清水銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

清水銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

清水銀行は東京証券取引所プライム市場に上場する地方銀行です。静岡県を地盤とし、預金や貸出などの銀行業を中心に、リース業やクレジットカード業等の事業を展開しています。直近の業績では、貸出利回りの上昇による貸出金利息や有価証券関連収益の増加等を背景に増収増益となっており、堅調な推移を見せています。


※本記事は、株式会社清水銀行の有価証券報告書(第151期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 清水銀行ってどんな会社?


清水銀行は静岡県を主な営業基盤とし、地域に密着した銀行業やリース業などを展開する地域金融機関です。

(1) 会社概要


1928年7月に駿州銀行として設立され、1948年5月に清水銀行へと商号を変更しました。1986年9月には東京証券取引所市場第一部に指定替えとなり、現在はプライム市場に上場しています。2003年3月に中部銀行から営業の一部を譲り受けたほか、2020年6月には監査等委員会設置会社への移行を実施するなど、事業と組織体制の強化を進めてきました。

同社グループの従業員数は連結で926名、単体で846名となっています。現在の株主構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同業の日本カストディ銀行となっており、第3位には従業員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.0%
日本カストディ銀行(信託口) 5.3%
清水銀行従業員持株会 4.6%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性2名の計15名で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表者は取締役頭取代表取締役の岩山靖宏氏が務めており、社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
岩山靖宏 取締役頭取代表取締役 1988年同社入行。富士駅南支店長、経営企画部長、理事富士支店長、常務取締役等を経て、2020年4月より現職。
望月文人 専務取締役代表取締役 1986年同社入行。藤枝駅西支店長、理事本店営業部長、常務取締役等を経て、2022年4月より現職。
豊島勝一郎 取締役会長 1981年同社入行。理事総合統括部長、取締役富士支店長、代表取締役頭取等を経て、2025年5月より現職。
平岩将 常務取締役 1991年同社入行。下香貫支店長、東京支店長、市場営業部長、総合統括部長等を経て、2022年4月より現職。
深澤亘英 常務取締役 1989年同社入行。蒲原支店長、理事富士支店長、執行役員経営企画部長等を経て、2024年5月より現職。
八木真樹 取締役 1994年同社入行。藤枝駅西支店長、理事総合統括部長、理事経営企画部長等を経て、2024年5月より現職。
大木康正 取締役 1995年同社入行。東京支店長、理事本店営業部長、執行役員総合統括部長等を経て、2024年6月より現職。
前田邦彦 取締役 1992年同社入行。菊川支店長、沼津支店長、執行役員総合統括部長等を経て、2026年4月より現職。


社外取締役は、東惠子(東海大学名誉教授)、河野誠(河野法律事務所所長)、杉山髙広(鈴与商事相談役)、磯部和明(公認会計士磯部和明事務所開設)、小長谷重之(元静岡市副市長)、伊藤嘉奈子(伊藤・坪川法律事務所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業・クレジットカード業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業


本店および支店、出張所を通じて、預金業務、貸出業務、内国・外国為替業務、商品有価証券売買、投資信託販売、保険代理店業務などを地域顧客に提供しています。
個人および法人顧客からの貸出金利息や有価証券の利息配当金、各種手数料などを主な収益源としています。運営は同社(清水銀行)が行っています。

(2) リース業・クレジットカード業


地域の中小企業等に対する設備のリース業務や、個人・法人向けのクレジットカード業務を展開しています。
リース契約に基づく顧客からのリース料収入や、クレジットカードの利用に伴う手数料などを収益源としています。運営は連結子会社である清水リース&カードが行っています。

(3) その他


銀行業やリース業などを補完する目的で、顧客の資金調達をサポートする信用保証業務などを展開しています。
各種の信用保証に伴う保証料などを収益源としています。運営は連結子会社である清水信用保証などが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


