オーシャンシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オーシャンシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の食のインフラ企業です。スーパーマーケット、業務スーパー、弁当給食、食材宅配の4事業を柱に展開しています。直近の業績は、売上高911億円(前期比6.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10億円(前期比21.5%減)と、増収ながらも減益となりました。


※本記事は、オーシャンシステム の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オーシャンシステムってどんな会社?


新潟県を地盤に、「業務スーパー」や「チャレンジャー」等の店舗運営、弁当給食、食材宅配を展開する企業です。

(1) 会社概要


1963年に個人創業し、1978年にヨシケイ新潟(現宅配事業部)を設立しました。1998年に複数の関連会社を合併し現社名へ変更すると、2000年には業務スーパー1号店を出店しFC展開を開始しました。2008年にジャスダック証券取引所へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。

同グループは連結従業員1,004名、単体912名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業家資産管理会社のひぐち、第2位は会長の樋口勤氏、第3位は従業員持株会となっており、創業家および従業員が主要な株式を保有する安定した株主構成です。

氏名 持株比率
ひぐち 28.80%
樋口勤 7.68%
オーシャンシステム従業員持株会 1.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名、計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は樋口勝人氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
樋口勝人 代表取締役社長 1997年日本料理しまや入社。1999年同社入社。ランチサービス事業部店長、取締役兼社長室長、代表取締役副社長等を経て、2015年より現職。
小野純平 常務取締役 2000年三共観光入社。2002年同社入社。小売事業部次長、取締役兼執行役員業務スーパー事業部長等を経て、2022年より現職。
杉田仁史 取締役 2000年サンキューオールジャパン入社。2009年同社取締役。執行役員FC開発事業部長、執行役員営業企画室長等を経て、2025年より現職。
長谷川吉浩 取締役兼執行役員ODX推進本部長 1983年ファミリーデパート江口屋入社。2001年同社入社。チャレンジャー事業部次長、執行役員チャレンジャー事業部長等を経て、2022年より現職。
本間武士 取締役兼執行役員管理本部長 1992年シブヤ会計入社。2001年同社入社。管理部長、執行役員管理部長、カワサキ取締役等を経て、2024年より現職。
長井守 取締役 1990年ソーゴ入社。1997年同社入社。ランチサービス事業部長、執行役員ランチサービス事業部長を経て、2024年より現職。
樋口勤 取締役会長 1969年ひぐち食品入社。1978年同社設立と共に専務取締役就任。代表取締役副社長、代表取締役社長等を経て、2017年より現職。


社外取締役は、齋藤吉弘(あおば社労士事務所所長)、平哲也(平哲也法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーマーケット事業」「業務スーパー事業」「弁当給食事業」「食材宅配事業」および「旅館、その他事業」を展開しています。

スーパーマーケット事業

新潟県内において、食品スーパー「チャレンジャー」の店舗展開を行っています。地域密着型のスーパーとして、一般消費者を対象に家庭用食品や日用品を提供しています。
収益は、来店客への商品販売による代金です。運営は主に同社チャレンジャー事業部が行っています。

業務スーパー事業

神戸物産とフランチャイズ契約を結び、「業務スーパー」の店舗展開を行っています。また、フランチャイズエリア内におけるサブFCの指導・管理も手がけています。展開地域は新潟県、福島県、宮城県など多岐にわたります。
収益は、直営店における商品販売代金およびサブFC店からのロイヤリティ等です。運営は同社業務スーパー事業部および連結子会社のカワサキが行っています。

弁当給食事業

「フレッシュランチ39」ブランドによる企業向け宅配弁当の製造・販売、惣菜等の受託製造、企業内食堂の運営受託を行っています。また、全国で「フレッシュランチ39」のフランチャイズ展開も実施しています。
収益は、企業や個人への弁当販売代金、受託製造による対価、加盟店からのFC収入等です。運営は同社ランチサービス事業部、デリカフーズ事業部、コントラクトフードサービス事業部、および連結子会社のフーディー、サンキューオールジャパンが行っています。

食材宅配事業

ヨシケイ開発とフランチャイズ契約を結び、「ヨシケイ」ブランドによる夕食材料セット等の宅配を行っています。新潟県、群馬県、北海道、栃木県の一部でサービスを提供しています。
収益は、会員顧客への食材セット販売代金です。運営は同社宅配事業部が行っています。

