※本記事は、株式会社山形銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
山形銀行グループは、銀行業務を主軸に、リース業務や信用保証業務などの金融サービスを展開しています。地域社会の発展に貢献するため、多角的な金融サービスを提供しています。
単体従業員数は1,059名、連結従業員数は1,178名です。同社グループのセグメントは銀行業、リース業、信用保証業、その他事業の4つです。
主な国内グループ会社は、山銀保証サービス(信用保証業)、山銀リース(リース業)、山銀システムサービス(その他事業)などです。
やまぎんキャピタルは2026年3月30日付で解散し、現在清算手続きを進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
山形銀行は、地域社会の持続的な発展に貢献するため、従業員の成長と働きがいを重視した環境づくりを進めています。給与水準は安定しており、多様な働き方を支援する制度が充実している点が特徴です。従業員一人ひとりのキャリア形成と生活の安定を支える方針がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、長期的なキャリア形成を支援し、従業員が安心して働き続けられる環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,917,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.8年 |
| 平均年齢 | 41.0歳 |
| 単体従業員数 | 1,059人 |
| 連結従業員数 | 1,178人 |
| 単体のグループ内比率 | 89.9% |
当行及び連結子会社は、確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)として企業年金制度及び退職一時金制度を設けています。退職給付債務は97.3億円、年金資産は187億円となっています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、人財を価値創造の源泉であり、企業価値向上および地域経済発展に資する最重要資本と位置付けています。人的資本経営を第21次長期経営計画の重点戦略に掲げ、経営戦略と人財戦略を連動させながら推進しています。報酬は、経営戦略と連動した評価に基づき、職員一人ひとりの成果および成長を適切に処遇へ反映することで、生産性向上と企業価値向上の好循環を生み出すことを重視しています。具体的には、3年連続となるベースアップや賞与水準の引き上げ、資格取得等に対する奨励金制度の拡充に加え、役割・成果に応じたメリハリある処遇の徹底や、中長期的な人財育成を踏まえた報酬設計の高度化を進めています。
人財戦略においては、「プロフェッショナル人財(プロ人財)としての成長・活躍」「挑戦・キャリア自律」「ダイバーシティ推進」をコンセプトに人事制度を改定しています。プロ人財の育成として、法人・個人のコンサルティング能力や専門性を高めるため5つのキャリアフィールドを設定し、山形銀行金融大学校での職務別研修や高度資格取得支援、Web講座の拡充などに取り組んでいます。挑戦・キャリア自律を促すため、キャリア教育の充実や副業制度、行内インターンを実施しています。評価制度では、短期的な業績評価割合を見直し、期待する行動や取り組み、多様なチャレンジを評価する「チャレンジ目標」を設定可能としています。
多様な人財の確保にも力を入れており、中途採用の推進、ジョブリターン制度、行員登用制度、リファラル採用制度を導入しています。また、地域社会への貢献として、地域企業への出向制度や退職者の再就職支援も行っています。ファイナンシャル・ウェルネスへの取り組みとして、従業員持株制度や企業型確定拠出年金制度を導入し、職員の資産形成を支援しています。社内環境整備では、ダイバーシティ推進として、服装の多様化、テレワーク・時差勤務の導入、休職制度の拡充、継続雇用期限の延長、パートナー帯同制度、転居を伴う転勤の有無選択制など、柔軟な働き方を推進しています。女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、女性行員の職務拡大や平均勤続年数男性比の向上を目指しています。子育て・不妊治療と仕事の両立支援では、「プラチナくるみんプラス」の認定を受け、出生サポート休暇なども設けています。健康経営にも取り組み、「やまぎん健康宣言」を策定し、9年連続で健康経営優良法人に認定されています。エンゲージメント向上に向けた意識調査(エンゲージメントサーベイ)も定期的に実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 19.5% |
| 男性育児休業取得率 | 90.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 48.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 66.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 64.4% |
人財育成方針
| 指標 | 実績(2025年度) |
|---|---|
| 研修受講者数 | 1,669人 |
| 法人担当者数の増加 | +70人 |
| チャレンジ目標設定割合 | 61.3% |
| ITパスポート保有者数 | 601人 |
| 従業員持株制度加入割合 | 95.3% |
| 企業型確定拠出年金制度加入割合 | 50.4% |
社内環境整備方針
| 指標 | 実績(2025年度) |
|---|---|
| 男女別育児休職利用割合(男性) | 90.5% |
| 男女別育児休職利用割合(女性) | 106.7% |
| 女性職員の定着:平均勤続年数男性比 | 77.6% |
| エンゲージメントスコア | 70.2点 |
| 時間外労働時間(1ヵ月あたり) | 10時間56分 |
| 有給休暇取得日数 | 13.9日 |
| ストレスチェック実施割合 | 97.2% |
| 定期健康診断実施割合 | 100% |
| 特定健診実施割合(被保険者) | 100% |
| 精密検査受診割合 | 100% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
