JFLAホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JFLAホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の持株会社。乳製品や調味料等の「生産」、輸入食品等の「流通」、外食FC等の「販売」の3事業を展開しています。直近の連結業績は、不採算事業の整理等により売上高は減収となりましたが、価格改定やコスト削減等の効果で経常利益は増益、最終損益は黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社JFLAホールディングス の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. JFLAホールディングスってどんな会社?


同社グループは、「食のバリューチェーン」構築を掲げ、生産・流通・販売の各機能を持つ事業会社を統括する持株会社です。

(1) 会社概要


1995年に飲食店舗運営会社として設立され、2001年にナスダック・ジャパン(現東証スタンダード)へ上場しました。その後、M&Aや組織再編を繰り返し、2017年にアスラポートへ商号変更、2018年にはジャパン・フード&リカー・アライアンスを子会社化し現社名となりました。2024年には地域経済活性化支援機構より出資を受け入れています。

同社グループの連結従業員数は1,477名、単体では50名です。筆頭株主はHSIグローバルで、同社代表取締役社長が代表を務める資産管理会社等の関係にあります。第2位は米穀卸大手の神明ホールディングス、第3位はSAKEアソシエイツとなっています。

氏名 持株比率
HSIグローバル 23.88%
神明ホールディングス 6.76%
SAKEアソシエイツ 4.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は檜垣周作氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
檜垣 周作 代表取締役社長 1999年アサヒビール入社。阪神酒販代表取締役社長を経て2009年同社代表取締役社長に就任。現在は事業統括を担当。
鈴木 啓介 常務取締役 1991年三菱銀行入行。地域経済活性化支援機構シニアディレクターを経て2024年同社常務取締役に就任。構造改革を担当。
木村 康一郎 取締役 2008年監査法人トーマツ入所。地域経済活性化支援機構ディレクターを経て2024年同社取締役に就任。経理財務を担当。
齊藤 隆光 取締役 2002年国際キャピタル入社。阪神酒販を経て2017年同社取締役に就任。現在は管理兼生産事業を担当。
岡山 哲也 取締役 2001年神戸製鋼所入社。阪神酒販を経て2023年同社取締役に就任。現在はITソリューションを担当。


社外取締役は、香本明彦(公認会計士・税理士)、澁澤久栄(元アサヒフード顧問)、安田幸平(元リクルート本社人事課長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「生産事業」「流通事業」「販売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 生産事業


乳製品(牛乳、ヨーグルト等)、調味料(醤油、味噌等)、酒類、パン菓子類などの製造販売を行っています。自社ブランド製品のほか、OEM受託製造なども手掛けています。

収益は主に製品の販売代金から得ています。運営は、九州乳業、弘乳舎、盛田、栄喜堂などの連結子会社が担っています。

(2) 流通事業


欧州を中心とした世界各国からの輸入食品・酒類の国内販売や、欧州における食品加工卸および食材の輸出入を行っています。高級食材やワインなどをホテル、レストラン、小売店等へ提供しています。

収益は主に商品の卸売・販売代金から得ています。運営は、国内ではアルカン、海外では英国のAtariya Foods Limitedなどの連結子会社が行っています。

(3) 販売事業


ベーグル専門店「BAGEL & BAGEL」やクレープ店「MOMI&TOY’S」などのフランチャイズ本部運営および直営店経営を行っています。また、英国において和食材関連スーパーの運営なども手掛けています。

収益は主に直営店での飲食・物販代金、フランチャイズ加盟店からの加盟金やロイヤリティ、食材等の卸売代金から得ています。運営は主にアルテゴ、菊家などの連結子会社が行っています。

