宮崎銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

宮崎銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

宮崎銀行は東京証券取引所プライム市場、福岡証券取引所に上場し、銀行業務を中心にリース業務や信用保証業務などの金融サービスを展開する地方銀行です。直近の2026年3月期の連結業績は、資金運用収益の増加などを背景に増収増益を達成しており、堅調な業績トレンドを維持して地域経済の持続的な成長に貢献しています。


※本記事は、株式会社宮崎銀行の有価証券報告書(第141期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 宮崎銀行ってどんな会社?


銀行業務を中心にリース業務や信用保証業務などの金融サービスを展開する宮崎県を基盤とする地方銀行です。

(1) 会社概要


1932年7月、日向中央銀行や宮崎銀行などの現物出資により日向興業銀行として設立され、同年8月に営業を開始しました。1962年に宮崎銀行へ改称し、1975年に福岡証券取引所に上場、1986年に東京証券取引所および大阪証券取引所の市場第二部に上場しました。1988年には両取引所の市場第一部に指定替えとなり、地域に密着した金融サービスを拡大しています。

従業員数は連結で1,392名、単体で1,248名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は事業会社の明治安田生命保険、第3位は金融機関の福岡銀行となっています。多様な金融機関や事業会社との関係を背景に、地域経済の発展と持続的な成長に向けた強固な事業基盤を構築しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.71%
明治安田生命保険 3.21%
福岡銀行 2.72%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。取締役頭取(代表取締役)は杉田浩二氏が務めています。社外取締役の比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
杉田浩二 取締役頭取(代表取締役) 1981年4月入行。経営企画部長、本店営業部長、リスク統括部長などを歴任し、2020年6月より現職。
西川義久 常務取締役(執行役員兼務) 1987年4月入行。人事部長、監査部長、鹿児島営業部長、営業統括部長などを歴任し、2023年6月より現職。
渡邊友樹 常務取締役(執行役員兼務) 1990年4月入行。事務統括部長、経営企画部長などを歴任し、2024年7月より現職。
琴寄攝也 取締役(執行役員兼務) 1992年4月さくら銀行(現三井住友銀行)入行。同社より出向し市場金融部長などを経て、2025年6月より現職。
長友正人 取締役(執行役員兼務) 1992年4月入行。赤江支店長、国分支店長、延岡営業部長などを歴任し、2026年4月より現職。
河内克典 取締役(監査等委員) 1983年4月入行。市場金融部長、経営企画部長兼IT戦略室長、代表取締役専務などを歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、島津久友(島津山林代表取締役)、柏田芳徳(柏田法律事務所開設)、浅山理恵(SMBCオペレーションサービス取締役副社長)、髙妻和寛(髙妻公認会計士事務所開業)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

銀行業

本店ほか70カ店の支店などを通じて、地域のお客様や企業に対して預金業務、貸出業務、内国・外国為替業務などの多様な金融サービスを幅広く提供しています。
主な収益源は、顧客からの預金利息や貸出金利息、為替手数料などです。運営は親会社である宮崎銀行のほか、事務受託業務などを担う子会社の宮銀ビジネスサービスや宮銀デジタルソリューションズが行っています。

リース業

企業や事業主などの顧客に対して、情報通信機器や産業機械などの多様な設備機器を対象とした総合リース業務を提供し、地域企業の設備投資ニーズに対応しています。
収益源は、顧客と締結したリース契約に基づくリース料収入などです。事業の運営は、宮崎銀行の連結子会社である宮銀リースが主体となって展開しています。

その他

ベンチャー企業等に対する株式や社債等への投資業務、経営コンサルティング業務のほか、住宅ローン等の信用保証業務、クレジットカード業務などを展開しています。
収益源は、投資先からのリターンや信用保証料、クレジットカードの利用手数料などです。運営は、宮銀ベンチャーキャピタル、宮銀保証、宮銀カードの各連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高(経常収益)が順調に拡大しており、増収基調が続いています。経常利益は一時的に落ち込みが見られたものの、直近の2期間では回復し、利益率も20%を超える水準に改善しています。貸出金利息や有価証券運用などの資金運用収益の増加が牽引し、全体として収益力が強化されていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 638億円 661億円 689億円 802億円 902億円
経常利益 115億円 118億円 100億円 139億円 198億円
利益率(%) 18.0% 17.8% 14.5% 17.3% 22.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 66億円 76億円 66億円 93億円 136億円

(2) 損益計算書


直近2期間の経常収益(売上高に相当)は、貸出金利息や有価証券利息配当金といった資金運用収益の順調な増加を背景に拡大しています。預金利息などの資金調達費用や営業経費の増加は見られるものの、収益の伸びが上回っており、堅調なトップラインの成長が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 802億円 902億円


