※本記事は、アプライド株式会社 の有価証券報告書(第43期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アプライドってどんな会社?
パソコン小売事業を主軸に、化粧品・雑貨販売や地域情報誌の発行など多角的な事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1982年に電子機器販売を目的として設立され、1988年に現社名へ変更しました。九州から全国へ店舗網を拡大し、2006年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。その後、株式会社シティ情報ふくおかの子会社化や雑貨店「ハウズ」の設立などを通じて事業領域を拡大し、2022年の市場区分見直しにより東証スタンダード市場へ移行しています。
同社グループの従業員数は連結で421名、単体で388名です。筆頭株主は株式会社パムで、第2位は証券金融会社である日本証券金融株式会社、第3位は従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| パム | 49.06% |
| 日本証券金融 | 3.47% |
| アプライド従業員持株会 | 3.45% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役会長兼社長は岡義治氏が務めています。社外取締役比率は7.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡 義治 | 代表取締役会長兼社長 | 1977年フクオカ電子パーツ(現同社)を個人創業し、1982年より代表取締役社長。シティ情報ふくおか代表取締役などを経て、2009年より現職。 |
| 坂井 雅実 | 常務取締役 | 1995年同社入社。経営企画部長、生産事業部長などを歴任。現在は店舗システム営業部長を兼務し、2022年10月より現職。 |
| 甫木 眞也 | 常務取締役 | 1995年同社入社。SI事業部長、経営企画部長などを歴任。現在は外販営業本部長を務め、2024年4月より現職。 |
| 宇野 敬泰 | 常務取締役 | 1997年同社入社。BtoB推進本部長、SI統括営業部長などを歴任。現在は広域システム営業部長を務め、2023年4月より現職。 |
| 藤田 宏 | 取締役 | 1994年同社入社。経営企画部総務部長などを経て、現在はカンパニー推進本部長およびシティ情報ふくおか取締役を兼務。2020年6月より現職。 |
| 岡 美和子 | 取締役 | 1988年同社入社。社長室長、専務取締役などを経て、現在は相談役およびシティ情報ふくおか取締役、ハウズ取締役を兼務。2016年6月より現職。 |
| 岡 桜子 | 取締役 | 2011年同社入社。会長室副室長、ハウズ取締役などを経て、2020年6月より会長室長として現職。 |
| 山口 圭介 | 取締役 | 1999年同社入社。商品企画部次長、特機統括営業部長などを歴任。2022年6月より総務部長として現職。 |
| 丸山 正 公 | 取締役 | 1987年アルプス電気(現アルプスアルパイン)入社。1994年同社入社。経営推進部次長などを経て、2024年6月より経理部長として現職。 |
| 林 幸蔵 | 取締役 | 1999年同社入社。販売促進部長、ひーな農園推進部長などを経て、2025年4月より執行役員店舗営業本部長として現職。 |
社外取締役は、善田順一(元戸田ビルパートナーズ九州支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「パソコン・ゲーム事業」「化粧品・雑貨事業」および「出版・広告事業」を展開しています。
■(1) パソコン・ゲーム事業
パソコン専門店「アプライド」の店舗運営をはじめ、大学・官公庁向けHPC製品の販売、産業用コンピューターの受注販売、通信販売などを行っています。顧客は一般消費者から法人、研究機関まで多岐にわたり、自社製PCの製造・販売や保守サポートも提供しています。
収益は、顧客への商品販売代金や、保守・サポートサービスの対価から得ています。運営は主に同社が行っています。
■(2) 化粧品・雑貨事業
化粧品・雑貨専門店「ハウズ」を運営し、国内外の化粧品やファッション雑貨、服飾品などを販売しています。また、海外向けの輸出販売や国内向けの流通販売も手掛けており、店舗販売と卸売販売の両輪で事業を展開しています。
収益は、一般消費者への店頭販売や卸売先からの商品販売代金から得ています。運営は、卸売部門を同社が、店舗運営を子会社の株式会社ハウズが担っています。
■(3) 出版・広告事業
九州地区においてタウン情報誌や企画本の出版を行うほか、情報サイト「Fukuokaナビ」の運営を行っています。また、法人や地方自治体向けに、取材力や編集力を活かした広告代理店事業やプロモーション企画の提案も行っています。
収益は、一般読者からの書籍販売代金や、広告主(法人・自治体)からの広告掲載料・企画制作費から得ています。運営は子会社の株式会社シティ情報ふくおかが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高・利益ともに拡大基調にあります。特に直近では、パソコンの買い替え需要や法人向け販売の好調により、売上高は473億円に達しました。利益面でも、増収効果に加え、高付加価値商品の販売推進により経常利益、当期純利益ともに増加傾向を示しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 397億円 | 440億円 | 386億円 | 428億円 | 473億円 |
| 経常利益 | 24億円 | 24億円 | 18億円 | 21億円 | 27億円 |
| 利益率(%) | 6.0% | 5.4% | 4.5% | 5.0% | 5.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 15億円 | 15億円 | 11億円 | 12億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に伸長しています。売上総利益率は21〜22%程度で安定的に推移しています。販管費のコントロールも効いており、増収効果が営業利益の押し上げに寄与しています。営業利益率は5%台後半まで改善しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 428億円 | 473億円 |
