※本記事は、株式会社清水銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
清水銀行は、銀行業務を中心にリース業務など金融サービスに係る事業を展開しています。同社グループは、本店および77の支店、1つの出張所を通じて、預金、貸出、為替業務のほか、投資信託販売や保険代理店業務なども手掛けています。
単体従業員数は846名、連結従業員数は926名です。セグメントは銀行業、リース業・クレジットカード業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、清水ビジネスサービス(その他)、清水リース&カード(リース業・クレジットカード業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
清水銀行は、地域に根差した銀行として、安定した事業基盤を持つ企業です。従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。また、人材育成や多様な働き方を推進する取り組みにも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期的にキャリアを築きやすい環境がうかがえます。従業員が安定して働き続けられるような制度や文化が根付いている傾向にあると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,236,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.2年 |
| 平均年齢 | 40.4歳 |
| 単体従業員数 | 846人 |
| 連結従業員数 | 926人 |
| 単体のグループ内比率 | 91.4% |
同社は確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を設けています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は64.1億円、年金資産は110億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
清水銀行は、経営理念・パーパスの実現と企業価値向上の根源を「人財」と捉え、その力を最大限に引き出すための人財戦略として、人財ポートフォリオ戦略と人財育成・エンゲージメント向上戦略を進めています。業務効率化や生産性向上、営業体制変更を通じて戦略的な人員配置を行い、全体のパフォーマンス向上を目指しています。
人財育成・エンゲージメント向上戦略では、研修制度やリスキリング支援による能力向上、従業員の処遇やワーク・ライフ・バランスの改善を通じて、従業員エンゲージメントの向上と企業価値向上に繋げていく方針です。従業員の給与及び賞与は、毎年の職員組合からの要求に対し、物価上昇や経済動向を鑑みながら給与テーブルの見直しを行い支給しています。
同社は行員一人ひとりを資本と捉えた『人財育成』を経営の最重要テーマと位置付けており、お客さまの未来をともに考えることができる人財の育成を目指しています。一人ひとりが高い『志』を持ち、『考え抜く力』、『苦難に耐え抜く力』、『挑戦し続ける力』を備えた行員の育成に取り組んでいます。また、性別、年齢、国籍などの属性を問わず採用及び育成し、より一層の活躍の場の提供に努めています。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進、従業員エンゲージメント・ウェルビーイング向上のための投資を加速し、人事制度の見直しや研修制度の進化を進めることで、行員一人ひとりの成長と働きがいを組織的にサポートしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
対象期間は当事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日)で、管理職に占める女性労働者の割合は2026年3月31日現在の数値です。これらの数値は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.75% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 96.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 50.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 68.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 59.2% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 事業承継・M&Aエキスパート資格保有者数 | 247人 |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 正行員に占める女性の割合 | 35.5% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 特定検診受診率 | 99.1% |
| ストレスチェック受診率 | 91.1% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
清水銀行グループは、銀行業を主軸に、リース業やクレジットカード業、信用保証業務などの金融サービスを展開しています。地域に根差した金融機関として、幅広い顧客層にサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業務を核として、多角的な金融サービスを提供することで収益を上げています。主要な収益源は預金業務、貸出業務、為替業務など銀行業における各種サービスです。また、リースやクレジットカードといった非銀行業務も手掛けています。特定の顧客に収益が集中することなく、安定した事業基盤を構築しています。事業活動は主に日本国内で行われており、海外比率や為替リスクは低い傾向にあります。
銀行業
預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、投資信託販売業務、保険代理店業務、金融商品仲介業務など、多岐にわたる金融サービスを提供しています。収益は、これらの各種金融取引から得ています。運営は、清水銀行が行っています。
リース業・クレジットカード業
