※本記事は、ZOAの有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ZOAってどんな会社?
ZOAはパソコンや周辺機器、バイク用品の専門店運営および通信販売、不動産事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
ZOAは1984年にコンピュータ及び周辺機器の販売を目的に設立されました。2004年にバイク用品の取扱いを開始し、現在の社名へ変更しました。2005年にジャスダック証券取引所へ上場を果たし、2007年には通信販売サイトを開設しています。2022年より不動産売買事業も開始し、事業領域を拡大しています。
単体従業員数は71名です。筆頭株主は代表取締役社長の伊井一史氏で、第2位は事業会社であるダイワボウ情報システム、同率で個人の長嶋しのぶ氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊井一史 | 17.33% |
| ダイワボウ情報システム | 11.55% |
| 長嶋しのぶ | 11.55% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員は伊井一史氏が務めており、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊井一史 | 代表取締役社長執行役員 | 1983年オリエントファイナンス入社。1999年ZOAに入社し社長室長に就任。取締役管理部長等を経て2013年8月代表取締役社長に就任。2014年5月より現職。 |
| 小野秀樹 | 常務取締役執行役員営業本部長兼不動産事業本部長 | 1994年スリーエフ入社。2015年ZOAに入社し新規事業部長に就任。2022年常務取締役執行役員に就任。2025年4月より現職。 |
| 安井明宏 | 取締役執行役員管理本部長 | 1995年ダイワボウ情報システム入社。2001年ZOAに入社。執行役員社長室長等を経て、2015年取締役執行役員に就任。2016年4月より現職。 |
| 内山晴美 | 取締役(監査等委員) | 1989年ZOA入社。総務課長、秘書課長を歴任。2016年に再度総務課長を務めた後、2022年6月に取締役(監査等委員)に就任し現職。 |
社外取締役は、坂口央乙(坂口税理士事務所開業)、奥田徹平(奥田司法書士・土地家屋調査士・行政書士事務所入所)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」および「不動産事業」を展開しています。
■小売事業
パソコン本体、周辺機器、DOS/Vパーツ、ソフト・サプライ、バイク関連商品の店舗販売および通信販売サイト「e-zoa.com」の運営を行っています。また、顧客に対して修理や延長保証などのサービス&サポートも提供しています。
一般消費者や一部法人顧客からの商品購入代金およびサポート利用料が主な収益源です。運営はZOAが単体で行っており、価格競争だけでなく、接客や専門的な提案による付加価値を提供しています。
■不動産事業
土地や建物の売買、および土地の賃貸などの不動産に関する事業を展開しています。小売事業における店舗網や地域に根ざした経営基盤を活かし、販売物件や収益物件の確保を計画的に進めています。
不動産購入者からの販売代金や、賃貸借契約に基づく賃借人からの賃貸収入が主な収益源です。当事業もZOA単体で運営を行っており、小売事業に次ぐ収益の柱として事業拡大を目指しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は86億円から97億円の間で推移しています。一時的に売上が減少した時期もありましたが、直近ではパソコンの買い替え需要等により回復傾向にあります。経常利益率も概ね5%前後を安定して維持しており、堅実な利益創出が続いています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 96億円 | 97億円 | 86億円 | 93億円 | 95億円 |
| 経常利益 | 5.1億円 | 5.5億円 | 4.3億円 | 4.4億円 | 4.9億円 |
| 利益率(%) | 5.3% | 5.6% | 5.0% | 4.7% | 5.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3.5億円 | 3.7億円 | 2.9億円 | 3.0億円 | 3.3億円 |
■(2) 損益計算書
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 93億円 | 95億円 |
| 売上総利益 | 24億円 | 26億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.0% | 26.8% |
| 営業利益 | 4.3億円 | 4.9億円 |
| 営業利益率(%) | 4.6% | 5.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が5.3億円(構成比25%)、支払手数料が4.4億円(同21%)、賃借料が2.9億円(同14%)を占めています。売上原価のうち商品売上原価が約93%を占めています。
■(3) セグメント収益
小売事業は、サポート終了に伴うパソコン本体の買い替え特需やゲーミングPCの需要拡大により売上が増加しました。一方、不動産事業は販売件数が減少したため減収となっていますが、次期に向けた販売物件の確保を進めています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 小売事業 | 84億円 | 90億円 |
| 不動産事業 | 8.3億円 | 5.3億円 |
| 連結(合計) | 93億円 | 95億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業と言える状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.3億円 | 4.3億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -2.0億円 |
| 財務CF | -1.7億円 | -3.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.4%となっており、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「お客様の感動と会社の成長と社員の成長を一致させよう」という「三位一致」の精神を経営の基本方針としています。価格の安さだけではなく「感動・安心」を商品価値の軸とし、専門店として顧客から信頼され支持される企業価値の最大化を目指しています。
■(2) 企業文化
従業員の知識・技術を向上させ、あらゆる顧客ニーズに対応することを重視しています。「接客」を通じた対話を大切にし、顧客の声に基づいた商品やサービスの開発に注力する姿勢が根付いています。eスポーツ等の専門領域に精通した従業員が具体的な提案を行う文化があります。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な数値目標についての具体的な記載はありませんが、地域に根ざした経営を実践し、リピーター顧客の増加による収益基盤の強化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
パソコン及び関連商品の販売強化を図るため、より専門性の高い店舗づくりに取り組んでいます。従業員の知識・技術の向上、高度な修理やサポートに対応する専用部署の設置による体制構築、システムに登録された接客情報からのサービス構築などを重点施策として展開しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
お客様に感動を与える従業員の育成を目指し、パソコン専門店としての圧倒的な知識習得を推進しています。Webミーティングを活用した勉強会や社内グループウェアでの情報共有を通じてスキルアップを図り、修理等のノウハウ蓄積により最善のサービスを提供できる体制づくりに取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.2歳 | 14.9年 | 5,115,759円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.6% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 90.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 90.9% |
※同社は公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 家電量販店等との競争激化
家電・カメラ量販店やパソコン専門店との激しい価格競争に晒されています。有形商材とサービス等の無形商材を組み合わせた付加価値の提供で差別化を図っていますが、競合状況の進展によっては収益性に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 商品の販売単価変動と陳腐化
主力商品であるパソコン本体や周辺機器は販売単価の変動が激しい商材です。顧客ニーズの変化に十分対応できず不良在庫を抱える場合や、予測を超えた価格変動が生じた場合、業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 不動産市況の停滞による流動性低下
不動産の売買事業を展開しており、販売用不動産を保有しています。経済環境の悪化等により不動産市況が停滞し、想定した時期や価格で物件を売却できなくなった場合、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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