※本記事は、株式会社 東北銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東北銀行グループは、銀行業務を主軸に、リース業務やクレジットカード業務などの金融サービスを展開しています。岩手県内を中心に地域に根差した営業活動を行っています。
単体従業員数は548名、連結従業員数は560名です。セグメントは銀行業務、リース業務、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、東北ジェーシービーカード(その他)、とうぎん総合リース(リース業務)などです。
なお、東北銀行グループは、2025年9月30日をもって外国為替業務を終了しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東北銀行は地域金融機関として、地域社会の発展に貢献する企業です。従業員の働き方においては、地域に根ざした安定性と、個々の能力を重視した育成・評価制度が特徴として挙げられます。多様な人材が活躍できる環境づくりや、健康経営にも力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
平均勤続年数と平均年齢から、同社では従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。地域に密着した事業を展開する中で、安定した雇用環境が提供されていることが示唆されます。従業員の定着を重視し、経験豊富な人材が活躍している組織であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,572,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.1年 |
| 平均年齢 | 41.0歳 |
| 単体従業員数 | 548人 |
| 連結従業員数 | 560人 |
| 単体のグループ内比率 | 97.9% |
東北銀行は、従業員の退職給付に備えるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両制度を採用しています。国内グループ会社を対象としており、退職給付債務は22.0億円、年金資産は41.4億円となっています。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定拠出制度への要拠出額は43百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東北銀行グループは、2025年に策定した第2次中期経営計画において「組織力の強化」を重点戦略の一つに掲げ、人材育成を推進しています。限られた人的リソースを最大限活用し、効率的で積極的な営業活動ができる組織づくりや、多様化するリスクに機動的に対応できる体制づくりを目指しています。法人・個人コンサルティング業務、脱炭素・一次産業分野のスペシャリスト育成に注力し、本部専門部署の強化も図っています。
具体的には、研修カリキュラムの充実、脱炭素アドバイザー資格の取得奨励、日本政策金融公庫や環境省への派遣継続等を通じて専門人材の養成を推進しています。報酬制度については、年功ではなく個々人の能力・実績を重視した人事評価制度に基づき、給与その他の給付額が決定されます。考課者と被考課者が半年に3回の面接を行うことで、公正な処遇の実現を図っており、2025年10月からは人事制度改定プロジェクトを開始し、人事制度全般の見直しに取り組んでいます。
また、人事基本理念として「地域とともに成長し 一人ひとりが 輝ける組織へ」「挑戦を応援し 自己実現を支援する」を掲げ、個々のキャリアプランに合わせた教育研修や、半年に3回の上司との面談機会を通じてキャリアアップをサポートしています。社内環境整備においては、多様な価値観や個性を尊重し、従業員が能力を十分に発揮できる職場づくりを進めています。エリア行員制度、短時間勤務制度、各種休暇制度の導入により、子育て・介護世代のライフプランに合わせた働き方を支援しており、コンプライアンスに関する自己点検や人事部員による面談を通じて、従業員の悩みや不安の解消にも努めています。2018年には「健康宣言」を制定し、「からだの健康づくり」「こころの健康づくり」「職場の健康づくり」を三本柱として健康経営を推進しており、行内保健師による保健指導や定期健康診断受診率100%の達成目標を掲げています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男性育児休業及び育児目的休暇取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 24.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 62.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 75.9% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 営業店の内部事務を担当する業務課の課長に占める女性の割合 | 97.6% |
| 新卒採用者に占める女性の割合(2025年度) | 41.9% |
| 正行員登用者に占める女性の割合(2025年度) | 100% |
| 正行員の男女勤続年数差異(2026年3月末) | 90.4% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 定期健康診断受診率(2026年3月末) | 100% |
| 再検査・要精密検査受診率(2026年3月末) | 99.5% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東北銀行グループは、銀行業務を主軸に、リース業務をはじめとする金融サービスを提供しています。地域社会の発展に貢献することを経営理念としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業務を中心に、リース業務やその他の金融サービスを展開しています。地域経済の中核を担う中小事業者を中心に営業活動を行っており、収益は貸出金利息や役務取引等収益の増加によって得られています。同社グループの経常収益は、国内の外部顧客からの収益が大部分を占めており、特定の顧客への収益集中は見られません。
