佐賀銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

佐賀銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム・福証に上場する地域金融機関です。佐賀県・福岡県を中心に、銀行業、リース業、信用保証業などを展開しています。2025年3月期の連結業績は、貸出金利息や役務取引等収益の増加により、経常収益552億円(前期比増)、経常利益110億円(増)、当期純利益75億円(増)と増収増益でした。


※本記事は、株式会社佐賀銀行 の有価証券報告書(第96期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 佐賀銀行ってどんな会社?


佐賀県と福岡県を主要基盤とし、「地域密着と健全経営」を理念に掲げる地方銀行グループです。

(1) 会社概要


同社は1955年、佐賀興業銀行と佐賀中央銀行の合併により設立されました。1974年に福岡証券取引所、1985年に東京証券取引所市場第一部へ上場しています。2017年には関連会社4社を完全子会社化しグループ経営を強化しました。2024年には東京プロマーケットおよび福岡プロマーケットの上場支援資格を取得しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は1,284名、単体では1,131名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は佐賀銀行行員持株会、第3位は日本カストディ銀行(信託口)となっており、機関投資家や従業員が主な株主構成となっています。

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役頭取は坂井秀明氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
坂井 秀明 代表取締役頭取 1981年入行。総合企画部長、常務取締役等を経て、2018年4月より現職。
鵜池 徹 代表取締役専務営業統括本部長 1986年入行。本店営業部長、常務取締役営業統括本部長等を経て、2023年6月より現職。
高祖 浩 常務取締役 1988年入行。佐銀キャピタル&コンサルティング代表取締役社長、業務統括本部長等を経て、2024年6月より現職。
城野 吉章 常務取締役 1990年入行。総合企画部長、常勤監査役、取締役監査等委員等を経て、2024年6月より現職。
野口 誠 常務取締役業務統括本部長 1990年入行。審査管理部長、業務統括本部システム部長等を経て、2024年6月より現職。
口石 洋一郎 取締役 1985年入行。営業統括本部副本部長兼営業統括部長、佐賀南ブロック長兼本店営業部長等を経て、2025年4月より現職。
金ヶ江 浩二 取締役唐津ブロック長兼唐津支店長兼唐津駅前支店長 1991年入行。福岡中央ブロック長兼福岡支店長兼渡辺通支店長兼天神支店長等を経て、2024年4月より現職。
坂井 貞樹 取締役佐賀南ブロック長兼本店営業部長兼呉服町支店長 1990年入行。武雄・鹿島ブロック長、営業統括本部営業統括部長、営業統括本部副本部長等を経て、2025年4月より現職。
中島 秀樹 取締役福岡中央ブロック長兼福岡支店長兼渡辺通支店長兼天神支店長 1991年入行。総合企画部長兼収益管理室長、執行役員総合企画部長等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、富吉賢太郎(元佐賀新聞社専務取締役)、河野圭志(元日本銀行情報サービス局長)、田中俊章(元福岡財務支局理財部検査監理官)、池田巧(元佐賀県県土づくり本部長)、福田恵巳(すず風法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」「信用保証業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業


本店ほか支店74か店、出張所28か所において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務などを行っています。地域金融機関として、佐賀県および福岡県を中心とした地域において、個人および法人顧客に対し総合的な金融サービスを提供しています。

主な収益源は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および各種手数料などの役務取引等収益です。運営は主に佐賀銀行が行っています。

リース業


地域のお客さまに対して、各種機械設備や情報機器などのリース業務を行っています。企業の設備投資ニーズに対応し、物件の賃貸借を通じて金融サービスを補完する役割を担っています。

顧客からのリース料が主な収益源となります。運営は連結子会社である佐銀リース株式会社が行っています。

信用保証業


銀行業における個人向け融資等の債務保証業務を行っています。住宅ローンや消費者ローンなどを利用する顧客の信用補完を行い、円滑な資金供給をサポートしています。

金融機関からの保証料が主な収益源となります。運営は連結子会社である佐銀信用保証株式会社が行っています。

その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、情報処理業務、事務代行業務、ベンチャーキャピタル業務、地域商社業務などを行っています。地域のデジタル化支援や新規事業創出のサポートなども展開しています。

主な収益源は、業務委託手数料やコンサルティング料などです。運営は佐銀デジタルパートナーズ株式会社、株式会社佐銀キャピタル&コンサルティング、佐銀ビジネスサービス株式会社、さぎんコネクト株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

