※本記事は、株式会社 山梨中央銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月15日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
山梨中央銀行は、銀行業を中心にリース業、クレジットカード業などの金融サービス事業を展開しています。地域の中核金融機関として、預金・貸出業務のほか、有価証券投資や各種コンサルティング業務を通じて地域社会の発展に貢献しています。
単体従業員数は1,604名、連結従業員数は1,649名です。セグメントは銀行業、その他の2つです。
主な国内グループ会社は、山梨中央保証(銀行業)、山梨中銀リース(その他)などです。
2025年4月には「やまなし地域デザイン」を設立し、観光価値創造や脱炭素関連、広告宣伝・マーケティング事業など、地域課題解決に向けた新たな取り組みを進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
山梨中央銀行は、地域密着型の金融機関として、従業員の安定的なキャリア形成と専門性の向上を重視しています。同社グループは、長期的な視点での人材育成と働きがいのある職場環境づくりに取り組んでおり、地域社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員が長期的に活躍できる環境を提供しており、平均勤続年数や平均年齢から、安定した人材構成がうかがえます。従業員一人ひとりの成長を支え、専門性を高めるための取り組みを通じて、地域金融の中核を担う人材の定着を図っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,739,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.0年 |
| 平均年齢 | 38.7歳 |
| 単体従業員数 | 1,604人 |
| 連結従業員数 | 1,649人 |
| 単体のグループ内比率 | 97.3% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)と確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を採用しています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、2026年3月末時点の退職給付債務は228億円、年金資産は538億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、経営戦略と人財戦略の融合を重視し、従業員への投資が企業価値創造と地域社会への価値還元につながるという考え方を基礎としています。従業員が専門性と多様性を活かし最大限の価値創造を実現できるよう、公正性・納得性・持続的成長を重視した給与・報酬制度を定めています。
基本給は従業員が担う役割の大きさに基づく等級に応じて決定され、賞与は業績連動型であり、個人への配分は役割の達成度と業績貢献度により決定されます。中長期的な価値創造とお客さま本位の行動を重視した目標設定を促し、過度なインセンティブ重視を防止するため、評価者・被評価者研修や面接を実施しています。
人財戦略では「人的資本戦略」と「エンゲージメント向上戦略」の二つの個別戦略を掲げています。人的資本戦略では、人財ポートフォリオの構築と高付加価値営業を実践する専門人財(コンサルティング人財)の育成・配置、およびDX推進人財の育成に注力しています。コンサルティング人財の育成では、スキル認定制度を創設し、各分野のスペシャリストを認定することで、より包括的なコンサルティング態勢の構築を目指しています。
エンゲージメント向上戦略では、安心して働ける職場環境づくりと健康で豊かな生活を実感できる態勢整備に取り組んでいます。従業員エンゲージメントの測定を通じて課題を発掘し、改善サイクルを回すことで、役職員の能力とモチベーションを引き出すよう努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 49.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 58.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 69.9% |
多様性・登用
2025年度末時点のポートフォリオ区分と、コンサルティング人財・DX推進人財の認定者数を示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| マネジメント職比率 | 11.2% |
| 営業職比率 | 37.1% |
| コンサル職比率 | 4.1% |
| 企画職比率 | 16.6% |
| バックアップ職比率 | 21.8% |
| グループ会社比率 | 2.9% |
| 育休・出向比率 | 6.3% |
| 本部営業支援部門配属人員(コンサルティング職) | 68名 |
| スペシャリスト認定者計(延べ) | 126名 |
| コンサルティング人財プール合計(延べ) | 194名 |
| DXプロフェッショナル認定者 | 30名 |
| DXマネージャー認定者 | 128名 |
| DXプランナー認定者 | 541名 |
人材育成・エンゲージメント
2025年度の顧客向けサービス業務利益、法人役務収益、DX推進人財育成費用、地域DX支援の取組件数と収益、および従業員エンゲージメントスコアを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 顧客向けサービス業務利益 | 76億円 |
| 法人役務収益 | 22億円 |
| DX推進人財育成費用 | 5百万円 |
| 地域DX支援の取組件数 | 120件 |
| 地域DX支援の取組みに伴う収益 | 45百万円 |
| 従業員エンゲージメント | 78.6 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