銀行業務
同社グループの主要な事業であり、預金、貸出、有価証券売買・投資、内国為替、社債受託などの業務を行っています。岩手県内を中心に展開しており、外国為替業務は2025年9月30日をもって終了しています。収益は、貸出金利息や預金・貸出業務、為替業務、証券関連業務、代理業務などの手数料から得ています。
リース業務
各種機械等の賃貸や売買業務を行っています。収益は、割賦収入から得ています。運営は、とうぎん総合リースが行っています。
その他の事業セグメント
クレジットカード業務を行っており、キャッシングサービスやショッピングサービスなどを提供しています。運営は、株式会社東北ジェーシービーカードが行っています。
| セグメント | それぞれ経常収益(2025年3月期) | それぞれ経常収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業務 | 136億円 | 163億円 |
| リース業務 | 9.8億円 | 12.1億円 |
| その他の事業セグメント | 4.4億円 | 4.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの経常収益は、直近の連結会計年度において大きく増加しました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も、前期の減少から一転して大幅な増益となりました。これは、資金利益や役務取引等利益の増加、与信関連費用の減少などが要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 138億円 | 135億円 | 147億円 | 150億円 | 179億円 |
| 経常利益 | 21.2億円 | 25.1億円 | 21.5億円 | 19.7億円 | 25.2億円 |
| 経常利益率 | 15.3% | 18.6% | 14.6% | 13.1% | 14.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 13.4億円 | 15.3億円 | 13.8億円 | 10.7億円 | 16.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 141.08 | 160.80 | 144.70 | 112.58 | 176.63 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの経常収益は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたりの経常利益も前期に比べて増加しており、収益を創出する力が強化されていることを示しています。これらの指標の改善は、組織全体の効率化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 26.7百万円 | 32.0百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 3.5百万円 | 4.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動による資金の動きが投資活動を上回る傾向を示しています。これにより、手元資金の厚みと将来に向けた投資のバランスがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本と手元資金の状況から確認できます。自己資本比率は前期からわずかに低下し、ROE(自己資本利益率)は前期から上昇しています。手元資金である現金預け金は増加傾向にあり、資金の厚みを示しています。これらの財務状況は、同社グループの事業運営における安定性を示す要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 354億円 | 335億円 |
| 自己資本比率 | 3.5% | 3.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.9% | 4.9% |
| 現金預け金 | 634億円 | 683億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による資金の動きが収入となりました。これは債券貸借取引受入担保金の増加による収入が、貸出金の増加による支出を上回ったことが主な要因です。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の償還及び売却による収入が有価証券の取得による支出等を上回ったことにより、支出となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出が主な要因で支出となりました。当期は事業活動による資金の流入が投資活動による資金の流出を上回っており、資金繰りの安定性を示す傾向にあります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △151億円 | 54.9億円 |
| 投資CF | △44.5億円 | △56百万円 |
| 財務CF | △5.3億円 | △4.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △195億円 | 54.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは岩手県を主要な営業地域としており、岩手県経済が悪化した場合には、取引先の信用状況の悪化や貸出金の減少等により、業績に悪影響を与える可能性があります。また、第一種優先株式の取得請求権の行使及び一斉取得により、同社普通株式の既存持分の希薄化が生じる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
役職員が正確な事務を怠ったり、事務事故あるいは不正等を起こしたり、顧客情報等の重要情報を外部に漏洩した場合には、損害賠償等の経済的損失や社会的信用の低下により、同社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東北銀行は、地域社会の発展に貢献し、共に栄えることを経営理念に掲げる地域金融機関です。持続可能な社会の実現と、従業員一人ひとりの成長を重視する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