当期は増収増益となりました。これは、主に貸出金利息を中心とした資金運用収益が増加したこと、および役務取引等収益が増加したことによるものです。一方、経常費用は株式等売却損の減少などにより減少しました。過去からの趨勢としては、経常収益、経常利益、当期純利益ともに増加傾向で推移しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 4,115 4,386 4,768 5,301 5,523
経常利益(億円) 421 698 727 757 1,100
当期純利益(億円) 247 408 549 622 750

(2) 損益計算書

当期は、貸出金利息を中心とした資金運用収益の増加などにより、経常収益が増加しました。経常費用は、株式等売却損の減少などにより減少しました。この結果、経常利益は大幅に増加しました。当期純利益も増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 5,301 5,523
経常費用 4,544 4,423
経常利益 757 1,100
当期純利益 622 750

(3) 役務取引等収益の内訳

同行の役務取引等収益は、当期において前期比で増加しました。中でも「預金・貸出業務」が最も大きく、次いで「証券関連業務」が続きました。

区分 2024年3月期 2025年3月期
役務取引等収益 合計 93 103
預金・貸出業務 49 53
証券関連業務 23 25
代理業務 11 12

(4) キャッシュ・フローと財務指標

佐賀銀行は、預金の増加があったものの、貸出金の増加により営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却や償還による収入が増加したことでプラスに転じました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによりマイナスとなりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 11,306 △2,373
投資活動によるキャッシュ・フロー 2,192 9,541
財務活動によるキャッシュ・フロー △118 △143

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「地域密着と健全経営」を経営理念に掲げています。佐賀・福岡を中心とした地域の銀行として地場産業の振興・発展を支援し、地域社会の豊かな生活づくりに奉仕することを使命としています。質の高いサービス提供を通じて、株主、顧客、地域の期待に応えることを目指しています。

(2) 企業文化


「このまちで、あなたと・・・」をスローガンに、地域とのつながりを重視する文化があります。地域の発展なくして当行グループの発展なしという認識のもと、全役職員が一丸となってサステナブルなビジネスモデルの確立に取り組んでいます。また、環境と経済の好循環実現を目指し、多様な人材の活躍やガバナンスの高度化も重視しています。

(3) 経営計画・目標


2025年4月から2028年3月までの第18次中期経営計画をスタートさせています。「このまちで、あなたと・・・地域を繋ぎ、人を繋ぎ、地域の豊かな未来をつくる銀行グループ」を目指す姿としています。2027年度(2028年3月期)の経営目標(KGI)として以下の数値を掲げています。

* 連結当期純利益:100億円
* 連結株主資本ROE:8.00%超
* 連結自己資本比率:8.00%超

(4) 成長戦略と重点施策


「金利のある世界」への転換に対応し、預金・貸出業務という銀行の根幹を強化しつつ、コンサルティング機能やデジタルチャネルの充実を図ります。具体的には、グループ一体となった地域貢献、事業性評価に基づく融資やM&A支援、上場支援などの法人向けサービス強化、および「さぎんアプリ」の機能向上などの個人向けサービス拡充に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


第18次中期経営計画において「多様性の時代に沿った人財の活躍」をテーマの一つに掲げています。高度なコンサルティング営業ができる人材の育成を目指し、ITパスポートや事業再生アドバイザー(TAA)などの資格取得を推奨しています。また、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進め、女性管理職比率の向上などに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.7歳 18.1年 6,104,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.2%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 53.0%
男女賃金差異(正規雇用) 67.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 63.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


取引先の財務状況悪化等により、貸出金の元本や利息が回収できなくなるリスクです。2025年3月末時点の不良債権比率は1.99%となっています。引当金等は計上していますが、取引先の経営状況悪化や担保価格の下落等が発生した場合、追加の引当が必要となり業績に悪影響を与える可能性があります。

(2) 市場リスク


金利、為替、有価証券価格等の変動により、保有資産・負債の価値が変動し損失を被るリスクです。同社は国債、株式、投資信託などを保有しており、市場価格の下落や為替変動により損失が発生する可能性があります。また、資産・負債の金利・期間ミスマッチにより、金利変動時に資金利益が減少するリスクもあります。

(3) システムリスク


コンピュータシステムの停止や誤作動、不正使用、サイバー攻撃等により業務運営に支障が生じるリスクです。バックアップシステムの構築やセキュリティ対策を行っていますが、万一重大な障害が発生した場合、業務への支障や信用の毀損、損害賠償等により、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。