※本記事は、株式会社福島銀行の有価証券報告書(第160期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 福島銀行ってどんな会社?
銀行業務を中心にリースやクレジットカード等の金融サービスを提供する地域金融機関です。
■(1) 会社概要
1922年に湯本信用無尽として設立され、1951年に相互銀行法施行により福島相互銀行へ改称しました。1989年に普通銀行へ転換し、福島銀行へと商号を変更しました。1996年に東京証券取引所市場第一部に上場し、2015年には東北バンキングシステムズを連結子会社化しています。直近では2025年にふくぎん地域活性化投資を設立しました。
現在の従業員数は連結で460名、単体で414名です。筆頭株主は資本業務提携を締結しているSBIグループのSBI地銀ホールディングスで、第2位は事業会社の技研ホールディングス、第3位は福島銀行従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBI地銀ホールディングス | 34.12% |
| 技研ホールディングス | 5.35% |
| 福島銀行従業員持株会 | 2.87% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。取締役社長代表取締役は鈴木岳伯氏が務めており、取締役10名中、社外取締役が3名と一定の割合を占めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木岳伯 | 取締役社長代表取締役 | 1992年入行。組織開発室長、平支店長等を経て、2018年執行役員営業本部副本部長。2023年常務取締役企画本部長を務め、2025年6月より現職。 |
| 加藤容啓 | 取締役会長代表取締役 | 東邦銀行入行。同行専務取締役、とうほう証券代表取締役社長等を経て、2018年福島銀行取締役社長に就任。2025年6月より現職。 |
| 佐藤俊彦 | 取締役融資・リスク統括部担当 | 1991年入行。再生支援室長、与信統括部長、執行役員審査部長等を経て、2018年取締役。2025年ふくぎんリース&クレジット取締役社長を経て、2025年7月より現職。 |
| 草野真之 | 取締役営業統括部担当 | 1991年入行。植田支店長、法人営業部長等を経て、2020年執行役員。2025年取締役営業本部長兼市場金融部長を経て、2025年7月より現職。 |
社外取締役は、二瓶由美子(桜の聖母短期大学元教授)、石井浩(福島県商工会議所連合会元常任幹事)、竹内淳一郎(日本銀行元審議役)です。
2. 事業内容
同社グループは、銀行業、リース業、クレジットカード業・信用保証業の3つの報告セグメントを展開しています。
■銀行業
本店ほか支店や出張所において、地域金融機関として地元に密着した預金業務、貸出業務、為替業務およびそれらに付随する金融サービスを展開しています。また、地域社会に向けたソフトウェア開発・運用や投資事業などの関連業務も手掛けています。
顧客からの貸出金利息や各種手数料を主な収益源としています。中核となる銀行業務は福島銀行が展開しており、ソフトウェア関連は東北バンキングシステムズ、投資事業はふくぎん地域活性化投資が運営しています。
■リース業
法人や個人などの顧客向けに、設備機器や車両などのリース取引サービスを提供しています。地域企業の設備投資ニーズや、個人のライフスタイルに応じた多様なリース資産を取り扱っています。
リース契約に基づく顧客からのリース料の受け取りを主な収益源としています。同事業の運営は、連結子会社であるふくぎんリース&クレジットのリース事業部が行っています。
■クレジットカード業・信用保証業
顧客に対するクレジットカードの発行や関連する決済サービス、および個人向けローンなどの信用保証業務を提供し、顧客の資金繰りや決済の利便性を支援しています。
クレジットカードの利用に伴う手数料収入や、信用保証に基づく保証料を主な収益源としています。この事業は、連結子会社であるふくぎんリース&クレジットのクレジット事業部が運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、経常収益が安定して推移したのち直近で増加傾向にあります。経常利益は2025年3月期にシステム更改等に伴う費用により赤字を計上しましたが、2026年3月期には資金運用収益の増加などにより黒字に回復し、増収増益の転換を果たしています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高(経常収益) | 132億円 | 133億円 | 133億円 | 134億円 | 152億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 11億円 | 12億円 | -12億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 6.0% | 8.6% | 8.9% | -8.8% | 4.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 9億円 | 9億円 | -13億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高にあたる経常収益は増加している一方、売上総利益にあたる業務粗利益の利益率はやや低下しています。経常利益率は前年度のマイナスからプラスへと大きく改善し、収益性の回復が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高(経常収益) | 134億円 | 152億円 |
| 売上総利益(業務粗利益) | 84億円 | 91億円 |
| 売上総利益率(%) | 62.6% | 59.8% |
