※本記事は、アプライド株式会社の有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アプライドってどんな会社?
同社は、オリジナルパソコンの製造・販売を主力としながら、雑貨販売や出版・広告など多角的な事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1982年に電子機械器具及び電子部品の販売を目的としてフクオカ電子パーツを設立したことに始まります。1988年に現在のアプライドへ商号を変更し、2006年にジャスダック証券取引所(現 東京証券取引所スタンダード市場)へ株式を上場しました。その後、シティ情報ふくおかやハウズを子会社化し、多角的な事業展開を進めています。
現在の従業員数は連結で440名、単体で410名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理等を行うパムで、第2位は証券金融業務を行う日本証券金融、第3位は創業者の岡義治氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| パム | 49.06% |
| 日本証券金融 | 3.12% |
| 岡 義治 | 2.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役会長兼社長を岡義治氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡 義治 | 代表取締役会長兼社長 | 三光電機、山栄通商を経てフクオカ電子パーツを創業。1982年同社設立とともに代表取締役社長に就任し、2009年より現職。 |
| 坂井 雅実 | 常務取締役 | 1995年同社入社。執行役員社長室長、専務取締役経営企画部長などを経て、2026年より生産事業部長兼AI事業推進部長等を務める。 |
| 甫木 眞也 | 常務取締役 | 1995年同社入社。執行役員SI事業部長、取締役SI事業部長などを経て、2024年より常務取締役外販営業本部長を務める。 |
| 宇野 敬泰 | 常務取締役 | 1997年同社入社。執行役員BtoB推進本部長、取締役などを経て、2023年より常務取締役広域システム営業部長を務める。 |
| 藤田 宏 | 取締役 | 1994年同社入社。経営企画部総務部長、会長室室長などを経て、2026年より取締役CJF事業部長を務める。 |
| 岡 美和子 | 取締役相談役 | 1988年フクオカ電子パーツ入社。取締役社長室長、専務取締役などを経て、2016年より現職。 |
| 岡 桜子 | 取締役 | 2011年同社入社。会長室副室長兼海外営業部マネージャーなどを経て、2020年より取締役会長室長を務める。 |
| 山口 圭介 | 取締役 | 1999年同社入社。特機統括営業部長兼海外営業部長、執行役員総務部長などを経て、2022年より取締役総務部長を務める。 |
| 丸山 正公 | 取締役 | 1994年同社入社。博多店店長、経理部長、執行役員経理部長などを経て、2024年より取締役経理部長を務める。 |
| 林 幸蔵 | 取締役 | 1999年同社入社。執行役員販売促進部長兼プログラム推進部長などを経て、2026年より取締役店舗営業本部長などを務める。 |
社外取締役は、善田順一(元戸田ビルパートナーズ九州支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「パソコン・ゲーム事業」「化粧品・雑貨事業」「出版・広告事業」を展開しています。
■パソコン・ゲーム事業
パソコン・ワークステーションの製造・販売・サポートを主な内容とし、大学・官公庁・研究機関向けのHPC製品の受注販売から、国内向けの流通販売や通信販売まで幅広く展開しています。主に個人や法人のIT機器利用者が顧客です。
収益は、機器の販売代金や保守・サポート契約に基づくサービス利用料から得ています。運営は同社が主体となり、直営専門店アプライドを通じた店舗販売や法人向け営業、通信販売を行っています。
■化粧品・雑貨事業
直営の専門店を通じて、化粧品や雑貨の販売を提供しています。主な顧客は、日常の生活雑貨や美容に関心のある一般消費者です。
収益は、店舗での商品販売代金やイベント等を通じたサービス利用料から得ています。運営は同社および子会社のハウズが行っており、同社が海外向け輸出や国内向け流通・通信販売を、ハウズが店舗販売を担っています。
■出版・広告事業
九州地区を中心に、タウン情報誌や企画本等の出版、コンテンツ情報サービスの運営、法人および地方自治体向けの広告代理店事業を提供しています。
収益は、委託店舗等での雑誌販売代金や、広告主(クライアント)からの広告宣伝サービスに対する対価から得ています。運営は子会社のシティ情報ふくおかが主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は400億円台で堅調に推移しており、当期は480億円に達しています。経常利益と当期利益も増加傾向にあり、利益率も徐々に改善していることから、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 440億円 | 386億円 | 428億円 | 473億円 | 480億円 |
| 経常利益 | 24億円 | 18億円 | 21億円 | 27億円 | 35億円 |
| 利益率(%) | 5.4% | 4.5% | 5.0% | 5.7% | 7.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 15億円 | 11億円 | 12億円 | 18億円 | 23億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の微増に対し、売上総利益と営業利益が大きく伸びており、売上総利益率および営業利益率ともに前期間から改善しています。高付加価値商品の拡販が寄与していることが伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 473億円 | 480億円 |
