※本記事は、オーシャンシステムの有価証券報告書(第48期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オーシャンシステムってどんな会社?
スーパーや宅配、弁当給食など、多角的に食のインフラを構築する企業です。
■(1) 会社概要
同社は昭和38年に創業者が弁当事業を開始したことから始まりました。その後、昭和53年にヨシケイ新潟(現オーシャンシステム)を設立し、平成10年にグループ会社を合併して現在の社名へ変更しました。平成13年の業務スーパー1号店出店を経て事業を拡大し、平成20年にジャスダック証券取引所へ上場しています。
同社グループは、連結で1,029名、単体で947名の従業員を擁する体制で事業を展開しています。筆頭株主はひぐちで、第2位は取締役会長の樋口勤氏、第3位は樋口智明氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ひぐち | 28.91% |
| 樋口勤 | 7.71% |
| 樋口智明 | 1.94% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は樋口勝人氏が務めており、社外取締役の比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 樋口勝人 | 代表取締役社長 | 日本料理しまやを経て平成11年同社入社。取締役兼営業本部副本部長や代表取締役副社長などを歴任し、平成27年6月より現職。 |
| 樋口勤 | 取締役会長 | 昭和44年ひぐち食品入社。同社設立とともに専務取締役就任。代表取締役社長や代表取締役会長を経て、平成29年6月より現職。 |
| 長谷川吉浩 | 取締役兼執行役員ODX推進本部長 | ファミリーデパート江口屋を経て平成13年同社入社。チャレンジャー事業部長などを歴任し、令和4年4月より現職。 |
| 本間武士 | 取締役兼執行役員管理本部長 | シブヤ会計を経て平成13年同社入社。管理本部副本部長や管理部長などを歴任し、令和6年6月より現職。 |
| 小池聖樹 | 取締役兼執行役員業務スーパー事業部長 | ヱムパイヤ・エアポート・サービスを経て平成15年カワサキ入社。カワサキ専務取締役などを歴任し、令和7年6月より現職。 |
| 杉田仁史 | 取締役 | 平成12年サンキューオールジャパン入社。同社取締役兼執行役員FC開発事業部長や営業企画室長などを歴任し、令和7年4月より現職。 |
| 長井守 | 取締役 | ソーゴを経て平成9年同社入社。ランチサービス事業部次長や執行役員ランチサービス事業部長などを歴任し、令和6年6月より現職。 |
社外取締役は、齋藤吉弘(あおば社労士事務所所長)、平哲也(平哲也法律事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「業務スーパー事業」など複数の事業を展開しています。
■(1) スーパーマーケット事業
食品スーパー「チャレンジャー」を新潟県内で展開しています。一般消費者向けに生鮮食品をはじめとした多彩な食料品や日用品を、魅力ある売場環境を通じて提供しています。
収益源は、一般消費者への食料品や日用品などの販売による代金です。当事業の運営はオーシャンシステムが担当しています。
■(2) 業務スーパー事業
フランチャイズ契約に基づく「業務スーパー」の店舗展開を行っています。また、自社保有のエリアライセンス内において、サブフランチャイズへの指導や管理も実施しています。
収益源は、一般消費者や業務向け顧客への食料品などの販売代金、およびサブフランチャイズ店舗からのシステム使用料などです。運営はオーシャンシステムおよびカワサキが担当しています。
■(3) 弁当給食事業
「フレッシュランチ39」などのブランドを用いた企業向け宅配弁当の製造と販売を手掛けています。また、惣菜などの受託製造や、オフィス・工場などにおける企業内食堂の運営受託も行っています。
収益源は、顧客への弁当や惣菜の販売代金、食堂の運営受託料、およびフランチャイズ加盟店からのノウハウ提供料などです。運営はオーシャンシステムおよびサンキューオールジャパンが担当しています。
■(4) 食材宅配事業
「ヨシケイ」ブランドを活用し、家庭での夕食メニューに合わせた食材セットや日用品を宅配しています。福祉施設などのニーズに合わせた食材提供にも取り組んでいます。
収益源は、一般家庭および福祉施設などの顧客に対する食材キットや日用品の販売代金です。当事業の運営はオーシャンシステムが担当しています。
■(5) 旅館、その他事業
新潟県内において、割烹旅館「海風亭寺泊日本海」の運営のほか、ビュッフェレストランなどの各種飲食店を展開し、非日常的な空間と食事を提供しています。
収益源は、宿泊客からの宿泊料金や、飲食店利用者からの飲食代金などです。当事業の運営はオーシャンシステムが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は一貫して増加傾向にあり、順調な事業拡大がうかがえます。経常利益は期によって多少の変動は見られるものの、おおむね10億円台後半から20億円規模で安定して推移しています。利益率も2%前後を維持しており、着実な成長と安定した収益基盤を両立させています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 727億円 | 777億円 | 859億円 | 911億円 | 961億円 |
| 経常利益 | 15億円 | 12億円 | 20億円 | 18億円 | 19億円 |
| 利益率(%) | 2.1% | 1.6% | 2.4% | 2.0% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 2億円 | 11億円 | 9億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高および売上総利益ともに前年を上回り、順調に推移しています。売上総利益率は約22%と安定しており、商品の調達コストと販売価格のバランスが適切に維持されています。営業利益も前年比で微増となり、堅実な利益創出を続けています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 911億円 | 961億円 |
