※本記事は、株式会社百十四銀行 の有価証券報告書(第156期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 百十四銀行ってどんな会社?
香川県を中心に広域瀬戸内圏を地盤とする地方銀行で、預金・貸出等の銀行業務に加え、コンサルティングやリース等の総合金融サービスを提供しています。
■(1) 会社概要
同社は1924年に高松百十四銀行と高松銀行の合併により設立されました。1973年に東京・大阪証券取引所市場第一部に上場し、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。地域金融機関として店舗網を拡大し、2024年には投資専門子会社の百十四共創投資を設立するなど、地域課題解決に向けた取り組みを強化しています。直近では2025年4月に114地域みらいデザインを新規設立しています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は2,125人、単体では1,879人です。主要株主は、資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が筆頭株主で、次いで日本カストディ銀行(信託口)、3位に従業員等で構成される百十四銀行従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 9.56% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 5.03% |
| 百十四銀行従業員持株会 | 2.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性2名(うち社外5名)の計15名で構成され、女性役員比率は13.3%です。代表取締役頭取は森匡史氏が務めています。取締役(監査等委員を含む)15名のうち5名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森 匡史 | 取締役頭取(代表取締役) | 1989年入行。明石支店長、秘書室長、執行役員経営企画部長、取締役常務執行役員などを経て2024年4月より現職。 |
| 綾田 裕次郎 | 取締役会長 | 1982年入行。営業統括部長、執行役員東京支店長、取締役常務執行役員、取締役頭取などを経て2024年4月より現職。 |
| 豊嶋 正和 | 取締役専務執行役員兼CCO(代表取締役) | 1985年入行。経営企画部長、執行役員経営企画部長、取締役常務執行役員などを経て2024年4月より現職。 |
| 多田 和仁 | 取締役専務執行役員(代表取締役) | 1990年入行。松山支店長、神戸支店長、執行役員営業戦略部長、取締役常務執行役員などを経て2025年4月より現職。 |
| 菅 弘 | 取締役常務執行役員 | 1988年入行。福岡支店長、執行役員丸亀支店長、執行役員今治支店長、常務執行役員などを経て2024年6月より現職。 |
| 岩根 正明 | 取締役常務執行役員 | 1994年入行。水島支店長、秘書室長、執行役員市場国際部長、常務執行役員などを経て2024年6月より現職。 |
| 大山 揮一郎 | 取締役 | 1983年入行。広島支店長、執行役員岡山支店長、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などを経て2025年4月より現職。 |
| 黒川 裕之 | 取締役 | 1986年入行。福岡支店長、執行役員東京支店長兼東京公務担当部長、取締役常務執行役員などを経て2025年4月より現職。 |
| 組橋 和浩 | 取締役(監査等委員) | 1983年入行。執行役員総務部長兼コンプライアンス法務室長、常務執行役員監査部長などを経て2021年6月より現職。 |
| 佐久間 達也 | 取締役(監査等委員) | 1986年入行。執行役員経営企画部長、執行役員事務統括部長、常務執行役員監査部担当補佐などを経て2023年6月より現職。 |
社外取締役は、山田泰子(元香川県健康福祉部次長)、藤本智子(藤本智子法律事務所代表)、小西範幸(青山学院大学大学院教授)、丸森康史(元三菱UFJ銀行常務執行役員)、鬼頭誠司(元日本生命保険取締役副社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
本店ほか支店、出張所等において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務などを行っています。地域社会や顧客に向けた各種コンサルティングサービスも提供しており、グループの主力業務と位置付けられています。
収益は主に、貸出金の利息や有価証券の運用益、各種手数料収入等から得ています。運営は主に百十四銀行が行っています。
■(2) リース業
金融関連業務として、各種機械設備や情報関連機器などのリース業務を行っています。企業の設備投資ニーズに対応し、物件の賃貸借を通じて金融サービスを提供しています。
収益は主に、顧客からのリース料収入等から得ています。運営は連結子会社の百十四リースが行っています。
■(3) その他
金融関連業務として信用保証業務やクレジットカード業務を行うほか、非金融業務としてICTソリューション、人材紹介、不動産の賃貸・管理業務などを行っています。
収益は、信用保証料、クレジットカード手数料、システム受託料、人材紹介手数料、不動産賃貸収入等から得ています。運営は百十四総合保証、百十四ディーシーカード、百十四ジェーシービーカード、百十四ビジネスサービス、百十四システムサービス、百十四人材センター、日本橋不動産が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は、経常収益が前連結会計年度比で増加したものの、経常費用も増加した結果、経常利益は増益となりました。経常収益は、有価証券利息配当金や貸出金利息の増加等により増加しました。一方、経常費用は、与信費用や預金利息の増加等により増加しました。過去からの趨勢としては、経常収益は増減を繰り返しながら推移しており、経常利益も同様に変動しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 4,150 | 4,353 | 6,070 | 5,249 | 5,383 |
| 経常利益(億円) | 948 | 1,095 | 790 | 932 | 1,028 |
| 当期純利益(億円) | 664 | 795 | 555 | 729 | 681 |
■(2) 損益計算書
