※本記事は、株式会社鳥取銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
鳥取銀行は、銀行業務を主軸に、クレジットカード、リース、ベンチャーキャピタル、ファンド運営、コンサルティングといった多岐にわたる金融サービスを提供する企業グループです。地域に密着した営業活動を通じて、預金、貸出、有価証券売買などの業務を展開しています。
単体従業員数は632名、連結従業員数は638名です。報告セグメントは銀行業単一となっています。
主な国内グループ会社は、とりぎんカードサービス(カード事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
鳥取銀行は、地域社会への貢献と健全経営を基本理念とする金融機関です。従業員の給与水準や働き方についても、地域に根差した事業特性を反映した環境が整えられています。人材の育成や多様な働き方の推進にも力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員が長く働きやすい環境を提供している傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定したキャリアを築いている従業員が多いことが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,404,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.1年 |
| 平均年齢 | 39.0歳 |
| 単体従業員数 | 632人 |
| 連結従業員数 | 638人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.1% |
同社および連結子会社は、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付債務は47.6億円、年金資産は60.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
鳥取銀行は、地域社会の発展を力強くリードするコンサルティングバンクの実現に向け、人的資本を価値創造の源泉と位置付けています。従業員の自律的な成長とモチベーション向上、労働市場における競争力の維持、生活の安定を目的として給与等を決定しています。
人事評価制度は、個人の能力開発の進捗状況をベースとしつつ、毎期の個人業績を反映する仕組みです。給与体系は、職務遂行能力に応じた基本給、職務に応じた職務給、職位に応じた役職手当、社内資格制度に応じたスキル手当、自己研鑽をバックアップする自己成長サポート手当、転居を伴う人事異動の可否選択による異動オプション手当で構成されています。賞与は個人業績と同社の業績を反映して支給され、組織の活性化と持続的な成長を促す設計となっています。
中期経営計画「for the FUTURE ~未来に向けて~」では「人的資本経営の実践」を重点テーマとし、「自律人財の育成」「挑戦する風土の醸成」「ダイバーシティの推進」を人材戦略のテーマに掲げています。具体的には、お客さま・地域社会の発展のためのコンサルティング機能を提供できる人財の育成、専門性を発揮できるプロフェッショナル人財の育成、管理・監督者のマネジメント力強化、自律的なキャリア形成のサポート、営業店・本部一体での人財育成に取り組んでいます。
また、すべての役職員が個性や能力を十分に発揮し、やりがいを持って活躍できるよう、多様性と創造性を尊重した職場環境の整備を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。労働者の男女の賃金の差異については、男女間において平均年齢や職位の人員分布に差があることから生じているものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 115.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 55.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 62.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 62.6% |
自律人財の育成・挑戦する風土の醸成
キャリアスキル認定者は、同社制度におけるプロフェッショナル人財(スペシャリスト・エキスパート)を対象としています。一人当たりの人財開発投資額は、総研修費、人財開発関連手当、教育関連システム経費の合計金額を平均従業員数で除して算出しています。一人当たり研修参加回数は、総研修参加人数を平均従業員数で除して算出しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| キャリアスキル認定者(累計) | 125人 |
| 一人当たりの人財開発投資額(教育関連費) | 414千円 |
| 一人当たり研修参加回数 | 10.5回 |
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
女性管理・監督職比率における管理職は「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者を、監督職は「係長級より上位の役職(上席支店長代理・支店長代理等)」にある労働者を範囲としています。男性育児休業一人当たり取得日数は、厚生労働省が明示している計算例に基づいて算出しています。障がい者雇用率は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」第43条第1項の規定に基づく雇用率設定基準にて算出しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理・監督職比率 | 25.9% |
| 男性育児休業一人当たり取得日数 | 21.0日 |
| 障がい者雇用率 | 2.92% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社鳥取銀行は、銀行業務を核として、地域に根差した金融サービスを幅広く提供しています。子会社や関連会社と連携し、多様な金融ニーズに応える事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業務を主軸に事業を展開しています。預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務など、多岐にわたる金融サービスを提供し、地域に密着した営業活動を行っています。
