※本記事は、株式会社京葉銀行の有価証券報告書(第120期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 京葉銀行ってどんな会社?
同社は千葉県を主要な営業基盤とし、地域に密着した銀行業務および各種金融サービスを提供する金融機関です。
■(1) 会社概要
1943年に千葉合同無尽として設立され、1951年に千葉相互銀行へと商号を変更しました。1973年の上場を経て、1989年に普通銀行へ転換するとともに現在の京葉銀行へ商号を変更しました。2024年には長期ビジョン「+αVision 90」を策定し、地域経済の発展と持続的な成長に向けた取り組みを推進しています。
同社および連結子会社の従業員数は連結で1,837名、単体で1,805名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、第2位には同業の千葉銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.05% |
| 千葉銀行 | 4.20% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.54% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表者は取締役頭取の藤田剛氏が務めています。役員のうち社外取締役の比率は21.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 熊谷俊行 | 取締役会長 | 1981年同社入行。経営企画部長、常務取締役経営企画部長、専務取締役などを経て、2016年より取締役頭取。2025年より現職。 |
| 藤田剛 | 取締役頭取(代表取締役) | 1991年同社入行。経営企画部長、執行役員経営企画部長、常務執行役員、取締役専務執行役員を経て、2025年より現職。 |
| 市川達史 | 取締役副頭取(代表取締役) | 1987年同社入行。個人融資部長、執行役員経営企画部長、常務執行役員、取締役専務執行役員を経て、2025年より現職。 |
| 藤﨑一男 | 取締役専務執行役員(代表取締役) | 1986年同社入行。経営企画部長、執行役員総務部長、常務執行役員、取締役常務執行役員を経て、2025年より現職。 |
| 國井智之 | 取締役常務執行役員 | 1989年同社入行。融資部長、執行役員浦安支店長、執行役員法人営業部長、常務執行役員を経て、2024年より現職。 |
| 山﨑資郎 | 取締役常務執行役員 | 1992年同社入行。融資部長、執行役員本店営業部長、常務執行役員営業統括部長を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、内村廣志氏(元財務省関東財務局長)、戸部知子氏(元千葉県労働委員会事務局長)、上西京一郎氏(元オリエンタルランド代表取締役社長)の3名です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
千葉県を主要な営業基盤とする地域金融機関として、預金業務や貸出業務を中心にサービスを展開しています。また、内国為替・外国為替業務のほか、有価証券投資業務、国債や投資信託・保険商品の窓口販売業務など、地域のお客さまに対して幅広い金融商品を提供しています。
収益源は、個人および法人顧客からの貸出金利息や、各種金融商品の提供・販売に伴う手数料などです。事業の運営は、同社(京葉銀行)が主体となって行っています。
■(2) その他
銀行業を補完する形で、専門性の高い金融サービスを展開しています。ファンド運営業務やM&A業務、コンサルティング業務などのソリューション提供を行っているほか、クレジットカード業務や信用保証業務なども提供しています。
収益源は、各種サービス・業務に伴う手数料等です。事業の運営は、ファンド運営やM&Aを京葉銀キャピタル&コンサルティング、クレジットカード業務を京葉銀カード、信用保証業務を京葉銀保証サービスがそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績をみると、経常利益は一時的に横ばい傾向の時期があったものの、直近では貸出金利息などの資金運用収益の増加に支えられ、利益水準が大きく向上しています。これに伴い、親会社に帰属する当期純利益や利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 657億円 | 656億円 | 702億円 | 804億円 | 1087億円 |
| 経常利益 | 162億円 | 152億円 | 157億円 | 182億円 | 225億円 |
| 利益率(%) | 24.7% | 23.1% | 22.3% | 22.7% | 20.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 112億円 | 104億円 | 109億円 | 128億円 | 159億円 |
■(2) 損益計算書
2期間の収益構造を比較します。当期は貸出金利息や有価証券利息配当金が増加し、経常収益が拡大しました。なお、同社は銀行業を主力としているため、一般事業会社の売上高にあたる指標として経常収益の金額を記載しています。また、銀行業の特性上、売上総利益および営業利益に該当する指標の記載は省略しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高(経常収益) | 804億円 | 1087億円 |