当期は、経常収益が前期比で増加した一方で、経常費用も増加しました。この結果、経常利益は増益となりました。経常収益の増加は、主に有価証券利息配当金や貸出金利息の増加によるものです。経常費用の増加は、与信費用や預金利息の増加が主な要因です。当期純利益は、前期比で減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 5,249 | 5,383 |
| 経常費用 | 4,317 | 4,355 |
| 経常利益 | 932 | 1,028 |
| 当期純利益 | 729 | 681 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
同行の役務取引等収益合計は、当期において前期比で増加しました。役務取引等収益合計は、前期の785億円から当期は814億円となりました。最も大きい区分は「代理業務」で、次いで「為替業務」となっています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 785 | 814 |
| 預金・貸出業務 | 126 | 124 |
| 為替業務 | 180 | 188 |
| 代理業務 | 209 | 246 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
百十四銀行の有価証券報告書によると、同社の資金運用収支は増加傾向にあります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比で大幅に減少し、マイナスとなりました。これは、銀行業における業務の特性が影響していると考えられます。投資活動によるキャッシュ・フローも、前連結会計年度比で大きく減少し、マイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローも、前連結会計年度比で減少し、マイナスとなりました。これらの結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比で減少し、当連結会計年度末残高となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △856 | 864 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △959 | △1,218 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △65 | △20 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客さま・地域社会との共存共栄」「活気ある企業風土の醸成」「健全性の確保と企業価値の創造」を経営理念として掲げています。これに基づき、健全性と収益性のバランスのとれた発展を実現し、真に信頼される銀行づくりを進めています。
■(2) 企業文化
同社グループは、役職員が大切にすべき価値観として「百十四銀行 行動指針」を定めています。「対話を密にし、相互の信頼を深めます」「プロフェッショナルとして成長するための努力を惜しみません」「多様性を理解し、人権を尊重します」「環境の負荷軽減に努め、地域の活性化に貢献します」「ステークホルダーの期待を超える行動を実践します」の5つを掲げ、実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2030年度を見据えた長期ビジョン2030を策定し、その第1フェーズとして中期経営計画「創ろうイ・イ・ヨ♪」(2023年度~2025年度)を推進しています。最終年度である2025年度の経営目標として、以下の数値を掲げています。
* 連結当期純利益:135億円以上
* 連結自己資本比率:9.0%程度
* 単体OHR:65%程度
■(4) 成長戦略と重点施策
「総合コンサルティング・グループの進化」に向け、SX(サステナビリティ)、HRX(人的資本)、DX(デジタル)の3つの変革を成長エンジンとしています。金融・非金融の融合によるシナジー創出、顧客の課題解決への伴走、業務効率化や生産性向上支援などに注力し、地域とともに持続的な成長をめざしています。
* 総合コンサルティング・グループの進化
* 職員のウェルビーイング向上
* 生産性の飛躍的向上
* 持続可能な経営基盤の構築
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
経営戦略と連動した人材の最適配置やポートフォリオ構築をめざすHRXを推進しています。多様な属性・価値観を持つ職員が個性を尊重し合い、能力を発揮できるよう、DE&I推進や健康経営に取り組んでいます。また、資格取得支援や「114マイスター制度」等の教育制度を通じ、コンサルティング機能強化に向けた専門人材の育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.2歳 | 17.8年 | 6,539,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 50.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 61.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 46.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役席者比率(31.3%)、新卒採用男女比率(57.7%)、エンゲージメントスコア(67pt)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 当行格付の引き下げリスク
格付機関による格付の引き下げ等が行われた場合、資金調達条件の悪化を招く可能性があります。これにより、同社グループの財政状態や経営成績、キャッシュ・フローに悪影響を与えるリスクがあります。
■(2) 貸倒引当金等にかかるリスク
貸倒れの急増が見込まれる場合、多額の貸倒引当金等の計上が必要となる可能性があります。これにより、同社グループの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。厳格な査定基準に基づき引当金を計上していますが、将来の経済情勢等の変化により、損失が増加するリスクがあります。
■(3) 年金債務に係るリスク
年金資産の時価下落や運用利回りの低下、または退職給付債務計算の前提条件の変更等により、退職給付費用や債務が増加する可能性があります。これにより、同社グループの財政状態や経営成績に影響を与えるリスクがあります。



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