※本記事は、株式会社福島銀行 の有価証券報告書(第159期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 福島銀行ってどんな会社?
福島県を主要な営業基盤とし、SBIグループとの連携やシステム刷新で変革を進める地域金融機関です。
■(1) 会社概要
1922年に湯本信用無尽として設立され、1989年に普通銀行へ転換し福島銀行へ商号変更しました。1996年に東証一部へ上場。2019年にはSBIホールディングスと資本業務提携契約を締結し、2024年7月には次世代バンキングシステムを稼働させるなど、デジタル化とアライアンス戦略を推進しています。
連結従業員数は474名、単体では431名です。筆頭株主はSBIグループの銀行持株会社であるSBI地銀ホールディングスで、第2位は技研ホールディングス、第3位は個人株主となっています。SBIグループとの強固な資本関係のもと、地域金融機関としての営業活動を展開しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBI地銀ホールディングス | 34.12% |
| 技研ホールディングス | 5.35% |
| 田中 偉嗣 | 2.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役は取締役社長の加藤容啓氏と、常務取締役の佐藤明則氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加藤 容 啓 | 取締役社長代表取締役 | 1980年東邦銀行入行。同社市場金融部長、総合企画部長、常務、専務を経て、とうほう証券社長を歴任。2018年6月より現職。 |
| 佐 藤 明 則 | 常務取締役代表取締役 | 1980年福島銀行入行。法人営業部長、相馬支店長、会津支店長、平支店長などを歴任。執行役員企画本部長、取締役企画本部長を経て2023年5月より現職。 |
| 鈴 木 岳 伯 | 常務取締役企画本部長 | 1992年福島銀行入行。組織開発部長、平支店長、執行役員営業本部副本部長などを歴任。取締役郡山営業部長を経て2023年5月より現職。 |
| 佐 藤 俊 彦 | 取締役業務本部長 | 1991年福島銀行入行。再生支援室長、与信統括部長、審査部長などを歴任。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、二瓶由美子(元桜の聖母短期大学教授)、石井浩(元福島県商工会議所連合会常任幹事)、竹内淳一郎(元日本銀行金融機構局審議役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」、「リース業」、「クレジットカード業・信用保証業」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 銀行業
福島県内に本店および支店等を構え、預金業務、貸出業務、為替業務およびこれらに付随する業務を行っています。地域金融機関として地元に密着した営業活動を行うほか、次世代バンキングシステムの活用により利便性向上に取り組んでいます。また、子会社においてソフトウェア開発・運用業務も行っています。
収益は、貸出金の利息や為替・決済等の手数料収入などが柱です。運営は主に福島銀行が行い、ソフトウェア関連業務は連結子会社の株式会社東北バンキングシステムズが担っています。
■(2) リース業
地域顧客に対してリース業務を提供しています。企業の設備投資ニーズ等に対応し、機械設備や事務機器などのリースを行っています。
収益は、顧客からのリース料収入です。運営は連結子会社の株式会社ふくぎんリース&クレジットのリース事業部が行っています。
■(3) クレジットカード業・信用保証業
クレジットカード業務および信用保証業務を行っています。信用保証業務では、銀行等の金融機関が個人向けに行う融資に対して保証を提供しています。
収益は、クレジットカードの手数料や、金融機関等からの信用保証料です。運営は連結子会社の株式会社ふくぎんリース&クレジットのクレジット事業部が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収となったものの、経常費用の増加などにより減益となりました。経常収益は、資金運用収益の増加により、前連結会計年度比114百万円増加し、13,417百万円となりました。一方、経常費用は、次世代バンキングシステムの更改など前向きな投資に伴い一過性の費用を計上したことにより、前連結会計年度比2,480百万円増加し、14,592百万円となりました。これらの結果、経常利益は前連結会計年度比2,365百万円減少し、△1,175百万円となりました。過去5期においては、増減を繰り返しながら推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 1,331 | 1,318 | 1,329 | 1,330 | 1,342 |
| 経常利益(億円) | △172 | 79 | 115 | 119 | △118 |
| 当期純利益(億円) | △172 | 83 | 87 | 87 | △125 |
■(2) 損益計算書
当期は、経常収益が増加した一方で、経常費用が大幅に増加したことにより、経常利益および当期純利益はマイナスとなりました。経常収益は、貸出金利息の増加などにより前連結会計年度比で増加しましたが、経常費用は、次世代バンキングシステムの更改に伴う一過性の費用計上などにより増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 1,330 | 1,342 |
| 経常費用 | 1,211 | 1,459 |
| 経常利益 | 119 | △118 |
| 当期純利益 | 87 | △125 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