山形銀行は、銀行業務を主軸に、リース業務や信用保証業務などの金融サービスを提供する企業グループです。地域経済の発展に貢献しながら、多様な金融ニーズに応える事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業務を中心に、連結子会社7社で構成されています。預金・貸出業務、為替業務、証券関連業務、代理業務、投資信託業務、保護預り貸金庫業務といった金融サービスを提供することで収益を得ています。特定の顧客に収益が集中することなく、幅広い顧客層にサービスを提供しています。また、本邦の外部顧客に対する経常収益が連結経常収益の90%を超えているため、海外事業への依存度は低い構造となっています。
銀行業
預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、為替業務などを手掛けています。同社グループの事業の中核を担っており、当連結会計年度においては経常収益、セグメント利益ともに増加しました。
リース業
山銀リースがリース業務などを展開しています。当連結会計年度では経常収益、セグメント利益ともに増加しています。
信用保証業
山銀保証サービスが信用保証業務などを手掛けています。当連結会計年度においては経常収益、セグメント利益ともに減少しました。
その他の事業セグメント
データ処理、クレジットカード、地域商社、ベンチャーキャピタル業など、多角的な事業を含んでいます。当連結会計年度では経常収益は増加しましたが、セグメント利益は減少しました。
| セグメント | 経常収益(2025年3月期) | 経常収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 454億円 | 552億円 |
| リース業 | 57.8億円 | 64.9億円 |
| その他の事業セグメント | 14.8億円 | 14.7億円 |
| 信用保証業 | 2.4億円 | 2.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、経常収益は増加傾向にあり、特に当連結会計年度では大きく伸びています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、当連結会計年度において大幅な増益となりました。これは主に貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益が増加したことが要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 440億円 | 512億円 | 551億円 | 529億円 | 633億円 |
| 経常利益 | 54.9億円 | 55.4億円 | 37.6億円 | 65.0億円 | 90.5億円 |
| 経常利益率 | 12.5% | 10.8% | 6.8% | 12.3% | 14.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 34.0億円 | 34.4億円 | 20.8億円 | 44.1億円 | 65.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 104.86 | 107.40 | 65.03 | 138.17 | 207.86 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの経常収益(連結)は、当連結会計年度において前期から増加しました。また、従業員1人あたりの経常利益(連結)も前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と組織の効率化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 45.0百万円 | 53.8百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 5.5百万円 | 7.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社山形銀行の財務状況は、事業活動による資金の出入りがプラスである一方、投資活動による支出が上回ることで、全体としては成長投資フェーズにあることを示しています。同社グループの財務基盤と資金の流れから、現在の経営状況を読み解きます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、純資産と手元資金の状況から確認できます。純資産は当期に増加しており、自己資本比率も前期から上昇しています。手元資金を示す現金預け金は前期から減少していますが、依然として一定の水準を維持しています。これらの財務指標は、同社グループが事業を継続していく上での安定性を示しており、従業員の雇用や給与の安定性にも関わる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,360億円 | 1,506億円 |
| 自己資本比率 | 4.3% | 4.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.2% | 4.6% |
| 現金預け金 | 2,066億円 | 1,909億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、資金の出入りと使途を示しています。営業活動によるキャッシュフローは、前期のマイナスから当期は264億円の収入へと大きく増加しました。これは主に預金や借用金の増加によるものです。
一方、投資活動によるキャッシュフローは、前期の収入から当期は378億円の支出へと転じました。これは有価証券の取得による支出が売却・償還による収入を上回ったためです。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いや自己株式の取得により、当期も34.8億円の支出となっています。
これらの資金の流れを見ると、同社グループは事業活動で資金を確保しつつ、有価証券への投資を活発に行っている状況がうかがえます。この投資活動は、将来の収益基盤を強化するためのものであり、長期的な視点での成長性や雇用安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △428億円 | 264億円 |