■(3) セグメント収益
同社は報告セグメントが「銀行業」のみの単一セグメントであるため、全体の売上(経常収益)を記載しています。預金・貸出業務を中心とした本業が順調に推移した結果、当期の売上(経常収益)は前期を大きく上回る実績となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 804億円 | 1087億円 |
| 連結(合計) | 804億円 | 1087億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、本業が低迷し事業の見直しが迫られる事業検討型のキャッシュ・フローパターンを示しています。
なお、同社は銀行関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -834億円 | -1121億円 |
| 投資CF | -403億円 | 697億円 |
| 財務CF | -51億円 | -60億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も4.8%で市場平均を下回っています。ただし、銀行業はビジネスモデルの特性上、一般事業会社と比較して自己資本比率が低くなる傾向があります。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、長期ビジョンとして「お客さま満足度№1のソーシャル・ソリューショングループ」を目指す姿に掲げています。また、企業理念である「プラスαの価値を提供し、地域の豊かな未来をともに築く」のもと、お客さまや地域社会の課題に対し付加価値を提供し、持続可能な社会の実現に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は「人材育成基本方針」において、「自律的な成長を促し主体的に学ぶ企業風土」の醸成を掲げています。また、知識や専門性だけでなく、「社会人としての良識と高い倫理観」を持った従業員の育成を重視しており、お客さまに喜ばれる高い付加価値を提供できる人財こそが企業価値向上の重要な資本であるという価値観を持っています。
■(3) 経営計画・目標
第20次中期経営計画『「+αVision 90」フェーズ1~挑戦と変革~』(2024年度〜2026年度)を策定し、社会価値と経済価値の両立による企業価値の最大化を目指しています。財務KPIとして、以下の実績を挙げています。
・連結ROE(株主資本ベース):5.46%
・連結当期純利益:159億円
・連結自己資本比率:10.55%
■(4) 成長戦略と重点施策
社会課題の解決力強化に向けた成長エンジンの再構築を進めています。具体的には、新勘定系システムの活用を中核としたオムニチャネルの進化や、土日営業拠点など地域特性に応じた店舗戦略を推進します。また、新たに「戦略ファイナンス部」を設置し、ストラクチャードファイナンスなどの成長戦略を加速させる方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人的資本投資の拡大」を重要テーマと位置づけ、営業人員の増強による人財ポートフォリオの再構築を進めています。2024年度から「キャリアコース制」を導入し、従業員が自らキャリアを選択して高度なスキル習得に挑戦できる環境を整備しています。また、「スキルの見える化」を通じた組織的な育成や、多様な専門人財のキャリア採用にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.2歳 | 16.5年 | 7,555,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 59.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 70.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 59.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(82.2%)、シニアスタッフ行員数(113人)、従業員満足度(83.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 信用リスク
同社は貸倒引当金を計上して信用リスクに備えていますが、今後の景気動向や取引先の経営状況の変動、予期せぬ自然災害などにより、実際の貸倒が想定を大幅に上回った場合、与信関連費用が増加し、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場リスク(金利・価格変動)
同社は資金運用を貸出金や有価証券で、資金調達を預金等で行っているため、市場金利の変動により利鞘が縮小する金利リスクを抱えています。また、保有する株式や国債等の債券は市場価格や為替相場などの変動リスクに晒されており、予期せぬ市場変動が業績に影響する可能性があります。
■(3) システム・サイバーセキュリティリスク
同社のコンピュータシステムは顧客や決済機構等と接続されており、品質不良や人為的ミス、サイバー攻撃、自然災害等によりシステム障害が発生する可能性があります。障害や情報漏洩の規模によっては、業務運営の停止や社会的信用の失墜を招き、業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。



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