| 売上総利益 | 201億円 | 212億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.1% | 22.0% |
| 営業利益 | 18億円 | 18億円 |
| 営業利益率(%) | 1.9% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が63億円(構成比33%)、業務委託料が21億円(同11%)、支払手数料が20億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
業務スーパー事業が全社の売上増加を力強く牽引しており、事業の中核としての存在感が高まっています。弁当給食事業も堅調に伸びており、スーパーマーケット事業や食材宅配事業など、その他の領域も前年水準を維持または微増させるなど、バランスの取れた成長を実現しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| スーパーマーケット事業 | 273億円 | 275億円 |
| 業務スーパー事業 | 485億円 | 523億円 |
| 弁当給食事業 | 99億円 | 108億円 |
| 食材宅配事業 | 49億円 | 50億円 |
| 旅館、その他事業 | 5億円 | 5億円 |
| 連結(合計) | 911億円 | 961億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 19億円 | 24億円 |
| 投資CF | -8億円 | -21億円 |
| 財務CF | -12億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.3%で市場平均をわずかに下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「より良いものをより安く」という理念のもと、一人ひとりのお客様に満足と豊かさを提供し、社会に貢献することを目的に掲げています。高い商品力でお客様から圧倒的な支持を得られるよう努力し、商品調達コストの削減で生じた利益はお客様に還元することを基本方針として事業を展開しています。
■(2) 企業文化
デジタル社会の潮流を敏感に捉え、リアル店舗とネットの融合に取り組むなど、柔軟な発想と企画力で既存の枠組みを変革する文化を持っています。また、お客様はもちろんのこと従業員の満足度向上にも目を向け、多様性を尊重し、健康的な働きがいのある職場環境の整備を推進する社風が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
「IDEA & INNOVATION で、新たな価値をつくる」をテーマとする中期経営計画を推進しています。最終年度となる令和8年度に向けて、以下の目標を掲げています。
* 売上高:1,000億円
* 経常利益率:2.5%以上
* ROE:15%程度
* PBR:1倍以上
■(4) 成長戦略と重点施策
各事業間の連携を深化させ、相乗効果を発揮することで新しい価値の創出を目指します。スーパーマーケットや業務スーパーでは出店エリアの拡大とシェア向上を推進し、食材宅配では日用品販売を取り入れニーズに柔軟に対応します。また、安全・安心な食品の提供を最重要課題とし、品質管理体制を一層強化します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
展開する事業の多くが労働集約型であることを踏まえ、人材の安定確保と育成を重要視しています。新卒および中途採用を積極的に行い、リモートを活用した研修やOJTによるスキルアップを実施しています。適正な人員配置や多様な就業形態の導入により、従業員の定着と組織の活性化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.4歳 | 9.6年 | 4,282,301円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.1% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.5% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 101.2% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員の年次有給休暇取得率(46.1%)、総合職の年次有給休暇取得率(41.3%)、総合職の女性割合(19.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フランチャイズ契約の継続とブランド管理
同社は複数のフランチャイズ本部とエリアライセンス契約を結び事業を展開しています。契約の解除要因が発生した場合や、他の加盟店の不祥事等によりブランドイメージが損なわれた場合、同社の業績に影響を及ぼすリスクがあります。指導・管理の徹底により事態の未然防止に努めています。
■(2) 競合環境の激化と消費動向の変化
一般消費者を対象とした食品小売事業を展開しているため、景気や個人消費の動向に業績が左右されます。また、同業他社や異業種との競争が激化しており、想定以上の価格競争に巻き込まれた場合、収益性が低下する恐れがあります。差別化戦略と徹底したコスト削減により対応しています。
■(3) 新規出店計画と賃借物件への依存
採算性を考慮して積極的な店舗展開を図っていますが、好条件の物件が確保できず出店が延期された場合、成長スピードが鈍化する可能性があります。また、店舗の多くを賃借物件に依存しているため、賃貸人の倒産等により敷金等が回収できなくなるリスクも内包しています。
■(4) 食品衛生や労務に関する法的規制
食品の安全管理をはじめ、大店立地法や独占禁止法など多くの法令の規制を受けて事業を展開しています。万が一重大な衛生上の問題が発生した場合や、法改正により規制が強化された場合には、管理コストや人件費が増加し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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