リース業務とクレジットカード業務を展開しています。収益は、リース契約やクレジットカードの利用手数料などから得ています。運営は、清水リース&カードが行っています。
その他の事業セグメント
信用保証業務などを手掛けています。収益は、信用保証サービスなどから得ています。運営は、連結子会社が行っています。
| セグメント | 経常収益(2025年3月期) | 経常収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 224億円 | 268億円 |
| リース業・クレジットカード業 | 63.3億円 | 63.8億円 |
| その他の事業セグメント | 4.4億円 | 4.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの経常収益は、直近5年間で増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的に損失を計上した期がありましたが、その後は回復し、増加傾向で推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 274億円 | 284億円 | 299億円 | 291億円 | 337億円 |
| 経常利益 | 39.8億円 | 16.0億円 | △41.3億円 | 23.0億円 | 31.3億円 |
| 経常利益率 | 14.5% | 5.6% | △13.8% | 7.9% | 9.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 25.8億円 | 14.7億円 | △33.0億円 | 18.6億円 | 20.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 222.69 | 127.55 | △286.14 | 163.24 | 177.20 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり経常収益(連結)は前期から増加しており、従業員1人あたり経常利益(連結)も同様に増加しています。これは、従業員一人ひとりの生産性が向上していることを示しています。組織全体の効率化が進み、収益を生み出す力が強化されている傾向が見られます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 30.2百万円 | 36.4百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 2.4百万円 | 3.4百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
清水銀行グループの財務状況は、事業活動と投資活動を通じて資金の出入りがあり、将来に向けた投資を継続している段階を示しています。入社後の安定性や成長性を判断する上で、現在の財務基盤と資金の流れを理解することが重要です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
清水銀行グループの財務基盤は、自己資本比率とROEの推移、そして手元資金の状況から確認できます。自己資本比率は前期から増加傾向にあり、純資産も増加しています。手元資金である現金預け金は前期から減少していますが、依然として一定の水準を維持しています。これらの財務状況は、同社グループが事業を継続していく上での安定性を示す要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 732億円 | 810億円 |
| 自己資本比率 | 4.0% | 4.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.5% | 2.7% |
| 現金預け金 | 2,431億円 | 2,251億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
清水銀行グループのキャッシュフローは、資金の出入りを通じて同社グループの活動状況を示しています。当期における営業活動によるキャッシュフローは前期から減少してマイナスとなりました。これは貸出金の増減や有価証券の売買など、銀行特有の事業活動による資金の動きを反映しています。
投資活動によるキャッシュフローも前期から減少してマイナスとなっており、設備投資や有価証券の取得などが行われたことを示唆しています。財務活動によるキャッシュフローは前期からマイナス幅が縮小しています。これらの資金の流れは、同社グループが事業の維持・拡大のために資金を投じている状況を表しており、将来の成長に向けた取り組みが継続されていることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 738.5億円 | △102.1億円 |
| 投資CF | 47.4億円 | △70.2億円 |
| 財務CF | △11.2億円 | △5.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 785.9億円 | △172.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは静岡県を主たる営業基盤としており、静岡県の景気動向及び各産業の動向が貸出金の増減や信用リスクに影響を及ぼす可能性があります。また、近年の金融制度は大幅な規制緩和が進められており、金融業界は競争が激化しています。他業種、他業態を交えた競争において、同社グループが競争優位を得られない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの役職員が正規の事務処理を怠る、あるいは不正を行うことで事故が発生した場合、事後処理及び原状回復、損害補填費用等の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
清水銀行は、地域金融機関として地域経済の活性化に貢献することを第一義とし、地域やお客さまとの深いリレーションシップを基盤に、持続的な成長と企業価値向上を目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