山梨中央銀行グループは、銀行業を中核に据え、地域社会の発展に貢献する総合金融サービスを提供しています。預金や貸出といった伝統的な銀行業務に加え、リース、クレジットカード、コンサルティング、投資助言、地域デザインといった幅広い金融サービスを展開し、多様な顧客ニーズに応える事業構造となっています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業を主要な事業としています。預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、社債受託業務、国債等公共債・投資信託・保険の窓口販売業務、各種コンサルティング業務などを通じて収益を得ています。また、貸出業務を補完する信用保証業務は山梨中央保証が担っています。
銀行業以外の事業としては、山梨中銀リースがリース業務を、山梨中銀ディーシーカードがクレジットカード業務を、山梨中銀経営コンサルティングが総合コンサルティングおよびベンチャーキャピタル業務を、やまなし未来インベストメントが投資助言業務を、やまなし地域デザインが観光価値創造業務、脱炭素関連業務、広告宣伝・マーケティング業務などを手掛けています。これらは銀行業の補完業務として、総合金融サービスの一部を構成しています。
同社グループの経常収益は、貸出業務と有価証券投資業務が大きな割合を占めています。直近の当連結会計年度では、貸出業務からの経常収益が最も大きく、次いで有価証券投資業務からの経常収益が続いています。その他の業務からも経常収益を得ていますが、その割合は主要な二つの業務に比べて小さくなっています。同社グループの経常収益は、本邦の外部顧客に対するものが連結損益計算書の経常収益の大部分を占めており、海外からの収益比率は低い傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間において変動が見られますが、直近の当連結会計年度では経常収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加しています。特に当連結会計年度においては、経常収益が前期から大きく伸び、それに伴い経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も増加する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 463億円 | 606億円 | 565億円 | 605億円 | 861億円 |
| 経常利益 | 66.2億円 | 77.2億円 | 76.4億円 | 106億円 | 138億円 |
| 経常利益率 | 14.3% | 12.8% | 13.5% | 17.6% | 16.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 42.4億円 | 50.6億円 | 56.6億円 | 76.7億円 | 99.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 132.73 | 161.78 | 185.79 | 251.43 | 325.99 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの経常収益は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの経常利益も同様に前期から増加する傾向を示しています。これらの指標の改善は、同社グループが事業活動を通じて効率的に収益と利益を生み出す体制を強化していることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 37.3百万円 | 52.2百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 6.5百万円 | 8.4百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、事業活動や投資活動を通じて資金を投下している状況です。これは、将来に向けた成長投資を積極的に行っているフェーズにあることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から増加し、ROE(自己資本利益率)も改善傾向にあります。手元資金である現金預け金は前期から減少していますが、純資産は増加しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,132億円 | 2,337億円 |
| 自己資本比率 | 4.7% | 5.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.6% | 4.5% |
| 現金預け金 | 5,549億円 | 2,827億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、前期に引き続きマイナスとなっています。これは預金が増加した一方で貸出金が増加したことなどが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローもマイナスであり、有価証券の取得などによる資金支出が影響しています。財務活動によるキャッシュフローもマイナスで、配当金の支払いなどによる資金流出を示しています。これらの結果、フリーキャッシュフローは前期に比べてマイナス幅が拡大しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △144億円 | △2,210億円 |
| 投資CF | △1,245億円 | △482億円 |
| 財務CF | △19億円 | △29億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1,390億円 | △2,693億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、営業基盤とする山梨県及び東京地区における経済情勢の悪化、あるいは他金融機関との競合激化により、戦略が想定した成果を生まない可能性があります。また、景気動向等により取引先の財務内容等が悪化した場合、同社グループの不良債権及び与信関係費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより、損失が発生する可能性があります。また、労務慣行の問題や職場の安全衛生環境の問題等に関連する訴訟等が発生した場合、同社グループの信用や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
