※本記事は、株式会社清水銀行 の有価証券報告書(第150期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 清水銀行ってどんな会社?
静岡県静岡市清水区に本店を置き、地域密着型の銀行業務を中心に、リースやカード業務等の金融サービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1928年に6銀行が合併して設立され、1948年に現在の商号となりました。1983年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1986年に同第一部へ指定替え、2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しました。2020年には監査等委員会設置会社へ移行し、ガバナンス体制の強化を図っています。
連結従業員数は964名、単体では867名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様の信託銀行が続きます。第3位は従業員持株会であり、安定的な株主構成となっています。また、地元有力企業である鈴与も大株主として名を連ねており、地域経済との結びつきの強さがうかがえます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.72% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.14% |
| 清水銀行従業員持株会 | 4.49% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性2名(社外含む)の計15名で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役頭取は岩山靖宏氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩山靖宏 | 取締役頭取代表取締役 | 1988年入行。理事富士支店長、常務執行役員総合統括部長などを経て、2019年代表取締役専務。2020年4月より現職。 |
| 豊島勝一郎 | 取締役会長 | 1981年入行。総合統括部長、富士支店長、代表取締役専務、代表取締役副頭取を経て、2012年代表取締役頭取。2020年代表取締役会長、2025年5月より現職。 |
| 望月文人 | 専務取締役代表取締役 | 1986年入行。本店営業部長、経営企画部長兼総務管理部長、常務取締役などを経て、2022年4月より現職。 |
| 平岩将 | 常務取締役 | 1991年入行。東京支店長、市場営業部長、総合統括部長を経て、2020年取締役。2022年4月より現職。 |
| 深澤亘英 | 常務取締役 | 1989年入行。理事富士支店長、執行役員支店営業部長、執行役員経営企画部長を経て、2021年取締役。2024年5月より現職。 |
| 田村直之 | 取締役 | 1987年入行。総務管理部長、監査部長、理事総合統括部長を経て、2019年6月より現職。 |
| 八木真樹 | 取締役 | 1994年入行。理事総合統括部長、理事本店営業部長、理事経営企画部長を経て、2023年取締役。2024年5月より現職。 |
| 大木康正 | 取締役 | 1995年入行。東京支店長、理事本店営業部長、執行役員総合統括部長などを経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、東惠子(東海大学名誉教授)、新間克樹(元鈴与ホールディングス社長)、河野誠(河野法律事務所所長)、磯部和明(公認会計士)、小長谷重之(元静岡市副市長)、伊藤嘉奈子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」「リース業・クレジットカード業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
本店ほか支店77店舗、出張所1店舗において、預金業務、貸出業務、内国・外国為替業務、有価証券投資業務などを行っています。地域顧客向けに投資信託販売や保険代理店業務、金融商品仲介業務も提供しており、総合的な金融サービスを担っています。
主な収益源は、貸出金利息、有価証券利息配当金、および各種手数料収入です。運営は主に清水銀行が行っています。
■(2) リース業・クレジットカード業
顧客企業への設備機器等のリース業務や、クレジットカード業務を行っています。企業の設備投資ニーズや個人の決済ニーズに対応し、金融サービスの多様化を図っています。
収益源は、リース契約に基づくリース料収入や、クレジットカード利用に伴う手数料収入等です。運営は連結子会社の清水リース&カードが行っています。
■(3) その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、信用保証業務などを行っています。住宅ローン等の融資に際して保証業務を提供し、グループ全体の与信業務を補完しています。
収益源は、保証料収入などが挙げられます。運営は連結子会社の清水信用保証などの連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は、経常収益が前期比で減少したものの、経常費用の大幅な減少により、経常利益はプラスに転じました。これは、資金調達費用や与信費用の減少が大きく寄与した結果です。過去5期を振り返ると、経常利益は変動しながらも、当期は前期のマイナスから大きく回復し、当期純利益もプラスに転じています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 278 | 274 | 284 | 300 | 291 |
| 経常利益(億円) | 35 | 40 | 16 | △41 | 23 |
| 当期純利益(億円) | 22 | 26 | 15 | △33 | 19 |
■(2) 損益計算書
当期は、経常収益が前期比で減少しましたが、経常費用が大幅に減少したことにより、経常利益はプラスに転じました。これは、主に資金調達費用および与信費用の減少が収益改善に寄与したためです。当期純利益も前期のマイナスから回復しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 300 | 291 |
| 経常費用 | 340 | 268 |
| 経常利益 | △41 | 23 |
| 当期純利益 | △33 | 19 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
同行の役務取引等収益合計は、当期は前期比で増加しました。この収益の増加は、主に預金・貸出業務の収益増加によるものです。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 7 | 7 |
| 預金・貸出業務 | 6 | 7 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
清水銀行は、預金の増加などを背景に営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増加しました。一方で、有価証券の売却収入の減少などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは減少しました。また、自己株式の取得による支出の増加が財務活動によるキャッシュ・フローの減少に影響しました。これらの結果、現金及び現金同等物は増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △1,433 | 739 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 610 | 47 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △7 | △11 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、地域金融機関として地域経済活性化への貢献を第一義とし、「社会的公共性を重んじ健全経営をすすめる」「お客様に親しまれ、喜ばれ役にたつ銀行をつくる」「人間関係を尊重し働きがいある職場をつくる」という経営理念を掲げています。
■(2) 企業文化
地域社会における存在意義や未来への志として、パーパス「地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します」を定めています。行員一人ひとりが高い志を持ち、考え抜く力や挑戦し続ける力を重視する風土の醸成を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
2023年4月より第28次中期経営計画「SHINKA~絆をつむぐ~」をスタートさせています。2026年3月期の目標として以下の指標を掲げています。
* コア業務純益:40億円以上
* 当期純利益:25億円以上
* 県内中小企業等向け貸出金残高:1兆円以上
* 連結自己資本比率:8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画では、「ソリューション営業の高度化」「人的資本の充実」「サステナビリティ経営の実践」を基本方針としています。課題解決のサイクルによる営業の質的向上、人的資本への投資加速によるエンゲージメント向上、DXやアライアンス戦略を通じたサステナビリティ経営を推進し、企業価値向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人財育成」を経営の最重要テーマと位置付け、顧客の未来を共に考えられる人材の育成を目指しています。性別や年齢等を問わない採用・育成を行い、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するとともに、人事制度の改定や人的資本投資を通じて、従業員のエンゲージメントとウェルビーイングの向上を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.4歳 | 17.2年 | 6,165,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.2% |
| 男性育児休業取得率 | 88.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 49.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 66.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 62.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、事業承継・M&Aエキスパート資格保有者数(256人)、正行員に占める女性の割合(35.7%)、特定検診受診率(97.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 情報資産に関するリスク
顧客情報等の漏洩、紛失、不正使用などが発生した場合、社会的信用が失墜し、不測の損失を被る可能性があります。情報管理の徹底が重要な経営課題となっています。
■(2) 災害等に関するリスク
営業地域が東海地震の想定震源域上に点在しており、大規模な自然災害や感染症の流行等が発生した場合、営業インフラや社会的ライフラインが被害を受け、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 競争に伴うリスク
金融制度の規制緩和により競争が激化しています。業務範囲の拡大に伴う新たなリスクや、他業態を交えた競争において優位性を確保できない場合、収益や業績に影響が出る可能性があります。
■(4) 地域の経済動向に関するリスク
静岡県を主たる営業基盤としているため、同県の景気動向や産業構造の変化が、貸出金の増減や信用コストに直接的な影響を与える可能性があります。地域経済の停滞は業績下押し要因となり得ます。



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