JFLAホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 JFLAホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JFLAホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、乳製品や酒類の製造を行う生産事業、食材の輸入卸を行う流通事業、外食チェーンを展開する販売事業を手掛けています。直近の業績は、価格見直しやポートフォリオ最適化が奏功し、売上高・利益ともに前年を上回る増収増益のトレンドにあります。


※本記事は、株式会社JFLAホールディングスの有価証券報告書(第20期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. JFLAホールディングスってどんな会社?


同社グループは、生産・流通・販売の3機能を持つ食のバリューチェーンを展開する企業です。

(1) 会社概要


1995年に飲食店舗運営会社として設立され、その後複数のフランチャイズ本部事業を展開しました。2001年に株式上場を果たし、2007年には持株会社体制へ移行しています。その後、乳業会社や輸入食品会社などを次々と子会社化し、2018年に現在のJFLAホールディングスへ商号変更しました。

同社グループは、連結従業員数1,549名、単体従業員数31名の体制で事業を推進しています。筆頭株主はHSIグローバルで、第2位は神明ホールディングス、第3位はSAKEアソシエイツです。HSIグローバルおよび東洋商事などは、同社代表取締役社長の檜垣周作氏が代表を務める関連企業です。

氏名 持株比率
HSIグローバル 23.72%
神明ホールディングス 6.72%
SAKEアソシエイツ 4.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は檜垣周作氏が務めており、社外取締役の比率は37.5%(8名中3名)となっています。

氏名 役職 主な経歴
檜垣周作 代表取締役社長 アサヒビール入社後、阪神酒販代表取締役社長等を経て、2009年より同社代表取締役社長。
鈴木啓介 常務取締役 三菱銀行、モルガン・スタンレー証券等を経て、地域経済活性化支援機構に参画。2024年より現職。
木村康一郎 取締役 監査法人トーマツ等を経て、地域経済活性化支援機構に参画。2024年より現職。
齊藤隆光 取締役 国際キャピタル、阪神酒販等を経て、2009年に同社入社。2017年より現職。
岡山哲也 取締役 神戸製鋼所、阪神酒販等を経て、2015年に同社入社。2023年より現職。


社外取締役は、香本明彦(公認会計士・税理士)、澁澤久栄(大阪サニタリー・社長室直轄経営戦略室)、安田幸平(安田幸平HR事務所・代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「生産事業」「流通事業」「販売事業」および「その他」事業を展開しています。

生産事業


牛乳やヨーグルトなどの乳製品、しょうゆやみそなどの発酵調味料、日本酒などの酒類、およびパン菓子類などを製造・販売しています。一般消費者向けの小売商品から業務用製品まで、幅広いラインナップを提供しています。

主な収益源は、製品の販売代金や余剰乳の加工受託収入です。運営は主に弘乳舎、九州乳業、茨城乳業、盛田、栄喜堂などの子会社が行っています。

流通事業


欧州を中心とする世界各国から輸入した食品類や酒類の国内での販売事業を行っています。また、英国などの欧州地域において、現地の高級和食レストランなどに向けた食品の加工卸や食材の輸出入事業も手掛けています。

主な収益源は、輸入食材や加工食品の卸売販売代金です。国内の運営は主にアルカンなどが担い、海外においてはAtariya Foods Limitedのもとで各現地法人が事業を行っています。

販売事業


「BAGEL & BAGEL」「MOMI&TOY'S」「お菓子の菊家」といった飲食業態について、フランチャイズ本部の運営や直営店の経営を行っています。また、海外においては和食材関連スーパーの運営なども展開しています。

主な収益源は、直営店における飲食・小売販売代金や、フランチャイズ加盟店からの加盟金、ロイヤリティ、食材備品等の販売代金です。運営は主にアルテゴや菊家が行っています。