同行の非金利収益である役務取引等収益は、当期において前期比で減少しました。役務取引等収益合計は、前期比で減少しました。最も規模が大きいのは預金・貸出業務であり、次いで為替業務となっています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 162 | 136 |
| 預金・貸出業務 | 162 | 136 |
| 為替業務 | 0 | 0 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
福島銀行のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の減少等によりマイナスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が主な要因でマイナスとなりました。一方、財務活動によるキャッシュ・フローはプラスとなりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、当連結会計年度中に減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 12 | △152 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 15 | △95 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △1 | 18 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「福島のために」「お客さまのために」「そして未来を育むために」を経営理念として掲げています。地元企業の本業支援や顧客の資産形成支援を通じて福島の発展に貢献すること、高い倫理観を持って顧客の課題に向き合うこと、そして従業員が幸福感を持って働ける職場づくりを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「『デジタル』のチカラで『リアル』の力を最大化」を基本方針とし、DX推進による利便性向上や、顧客との深いコミュニケーションによる伴走支援を重視しています。また、自由な発想でビジネスモデルを進化させ、持続可能な社会の実現と地元福島の発展に貢献できる人材の育成に取り組む姿勢を「行動指針」として定めています。
■(3) 経営計画・目標
2024年度から5年間の中期経営計画「SHINふくぎん 中期経営計画」を策定し、2029年3月期の数値目標として以下を掲げています。
* 自己資本比率(単体):8%以上
* 本業収益(単体):20億円以上
* 当期利益(単体):13億円以上
* 事業者支援先数:7,000先
* 資産形成支援先数:40,000先
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、次世代バンキングシステムの稼働により、窓口業務の効率化やWeb完結取引の拡大など顧客利便性の向上と事務削減を進めています。これにより生み出された人的資源を、対面での「事業者支援」と「資産形成支援」に集中させ、コンサルティング営業を強化する方針です。これらの施策を通じて地元経済を支え、収益力を高めることで企業価値の向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、多様な人材が成長し活躍することが重要と認識し、人材育成の基本方針に基づき研修を実施しています。資本業務提携先のSBIホールディングス等との人材交流により、本業支援、事業承継・M&A、DX・AIなど専門分野に強い社員を育成しています。また、次世代システムの活用による業務DX化で効率化を進め、仕事と家庭を両立できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.9歳 | 18.5年 | 5,190,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.5% |
| 男性育児休業取得率 | 66.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 68.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | 52.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自己資本比率に関するリスク
同社は、国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があります。経済情勢の悪化等により財務内容が悪化し、この基準を下回った場合、金融庁から早期是正措置が発動され、業務の一部停止等の命令を受ける可能性があります。
■(2) 繰延税金資産に係るリスク
同社は将来の課税所得の見積りに基づき繰延税金資産を計上しています。今後の業績変動や不良債権処理等により課税所得が予想を下回った場合、繰延税金資産を取り崩す必要が生じ、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) システムリスク
銀行業務においてコンピュータ・システムは極めて重要ですが、システム・ダウンや誤作動、外部からの不正アクセス等による障害が発生した場合、決済機能の停止や情報漏洩等により、社会的信用の失墜や損害賠償の発生など、経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
■(4) 情報資産に係るリスク
顧客情報や経営情報の管理には万全を期していますが、サイバー攻撃や人為的ミス等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償請求や信用の低下を招き、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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