(4) その他事業


「食」を通じて健康増進や豊かな生活を実現する事業として、ウェルエイジング事業等を行っています。

収益は主にサービスの提供対価等から得ています。運営は同社グループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は700億円前後で推移してきましたが、直近では事業譲渡等の影響もあり減少傾向にあります。利益面では赤字が続いていましたが、当期においては経常利益が増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も黒字に転換しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 696億円 704億円 767億円 679億円 652億円
経常利益 -15億円 -8億円 -8億円 4億円 9億円
利益率(%) -2.2% -1.2% -1.0% 0.5% 1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -26億円 -19億円 -22億円 -6億円 6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を見ると、売上高は減少しましたが、不採算事業の整理や製品値上げの効果により、売上総利益率は低下したものの営業利益率は改善しました。販管費の抑制も利益改善に寄与しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 679億円 652億円
売上総利益 186億円 172億円
売上総利益率(%) 27.4% 26.4%
営業利益 8億円 13億円
営業利益率(%) 1.2% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が45億円(構成比29%)、その他経費が43億円(同27%)、運賃が41億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


生産事業は値上げ効果等により増収増益となりました。流通事業は海外子会社減少等の影響で減収減益となりました。販売事業は不採算事業の売却等により大幅な減収となりましたが、赤字幅は縮小しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
生産 421億円 433億円 12億円 17億円 4.0%
流通 139億円 132億円 3億円 2億円 1.4%
販売 116億円 83億円 3億円 1億円 1.3%
その他 3億円 4億円 -0.2億円 0.5億円 10.8%
調整額 -9億円 -12億円 -10億円 -8億円 -
連結(合計) 679億円 652億円 8億円 13億円 2.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、営業活動により資金を獲得し、投資活動で設備投資を行い、財務活動で借入金等の返済を行っています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に利益や減価償却費の計上、仕入債務の減少などによりプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出によりマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金やリース債務の返済による支出によりマイナスとなりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 17億円 5億円
投資CF -1億円 -12億円
財務CF 21億円 -5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「食を通じた新たな価値の創造と提供」をミッションに掲げています。新たな価値を生み出すブランド創出、多様な販売手法の構築、そしてこれらを支える経営基盤の確立と持続的成長を目指し、生産・流通・販売の3機能が相互に価値を発揮する事業ポートフォリオの構築に努めています。

(2) 企業文化


「食の魅力を世界に伝え、お客様に安心と笑顔をお届けする」という企業理念の下、その実現に向けてSDGsや食の安全への取り組みを重視しています。具体的には、CO2排出量や廃棄物の削減、節水への取り組み、国際標準規格の認証取得などを通じ、企業の社会的責任を果たす姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は「事業再生計画」に基づき、不安定な事業環境においても事業継続が可能な経営基盤の構築を目指しています。事業再生計画の2年目にあたる2026年3月期の数値目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:640億円(予想)
* 営業利益:13億3000万円(予想)

(4) 成長戦略と重点施策


事業再生計画に基づき、製品値上げによる収益性改善、製品ポートフォリオの見直し、設備投資による業務効率化、不採算子会社の整理や工場・店舗の閉鎖などに取り組んでいます。また、本部経費の見直しやガバナンス体制の強化も進め、財務基盤の強化と持続的成長モデルの確立を目指しています。

* 製品値上げによる収益性改善
* 不採算子会社の整理および不採算工場・店舗の閉鎖
* 設備投資による業務効率化及び人件費削減

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の成長と育成を主軸とした戦略を推進しており、能力向上や育成に対して積極的に投資を行っています。組織の多様性確保のため、女性、外国人、中途採用者の管理職登用を進めており、特に女性管理職比率の目標値を設定して登用を推進しています。意欲と能力のある従業員が機会を得られる人事評価制度の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.1歳 8.6年 5,902,790円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.8%
男女賃金差異(正規雇用) 22.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 83.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 投融資回収のリスク


事業拡大や収益力向上のために実施する企業買収や事業投資において、対象事業が計画通りに進展しなかった場合、減損損失の発生などにより、グループの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料の調達リスク


販売事業における農業生産物や、流通・生産事業における海外調達品など、原材料の多くを外部に依存しています。天候不順、伝染病、調達国の紛争、需給変動等により調達困難や価格高騰が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 海外事業リスク


欧州地域を中心に事業展開を行っているため、ウクライナ情勢等の紛争、政治的変動、為替相場の変動、各国の法規制や商習慣の違いなどにより予期せぬ事象が発生した場合、グループの業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。