また、子会社や関連会社を通じて、クレジットカード業務、リース業務、ベンチャーキャピタル業務、ファンド運営業務、コンサルティング業務といった金融サービスも提供しています。これらの事業は、同社グループの収益源を多様化しています。
同社グループの報告セグメントは銀行業単一となっています。収益は主に貸出業務、有価証券投資業務、およびその他の金融サービスから得ています。直近の期では、貸出業務からの経常収益が最も大きく、前期から増加しています。有価証券投資業務からの経常収益は前期から減少しましたが、その他の業務からの経常収益は前期から増加しています。
同社グループは海外拠点を有しておらず、国内の外部顧客からの経常収益が大部分を占めています。特定の顧客に収益が集中している状況は見られません。
| セグメント | 経常収益(2025年3月期) | 経常収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 貸出業務 | 97.1億円 | 115億円 |
| その他 | 39.5億円 | 49.7億円 |
| 有価証券投資業務 | 26.6億円 | 25.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの経常収益は、過去5年間で継続的に増加する傾向を示しています。経常利益は、過去の期間で変動が見られましたが、直近の期では増加しています。親会社株主に帰属する当期純利益も、過去5年間で一貫して増加する傾向が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 133億円 | 139億円 | 146億円 | 163億円 | 190億円 |
| 経常利益 | 4.6億円 | 17.1億円 | 16.1億円 | 19.0億円 | 22.4億円 |
| 経常利益率 | 3.5% | 12.3% | 11.0% | 11.6% | 11.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.9億円 | 10.4億円 | 10.6億円 | 13.1億円 | 15.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 95.18 | 111.57 | 112.83 | 140.28 | 169.19 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり経常収益は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり経常利益も前期から増加しており、収益性の改善を示しています。これらの指標は、同社グループが効率的な事業運営を通じて、従業員一人ひとりの貢献度を高めていることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 25.5百万円 | 29.8百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 3.0百万円 | 3.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
鳥取銀行の財務状況は、事業活動と投資活動を通じて資金を使用している状況を示しています。これは、将来に向けた投資を継続している段階にあることを表しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
鳥取銀行の財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から上昇し、安定した水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)も前期から改善傾向にあります。手元資金となる現金預け金は減少していますが、潤沢な資金を確保している状況です。これらの財務状況は、同社グループの事業運営の安定性を示すものであり、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素と言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 481億円 | 510億円 |
| 自己資本比率 | 4.3% | 4.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.7% | 3.2% |
| 現金預け金 | 933億円 | 712億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
鳥取銀行のキャッシュフローを見ると、営業活動による資金の出入りは、預金の増加などにより前期に比べて支出が減少しました。投資活動によるキャッシュフローは、有価証券の取得による支出が増加したことで、資金を使用する状況となっています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払などにより支出が増加しました。これらの状況から、同社グループは事業活動で得た資金を、将来に向けた投資に充てている段階にあることがうかがえます。これは、同社グループが事業の成長を目指していることを示しており、長期的な視点での雇用安定性や給与の安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △376.4億円 | △47.3億円 |
| 投資CF | 66.1億円 | △168.6億円 |
| 財務CF | △4.7億円 | △4.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △310.3億円 | △215.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
鳥取銀行グループは、金融業界の競争激化により、他金融機関との競争で優位性を得られない場合に業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、鳥取県内経済の景気後退や需要の減少が、融資先の中小企業や個人の倒産・破産増加につながり、業績や財務状況に悪影響を及ぼすリスクも認識しています。
③ 人材・組織に関するリスク