| 投資CF | 570億円 | △378億円 |
| 財務CF | △16.4億円 | △34.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 142億円 | △114億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは山形県を中心とする特定の地域を主たる営業基盤としているため、地域経済の停滞や悪化、将来的な人口減少による営業基盤の縮小が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、取引先の業績や財務内容が悪化した場合、不良債権や与信関係費用が増加し、同社グループの業績および財務内容に悪影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、職員の不正・違法行為、人材の流出や採用困難、職員のエンゲージメント低下などによる業務遂行力や効率性の低下を人的リスクとして認識しています。また、職員数の減少が見込まれる中で、生産性向上や業務改革が十分に行われない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
山形銀行は、地域社会の持続的な成長と顧客満足を追求し、従業員のウェルビーイングを重視する企業文化を育んでいます。同社グループは、地域とともに発展する「安全・安心」の銀行として、信頼される存在を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
山形銀行グループは、「地域とともに成長発展し すべてのお客さまにご満足をいただき 行員に安定と機会を与える」ことを経営理念としています。同社グループは、地域の皆さま、お客さま、株主の皆さま、従業員といったステークホルダーを重視し、「安全・安心」の銀行として信頼確保を基本方針としています。2030年度に向けた長期ビジョンでは、「お客さまの価値を共に創造し、地域ポテンシャルを最大化する金融・産業参画型ハイブリッドカンパニー」を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
山形銀行グループは、第21次長期経営計画「Pro-Act」において、役職員が大切にする3つの価値観を定めています。1つ目は「Trust」で、お客さまからいちばんに頼られる存在となるため、コンサルティング営業の実践や意思決定スピードの向上を目指しています。2つ目は「Growth」で、サステナビリティ経営を実践し、社会や地域課題の解決を通じて“未来に誇れる山形”を創造することです。3つ目は「Well-being」で、挑戦を楽しむ企業文化を育み、すべての役職員のウェルビーイング向上を図るため、やりがいのある仕事の創造や対話の連鎖への転換を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
山形銀行グループは、営業基盤である山形県が直面する人口減少、少子高齢化、企業の後継者難、人手不足といった課題に対応しています。また、物価高騰への対応や脱炭素に向けた取り組みの加速も重要なテーマです。これらの課題解決のため、同社グループは高いコンサルティング機能と専門性を発揮できるプロフェッショナル人財の育成を強化しています。さらに、巧妙化する金融犯罪対策やサイバーセキュリティ強化など、経営管理態勢の強化にも継続的に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
山形銀行は、取締役会による経営監督機能と監査等委員会による監査・監督機能の強化を通じて、コーポレート・ガバナンスの高い水準を維持しています。また、意思決定の迅速化を図るため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
山形銀行の株主構成を見ると、信託銀行や生命保険会社といった機関投資家が上位に名を連ねています。特定の事業会社や関連会社も主要株主として名を連ねており、幅広い層に支えられていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.13% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 3.88% |
| 両羽協和 | 3.84% |
| 住友生命保険相互会社 | 2.25% |
| 住友不動産 | 1.92% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役頭取は佐藤英司氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐 藤 英 司 | 取締役頭取 (代表取締役) | 1987年4月 同社入行、2017年6月 取締役米沢支店長兼米沢北支店長委嘱、2023年6月 取締役頭取より現職。 |
| 三 浦 新一郎 | 専務取締役(代表取締役) | 1994年4月 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行、2005年6月 同社常務取締役、2022年6月 専務取締役より現職。 |
| 藤 山 豊 | 取締役常務執行役員 | 1988年4月 同社入行、2017年6月 融資部長、2024年6月 取締役常務執行役員より現職。 |
| 笹 浩 行 | 取締役常務執行役員 | 1990年4月 同社入行、2019年10月 経営企画部長、2025年6月 取締役常務執行役員より現職。 |
| 垂 石 卓 朗 | 取締役常勤監査等委員 | 1987年4月 同社入行、201
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.4億円 | 27.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 19百万円 | 19.0百万円 |
| 社外取締役(監査等委員を除く) | 2名 | 8百万円 | 4.0百万円 |
| 社外取締役(監査等委員) | 4名 | 13百万円 | 3.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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