その他事業


「食」を通じて健康増進や豊かな生活を実現するための事業として、ウェルエイジング事業などを展開しています。

事業による収益が主な収入源となっており、同社グループの今後の成長分野として各種サービスの企画・推進を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は650億円から760億円台で推移しており、近年は価格改定などの効果で増収傾向にあります。利益面では過去に赤字を計上した時期もありましたが、直近2期間は連続して黒字を確保し、収益性が改善しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 704億円 767億円 679億円 652億円 657億円
経常利益 -8億円 -8億円 4億円 9億円 13億円
利益率(%) -1.2% -1.0% 0.5% 1.4% 2.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -8億円 -20億円 -23億円 -2億円 25億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高は横ばいで推移していますが、売上総利益率は安定した水準を維持しています。営業利益は増加しており、利益率も改善傾向を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 652億円 657億円
売上総利益 172億円 173億円
売上総利益率(%) 26.4% 26.3%
営業利益 13億円 15億円
営業利益率(%) 2.0% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料が3億円(構成比26%)、支払手数料が2億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメントごとの業績を見ると、主力である生産事業は乳製品や調味料の価格改定等により増収を達成しています。流通事業は付加価値の高い商品の販売が好調で増収となりました。販売事業は不採算事業の整理等の影響で減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
生産事業 433億円 441億円
流通事業 132億円 138億円
販売事業 83億円 73億円
その他事業 4億円 4億円
連結(合計) 652億円 657億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金の範囲内で借入金の返済や投資を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 5億円 17億円
投資CF -12億円 -11億円
財務CF -5億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は20.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「食を通じた新たな価値の創造と提供」をミッションとして掲げています。また、「食の魅力を世界に伝え、お客様に安心と笑顔をお届けする」という企業理念のもと、日本の伝統的で良質な食生活や食文化を守り、次世代に伝えていくことを使命として事業活動を行っています。

(2) 企業文化


同社は、SDGsの実現や食の安全に対する強い責任感を企業文化として根付かせています。環境保全への取り組みとして、乳業や醸造工場で排出されるCO2削減に努めるとともに、障がい者雇用や人材の多様化を推進しています。また、高い倫理観と良識に従って業務を遂行するコンプライアンス意識の醸成を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業継続が可能な経営基盤の構築を目指す「事業再生計画」を推進しており、2027年3月期の目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:600億円
* 営業利益:10億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、「新たな価値を生み出すブランド創出」「新たな価値を提供する多様な販売手法の構築」「新たな価値を支える経営基盤の確立と持続的成長」の3つを中長期戦略として実行しています。製品ポートフォリオの見直しや価格改定、不採算拠点の整理、および生産性向上のための設備投資を通じて収益基盤の強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「個の成長」「ダイバーシティ&インクルージョン」「組織の成長」の3項目を人材戦略の基本方針としています。伝統技術の継承と革新的な価値創造を両立できる人材を育成するとともに、女性や外国人、中途採用者の登用を進めて多様な視点を経営に反映させます。また、健康経営の推進により、すべての従業員が能力を最大限に発揮できる職場環境の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.6歳 7.8年 5,985,999円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全従業員) 81.0%
男女賃金差異(正規雇用) 73.2%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※非正規雇用の男女賃金差異は「-」とし、労働者の男女の賃金の差異の「―」は、「女性の職場生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、目標女性管理職比率(12%)、定期健康診断受診率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 投融資回収に関するリスク


同社グループは事業拡大のための企業買収や事業投資を行いますが、投融資先の事業が計画通りに進展せず、効率的な経営資源の活用ができない場合、減損損失の発生や資産価値の低下により、グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 景気の下振れによる不況リスク


為替の円安進行や国際情勢の不安定化に伴う原材料・燃料価格の高騰などにより、景気が下振れした場合、同社グループが提供する乳製品や調味料などの商品や外食サービスに対する消費者の購買力や需要が減退し、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 自然災害に係るリスク


同社グループが国内外で運営する外食チェーン店舗や生産工場が、台風、地震、疫病などの自然災害に見舞われた場合、店舗の休業や工場の生産停止を余儀なくされ、グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 海外事業に係るリスク


同社グループは英国やオランダなど欧州地域を中心に事業を展開しており、中東・ウクライナ情勢などの紛争、政治的変動、為替相場の変動、各国の制度や習慣の違いなどにより予期せぬ事象が発生した場合、海外事業の収益に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。