※本記事は、株式会社大分銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
大分銀行グループは、銀行業務を中心に、リース業務、クレジットカード業務などの金融サービス事業を展開しています。連結子会社9社とともに、地域に密着した営業活動を行っています。
単体従業員数は1,495名、連結従業員数は1,626名です。セグメントは銀行業、リース業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、大銀オフィスサービス(経理関係計算・業務)、大分リース(リース業)、大分保証サービス(債務保証業)、大分カード(クレジット・カード業)などです。
2025年4月1日付で、大分キャピタルパートナーズ及びおおいたプラットを設立しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大分銀行は、地域社会の繁栄に貢献することを経営理念に掲げ、銀行業務を通じて地域やお客さまの課題解決に取り組んでいます。従業員を重要な財産と位置づけ、働きがいとやりがいを重視する人的資本経営を推進しており、地域価値創造に向けた『人・組織・風土』づくりに注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長く働き、キャリアを形成できる環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定した人材定着がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,075,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.9年 |
| 平均年齢 | 39.5歳 |
| 単体従業員数 | 1,495人 |
| 連結従業員数 | 1,626人 |
| 単体のグループ内比率 | 91.9% |
同社グループは確定給付型の退職給付制度を設けています。これは、給与や勤続年数に応じて将来受け取る給付額があらかじめ決まっている制度です。国内グループ会社に適用されています。
退職一時金制度もあります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は226億円、年金資産は412億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
大分銀行は、経営理念の実現に向けて従業員一人ひとりの働きがいを高める人的資本経営を実践しています。地域価値創造に向け躍動する『人・組織・風土』づくりを重視し、従業員を最も大切なステークホルダーと位置づけています。
2026年4月には、22年ぶりとなる人事制度の抜本的な改定を実施しました。長期的な視点での人財育成を目的とした「人」基準の職能資格制度と、担う役割や貢献度を重視する「役割」基準の役割等級制度を組み合わせたハイブリッド資格制度を導入しています。
定例給与は「ベース給」「役割給(基本・加算)」「ムーブ給orプロフェッショナル給」「CDP支援給」「ライフプランサポート給」で構成されます。役割等級制度の導入により、上位資格ほど役割に応じた「役割給」の割合を拡大し、貢献度に応じた報酬配分を強化しています。プロフェッショナルコース選択者には「プロフェッショナル給」を毎月支給する制度も設けています。
人材育成においては、「自主自立の気概に溢れ、環境の変化に適応できる人財の創造」を基本理念としています。キャリア開発プログラム(CDP)を通じて専門性や能力の見える化を図り、企業内大学や実践的な育成プログラム、キャリア研修、キャリア面談、1on1ミーティング等で自律的な能力開発を支援しています。社内環境整備では、ワークライフインテグレーションの実現に向けた有給休暇取得率の向上や長時間労働の見直し、チャレンジ制度の導入、育児休業制度の分割取得や出生時育児休業の創設など、多様な人財が活躍できる環境づくりを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.1% |
| 男性育児休業取得率 | 127.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 45.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 65.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 50.1% |
人材育成
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| キャリア開発プログラムにおけるレベル3以上の行員数 | 580名 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大分銀行グループは、銀行業務を主軸に、リース業務やクレジットカード業務などの金融サービスを幅広く展開しています。地域に密着した営業活動を通じて、多様な金融ニーズに応える事業構造となっています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業務を中心に、リース業務、クレジットカード業務などの金融サービス等に係る事業を行っています。大分県を中心に、福岡県、宮崎県、熊本県、大阪府、東京都に営業基盤を有し、堅実経営を基本方針としています。収益は、預金や貸出金利息、有価証券利息配当金、リース売上高、役務取引等収益など、多岐にわたる金融サービスから得ています。
銀行業
預金業務、貸出業務、為替業務、有価証券投資業務、金融商品仲介業務、保険商品等の窓口販売業務など、地域に密着した営業活動を展開しています。収益は、有価証券利息配当金や貸出金利息の増加などから得ています。運営は、大分銀行の本支店および大銀オフィスサービス株式会社が行っています。
リース業
リース業務を営み、地域のリースに関するニーズに積極的に応えています。収益は、リース売上高の増加などから得ています。運営は、大分リース株式会社が行っています。
その他の事業セグメント
クレジットカード業務、債務保証業務、コンピューター関連業務、投融資業務、システムの企画・開発・運営業務などを営み、個人顧客、法人顧客それぞれの金融ニーズに応えています。収益は、資金運用収益の増加などから得ています。運営は、連結子会社7社(大分キャピタルパートナーズ株式会社、おおいたプラット株式会社を含む)が行っています。
