宮崎銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

宮崎銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライムおよび福証に上場する宮崎県基盤の地方銀行。銀行業を中心に、リース業、信用保証業務等の金融サービスを展開しています。2025年3月期は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が伸長したほか、手数料収益も増加し、経常収益・経常利益・当期純利益ともに前期を上回る増収増益となりました。


※本記事は、株式会社宮崎銀行の有価証券報告書(第140期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 宮崎銀行ってどんな会社?


宮崎県を主要な営業基盤とする地方銀行です。銀行業務を中心に、リース、信用保証、クレジットカード等の総合金融サービスを地域に提供しています。

(1) 会社概要


1932年に日向興業銀行として設立され、1962年に現在の宮崎銀行へ改称しました。1975年に福岡証券取引所、1986年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1988年には同市場第一部(現プライム)へ指定替えとなりました。1976年に現在の宮銀リースとなる南九州総合リースを設立するなど、グループ経営体制を構築しています。

連結従業員数は1,407名、単体従業員数は1,261名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第2位は同じく資産管理を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は大手生命保険会社の明治安田生命保険相互会社です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.16%
日本カストディ銀行(信託口) 3.35%
明治安田生命保険相互会社 3.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表者は取締役頭取の杉田浩二氏と専務取締役の河内克典氏です。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
杉 田 浩 二 取締役頭取(代表取締役) 1981年4月同社入行。営業統括部長、取締役経営企画部長兼収益管理室長、常務取締役、常務取締役リスク統括部長などを歴任し、2020年6月より現職。
河 内 克 典 専務取締役(執行役員兼務)(代表取締役) 1983年4月同社入行。証券国際部長、市場金融部長、取締役経営企画部長兼収益管理室長、常務取締役などを経て、2022年6月より現職。
西 川 義 久 常務取締役(執行役員兼務) 1987年4月同社入行。福岡支店長、人事部長、取締役監査部長、上席執行役員鹿児島営業部長などを経て、2023年6月より現職。
渡 邊 友 樹 常務取締役(執行役員兼務) 1990年4月同社入行。東京支店長、経営企画部長などを経て、2023年6月常務取締役経営企画部長に就任。2024年7月より現職。
原 口 哲 二 取締役(監査等委員) 1979年4月同社入行。取締役鹿児島営業部長、常務取締役営業統括部長、代表取締役専務などを経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、島津久友(島津山林代表取締役)、柏田芳徳(弁護士)、浅山理恵(SMBCオペレーションサービス取締役副社長)、髙妻和寛(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」、「リース業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業


本店および支店70カ店等において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務およびその他付随業務を行っています。地域経済の中核として、個人・法人顧客に対し幅広い金融サービスを提供しています。

収益は、顧客からの貸出金利息、有価証券運用による利息配当金、為替や各種サービスの手数料などから得ています。運営は、宮崎銀行本体に加え、事務受託を行う宮銀ビジネスサービスや宮銀デジタルソリューションズなどの連結子会社が行っています。

リース業


多様な設備の賃貸借を行う総合リース業務を展開しています。地域の事業者の設備投資ニーズに応え、機械設備や情報通信機器、車両などのリースを行っています。

収益は、リース契約に基づく顧客からのリース料収入等から得ています。運営は、連結子会社の宮銀リースが行っています。

その他


株式・社債等への投資業務、経営コンサルティング業務、住宅ローン等の信用保証業務、クレジットカード業務などを行っています。銀行業務を補完し、多様な金融ニーズに対応しています。

収益は、投資収益、コンサルティング手数料、保証料、クレジットカード手数料などから得ています。運営は、宮銀ベンチャーキャピタル、宮銀保証、宮銀カードなどの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

当期は増収増益となりました。経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加し、預り資産手数料や受入雑手数料の増加により役務取引等収益が増加したことが主な要因です。経常費用は、売現先利息や債券貸借取引支払利息の増加により資金調達費用が増加し、貸倒引当金繰入額の増加によりその他経常費用が増加したことが押し上げました。過去5期を振り返ると、経常収益は緩やかに増加傾向で推移しており、当期は特に大きく伸長しました。経常利益および当期純利益も、直近2期は減少傾向でしたが、当期は大きく回復しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 5,466 6,382 6,613 6,889 8,019
経常利益(億円) 1,203 1,154 1,185 999 1,395
当期純利益(億円) 800 747 813 709 978

