※本記事は、株式会社京葉銀行の有価証券報告書(第119期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 京葉銀行ってどんな会社?
千葉県を主要な営業基盤とする地域金融機関として、預金・貸出業務を中心に幅広い金融商品・サービスを提供しています。
■(1) 会社概要
1943年3月に千葉合同無尽として設立され、1951年に相互銀行免許を取得して千葉相互銀行となりました。1974年に東証一部へ上場し、1989年に普通銀行への転換に伴い現在の京葉銀行へ商号を変更しました。2022年の東証プライム市場への移行を経て、2025年1月には次世代勘定系システムを稼働させています。
同社グループの従業員数は連結1,824名、単体1,795名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は千葉県内の地域金融機関である千葉銀行、第3位は従業員持株会となっています。千葉銀行とは株式を持ち合う関係にあります。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.35% |
| 千葉銀行 | 4.58% |
| 京葉銀行職員持株会 | 3.41% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.6%です。代表取締役頭取は熊谷 俊行氏です。社外取締役比率は26.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 熊谷 俊行 | 取締役頭取(代表取締役) | 1981年同行入行。経営企画部長、取締役経営企画部長、常務取締役、専務取締役を経て、2016年6月より現職。 |
| 市川 達史 | 取締役専務執行役員(代表取締役) | 1987年同行入行。個人融資部長、執行役員経営企画部長、常務執行役員、取締役常務執行役員を経て、2024年6月より現職。 |
| 藤田 剛 | 取締役専務執行役員(代表取締役) | 1991年同行入行。経営企画部長、執行役員経営企画部長、常務執行役員を経て、2024年6月より現職。 |
| 藤﨑 一男 | 取締役常務執行役員 | 1986年同行入行。経営企画部長、執行役員総務部長、常務執行役員を経て、2020年6月より現職。 |
| 國井 智之 | 取締役常務執行役員 | 1989年同行入行。融資部長、執行役員浦安支店長、執行役員法人営業部長、常務執行役員を経て、2024年6月より現職。 |
| 山﨑 資郎 | 取締役常務執行役員 | 1992年同行入行。融資部長、執行役員本店営業部長、常務執行役員営業統括部長、取締役常務執行役員営業統括部長を経て、2024年10月より現職。 |
社外取締役は、秋山 勝貞(元日本銀行発券局長)、内村 廣志(元国土交通省政策統括官)、戸部 知子(元千葉県労働委員会事務局長)、上西 京一郎(元オリエンタルランド社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
千葉県を主要な営業基盤とする地域金融機関として、預金業務、貸出業務を中心に、内国為替業務、外国為替業務、日本銀行代理店等の代理業務、有価証券投資業務、国債等公共債・投資信託・保険商品の窓口販売業務、信託代理店業務等を行っています。
主な収益源は、顧客への貸出金利息や有価証券の運用益、各種手数料収入です。運営は主に京葉銀行が行っており、地域住民や地元企業に対して幅広い金融商品・サービスを提供しています。
■(2) その他
銀行業務以外の金融関連サービスとして、ファンド運営業務、M&A業務、コンサルティング業務、クレジットカード業務、信用保証業務及び担保評価業務などを行っています。
収益源は、コンサルティング手数料、クレジットカード手数料、信用保証料などです。運営は、京葉銀キャピタル&コンサルティング、京葉銀カード、京葉銀保証サービスの連結子会社3社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収増益となりました。経常収益は、株式等売却益の増加等により、前連結会計年度比で増加しました。経常費用は、預金利息等の増加等により、前連結会計年度比で増加しました。過去からの趨勢としては、経常収益、経常利益ともに増加傾向で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 6,296 | 6,575 | 6,561 | 7,022 | 8,037 |
| 経常利益(億円) | 1,199 | 1,621 | 1,517 | 1,568 | 1,821 |
| 当期純利益(億円) | 738 | 1,119 | 1,039 | 1,088 | 1,276 |
■(2) 損益計算書
当期は、株式等売却益の増加等により経常収益が増加しました。一方、預金利息等の増加等により経常費用も増加しましたが、増収効果が上回り、経常利益は増加しました。当期純利益も増益となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 7,022 | 8,037 |
| 経常費用 | 5,454 | 6,216 |
| 経常利益 | 1,568 | 1,821 |
| 当期純利益 | 1,088 | 1,276 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
同行の非金利収益である役務取引等収益は、当期は前期比で増加しました。中でも、預金・貸出業務が最も大きく、次いで為替業務が続きました。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 1,353 | 1,406 |