| 売上総利益 | 95億円 | 101億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.2% | 21.3% |
| 営業利益 | 21億円 | 27億円 |
| 営業利益率(%) | 5.0% | 5.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が22億円(構成比29%)、広告宣伝費が9億円(同12%)を占めています。売上原価については、商品仕入等の変動費が主であり、売上原価合計の大部分を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のパソコン・ゲーム事業は、法人需要や自社製品の拡販により増収増益となり、全社の利益を牽引しています。化粧品・雑貨事業もイベント連携や卸売販売の好調により増収を達成しましたが、利益は横ばい圏です。出版・広告事業は増収を確保し、黒字を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| パソコン・ゲーム事業 | 317億円 | 346億円 | 19億円 | 24億円 | 7.0% |
| 化粧品・雑貨事業 | 107億円 | 123億円 | -0億円 | 0億円 | 0.0% |
| 出版・広告事業 | 4億円 | 4億円 | 1億円 | 1億円 | 15.0% |
| 調整額 | -0億円 | -0億円 | 2億円 | 2億円 | - |
| 連結(合計) | 428億円 | 473億円 | 21億円 | 27億円 | 5.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却などによる資金の増減を表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払いなどによる資金の動きを示しています。
同社は、現金及び預金残高から有利子負債残高を差し引いた額がプラスであり、投資余力も十分にあり、極めて健全な財政状態となっております。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 14億円 | 29億円 |
| 投資CF | -3億円 | -6億円 |
| 財務CF | -6億円 | -5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「出会いありて感謝あり 感謝ありて発展あり 発展ありて貢献ありき」を経営理念に掲げています。人との出会いを大切にし、感謝する心が企業としての発展と社会貢献につながるという考えのもと、顧客拡大と利益創出を推進しています。
■(2) 企業文化
ハードとサービスを融合した販売を中心に据え、専門店として特化した営業展開を図る文化があります。また、サステナビリティや気候変動への課題解決を重要視し、ESG推進委員会を通じて環境配慮や循環型社会への貢献に努める姿勢を持っています。感謝の心を基盤に、ステークホルダーへの価値提供を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
継続的な成長と利益体質の強化を目指し、高付加価値な商品・サービスの提供に注力しています。長期的な成長に向けて、財務基盤の充実とともに、事業構築、営業部門の人員拡充、技術・サービスレベルの向上を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
製造能力の増強、新規出店や既存店舗の改装、IT人材育成などへの積極的な投資を行い、組織構造の強化を図る方針です。また、気候変動への対応として、省エネ製品の開発・販売やPCリサイクル事業などの循環型ビジネスの成長をドライバーと位置づけ、デジタル技術を活用した企業の業務効率改善支援なども推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を企業の競争力の源泉と捉え、多様な従業員の働きがい向上と人材価値向上を目指しています。具体的には、研修・評価制度の充実による自律的成長の支援、ライフスタイルに合わせた制度整備と働き方改革、女性を含む多様な人材が活躍できるフィールドの提供を柱として取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 34.7歳 | 11.2年 | 5,108,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.6% |
| 男性育児休業取得率 | 36.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 95.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、上司面談実施率(100%)、研修参加率(45.8%)、プロジェクト参加率(34.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 商品及び製品の在庫リスク
同社グループは購買政策や在庫コントロール策を講じていますが、何らかの要因で陳腐化在庫を大量に抱える事態となった場合、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 季節要因及び自然災害の影響
冷夏や暖冬等の異常気象、あるいは台風や地震等の自然災害が発生した場合、季節商品の需要低迷や顧客数の減少を招き、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 感染症流行の影響
大規模な感染症が流行した場合、生産拠点の操業停止、営業拠点における業務停止や効率低下、取引先の業務停止などが発生し、同社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。



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