旅館、その他事業

新潟県内において、割烹旅館「海風亭寺泊日本海」および飲食店の運営を行っています。非日常のメニューや宿泊サービスを提供しています。
収益は、宿泊客や飲食客からの利用料です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期分の業績推移です。売上高は一貫して増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期には900億円台に到達しました。利益面では、2024年3月期に大幅な増益を達成しましたが、2025年3月期は経常利益、当期純利益ともに減少しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 669億円 727億円 777億円 859億円 911億円
経常利益 16億円 15億円 12億円 20億円 18億円
利益率(%) 2.4% 2.1% 1.6% 2.4% 2.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 8.6億円 6.8億円 2.2億円 11億円 8.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は6.0%増加しましたが、売上総利益率は若干低下しました。営業利益は減益となり、営業利益率は1.9%に低下しています。販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫する要因となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 859億円 911億円
売上総利益 194億円 201億円
売上総利益率(%) 22.6% 22.1%
営業利益 19億円 18億円
営業利益率(%) 2.2% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が60億円(構成比33%)、業務委託料が20億円(同11%)、支払手数料が19億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況です。主力の業務スーパー事業は増収増益と好調で、全社利益を牽引しています。スーパーマーケット事業や弁当給食事業は増収ながらも減益となりました。食材宅配事業や旅館・その他事業は営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
スーパーマーケット事業 268億円 273億円 9.1億円 7.9億円 2.9%
業務スーパー事業 446億円 485億円 15億円 17億円 3.6%
弁当給食事業 92億円 99億円 3.4億円 2.0億円 2.0%
食材宅配事業 48億円 49億円 -0.6億円 -0.9億円 -1.8%
旅館、その他事業 4.2億円 4.8億円 -1.0億円 -1.1億円 -23.2%
連結(合計) 859億円 911億円 19億円 18億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

オーシャンシステムは、営業活動により資金を獲得し、投資活動と財務活動で資金を支出する構造となっています。営業活動では、主に利益や仕入債務の増加により資金を得ましたが、法人税等の支払いや売上債権の増加が資金減少の要因となりました。投資活動では、設備投資や敷金・保証金の差入により資金を支出しました。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いが主な資金支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 35億円 19億円
投資CF -7.0億円 -8.1億円
財務CF -14億円 -12億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「より良いものをより安く」の理念のもと、一人ひとりのお客様に「満足と豊かさ」を提供することにより社会に貢献することを目的に掲げています。「高い商品力でお客様からの圧倒的な支持を得られる」よう努力し、商品調達コストの削減で生じた利益はお客様に還元することを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は中期経営計画のテーマとして「IDEA & INNOVATION で、新たな価値をつくる」を掲げ、柔軟な発想と企画力で既成概念を変革する独自のサービスとシステムを構築することを目指しています。また、常に収益の向上とコストの削減意識を持ち、お客様からの圧倒的な支持を得られるよう努力する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、令和6年度から令和8年度の3カ年を対象とした中期経営計画に取り組んでおり、最終年度には以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:1,000億円
* 経常利益率:2.5%以上
* ROE:15%程度
* PBR:1倍以上

(4) 成長戦略と重点施策


各事業間の連携を強化し、相乗効果を発揮させるとともに、新しい価値の創出とグループ全体の経営効率化を推進します。スーパーマーケット事業、業務スーパー事業、弁当給食事業を積極的に展開して事業規模を拡大し、直営店とサブFC店の相乗効果でエリア拡大とシェアアップを目指します。また、食材宅配事業では日用品販売を取り入れるなど顧客ニーズに柔軟に対応します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働集約型の事業が多いため、優秀な人材の継続的な採用と育成、適正な人員配置による労働環境の整備が成長に不可欠であると認識しています。専任部署を設置し、中途・新卒採用の両面に注力するとともに、育成とフォローアップ体制を充実させることで、人材のスキルアップと組織の活性化を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.1歳 9.8年 4,158,818円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.7%
男性育児休業取得率 9.1%
男女賃金差異(全労働者) 81.6%
男女賃金差異(正規) 72.5%
男女賃金差異(非正規) 101.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員の年次有給休暇取得率(単体)(44.9%)、総合職の女性割合(単体)(18.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) フランチャイズ契約について

同社グループは「業務スーパー」「フレッシュランチ39」「ヨシケイ」等のFC契約に基づき事業展開していますが、エリアライセンス制度により営業地域が限定されています。契約解除事由の発生や他加盟店の不祥事によるブランドイメージ毀損等が、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 同業他社との競争激化及び消費動向による影響

食品小売業は景気や個人消費動向の影響を受けやすく、同業他社や業態を超えた競争が激化しています。これに対し、商品・サービスの差別化やローコストオペレーションの実現に努めていますが、競争環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。

(3) 出店政策について

店舗展開において、希望する条件を満たす物件が確保できず計画に変更や延期が生じた場合、業績に影響する可能性があります。また、店舗の多くは賃借物件であり、賃貸人の事情による継続使用困難や、敷金・保証金の回収不能リスクがあります。

(4) 食品の安全・安心について

食中毒の発生や食品への異物混入など、食の安全に対する信頼を損なう事案が発生した場合、業績に負の影響を与える可能性があります。関連法令の遵守や衛生・品質管理体制の強化に努めていますが、リスクを完全に排除することは困難です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。