鳥取銀行グループは、人事処遇や勤務管理などの人事労務上の問題に関連する訴訟が発生した場合、同社グループの信用や業績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
鳥取銀行は、地域社会への貢献と健全経営を基本理念に掲げ、地域社会の未来を「創り、守り、支える存在」となることを目指しています。地域に根ざした金融機関として、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
鳥取銀行グループは、「地域社会への貢献と健全経営」を経営の基本理念としています。持続可能な地域社会の未来を「創り、守り、支える存在」となることをパーパス(存在意義)に掲げています。
2026年度までの中長期ビジョンでは、「地域を支え地域社会の発展に全力を尽くす」「プロフェッショナル人財を育成する」「強靭な経営体質を構築する」という3つのミッションを掲げています。中期経営計画「for the FUTURE~未来に向けて~」を通じて、「地域社会の発展を力強くリードするコンサルティングバンク」を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
鳥取銀行は、地域社会の持続可能な発展を目指す上で、すべてのステークホルダーの基本的人権を尊重することを重視しています。2022年9月に策定した「人権方針」では、国際規範の尊重、差別の排除、人権尊重の企業風土醸成、働きやすい職場環境の確立、公正採用の実施、人権啓発活動・教育の実施を掲げています。
同社は、すべての役職員が個性や能力を十分に発揮し、働きがいを感じて活躍できる、多様性と創造性を尊重した職場づくりに取り組んでいます。人材戦略では「自律人財の育成」「挑戦する風土の醸成」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を方針テーマとしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
鳥取銀行グループは、人口減少や少子高齢化、気候変動や多様性への対応といった経営環境の変化を課題と認識しています。これらの課題に対し、金融の枠組みを超えたサービス提供と地域の価値向上に取り組むことで、持続可能な地域社会の未来を「創り、守り、支える存在」となることを目指しています。
中期経営計画「for the FUTURE~未来に向けて~」では、「新たな地域価値の創造」「コンサルティング深化」「経営基盤の強化」「人的資本経営の実践」の4つを重点テーマとしています。特に「人的資本経営の実践」を通じて、人財育成と多様な働き方を推進しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
鳥取銀行は、長期安定的な企業価値向上とコーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題と位置付けています。取締役会は社外取締役を含む構成で、業務執行の監督機能を果たしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
鳥取銀行の株主構成を見ると、従業員持株会が筆頭株主となっています。その他、損害保険ジャパンや明治安田生命保険相互会社といった事業会社や機関投資家が上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鳥取銀行従業員持株会 | 3.15% |
| 損害保険ジャパン | 2.28% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 2.19% |
| UBS証券 | 1.79% |
| 大樹生命保険 | 1.79% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
鳥取銀行の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役会長は平井耕司氏、代表取締役頭取執行役員は入江到氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平井耕司 | 代表取締役会長 | 1982年4月同社入行、2016年6月代表取締役頭取執行役員を経て、2022年6月より現職。 |
| 入江到 | 代表取締役頭取執行役員 | 1988年4月同社入行、2016年3月執行役員ふるさと振興部長、2021年6月取締役専務執行役員を経て、2022年6月より現職。 |
| 八木俊英 | 取締役専務執行役員 | 1992年4月同社入行、2019年5月執行役員大阪支店長、2022年6月取締役常務執行役員を経て、2026年4月より現職。 |
| 倉光裕之 | 取締役専務執行役員 | 1993年4月同社入行、2022年4月執行役員審査部長、2025年6月取締役常務執行役員を経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、藪田千登世氏(国立大学法人鳥取大学理事・副学長)、西尾信也氏(シップヘルスケアホールディングス非常勤取締役)、福居一彦氏(インフォメーション・ディベロプメントデジタルソリューション本部エグゼクティブアドバイザー)です。
鳥取銀行は監査役設置会社であり、社外監査役を含む監査役会が取締役の職務執行を監査しています。また、独立役員である社外取締役も選任し、経営の透明性確保とガバナンス体制の強化に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
鳥取銀行の役員報酬は、固定報酬、自社株取得型報酬、および業績連動加算報酬で構成されています。自社株取得型報酬は株主価値との連動を図る中長期的なインセンティブとして位置付けられ、業績連動加算報酬は単体の当期純利益を指標としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 95百万円 | 23.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 26百万円 | 4.3百万円 |
役員報酬の総額は1.33億円であり、報酬の支給対象となった役員は合計11名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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