東北銀行は、地域社会への安定的資金供給を使命として設立された銀行です。同社グループの経営理念は「地域金融機関として地域社会の発展に尽くし共に栄える」ことです。地域経済の中核を担う中小企業を中心に営業活動を展開しています。
同社グループのパーパス(存在意義)は「地域力の向上」であり、地域社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。中期経営計画を「長期経営計画」を達成するための3カ年の戦略と位置づけ、その達成を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
東北銀行は、「地域とともに成長し 一人ひとりが 輝ける組織へ」「挑戦を応援し 自己実現を支援する」ことを人事基本理念としています。同社グループのコアバリューである「地域金融機関として地域社会の発展に尽くし共に栄える」に共感し、「地域力の向上」に向けて学び・考え・行動する人材を求めています。
一人ひとりの多様な価値観や個性を尊重し、すべての従業員が能力を十分に発揮し活躍できる職場づくりを進めています。「仕事と家庭の両立支援」や「健康経営」を推進し、従業員エンゲージメントとウェルビーイングの向上に取り組んでいます。女性の活躍推進にも積極的で、能力に応じた責任と登用を重視する考え方です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
東北銀行は、人口減少による国内市場の縮小や異業種からの競争激化、そして「金利ある世界」の到来といった多岐にわたる経営環境の変化に直面しています。国内外の金融政策や市場の変動に的確に対応し、持続的な成長を確保することが不可欠であると認識しています。
また、主要取引先である中小事業者が原材料価格高騰や人手不足といった構造的な課題に直面する中で、地域経済を支える金融機関として、お客さまへの継続的かつきめ細やかな支援の重要性が高まっています。同社グループは、強固で持続可能なビジネスモデルの構築を喫緊の課題と捉えています。
2025年4月より始動した第2次中期経営計画では、「4つのプロジェクト」に基づき施策を推進しています。多様化するお客さまのニーズに応じた最適な金融ソリューションの提供や、経営課題解決に向けた本業支援の強化を通じて、地域力の向上に全力を尽くす方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東北銀行は、取締役会と監査等委員会を設置し、経営の透明性と公正性を確保しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
東北銀行の株主構成を見ると、筆頭株主は整理回収機構です。その他、十文字チキンカンパニーやSBI地銀ホールディングスといった事業会社が上位株主として名を連ねています。これらの株主が同社の経営を支えている状況がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 整理回収機構 | 29.71% |
| 十文字チキンカンパニー | 2.22% |
| SBI地銀ホールディングス | 2.05% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.01% |
| 東北銀行従業員持株会 | 2.00% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役頭取は佐藤健志氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 健志 | 取締役頭取 (代表取締役) | 1989年4月 同社入行、2016年6月 常務取締役地域応援部長、2022年6月 取締役頭取より現職。 |
| 高橋 淳悦 | 取締役専務執行役員 | 1984年4月 同社入行、2016年6月 常務取締役経営企画部長、2024年6月 取締役専務執行役員より現職。 |
| 保 和衛 | 取締役常務執行役員 | 1983年4月 岩手県庁入庁、2018年4月 同副知事、2023年6月 取締役常務執行役員より現職。 |
| 阿部 英則 | 取締役常務執行役員 | 1982年4月 同社入行、2015年4月 参事大船渡支店長、2024年6月 取締役常務執行役員より現職。 |
| 村上 尚登 | 取締役会長 | 1974年4月 同社入行、2014年6月 取締役頭取、2022年6月 取締役会長より現職。 |
社外取締役は、村井三郎氏(村井三郎法律事務所開設・指名・報酬委員会委員長)、村雨圭介氏(SANSUI国際特許事務所盛岡オフィス代表・指名・報酬委員会委員)、下田栄行氏(下田栄行公認会計士事務所開業・指名・報酬委員会委員)、舘脇幸子氏(エール法律事務所入所・監査等委員)、福士千恵子氏(テレビ岩手代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役を含む監査等委員会が経営の監督・監査機能を担うことで、客観性と中立性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
東北銀行の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、譲渡制限付株式報酬で構成されています。役付取締役の報酬は、固定報酬が約75%、業績連動報酬が約20%、譲渡制限付株式報酬が約5%となるよう設計されており、業績及び企業価値の最大化への意欲を高めることを目的としています。社外取締役および監査等委員である取締役の報酬は、業務執行から独立した立場を考慮し、固定報酬のみが支給されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.4億円 | 23.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 11.0百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 15百万円 | 3.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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