(2) 損益計算書

当期は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加し、預り資産手数料や受入雑手数料の増加により役務取引等収益が増加したことから、経常収益は前期比で増加しました。一方、売現先利息や債券貸借取引支払利息の増加により資金調達費用が増加し、貸倒引当金繰入額の増加によりその他経常費用が増加したことから、経常費用も増加しました。この結果、経常利益および当期純利益は前期を上回りました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 6,889 8,019
経常費用 5,890 6,625
経常利益 999 1,395
当期純利益 709 978

(3) 役務取引等収益の内訳

当期の役務取引等収益合計は、前期比で減少しました。最も規模の大きい預金・貸出業務は、前期比で減少しました。次いで規模の大きい為替業務も、前期比で減少しました。

区分 2024年3月期 2025年3月期
役務取引等収益 合計 5 5
預金・貸出業務 3 3
為替業務 1 1
証券関連業務 0 0

(4) キャッシュ・フローと財務指標

宮崎銀行のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、預金や借用金の純増減が減少した影響で、前連結会計年度に比べ大幅にマイナス幅が拡大しました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却や償還による収入が増加したことで、プラスに転じました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が増加したため、マイナスとなりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 5 △12,427
投資活動によるキャッシュ・フロー △94,923 30,543
財務活動によるキャッシュ・フロー △1,731 △2,907

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「行是綱要」を経営理念とし、「Design Future With You」を宣言する「みやぎんフィロソフィ」を掲げています。地方銀行として金融サービスを通じ、地域の持続的な成長を実現することを社会的使命としています。地域社会と協働し、課題解決に取り組むことで、社会的価値と経済的価値の極大化を目指しています。

(2) 企業文化


「みやぎんフィロソフィ」において、「Family(顧客・株主・従業員は家族)」「Diversity(多様性の尊重)」「Global(グローバルな視野)」「Innovation(先端技術による価値提供)」「Challenge(果敢な挑戦)」という5つの価値観を大切にしています。これらを行動規範とし、経営理念の浸透と実現を図っています。

(3) 経営計画・目標


2023年4月から2026年3月までの中期経営計画「First Call Bank」を推進しています。最終年度である2025年度の経営指標として以下を掲げています。

* 経常利益:140億円以上
* ROE:5.0%以上
* OHR(経費率):60.0%未満
* 自己資本比率:8.00%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「First Call Bank」の実現に向け、「リアル・対面」と「デジタル・非対面」を融合させた「リアル店舗を持ったデジタルバンク」を目指しています。具体的には、営業力の強化やソリューションの拡充による営業の確立、DX推進や店舗網再構築による経営基盤の強化、地域課題解決を通じたサステナビリティ経営の実践に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「First Call Bank」の実現に向け、圧倒的に信頼される行員づくりに取り組んでいます。コンサルティング営業の実践のため、研修体系の整備や行員のリスキリング支援を拡充しています。また、多様な人材が活躍できる環境整備を進め、特に女性の係長級割合向上などの女性活躍推進や、仕事と家庭の両立支援に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.0歳 16.0年 6,293,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.4%
男性育児休業取得率 93.5%
男女賃金差異(全労働者) 51.0%
男女賃金差異(正規雇用) 63.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 71.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、法人コンサルティング研修実施回数(19回)、個人コンサルティング研修実施回数(11回)、女性係長級比率(42.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


宮崎県内を主要な営業基盤としており、貸出金の多くが地元向けです。地域経済の動向や取引先の経営状況、担保価値の変動により、不良債権が増加し、貸倒引当金や償却額が発生する可能性があります。特に大規模災害等で地元経済が悪化した場合、財務内容に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 市場リスク(有価証券運用)


債券や株式等の有価証券投資を行っており、金利上昇による債券価格の下落、株価下落、為替変動などのリスクに晒されています。これらの市場変動により、運用資産の価値が減少し、業績や自己資本比率に悪影響を与える可能性があります。

(3) システムリスク


銀行業務の根幹をなすシステムにおいて、自然災害やサイバー攻撃、機器障害等による停止や誤作動、情報漏洩が発生するリスクがあります。これらが発生した場合、業務停止や損害賠償、社会的信用の失墜を招き、経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。