清水銀行は、地域金融機関として地域経済活性化への貢献を第一義としています。経営理念として「社会的公共性を重んじ健全経営をすすめる」「お客様に親しまれ、喜ばれ役にたつ銀行をつくる」「人間関係を尊重し働きがいある職場をつくる」を掲げています。同社グループのパーパスは「地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します」です。このパーパスに基づき、長期的に「お客さまの課題を解決し、持続的な企業価値向上を実現する地域のコンサルティングカンパニー」を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
清水銀行は、経営理念として「社会的公共性を重んじ健全経営をすすめる」「お客様に親しまれ、喜ばれ役にたつ銀行をつくる」「人間関係を尊重し働きがいある職場をつくる」を大切にしています。第29次中期経営計画では、基本方針(加速ドライバー)に「人的資本」「ソリューション営業」「経営基盤」を掲げています。特に「人財」を企業価値向上の根幹と捉え、行員一人ひとりが「志」「考え抜く力」「苦難に耐え抜く力」「挑戦し続ける力」を備えることを目指しています。ダイバーシティ&インクルージョンの推進や従業員エンゲージメント・ウェルビーイング向上にも取り組む姿勢を示しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
清水銀行は、金融機関を取り巻く不確実性の高い環境を認識しています。対処すべき課題として、第29次中期経営計画「加速-KASOKU-Acceleration~たすきを繋ぐ~」において、「人的資本」「ソリューション営業」「経営基盤」を基本方針(加速ドライバー)に掲げています。特に「人財」の力を最大限に引き出すための施策に取り組み、地域社会とともに持続的に成長する価値創造の好循環を加速させることを目指しています。また、金融機関としての社会的責任を認識し、強固なコンプライアンス態勢の維持とガバナンスの強化を進めることも重点テーマとしています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
清水銀行は、2020年6月25日開催の定時株主総会での定款変更に基づき、監査等委員会設置会社に移行しています。監査等委員である取締役4名を構成員とする監査等委員会を設置し、取締役の業務執行に対する牽制機能を充実させています。取締役会は、重要な経営戦略等の決定と業務執行の監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
清水銀行の株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託銀行が上位に名を連ねています。また、清水銀行従業員持株会も上位株主の一つとなっており、従業員による株式保有が進んでいることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.96% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.33% |
| 清水銀行従業員持株会 | 4.61% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は15名(男性13名・女性2名)で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役頭取は岩山靖宏氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩山 靖宏 | 取締役頭取代表取締役 | 1988年4月同社入行、2011年4月経営企画部長、2015年6月取締役総合統括部長、2020年4月代表取締役頭取より現職。 |
| 望月 文人 | 専務取締役代表取締役 | 1986年4月同社入行、2011年7月理事本店営業部長、2015年6月常務取締役、2022年4月代表取締役専務より現職。 |
| 豊島 勝一郎 | 取締役会長 | 1981年4月同社入行、2005年6月常務取締役、2012年4月代表取締役頭取、2025年5月取締役会長より現職。 |
| 平岩 将 | 常務取締役 | 1991年4月同社入行、2016年4月東京支店長、2020年6月取締役、2022年4月常務取締役より現職。 |
| 深澤 亘英 | 常務取締役 | 1989年4月同社入行、2018年4月理事富士支店長、2021年6月取締役経営企画部長、2024年5月常務取締役より現職。 |
| 八木 真樹 | 取締役 | 1994年4月同社入行、2020年4月理事総合統括部長、2023年6月取締役経営企画部長、2024年5月取締役より現職。 |
| 大木 康正 | 取締役 | 1995年4月同社入行、2017年4月東京支店長、2021年4月執行役員総合統括部長、2024年6月取締役より現職。 |
| 前田 邦彦 | 取締役 | 1992年4月同社入行、2019年2月沼津支店長、2023年4月執行役員総合統括部長、2026年4月取締役より現職。 |
社外取締役は、東惠子氏(東海大学名誉教授)、河野誠氏(河野法律事務所所長)、杉山髙広氏(鈴与商事取締役副社長)、磯部和明氏(公認会計士磯部和明事務所開設)、小長谷重之氏(元静岡市副市長)、伊藤嘉奈子氏(伊藤・坪川法律事務所入所)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役の業務執行を監査することで、経営の透明性と公正性を高める体制を構築しています。独立社外取締役が取締役会の過半数を占める指名・報酬諮問委員会を設置し、取締役会の機能の独立性や客観性を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
清水銀行の取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、確定金額報酬、業績連動型報酬、譲渡制限付株式報酬で構成されています。確定金額報酬、業績連動型報酬、譲渡制限付株式報酬の割合は8:1:1を目安としています。社外取締役および監査等委員である取締役には、その職務に鑑み、確定金額報酬のみを支払う方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 9名 | 2.2億円 | 24.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 20百万円 | 20.0百万円 |
| 社外取締役 | 7名 | 34百万円 | 4.9百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。報酬等の総額は2.78億円、対象となる役員の合計人数は17名です。
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