| セグメント | 経常収益(2025年3月期) | 経常収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 656億円 | 863億円 |
| リース業 | 94.8億円 | 101億円 |
| その他の事業セグメント | 29.0億円 | 30.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの経常収益は、過去5年間で一貫して増加傾向にあります。これに伴い、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に順調な伸びを示しており、堅調な業績推移がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 555億円 | 729億円 | 732億円 | 779億円 | 994億円 |
| 経常利益 | 72.5億円 | 78.0億円 | 90.8億円 | 111億円 | 147億円 |
| 経常利益率 | 13.1% | 10.7% | 12.4% | 14.2% | 14.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 53.8億円 | 54.1億円 | 65.4億円 | 75.5億円 | 106億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 68.19 | 68.55 | 82.76 | 97.12 | 139.79 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり経常収益は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり経常利益も同様に増加しており、組織全体の収益を創出する力が強化されていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 47.1百万円 | 61.1百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 6.7百万円 | 9.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性から、同社グループの現在地を端的に示します。
営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっているため、成長投資フェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本と手元資金の厚みから確認できます。
自己資本比率やROEは、同社グループの資本効率と収益性を示しています。
手元資金の状況は、不況時や予期せぬ事態に対する耐性を測る上で重要な指標となります。
これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,086億円 | 2,453億円 |
| 自己資本比率 | 4.6% | 5.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.5% | 4.7% |
| 現金預け金 | 7,811億円 | 6,189億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動による資金の出入りは、貸出金の増加により2,178億円のマイナスとなりました。投資活動による資金の出入りは、有価証券の売却による収入の増加により587億円のプラスとなっています。財務活動による資金の出入りは、配当金の支払いによる支出等により30億円のマイナスとなりました。
これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは1,591億円のマイナスとなっています。同社グループは貸出金の増加や有価証券の売却といった資金の動きが見られ、資金調達と運用を積極的に行っている状況です。この資金の流れは、同社グループの事業戦略と成長性を示すものであり、将来的な雇用や給与の安定性にも関わってきます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1,182億円 | △2,178億円 |
| 投資CF | 297億円 | 587億円 |
| 財務CF | △34億円 | △30億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △885億円 | △1,591億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、大分県を主要な営業基盤としており、地域経済の悪化が信用リスクの増加を通じて業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、大分県における地元競合他行やメガバンク、異業種からの銀行業参入など、競争環境が激化しており、競争優位を得られない場合には業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材の流出・喪失や士気の低下、労務問題を含む人事運営上の不公平・不公正、差別的行為、役職員による法令等遵守に関して問題となる業務上の行為から生じる損失・損害を被るおそれがあります。また、業務継続のための人材確保が困難となることから、適切な営業態勢・陣容を構築できないおそれがあり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大分銀行は、地域社会の繁栄に貢献することを経営の根幹に据え、持続可能な社会の実現を目指す企業です。ステークホルダーとともに価値を創造し、感動を分かち合うことを大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
大分銀行は、「地域社会の繁栄に貢献するため銀行業務を通じ最善をつくす」ことを経営理念として掲げています。行員一人ひとりがこの使命を銘記し、銀行業務を全力で遂行することを目指しています。
長期ビジョン「Vision2031」では、『地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー ~ステークホルダーとともに~』を掲げ、地域とともに持続的に成長していくことを目指しています。ブランドスローガンは『感動を、シェアしたい。』です。