経常収益は概ね増加傾向にあり、直近の2026年3月期には337億円を計上しています。経常利益と当期利益については、2024年3月期に赤字を計上しましたが、その後は回復基調にあり、直近の2026年3月期には経常利益31億円、当期利益20億円と黒字を確保して増益基調となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 274億円 284億円 299億円 291億円 337億円
経常利益 40億円 16億円 -41億円 23億円 31億円
利益率(%) 14.6% 5.6% -13.7% 7.9% 9.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 26億円 15億円 -33億円 19億円 20億円

(2) 損益計算書


経常収益(売上高)は、貸出金利息や有価証券関連収益の増加により、前期比で増収となりました。これに伴い、連結粗利益(売上総利益に相当)および連結業務純益(営業利益に相当)も大きく伸長し、利益率が改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 291億円 337億円
売上総利益 173億円 189億円
売上総利益率(%) 59.5% 56.1%
営業利益 14億円 39億円
営業利益率(%) 4.8% 11.6%


営業経費(販売費及び一般管理費に相当)のうち、給料・手当が70億円(構成比47%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の銀行業は、貸出金利息や有価証券関連収益の増加により増収を牽引しました。また、リース業・クレジットカード業も、リース料収入の増加などにより堅調な推移を見せ、全セグメントにおいて前期を上回る売上を計上しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
銀行業 224億円 268億円
リース業・クレジットカード業 63億円 64億円
その他 4億円 5億円
連結(合計) 291億円 337億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な末期型のキャッシュ・フローです。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に借用金の減少(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.7%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も4.4%で市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 739億円 -102億円
投資CF 5億円 -70億円
財務CF -11億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「社会的公共性を重んじ健全経営をすすめる」「お客様に親しまれ、喜ばれ役にたつ銀行をつくる」「人間関係を尊重し働きがいある職場をつくる」という経営理念を掲げています。地域金融機関として地域経済活性化への貢献を第一義とし、付加価値の高い金融サービスを通して安定的な収益の確保と強固な財務基盤の確立を目指しています。

(2) 企業文化


同社はパーパスとして「地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します」を定めています。長期的には「お客さまの課題を解決し、持続的な企業価値向上を実現する地域のコンサルティングカンパニー」となることを目指し、地域経済やお客さまとの深度あるリレーションを基にした価値創造を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年4月より第29次中期経営計画「加速-KASOKU-Acceleration~たすきを繋ぐ~」をスタートさせ、2029年3月期に達成すべき以下の経営指標を定めています。
・ROE(単体):5%以上
・当期純利益:40億円以上
・連結自己資本比率:8.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画における基本方針(加速ドライバー)として、「人的資本」「ソリューション営業」「経営基盤」の3つを掲げています。人材の力を引き出す施策を進めるとともに、強みを活かしたコンサルティングを強化し、DX・AI活用による業務効率化を図ることで、地域社会とともに持続的に成長する価値創造の好循環を加速させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財」を経営理念・パーパスの実現と企業価値向上の根幹と位置付けています。「お客さまの未来をともに考えることができる人財」の育成を目指し、高い志や考え抜く力を備えた行員を育成しています。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進やエンゲージメント向上のための投資を加速し、一人ひとりの成長を組織的にサポートしています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.4歳 17.2年 6,236,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.8%
男性育児休業取得率 96.0%
男女賃金差異(全労働者) 50.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 68.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 59.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、事業承継・M&Aエキスパート資格保有者数(247人)、正行員に占める女性の割合(35.5%)、特定検診受診率(99.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク及び市場リスク


国内景気や地域経済の動向、不動産価格や株価の変動、貸出先の経営状況悪化によって不良債権や与信費用が増加するリスクがあります。また、保有する有価証券の時価下落による評価損の発生などが、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 自己資本比率に関するリスク


同社は国内基準(4%)以上の自己資本比率を維持する必要があります。現在は基準を大幅に上回っているものの、貸出先の信用力変動や保有有価証券の価値下落などにより自己資本比率が低下し、経営に影響を及ぼすリスクが存在します。

(3) 繰延税金資産に関するリスク


同社は将来実現すると見込まれる税金費用の減少を繰延税金資産として計上しています。将来の課税所得予想等の前提条件が変化し、繰延税金資産の一部または全部が回収不能と判断された場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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