| 預金・貸出業務 | 528 | 559 |
| 為替業務 | 191 | 201 |
| 証券関連業務 | 174 | 168 |
| 代理業務 | 141 | 126 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
京葉銀行は、預金の純増による資金増加を主な調達源とし、貸出金の増加により資金が減少しました。投資活動では、有価証券の取得による支出が大きかったものの、売却や償還による収入もありました。財務活動では、配当金の支払いと自己株式の取得により資金が減少しました。これらの結果、同社の現金及び現金同等物の残高は減少しましたが、預金残高に対する比率で十分な流動性を確保しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | △1,817億円 | △834億円 |
| 投資CF | △14億円 | △403億円 |
| 財務CF | △44億円 | △51億円 |
| ROE(連結) | 3.54% | 4.07% |
| 連結自己資本比率(国内基準) | ― | 10.78% |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客さま満足度No.1のソーシャル・ソリューショングループ」を目指す姿として掲げています。地域や顧客の豊かな未来を共に築くため、企業理念のもと、顧客や地域社会の課題に対し、プラスαの価値を提供していくことを方針としています。
■(2) 企業文化
同社は「人材育成基本方針」において、「自律的な成長を促し主体的に学ぶ企業風土を醸成」することや、「社会人としての良識と高い倫理観」を持つ従業員の育成を重視しています。また、従業員のエンゲージメント向上や健康経営の推進、多様な働き方の実現を通じ、働きがいのある職場環境づくりに取り組む文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2024年度から2026年度までの3年間を計画期間とする第20次中期経営計画「+αVision 90フェーズ1~挑戦と変革~」を推進しています。財務KPIとして以下の目標を掲げています。
* 連結ROE(株主資本ベース):4.52%(2025年3月期実績)
* 連結当期純利益:127億5600万円(2025年3月期実績)
* 連結自己資本比率:10.78%(2025年3月期実績)
■(4) 成長戦略と重点施策
新勘定系システムの稼働を起点に、土日営業拠点など地域特性に応じた店舗展開や新アプリを軸とした顧客接点の拡大を進めています。また、店頭オペレーション改革やAIを活用した業務プロセスの再構築により、事務から営業への転換を推進し、営業人員増強による人財ポートフォリオの再構築など、生産性向上と成長戦略の加速を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を企業価値向上の重要な資本と位置づけ、多様な専門人財の育成や、自律的なキャリア形成を支援する「キャリアコース制」を導入しています。また、キャリア採用やパートタイマー育成の強化による人財ポートフォリオの再構築、女性活躍推進、健康経営などを通じ、誰もが活躍できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.5歳 | 16.9年 | 7,203,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.7% |
| 男性育児休業取得率 | 152.2% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 67.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 61.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、指導的地位(係長以上)に占める女性割合(34.2%)、有給休暇取得率(82.7%)、キャリア採用者に占める管理職の割合(24.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 信用リスク
今後の景気動向や貸出先の経営状況の変動、自然災害等により、貸倒引当金を上回る貸倒が発生し、与信関連費用が増加する可能性があります。また、担保価値の下落や権利行使の困難性、主要な営業基盤である千葉県経済の動向によっても、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場リスク
金利変動による利鞘の縮小や、保有する株式・債券等の価格変動により、減損や評価損が発生し、業績や自己資本比率に影響を与える可能性があります。特に保有株式の価格変動や、金利上昇に伴う債券価格の下落などがリスク要因となります。
■(3) 流動性リスク
金融システム不安の発生や同社の信用状態悪化により、必要な資金確保が困難になったり、資金調達コストが著しく上昇したりすることで、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) オペレーショナルリスク
役職員による事務過誤や不正、システム障害、サイバー攻撃、情報漏洩などにより、損失が発生したり、社会的信用が失墜したりするリスクがあります。特に基幹システム等の障害や、サイバー攻撃によるサービス停止・情報漏洩は、業務運営に重大な影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。