| 売上総利益 | 101億円 | 112億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.3% | 23.2% |
| 営業利益 | 27億円 | 34億円 |
| 営業利益率(%) | 5.6% | 7.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が23億円(構成比30%)、広告宣伝費が10億円(同12%)を占めています。売上原価(369億円)については、当期商品仕入高が322億円、当期製品仕入高が50億円と仕入費用が大半を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるパソコン・ゲーム事業が全体の売上と利益の大部分を牽引しています。化粧品・雑貨事業は売上が減少傾向にあり、営業損失を計上していますが、出版・広告事業は安定して利益を生み出しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| パソコン・ゲーム事業 | 346億円 | 374億円 | 24億円 | 33億円 | 8.7% |
| 化粧品・雑貨事業 | 123億円 | 103億円 | 0億円 | -0.4億円 | -0.4% |
| 出版・広告事業 | 4億円 | 4億円 | 0.6億円 | 0.4億円 | 10.8% |
| 調整額 | -0.4億円 | -0.4億円 | 2億円 | 2億円 | - |
| 連結(合計) | 473億円 | 480億円 | 27億円 | 34億円 | 7.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のパターンを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 29億円 | 30億円 |
| 投資CF | -6億円 | -21億円 |
| 財務CF | -5億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.7%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「出会いありて感謝あり 感謝ありて発展あり 発展ありて貢献ありき」を経営理念に掲げています。人との出会いやめぐり会いを大切にし素直に感謝する心が、人として企業としての発展につながり、ひいては社会貢献につながるという考えのもと、あらゆるステークホルダーの企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、持続可能な社会の実現と企業価値の中長期的向上の両立を目指すサステナビリティへの取り組みを重視しています。また、企業の競争力の源泉は人材であるとし、多様な従業員一人ひとりの働きがい向上のための環境整備や、自律的成長を支援する文化を育んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は、ハードとサービスを融合した販売を中心に据え、直販型メーカーとして特化した営業展開により顧客拡大と利益創出を推進することを目標としています。高付加価値な商品・サービスを提供するための企画・製造・調達の体制整備に注力し、継続的な成長と利益体質の強化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は財務基盤の充実とともに、さらなる事業の構築、営業部門の人員拡充と技術・サービスレベルの向上を進めます。製造能力の増強や新規出店、既存店舗の改装、およびIT人材の育成など、有効な投資を積極的に行い、組織構造の強化を図ることで業績向上に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、企業の競争力の源泉は人材であると考えており、「人的資本の最大化」を優先課題としています。人材育成のための研修・評価制度の充実、ライフスタイルに合わせ働ける制度の整備と働き方改革の推進、多様性の確保を柱とし、個人のキャリア自律を後押しする環境を整えています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 34.5歳 | 11.0年 | 5,268,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.0% |
| 男性育児休業取得率 | 53.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 98.5% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、総採用人数に占める女性比率(27.1%)、総社員数に占める女性比率(11.5%)、研修参加率(51.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 商品及び製品の在庫リスク
同社グループは、購買政策や在庫コントロール策により在庫リスクを極力抑えていますが、何らかの要因で陳腐化在庫を大量に抱える事態となった場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 季節要因及び自然災害の影響
冷夏や暖冬等の異常気象、あるいは台風や地震等の自然災害が発生した場合、季節商品の需要が低迷したり、顧客数が減少したりすることで、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 感染症流行の影響
大規模な感染症が流行した場合には、生産拠点における操業停止、営業拠点における業務停止または業務効率の低下、取引先の業務停止などが生じ、同社の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 為替変動の影響
一部のプライベートブランドパソコンの海外製造や輸入品の代金支払いを米ドルで決済しているため、短期間に極端な円安が進行した場合、調達計画の変更を余儀なくされ、業績に影響を及ぼすリスクを抱えています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。