| 経常利益 | -12億円 | 7億円 |
| 経常利益率(%) | -9.0% | 4.5% |
■(3) セグメント収益
売上高(経常収益)は銀行業が全体の大部分を占めています。銀行業では貸出金利息などが増加したことで増収となり、全社的な増収を牽引しました。リース業やクレジットカード業・信用保証業は安定した水準で推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 110億円 | 128億円 |
| リース業 | 23億円 | 23億円 |
| クレジットカード業・信用保証業 | 1.2億円 | 1.2億円 |
| 連結(合計) | 134億円 | 152億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)等によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -152億円 | -231億円 |
| 投資CF | -95億円 | -6億円 |
| 財務CF | 18億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.1%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も3.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「福島のために」「お客さまのために」「そして未来を育むために」を経営理念に掲げています。地元企業の本業支援や顧客の資産形成のお手伝いを通し、福島の発展に貢献するとともに、常にお客さま目線で高い倫理観を持って課題に向き合い、生き甲斐と幸福感をもって働ける職場づくりと人材育成に尽力することで、未来を育むことを目指しています。
■(2) 企業文化
常にお客様の課題に真摯に向き合う姿勢と、自由な発想でビジネスモデルの進化を図る文化を重視しています。また、深いコミュニケーションを通じた伴走支援を強化し、デジタル技術の活用により顧客利便性の向上を図ることで、地域金融機関としての持続的な役割を果たす行動指針を定めています。
■(3) 経営計画・目標
「SHINふくぎん 中期経営計画」(2024年4月~2029年3月)を策定しており、最終年度である2029年3月期の数値目標として以下を掲げています。
* 自己資本比率(単体):8%以上
* 本業収益(単体):20億円以上
* 当期利益(単体):13億円以上
* 事業者支援先数:7,000先
* 資産形成支援先数:40,000先
■(4) 成長戦略と重点施策
基本方針「『デジタル』のチカラで『リアル』の力を最大化」を掲げています。次世代バンキングシステムの活用等で業務効率化を進め、創出された人的資源を対面による「事業者支援」と「資産形成支援」の高度化に振り向けます。デジタルツールの活用によって営業活動の量的拡大と質的向上を両立させ、収益力と健全性の両立により中長期的な企業価値向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「事業者支援」および「資産形成支援」の高度化を実現するため、デジタル技術を活用して経営資源を創出し、対面の顧客接点に人的資源を重点配分しています。計画的なジョブローテーションや行内公募制度、外部出向、自己啓発支援等を通じて、社員の挑戦機会創出と自律的なキャリア形成を支援し、エンゲージメントの向上と企業風土の醸成を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.4歳 | 19.0年 | 5,324,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.4% |
| 男性育児休業取得率 | 133.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 70.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 55.8% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、CO2排出量の2013年度対比削減率(55.7%)、サステナブルファイナンス投融資額(288億円)、環境分野の目標投融資額(200.2億円)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自己資本比率に関する基準への対応
同社は国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があります。経済情勢の悪化等により各種リスクが単独または複合的に発生し、自己資本比率が低下した場合、早期是正措置が発動され、業務の全部または一部停止を含む命令を受ける可能性があります。
■(2) 情報資産・システム障害のリスク
顧客情報や経営情報の管理体制を整備していますが、不正アクセスや人為的ミス等により情報資産が漏洩した場合、損害賠償や社会的信用の失墜を招く恐れがあります。また、システムダウンや誤作動等の重大な障害が発生した場合、業務運営や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 気候変動に伴う信用リスクの増加
自然災害の急増により、不動産担保の毀損や取引先の事業停滞が生じる物理リスクが想定されます。また、脱炭素社会への移行過程における規制や税制の変更により、影響を受ける取引先の信用リスクが増加する移行リスクがあり、これらが同社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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