山梨中央銀行グループは、地域に根ざした金融機関として、地域社会の繁栄と経済発展に貢献することを経営理念に掲げています。お客さまからの信頼を大切にし、健全な経営姿勢を堅持しながら、持続的な企業価値向上を目指す会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
山梨中央銀行グループは、山梨県及び東京地区を主要な営業基盤とする地域金融機関です。預金業務や貸出業務を中心に、リース業やクレジットカード業などの金融サービスを提供し、地域の多様な金融ニーズに応えています。経営理念として、地域社会の繁栄と経済発展に寄与し、お客さまから信頼される健全な経営姿勢を堅持することを掲げています。長期ビジョン「Value Creation Company 2034」のもと、新たな価値を創造する「地域総合金融グループ」への進化を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
山梨中央銀行グループは、役職員一人ひとりの日々の業務における行動や判断の指針として「バリュー(Values)」を明文化し、長期的・持続的な価値創造の実現を目指しています。人財育成においては、お客さまや地域社会の多様なニーズに対応し、地域の持続的な成長を支援する専門性の高い人財の育成に注力しています。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進し、人財と働き方の多様性を確保しながらパーパスの実現を目指す方針です。社内環境整備では、多様な人財が能力を最大限発揮し、働きがいを実感できる組織づくりと、仕事と生活の充実を感じられる仕組みづくりを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
山梨中央銀行グループが優先的に対処すべき課題は、地域金融力の発揮による地域社会やお客さまの成長への貢献と、同社グループの持続的な企業価値向上です。地域社会やお客さまの成長に向けては、金融分野にとどまらず、幅広いコンサルティング・仲介機能の発揮を通じた支援に取り組んでいます。また、DXやカーボンニュートラルへの取り組みで得られた技術やノウハウを地域の先導役として提供し、地域全体の成長を支援しています。他の金融機関や民間事業者、自治体、大学などと連携・協業し、地域課題の解決に取り組むことで、「地域総合金融グループ」への進化を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
山梨中央銀行は監査役会設置会社であり、取締役会が経営方針の決定と業務執行の監督を担っています。社外取締役が独立した立場で経営に参画し、経営監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
山梨中央銀行の株主構成を見ると、信託銀行が筆頭株主として名を連ね、安定的な資本基盤を形成しています。また、同社の職員持株会も上位株主として位置しており、従業員による会社への貢献意識の高さがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.18% |
| 山梨中央銀行職員持株会 | 4.24% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.14% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性10名・女性4名)で構成され、女性役員比率は28.0%です。代表取締役頭取は古屋賀章氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 関 光 良 | 代表取締役会長 | 1977年4月同社入行、2017年6月代表取締役頭取、2023年6月代表取締役会長より現職。 |
| 古 屋 賀 章 | 代表取締役頭取 | 1986年4月同社入行、2021年6月代表取締役専務、2023年6月代表取締役頭取より現職。 |
| 山 寺 雅 彦 | 代表取締役専務 | 1987年4月同社入行、2023年6月代表取締役専務より現職。 |
| 佐 藤 秀 樹 | 常務取締役 | 1987年4月同社入行、2023年6月常務取締役より現職。 |
| 内 藤 哲 也 | 常務取締役 | 1988年4月同社入行、2023年6月常務取締役より現職。 |
| 加 藤 耕一郎 | 常務取締役 | 1989年4月同社入行、2024年6月常務取締役より現職。 |
社外取締役は、増川道夫氏(元日本銀行文書局長)、加野理代氏(弁護士)、市川美季氏(元山梨県エネルギー局長)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役が取締役会において客観的かつ大局的な視点から助言を行い、経営監督機能の強化に貢献しています。また、社外監査役は経営全般の監視と有効な助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
山梨中央銀行の役員報酬は、基本報酬、役員賞与金、譲渡制限付株式報酬で構成されています。報酬水準は、職責や業績、他行水準などを総合的に勘案し、指名・報酬諮問委員会の答申を経て取締役会で決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 2.3億円 | 37.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 43百万円 | 21.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 36百万円 | 6.0百万円 |
なお、取締役(社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等は、取締役6名に対する譲渡制限付株式報酬であります。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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