3%
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は店舗運営だけでなく、オリジナルブランド「かつてん」のフランチャイザーとしての事業展開を強化する方針です。また、食品製造、農業、酪農など新たに参入した事業の収益化を進め、「食」全体の発展と地域貢献を目指します。具体的には、既存店舗の収益力維持、スクラップ&ビルドによる店舗活性化、および人材の確保・育成を重要課題としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
顧客に満足してもらえる商品やサービスを提供できる優秀な人材の確保と、時間をかけた教育・育成を最重要課題としています。スキルアップ研修の充実や自己啓発支援により、次期管理職を育成する方針です。また、性別や国籍にとらわれない多様な人材の採用を進めており、外国人労働者の受入れや障がい者・高齢者雇用など、多様な働き方に即した環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.7歳 | 10.8年 | 3,820,178円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 82.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規) | 99.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フジタコーポレーションのフランチャイズ契約への依存
売上の約9割を飲食・小売事業が占めており、その中でも「ミスタードーナツ」等のフランチャイジー事業の割合が高くなっています。契約違反による解除や損害賠償、フランチャイザーの経営状況や商品施策の変化が、同社の業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 有利子負債への依存度
新規出店や事業展開資金を借入金に依存しており、有利子負債比率が高い水準にあります。金利上昇による支払利息の増加や、金融情勢の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、手元流動性に比して借入金が高水準であることから、一部金融機関より返済条件の緩和を受けています。
■(3) 人材の育成および確保
高品質なサービス提供のためには優秀な人材と時間をかけた教育が必要ですが、少子高齢化による労働力不足が深刻化しています。必要な人材を十分に確保できない場合や育成が計画通り進まない場合、新規出店や事業運営に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 原材料およびエネルギー価格の高騰
国際情勢の不安定化による原材料費やエネルギー価格の高騰が続いています。これらは飲食・小売、製造・卸売事業のコスト増加要因となり、価格転嫁が十分にできない場合は利益を圧迫し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。