営業経費(販売費及び一般管理費に相当)のうち、給料・手当が109億円(構成比42%)、業務委託費が31億円(同12%)、減価償却費が25億円(同10%)を占めています。金融業の性質上、売上原価に該当する項目は存在しません。

(3) セグメント収益


セグメント別の収益を見ると、主力の銀行業が貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により大幅な増収増益となり、全体の業績を力強く牽引しています。一方、リース業はリース料収入の減少により減収となりましたが、費用の減少により利益は微増を確保しています。その他事業は安定して推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
銀行業 743億円 845億円 134億円 192億円 22.7%
リース業 53億円 50億円 4億円 5億円 10.0%
その他 6億円 6億円 1億円 1億円 16.7%
調整額 - - -0億円 -0億円 -
連結(合計) 802億円 902億円 139億円 198億円 22.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、一般的な基準では事業検討型に分類されます。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金等の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -1,243億円 -1,106億円
投資CF 31億円 576億円
財務CF -29億円 -34億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は5.5%であり、いずれも市場平均を下回っています。ただし、銀行業特有の財務構造により自己資本比率は一般企業と異なる基準で評価される点に留意が必要です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


宮崎銀行は、企業活動の根本理念として「行是綱要」を掲げ、地域社会から信頼され、地域とともに持続的な成長を続けることを使命としています。この理念のもと、地域社会と協働して多様なニーズに寄り添い、地域課題の解決に貢献することで、経済的価値と社会的価値の極大化を目指しています。

(2) 企業文化


経営理念を補完する行動規範として「みやぎんフィロソフィ」を制定しています。「Design Future With You」を宣言とし、「Family(家族のような関係性)」「Diversity(多様性の尊重)」「Global(グローバルな視野)」「Innovation(先端技術の導入)」「Challenge(果敢な挑戦)」の5つの価値観を重視し、組織に根付かせています。

(3) 経営計画・目標


2026年4月からスタートした中期経営計画「First Call Bank 2.0 “シンカ”」では、最終年度である2029年3月期に向けて以下の数値目標を掲げています。

* 当期純利益:165億円以上
* ROE:7.00%以上
* 自己資本比率:10.00%程度
* 同社をメイン行とする取引先の付加価値額の増加率:110%(2026年3月期比+10%)

(4) 成長戦略と重点施策


長期ビジョン「地域とともに持続的な成長を実現する地域伴“奏”企業」の達成に向け、「リアル店舗を持ったデジタルバンク」の進化を追求します。マーケットインに基づく金融仲介とコンサルティング機能の深化、デジタルバンキングの進化によるマスリテール層の収益力強化、さらにはAIやDXを活用した業務プロセスの効率化と人的資本の価値向上を展開します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最も重要な経営資本と位置づけ、従業員の専門性と課題解決力の向上を図っています。コンサルティング力やDXリテラシーの強化に向けた教育・研修を実施するとともに、従業員の自律的な学びと挑戦を支援する主体的なキャリア形成を推進し、多様な人材が能力を最大限発揮できる柔軟な働き方と健康経営に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.5歳 15.3年 6,610,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.3%
男性育児休業取得率 126.0%
男女賃金差異(全労働者) 52.2%
男女賃金差異(正規雇用) 64.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 71.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性係長級比率(46.6%)、デジタル人材のキャリア採用(6人)、新卒採用(ITコース)(2人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク

宮崎県内を中心とする地域経済の動向や自然災害の発生などにより、融資先の経営状況が悪化した場合、不良債権の増加や想定外の貸倒引当・償却が発生し、業績および自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 情報セキュリティ・サイバー攻撃リスク

個人情報などの情報漏洩、紛失、改ざんが発生した場合や、外部からのサイバー攻撃やコンピュータウイルス感染によりシステムが停止・誤作動した場合、損害賠償の負担や信用の失墜が生じ、業績に深刻な影響を与えるリスクがあります。

(3) 金利変動・市場リスク

保有する国債や株式などの有価証券は、金利、株価、為替相場の変動により価値が下落するリスクがあります。また、市場金利の変化による預金金利・貸出金利改定のタイムラグが、資金利益を悪化させる可能性があります。

(4) ビジネス戦略と競争激化のリスク

収益力増強に向けたコンサルティング機能の強化やデジタル化投資が期待通りの成果をもたらさないリスクがあります。また、金融制度の規制緩和や他の金融機関等の参入による競争激化が、優位性を脅かす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。