2024年4月よりスタートした「中期経営計画2024」では、「私たちにしかできない『金融+α』~“挑戦”を“あたり前”に~」を基本テーマに、地域やお客さまの課題解決に取り組み続けています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題として認識し、解決に向けて積極的に取り組むことを基本方針としています。持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指しています。
サステナビリティに関する取組みについて情報開示や対話を行い、各ステークホルダーとの信頼関係の構築に努めています。特に「気候変動」「人的資本・多様性」を長期ビジョン実現のために優先すべき重要な課題(マテリアリティ)としています。
具体的には、「気候変動への対応」「従業員エンゲージメントの向上」「多様性の尊重」をマテリアリティの項目として特定し、取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
大分銀行は、「コンプライアンス」を大前提に、同社が持続的に成長しながら地域の持続可能性を高めていくことが最大の経営課題であり責務であると認識しています。この課題に対し、「中期経営計画2024」の諸施策を通じて取り組んでいます。
同社グループのマテリアリティ(優先すべき重要課題)として、「気候変動への対応」「地域価値の創造」「多様性の尊重」「金融インフラ/金融サービスの高度化」「従業員エンゲージメントの向上」を特定しています。これらの課題解決を通じて、同社グループとお客さまの持続的成長とともに地域の持続可能性を高めていくことを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大分銀行は監査等委員会設置会社として、取締役会が経営の意思決定と職務執行の監督を担っています。独立社外取締役を含む監査等委員会が経営全般の監査を行い、実効的なガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
大分銀行の株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行である日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。その他、明治安田生命保険相互会社のような生命保険会社や、大分銀行行員持株会が上位株主として名を連ねています。特定の事業会社や創業家が上位を占める形ではなく、幅広い機関投資家や従業員によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.73% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 4.54% |
| 大分銀行行員持株会 | 3.05% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役頭取は高橋靖英氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 高橋 靖英 | 取締役頭取(代表取締役) | 1985年同社入行後、営業企画部長、執行役員総合企画部長などを歴任。2017年より取締役を務め、常務取締役、専務取締役を経て、2024年6月より取締役頭取に現職。 |
| 後藤 富一郎 | 取締役会長(代表取締役) | 1978年同社入行後、営業企画部長、常勤監査役などを経て、2013年より常務取締役。取締役頭取を務めた後、2024年6月より取締役会長に現職。 |
| 岡松 伸彦 | 専務取締役 | 1984年同社入行後、複数の支店長や執行役員を歴任。2020年より常務取締役を務め、2025年6月より専務取締役に現職。 |
| 佐藤 泰則 | 常務取締役営業統括本部長 | 1987年同社入行後、犬飼支店長、個人営業支援部長、執行役員法人営業支援部長などを歴任。2023年6月より常務取締役営業統括本部長に現職。 |
| 池田 雄 | 常務取締役 | 1988年同社入行後、大在支店長、日田支店長、執行役員総合企画部長などを歴任。2024年6月より常務取締役に現職。 |
| 濱田 法男 | 常務取締役 経営戦略本部長 | 1990年同社入行後、営業推進部推進役、小倉支店長、執行役員営業戦略部長などを歴任。2025年6月より常務取締役経営戦略本部長に現職。 |
社外取締役は、和田久継氏(三和酒類相談役)、河野光雄氏(河野公認会計士事務所開設・監査等委員)、山本章子氏(元大分県生活環境部長・監査等委員)、能美知子氏(田中保之法律事務所弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と職務執行の監督機能を担っています。監査等委員会は、独立社外取締役を含む委員で構成され、取締役の職務執行状況を監査し、経営全般に対して助言・勧告を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
大分銀行の役員報酬は、確定金額報酬、役員賞与、ストック・オプション報酬の3つの要素で構成されています。確定金額報酬は月例の固定報酬として、役員賞与は毎年一定の時期に支給されます。また、中長期的な企業価値向上への貢献意欲を高めるため、非金銭報酬として株式報酬型ストック・オプションが付与されています。社外取締役には、その独立性を考慮し、確定金額報酬のみが支給される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 2.8億円 | 40.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 3名 | 50百万円 | 16.7百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 27百万円 | 5.4百万円 |
なお、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)の固定報酬には、役員賞与85百万円が含まれています。また、非金銭報酬等として株式報酬型ストック・オプションが付与されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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